転職の判断
管理職の転職は難しい? 課長のまま移れるのは約3割
管理職の転職は本当に難しいのかを、公的統計で答えます。前職が課長だった転職者のうち課長以上で入ったのは約3割、6割近くは役職無しでした。採る側が管理職に求めること、課長で入る方が年収が増えるとは言えない理由、課長の求人がどれくらいあるかと応募前に確かめることもまとめました。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・「難しい」の中身は、転職できないことではなく、同じ役職のまま移れる人が少ないこと。採る側の事情とあわせて
- ・課長で入る方が年収は増えるとは言えない理由と、肩書と年収のどちらを先に守るかの決め方
- ・採る側が見ているもの、課長の求人がどれくらいあるか、応募の前に確かめる 3 つのこと
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課長になって数年、部下もいる。社内では上のポストが詰まっていて、次に上がる道が見えない。外を見始めたところで「管理職の転職は難しい」と聞いて、手が止まっている。
管理職の転職が難しいと言われるのは、転職できないからではなく、同じ役職のまま移れる人が少ないからです。厚生労働省の転職者実態調査では、前の勤め先で課長だった転職者全体(全年齢・全職種)のうち、転職後も課長以上で入った人は約 3 割で、6 割近くは役職無しで入っていました。採る側が管理職に求めているのは、部下の人数より、入ってすぐ何ができるかです。課長で入る方が年収が増えやすい、とも統計からは言えません。肩書を守りたい人も、肩書より年収を戻したい人も、課長の求人と役職無しの求人を並べて比べてかまいません。
「難しい」の中身は、同じ役職のまま移れる人が少ないこと
転職した人と採る側のそれぞれについて、統計で言えることは次のとおりです。
| 項目 | 数字 | 何に対する割合か |
|---|---|---|
| 前職が課長だった人の、転職後の役職 | 課長以上 約 3 割(課長 26.2%・部長以上 4.0%)、係長 12.3%、役職無し 57.6% | 前職が課長だった転職者(全年齢・全職種) |
| 管理職の仕事で転職者を採った事業所 | 12.6%(専門・技術の仕事は 40.0%) | 転職者がいる事業所 |
| 管理職の仕事で採った理由(3 つまで) | 即戦力になる 60.7%、専門知識・能力がある 50.2% | 管理職の仕事で転職者を採った事業所 |
| 事業所の規模別、管理職の仕事で転職者を採った割合 | 1,000 人以上 48.4%、5〜29 人 10.9% | 転職者がいる事業所(規模別) |
前職の役職と転職後の役職は、厚生労働省の「第36表 現在の勤め先での就業形態、直前の勤め先と現在の勤め先の役職間の移動状況」(令和 7 年転職者実態調査)から取りました。課長以上で入った人は約 3 割で、一握りではないものの少数派です。正社員で入った人に限っても、課長以上は約 35% です。年齢や職種で分けた表は無いので、40 代の営業課長に限った割合は分かりません。
採る側の数字は、同じ調査の「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」の表4です。転職者がいる事業所のうち、管理職の仕事で転職者を採ったところは 12.6% で、専門・技術の仕事の 3 分の 1 以下でした。「管理職のポストが少ない」と言われることは、統計ではこの数字に表れています。大きい事業所ほど管理職の仕事で転職者を採っていますが、これは採った事業所の割合で、応募して通る確率ではありません。
人材会社の解説では、ほかに「外から課長を入れると社内の昇進とぶつかる」「管理職は年収が高く、採る側の予算に合わない」といった理由も挙がります。内部昇進と外部採用の比率や、年収の高さで採用が見送られた割合を示す公表データは、見つかりませんでした。
課長で入る方が年収は増える? そうとは読めない
賃金が増えた人の割合は、役職無しで入った人より、課長で入った人の方が高く出ています。ただ、それを「課長の求人を選べば増えやすい」とは読めません。
同じ調査の「第16表 性、産業・事業所規模・年齢階級・最終学歴・直前の勤め先を離職した理由・現在の勤め先での職種・現在の勤め先での役職・現在の勤め先での就業形態・令和7年9月の賃金総額(税込)階級・企業規模、直前の勤め先と比較した現在の勤め先の1か月当たりの賃金総額の変化別転職者割合及び増減D.I.」では、転職後に課長の役職に就いた人は、1 か月の賃金総額が前の勤め先より増えた 52.8%・減った 32.1%でした。役職無しで入った人は、増えた 41.3%・減った 36.3% です。比べているのは月の賃金で、賞与は入っていません。
この表は「いまの役職」で分けたもので、前の勤め先の役職とは掛け合わせていません。第36表で、転職して課長に就いた人の前職を見ると、前職も課長だった人は 3 分の 1 強で、3 分の 1 強は係長や役職無しから上がった人、3 割弱は部長から下がった人でした。課長に就いた人には昇格した人も降格した人も含まれるので、前職が課長の人が役職を下げて入った時に、賃金がどれくらい変わるかは、この表からは分かりません。転職で賃金が増えた人・減った人の割合を年齢別に見たい時は、転職の年収相場の記事にまとめています。
課長の求人と役職無しの求人は、並行して受けてかまいません。内定で示された条件(年収・仕事の中身・会社の安定)を並べて比べます。迷いを減らすには、賞与込みの年収がいくらを下回ったら役職無しの求人にも広げるか、その金額を先に決めておきます。提示された年収は月給と賞与に分けて、今の会社と比べます(40 代で転職した時の年収の変わり方は40 代の転職と年収の記事にまとめました)。課長で入るか役職無しで入るかで、残業代が付くかどうかが変わることもあります。付くかどうかは肩書ではなく、権限や働き方の実態で決まります(詳しくは係長で入る場合の残業代の節)。どれくらいの期間探せば課長の求人が無いと判断できるか、その目安になる数字はありません。探し方を見直す時期は、探した期間より、条件に合う求人に何件応募できたかで決める方が分かりやすいはずです。外の条件を見たうえで、今の会社に残ることもできます(転職しない方がいい人の記事)。
採る側が見ているのは、部下の人数より入ってすぐ何ができるか
管理職の仕事で転職者を採った事業所の理由は、即戦力になる 60.7%、専門知識・能力がある 50.2% が上位でした(表4)。管理職を中途採用した理由をたずねたマイナビの「中途採用実態調査2026年版」では、マネジメント経験の豊富さを挙げた人事担当者は 33.8% で最も多かったものの、専門スキルの不足を補うため、管理職層の多様性を高めるため、もそれぞれ 3 割ほどで、差はわずかでした。
部下を何人見てきたかは、それだけでは決め手になりません。伝えるのは、部下と一緒にどんな仕事を進め、どんな結果を出したかです。職務経歴書には、どんな状況で、自分が何をして、どうなったかを続けて書き、数字は小さくても実際の値を入れます。たとえば次のような形です(架空の例です)。
課の売上が横ばいの中、契約更新の時期が近い既存顧客を課内で洗い出し、担当を組み替え、自分も商談に同行して更新の提案をやり直した。課の売上は前年並みを保ち、解約は前年の 6 件から 2 件に減った。
マイナビの企業調査では、中途で管理職を採った企業の不満として、面接での話と入社後の実際に差がある、という声が挙がっています(中途採用実態調査2026年版)。数字を大きく見せるより、面接で詳しく聞かれても同じ説明ができる内容にしておく方がよいと考えます。
転職して課長に就いた人には、部長の経験者もいます。第36表で転職して課長に就いた人の前職は、課長・部長以上・役職無しがほぼ同じくらいずつでした(同じ求人で競った結果ではなく、別々の転職を合計した数字です)。課長の求人では、部長から役職を下げて応募する人と比べられることもあります。
課長の求人はどれくらいある? 題名に管理職の語がある求人を出す会社は 4 社に 1 社
当サイトの掲載求人では、求人を出している会社の約 25%(4 社に 1 社)が、題名に課長・部長・マネージャー・管理職・責任者・支店長などの語がある求人を出していました(「課長候補」のように「候補」を含む題名は除いています)。この中には「店舗責任者」「プロダクトマネージャー」のような職種名も入っているので、課長として入れる求人はこれより少なくなります。2026 年 11 月 4 日時点の掲載中の全求人で数えたもので、数え方は記事の最後に書きました。
この「候補」を除いた求人のうち、応募資格の必須条件にマネジメントや管理職の経験を挙げている求人は約 4 割でした(求人数に対する割合で、管理職候補の求人を数えたものとは別の集計です)。残りの求人が何を必須にしているかは数えていません。課長の求人を探す時は、題名の役職だけでなく、必須の欄に何が書かれているかで選ぶことになります。
応募の前に確かめるのは、必須条件・入社時の役職・提示年収の 3 つ
- 必須条件の中心が自分の経歴と重なるか: 扱う製品、顧客の業界、職種のように、その仕事の中心になる条件に当てはまるかを先に見ます。そこが合っていれば、細かい条件が 1〜2 つ欠けていても応募してよいと考えます(通りやすさを測った数字は無く、書き手の判断です)。「歓迎」の欄は必須ではありません。必須条件が経歴と重なる求人から応募すれば、条件が合わずに書類で落ちることは減らせます
- 入社時から課長か、「候補」か: 題名やポジションの欄に役職が書かれているかを見ます。「課長候補」とある求人は、入社時はメンバーとして働くことがあります。見分け方は管理職候補の求人の記事に書きました
- 提示年収は面接・オファーで確かめる: 求人票の年収の幅のどこに置かれるかは、求人票からは分かりません。面接やオファーの段階で、自分の経歴だと幅のどのあたりになるかを聞き、月給と賞与を分けて確かめます
よくある質問
課長の経験は転職で有利ですか?
有利に働くことはありますが、それだけで決まるものではありません。厚生労働省の調査では、管理職の仕事で転職者を採った事業所の理由は即戦力や専門知識が上位でした。マイナビの調査では、管理職を中途採用した理由にマネジメント経験の豊富さを挙げた人事担当者は 3 割台で、ほかの理由とほぼ並んでいます(採る側が見ているもの)。課長の経験を伝える時は、何を任され、どんな結果を出したかまで話すと、評価の材料になります。
課長の経験があれば、いきなり課長として入社できますか?
できます。前職が課長だった転職者全体のうち、転職後も課長以上で入った人は約 3 割です(第36表)。入社時から課長かどうかは、求人の題名やポジションの欄に役職が書かれているかで見ます。最終的には面接やオファーで、入社時の役職を確かめます。管理職の経験が無い人が管理職として入れるかは、管理職候補の求人の記事で扱っています。
管理職候補の求人は避けた方がいいですか?
避ける必要はありませんが、課長の経験がある人にとっては、入社時はメンバーとして働く求人が混じる点に注意が要ります。「管理職候補」に決まった定義は無く、入社時から役職が付く求人と、後から登用する求人が同じ言葉で並んでいます。見分け方と聞き方は管理職候補の求人の記事にまとめました。
中途で入った管理職は使えないと言われますか?
採った企業の多くは満足しています。マイナビの「管理職の中途採用・管理職転職に関する調査2025年」では、中途採用した管理職に満足している企業は 69.9%、不満は 7.4% でした。2026 年版では満足が 74.2% です。不満の理由には、求めていたスキルに達していない、前職のやり方にこだわり柔軟性に欠ける、といった声が挙がっています。
管理職を外から採る会社は増えていますか?
増えています。マイナビの「中途採用実態調査2026年版」では、中途採用の募集をしている企業の人事担当者のうち、直近半年に管理職を中途採用したと答えたのは 54.8% で、2021 年の 38.1% から上がり、過去 5 年で最も高くなりました。本文の 12.6%(転職者実態調査)とは分母が違う数字で、どちらが正しいというものではありません(記事の最後)。
40 歳の課長は遅いですか?
遅くありません。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況((8) 役職別にみた賃金、第8表 役職、性別賃金、対前年増減率及び役職・非役職間賃金格差)」では、課長級の平均は 49.5 歳・勤続 20.9 年です。40 歳前後で課長になっている人は、この平均より若い方です。
部長や 50 代でも転職できますか?
できますが、課長と同じく、同じ役職のまま移れる人は少数派です。前職が部長以上だった転職者全体のうち、転職後も部長以上で入った人は 25.1%、課長が 21.7%、役職無しが 48.6% でした(第36表)。50 代の転職全般は50 代の転職の記事に、役職定年を控えて出るか残るかは役職定年の記事にまとめています。
部下のいない課長でも同じですか?
部下のいない担当課長・専任課長は、職務経歴書に「課長」と書いてよいか、管理職の経験として見てもらえるかが別に問題になります。部下のいない担当課長の記事にまとめました。
この記事の数字と出典について
- 転職者実態調査(厚生労働省、令和 7 年)の第36表・第16表は、全年齢・全職種の値です。40 代・営業・メーカーのように絞った値はありません。第36表の「役職無し」には、専門職やスタッフ職として入った人も含まれている可能性があります。役職無しで入った人が自分で選んだのか、課長の口が無かったのかは分かりません
- 第16表は 1 か月当たりの賃金総額の、直前の勤め先との比較で、賞与は含みません。現在の役職で分けた表で、前職の役職とは掛け合わせていません。前職が課長の人が役職を下げて入った時の賃金の変わり方は、使った統計からは分かりません
- 表4の 12.6% は「転職者がいる事業所」のうち管理職の仕事で転職者を採った事業所の割合、マイナビの 54.8% は 2026 年 1〜6 月に中途採用業務を担当し、募集活動をしている人事担当者 1,600 件のうち、直近半年に管理職を中途採用したと答えた割合で、分母も数え方も違います。並べて比べられる数字ではありません
- マイナビの個人調査(「管理職の中途採用・管理職転職に関する調査2025年」、直近 1 年以内に転職した 20〜50 代の正社員 500 人)でも、転職活動時に管理職だった人のうち、転職後に役職が変わらなかったのは 50.6%、上がったのは 10.4% で、傾向は転職者実態調査と同じでした。下がった人の割合はページにありません。母集団も管理職の定義も違うので、2 つの調査の数字は並べて比べていません。これは管理職だった人に絞った集計で、同じ調査の転職者全体の値(上がった 6.8%・変わらない 79.2%)とは別の数字です
- 当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日時点で当サイトに掲載中の求人を全件数え、5% 単位に丸めたものです。求人全体の分布とは違うことがあります
- 「題名に管理職の語がある求人」は、題名に課長・部長・マネージャー・マネジャー・管理職・責任者・所長・支店長・工場長のいずれかを含み、「候補」を含まない求人です。約 25% は、当サイトに求人を出している会社に対する割合です。「責任者」「マネージャー」は店舗責任者やプロダクトマネージャーのような職種名も拾うので、管理職として入れる求人より多く数えています
- 必須の欄は、応募資格の欄を最初の「歓迎」の語で切った前半とみなしました(近似です)。約 4 割は求人数に対する割合です
- 内部昇進と外部採用の比率、年収の高さで採用が見送られた割合、応募何件で何件通るかを示す公表データは見つかりませんでした
- 職務経歴書の例は架空のものです。応募の前に確かめる 3 つのうち、芯の条件が合えば応募してよいという目安は書き手の判断で、通りやすさを測った数字ではありません