転職の判断
夫の転勤についていくなら、仕事は辞めるしかない?
夫の転勤についていくとき、すぐに辞める前に今の会社に相談できること(勤務地の変更・休職・再雇用・在宅)と、何から先に話すかをまとめました。残る・単身赴任・辞めてついていく・転勤先で転職の 4 つの道の比べ方、辞めた場合の失業手当(特定理由離職者と 1 年の期限)、転勤先の面接での伝え方、次の転勤を見越した会社の選び方、入社 1 年未満の育休の扱いも載せています。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・辞めると言う前に今の会社に相談できること(勤務地の変更・休職・再雇用・在宅)と、就業規則・夫・上司の順に話を進める理由
- ・辞めてついていく場合に失業手当がどう扱われるか(特定理由離職者の範囲、給付制限、辞めた翌日から 1 年の期限)
- ・転勤先の面接で転勤の見通しをどう伝えるか、次の転勤でも続けられる会社をどう選ぶか、入社 1 年未満の育休はどう決まっているか
目次開く閉じる
夫に転勤の辞令が出た。この先も数年おきに動きそうで、ついていくなら自分の仕事は辞めるしかないのか、転勤先で正社員の仕事はあるのか、また転勤になったらどうするのかが気になっている。
ついていくからといって、すぐに辞めると決めなくてかまいません。「辞めます」と言う前に、今の会社に相談できることがあります。転勤先に近い拠点への異動、休職、辞めた後の再雇用、在宅で受け持てる仕事の 4 つです。2016 年に常用労働者 300 人以上の企業 1,852 社を調べた調査では、配偶者の転勤に合わせて勤務地を変える仕組みを「制度としてある」と答えた会社は 2.0% でしたが、「制度はないが運用としてある」会社は 16.1% ありました(労働政策研究・研修機構「企業の転勤の実態に関する調査」)。規程には書いていなくても、個別に対応してきた会社のほうが多くありました。
辞めることになっても、配偶者の転勤で別居を避けるための退職は、失業手当で自己都合とは別の扱い(特定理由離職者)の範囲に入っています。転勤先で次の仕事を探すなら、面接では転勤の見通しをそのまま伝え、「夫の次の転勤のとき、どうなるか」で会社を選びます。
辞める前に、今の会社に相談できることが 4 つある
上司には「辞めます」と切り出さず、まず「夫が○月から△△に転勤になります。続けたいので、方法を相談させてください」と伝えます。退職を先に言うと、会社が出せたかもしれない案が話に出ないまま終わります。相談することは次の 4 つです。
- 転勤先に近い拠点への異動: まず確かめるのは、転勤先の近くに自社の事業所や工場があるかです。冒頭の調査のとおり、規程は無くても個別に対応してきた会社は少なくありません
- 配偶者が転勤している間の休職: 制度のある会社は珍しく、あっても海外転勤だけが対象のことが多い制度です。意味があるのは、数年で戻ってくる見通しがあるときです
- 辞めた後の再雇用: 同じ調査で、配偶者の転勤で辞めた人を再雇用する制度がある会社は 10.6% でした。夫が何年か後に元の地域へ戻る可能性があるなら、辞める前に聞いておく価値があります
- 在宅で受け持てる仕事: 現場に立ち会う仕事が中心なら、在宅でできる範囲は限られるかもしれません。それでも、ほかの 3 つと一緒に聞くことはできます。在宅で働ける日数を入社前に確かめる方法は、「リモート可」の求人の読み方の記事にまとめています
この調査で言う「転勤」は、転居を伴う異動のことです。最後まで「続けたいので相談したい」という言い方にしておけば、辞める話ではなく、続ける前提の相談だと伝わります。異動や再雇用を検討するには会社にも時間が要るので、相談は早いほうが、会社が出せる案も増えます。
何から始めるか: 就業規則を読み、夫と話してから上司へ
上司に会う前に、就業規則の異動・休職・退職者の再雇用・育児休業の項を読んでおくと、自分の会社に何が書いてあるかを知ったうえで相談できます。次に夫と、ついていくか単身赴任か、夫の会社の次の転勤がいつ頃になりそうか、子どもをいつ考えるかを話します。夫婦の方針が決まる前に上司と話すと、何を相談するかが定まらないので、上司に会うのはその後です。
会社と話して辞めることになったら、退職日を決め、夫の辞令の写しをもらっておきます(失業手当の手続きで事情が分かるものの例です。何が要るかは窓口で確かめます)。転勤先での仕事探しはこれと並行して進められます。辞めた後は、引っ越しが落ち着く前でも早めにハローワークへ行くほうが安全です(理由は失業手当の節に書きます)。
4 つの道のどれを選ぶか。勤務地を変えてもらえるかと、転勤が続くかで決まる
選べる道は 4 つあります。今の会社で勤務地や働き方を変えてもらえるか、夫の転勤が今回限りか、この先も続くかで、選ぶ道はほぼ決まります。
| 道 | 仕事と収入 | 次の転勤のとき | 向いている場合 |
|---|---|---|---|
| 今の会社に籍を残す(異動・在宅・休職) | 今の会社で続く | 異動や在宅なら同じ相談をもう一度。休職は期限つき | 転勤先の近くに拠点がある、在宅で受け持てる仕事がある、数年で戻る見通しがある |
| 夫に単身赴任してもらう | 今の仕事がそのまま残る。住まいが 2 か所になり、行き来の費用もかかる | 単身赴任がさらに続く | 今回の転勤が短いと見込める、いつまで続けるかを夫婦で決められる |
| 辞めてついていき、しばらく休む | 収入が止まる。失業手当を受けられる場合がある | 次も同じ選択になる | 引っ越しや子どもの予定を優先したい |
| 転勤先で転職する | 転勤先の会社で働く。年収は下がることがある | 次の会社が異動や在宅に応じてくれるかしだい | 職種を変えずに続けたい。転勤がこの先も続く |
夫の転勤がこの先も続くなら、どの道を選んでも同じ判断が数年後にまた来ます。今回の転職で次の転勤でも続けられる会社を選んでおけば、転勤のたびに転職し直す回数を減らせます(選び方は後の節で書きます)。単身赴任は仕事を手放さずに済みますが、夫の転勤が数年おきに続き、子どもの予定もあるなら、いつまで続けるかを先に夫婦で決めておかないと、なし崩しに長くなります。
辞めてついていく場合は、有給の消化と退職日・入社日の決め方も別の記事にまとめています。子どもが保育園に通っているなら、保育園の在園と退職日・入社日の関係も絡んできます。
辞めても、失業手当は自己都合と別の扱いになりうる
配偶者の転勤についていくための退職は、ハローワークが示す「特定理由離職者」の範囲に入っています。範囲の 2.(5) は「次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者」で、その理由の 1 つ(g)が「配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避」です(「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」)。対象は、今の職場に通えなくなった、または通うのが難しくなった場合です。特定理由離職者と認めるかどうかを決めるのはハローワークの窓口です。夫の辞令の写しなど事情が分かるものを用意しておき、何が要るかは窓口で確かめます。夫ではなく本人に転勤の内示が出て、断って辞める場合の扱いは、親の介護で転勤の内示を断る場合の記事にあります。
認められた場合に変わるのは 2 点です。
- 受給資格の条件: 原則は離職の日以前 2 年間に被保険者期間が通算 12 か月以上ですが、特定理由離職者は離職の日以前 1 年間に 6 か月以上でも足ります(「ハローワークインターネットサービス - 基本手当について」)
- 給付制限: 正当な理由のない自己都合退職には給付制限があり、2025 年(令和 7 年)4 月 1 日以降の退職なら原則 1 か月です(「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省」)。特定理由離職者と認められれば、この給付制限は掛かりません
一方で、もらえる日数(所定給付日数)は会社都合の退職並みには増えません。日数が特定受給資格者と同じになるのは、特定理由離職者のうち契約が更新されなかった人に限られます(「ハローワークインターネットサービス - 基本手当について」)。
期限にも注意が要ります。手当を受け取れる期間は、原則として辞めた日の翌日から 1 年です。延ばせるのは病気・けが・妊娠・出産・育児などで 30 日以上働けない場合で、延長の理由に引っ越しは挙がっていません(同じページ)。引っ越しの片付けで手続きを先に延ばしすぎると、もらえる日数を受け取り終える前に、1 年の期限が来てしまうことがあります。
転勤先でも正社員の仕事は探せる。面接では転勤の見通しをそのまま伝える
「地方は仕事が無い」とは、求人倍率からは言えません。2026 年(令和 8 年)9 月の有効求人倍率(就業地別・季節調整値。ハローワークの求人だけで、パートタイムを含む)は東京都が 1.08 倍で、東京都を下回るのは大阪府・北海道・福岡県など 7 道府県、残る 39 府県は東京都と同じか高い倍率でした(「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」)。ただしこの数字は職種別ではないので、自分の職種の求人がどれだけあるかは、転勤先の通勤圏にその仕事をしている会社や事業所があるかで変わります。年収がどれくらい変わりうるかは、地方へ移る転職で年収がどれくらい下がるかを扱った記事があります。
面接では、夫の転勤は伝えておくほうをすすめます。採用する側は「また数年で辞めるのでは」と考えるかもしれない、と思って準備しておき、事情と見通しをそのまま話します。次の時期や行き先がまだ決まっていなければ、そのことも伝えます。
(例)「夫の転勤でこちらに来ました。夫の会社はおおむね数年ごとに異動がありますが、次の時期と行き先はまだ決まっていません。家族の転勤があった場合に、別の事業所への異動を相談できる仕組みはありますか」
例文の最後の問いは、次の転勤でも続けられる会社かを確かめるためのものです。言わずに入って次の転勤で辞めると、短期間で辞めた職歴が残り、その次の転職で説明することになります。
次の会社は「夫の次の転勤のとき、どうなるか」で選ぶ
求人票の「転勤なし」は、あなた自身が転勤させられないという意味で、夫の転勤とは関係がありません(「転勤なし」と書いた求人の読み方は別の記事にまとめています)。
見るべきなのは、拠点の多さと、配偶者の転勤に合わせて異動を相談できるかです。冒頭の 2016 年の調査では、配偶者の転勤に合わせた勤務地変更の制度か運用がある会社は全体で 18.1% でしたが、国内の拠点が 100 か所以上の会社では 41.1% ありました。拠点の多い会社ほど、制度か運用がある割合が高かったことになります。ただ、全国に拠点があっても、次の行き先の近くにあるとは限りません。そのため面接では、例文の最後のように、別の事業所への異動を相談できるかを聞きます。
当サイトの掲載求人では、求人票に配偶者の転勤の制度を書く会社はごくわずかです。2026 年 11 月 4 日に掲載中の求人を会社ごとにまとめたところ、配偶者の転勤・赴任に合わせた休職・休暇・再雇用の制度を求人票(仕事内容・福利厚生などの欄)に書いていた会社は 1,000 社に 1 社ほどで、大手の例がありました。福利厚生の欄にすべての制度を書くとは限らないので、書いていないことは制度が無いことを意味しません。
在宅で続けられる働き方に移るのも、転勤に左右されにくくする方法の 1 つです。地方に住みながらフルリモートの求人に応募するときの見分け方は別の記事にあります。
入社 1 年未満でも育休は取れる? 対象外にできるのは労使協定を結んだ会社
転職してすぐに子どもを考えているなら、入社 1 年未満で育休を取れるかどうかで、子どもと転職の順番の考え方が変わります。入社 1 年未満の人を育休の対象から外せるのは、労使協定を結んだ会社です(育児・介護休業法の第 6 条、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)。協定を結んでいない会社なら、1 年未満でも取れます(期間の定めのない雇用の場合)。短時間勤務(時短)も、協定を結べば入社 1 年未満の人を外せる仕組みは同じです(入社 1 年目に時短を使えるかは別の記事にまとめています)。
応募先が協定を結んでいるかは、内定の前に人事へ「入社 1 年未満でも育休の対象になりますか」と聞けば分かります。協定の有無を応募前に知る方法は、転職前後の育休の取り方の記事で詳しく扱っています。
よくある質問
夫の転勤で辞めたら、失業保険はすぐもらえますか
特定理由離職者と認められれば、自己都合の退職に掛かる給付制限(2025 年 4 月 1 日以降の退職なら原則 1 か月)は掛かりません(「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省」)。給付制限が掛からなくても、受給資格が決まった日から 7 日間の待期はあります。認められるかはハローワークが判断します。受け取れる期間は辞めた翌日から 1 年で、延長の理由に引っ越しは挙がっていないので、転勤先に着いたら早めに手続きします。
履歴書の退職理由は何と書けばいいですか
「配偶者の転勤に伴い退職」と事実だけ書いておけば、面接で詳しく聞かれたときに、上の例文のように事情と今後の見通しを話せます。書類と話も食い違いません。
正社員の求人に絞ると、転勤先の求人は少ないですか
正社員だけの有効求人倍率は、2026 年 9 月の全国で 1.01 倍でした(「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」)。パートを含む倍率(全国 1.19 倍)より低いものの、求職者 1 人に 1 件ほどの求人がある計算です(求職者に派遣・契約社員の希望者も含むので、厳密な正社員の倍率より低く出ます)。ハローワークの求人だけの数字で職種別でもないので、自分の職種でどれだけ見つかるかは、転勤先の通勤圏にその仕事をしている会社があるかで決まります。
転職したばかりで夫の転勤が決まりました。失業手当の条件は変わりますか
特定理由離職者と認められれば、離職の日以前 1 年間に雇用保険の被保険者期間が 6 か月以上あれば受給資格を満たします。原則の「2 年間に 12 か月以上」より短い期間で足ります(「ハローワークインターネットサービス - 基本手当について」)。今の会社に聞けることは、入社して間もなくても同じです。
出典と、分かっていないこと
- 出典はすべて 2026 年 11 月 4 日に確認しました
- 勤務地変更・休職・再雇用の制度の有無の割合は、労働政策研究・研修機構が 2016 年 8〜9 月に常用労働者 300 人以上の企業 10,000 社へ送り、1,852 社が答えた調査の結果です(回収率 18.5%)。300 人未満の会社は入っておらず、いまの割合は確かめていません。この調査の「転勤」は転居を伴う異動に限ります
- 特定理由離職者に当たるか、どんな書類が要るかは、ハローワークが個別に判断します。所定給付日数が何日になるかは確かめていません
- 有効求人倍率はハローワークの求人だけの数字で、職種別ではなく、都道府県別の数字はパートタイムを含みます。職種ごとの求人の数や、ある業界の経験が別の業界でどう評価されるかは調べていません
- 当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日に掲載中だった求人を会社ごとにまとめ、求人票の本文・福利厚生などの欄に配偶者の転勤・赴任に合わせた休職・休暇・再雇用の制度の記載があるかを数えたものです。割合は丸めています。当サイトに掲載している会社に限った数字で、求人票に書いていない制度は数えていません
- 面接で配偶者の転勤を伝えたときに採用側がどう受け止めるかは、根拠にできる資料が見つかりませんでした。例文は書き手の助言です
- 労使協定で入社 1 年未満の人を対象外にしている会社がどれくらいあるかは確かめていません