市場価値と年収
転職の年収相場 金額ではなく、賃金が増えた人・減った人の割合を年齢別に比べる
転職すると年収はいくら上がるのか。厚生労働省の雇用動向調査で分かるのは金額ではなく、残業代を含み賞与を除く賃金が増えた・変わらない・減った人の割合です。年齢と転職前後の働き方に近い数字を重ねて読みます。
公開 2026年9月21日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・厚生労働省の調査で分かるのは年収額ではなく、賞与を除く賃金が動いた割合
- ・2025年は賃金が増えた人が40.8%、変わらない人が25.5%、減った人が31.0%
- ・まず年齢別の割合を選び、転職前後の働き方まで一致する数字があればそちらを使う
目次開く閉じる
転職したら、年収はいくら上がるのか。求人を探し始める前に、相場を知っておきたい人は多いはずです。ただ、厚生労働省の最新調査が示すのは金額ではありません。転職前後で、残業代を含み賞与を除く賃金が増えた人は 40.8%、変わらない人は 25.5%、減った人は 31.0% でした。
金額として確認できたのは、マイナビの調査にある平均年収の前後差です。転職前 514.5 万円、転職後 533.7 万円で、差は 19.2 万円でした。ただし、20〜50 代で現在は正社員の回答者に限る平均で、年収帯の回答をどう金額に換算したかは公表資料に記載がありません。個人の上げ幅には置き換えられません。マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」を 2026 年 9 月 21 日に確認しました。
自分に近い割合は、年齢と転職前後の働き方を重ねて読みます。両方に当たる集計が無い転職では、似た働き方の数字で代えず、年齢別の割合を目安にします。
転職の年収相場を考える前に、賃金が動いた割合を見る
2025 年の 1 年間に転職した人では、賃金が増えた人が減った人を上回りました。内訳は次のとおりです。
| 転職前後の賃金 | 割合 |
|---|---|
| 増えた | 40.8% |
| 変わらない | 25.5% |
| 減った | 31.0% |
厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」の令和 7 年年計です。2026 年 8 月 31 日に公表され、2026 年 9 月 21 日に確認しました。対象は、転職入職者のうち前職が雇用者で、調査時にも在籍していた人です。自営業から移った人は入りません。不詳があるため、表の 3 区分を足しても 100% にはなりません。
ここでいう賃金は年収ではありません。 e-Stat に掲載されている令和 6 年版の「記入要領(抜粋)」では、前の勤め先を辞める直前と、いまの勤め先に入った時の賃金を比べます。賃金は超過勤務手当を含み、賞与など臨時的なものを除いた税込み額です。令和 7 年の入職者票も、同じ質問文と選択肢を使っています。
増えた人のうち、1 割以上増えた人は約 7 割でした。40.8%のうち 28.2%が「1 割以上の増加」だからです。減った人でも、1 割以上減った人は約 7 割です。31.0%のうち 21.9%が「1 割以上の減少」でした。
より細かい 7 区分を見ると、3 割以上増えた人は 9.0%、3 割以上減った人は 10.2%です。これは e-Stat「第13-2表 性、年齢階級、就業形態・雇用形態・前従業上の地位、賃金変動区分別 入職者数及び構成比」の令和 7 年年計です(2026 年 9 月 21 日確認)。
「転職では 5〜10% 上がるのが相場」と言われることがありますが、この公的統計からその幅は出せません。分かるのは、賞与を除く賃金が 1 割未満か、1 割以上 3 割未満か、3 割以上かです。しかも増加だけでなく、変わらない人と減少した人もいます。希望年収を一律に 5〜10% 上へ置く根拠にはなりません。
年齢と正社員のままの転職に近い区分を重ねて見る
全体の 40.8%より先に、自分の年齢に近い数字を見ます。2025 年の 20〜64 歳では、次のように分かれました。
| 年齢 | 増えた | 減った |
|---|---|---|
| 20〜24 歳 | 55.2% | 17.5% |
| 25〜29 歳 | 49.8% | 23.9% |
| 30〜34 歳 | 48.6% | 29.0% |
| 35〜39 歳 | 43.5% | 23.9% |
| 40〜44 歳 | 44.9% | 27.4% |
| 45〜49 歳 | 41.1% | 30.1% |
| 50〜54 歳 | 29.4% | 42.0% |
| 55〜59 歳 | 25.5% | 38.9% |
| 60〜64 歳 | 21.1% | 54.3% |
厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」の表 6 です(2026 年 9 月 21 日確認)。45〜49 歳までは賃金が増えた人の割合が減った人の割合を上回り、50〜54 歳から逆になりました。
ただし、境目は毎年同じではありません。2024 年は 50〜54 歳で増加が減少を 10.8 ポイント上回り、55〜59 歳では減少が増加を 9.2 ポイント上回りました。2025 年は境目が一つ若い区分へ動いています。年齢の境目を固定せず、その年の数字を見ます。
次に、転職前後の働き方に近い行を見ます。厚生労働省の表 7 は、前職と今の仕事で就業形態が同じ人だけを集計した表です。「一般労働者」は、常用労働者のうちパートタイム労働者ではない人を指します。正社員という呼び名と同じ区分ではありません。定義は厚生労働省「主な用語の定義(令和7年 雇用動向調査結果の概要)」で確認できます(2026 年 9 月 21 日確認)。
2025 年に一般労働者から一般労働者へ移った人では、増加 42.0%、減少 31.5%でした。先ほどの 50〜54 歳の「減少 42.0%」と同じ数ですが、こちらは一般労働者から一般労働者へ移った全年齢の「増加」で、別の行です。さらに一般労働者のうち、前職も今の仕事も雇用期間の定めがない人では、増加 44.5%、変わらない 25.0%、減少 29.0%でした。いずれも「令和7年雇用動向調査結果の概況」の表 7 です(2026 年 9 月 21 日確認)。
同じ働き方の行があり、年齢も掛け合わせた行が公表されているなら、向きが同じか違うかにかかわらず、その行を使います。ここで、52 歳で一般労働者として雇用期間の定めがない仕事から同じ区分の仕事へ移る人を例にします。年齢だけなら、50〜54 歳は増加 29.4%、減少 42.0%です。年齢を問わず、一般労働者のうち前職も今も雇用期間の定めがない人では、増加 44.5%、減少 29.0%で、向きが逆です。
両方を掛け合わせた 50〜54 歳の行では、増加 27.2%、変わらない 26.3%、減少 43.5%でした。この数字は e-Stat「第13-2表 性、年齢階級、就業形態・雇用形態・前従業上の地位、賃金変動区分別 入職者数及び構成比」の Excel に構成比として載っています(2026 年 9 月 21 日確認)。計算する必要はありません。
Excel は 29 列あり、左半分が人数、右半分が「構成比(%)」です。「経験 1 年未満」のまとまりで、左側の区分名から「50〜54 歳」「一般労働者」「雇用期間の定めなし」と前職も同じ区分の行を探し、右半分の「増加」「変わらない」「減少」を読みます。この調査は転職入職者を「入職前 1 年間に就業経験がある人」と定義しているため、このまとまりが転職者の集計に当たります。
自分に近い数字を選ぶ順番は次のとおりです。
- 自分の年齢の行を見る。
- 表 7 に、転職前後が同じ働き方の行があるかを見る。
- 同じ働き方の行があれば、e-Stat で年齢も掛け合わせた行を探す。
- 同じ働き方の行が無ければ、似た行で代えず、年齢の行だけを目安にする。
たとえば、34 歳のフルタイム契約社員が有期契約から無期の正社員へ移る場合、表 7 と第 13-2 表には「有期から無期」の行がありません。一般労働者から一般労働者の行は全体像として見られますが、この移り方の代わりにはなりません。この場合は 30〜34 歳の増加 48.6%、減少 29.0%を目安にし、有期から無期の割合はこの統計では分からないと止めます。
数字を読んだら、転職後の見通しを 3 つに分けます。「増加」には賃金が上がるなら優先したい仕事内容や働き方、「変わらない」には賃金が同じでも移る理由、「減少」には下がっても受け入れられる範囲と理由を書きます。提示額が出たら、賞与を除く月の税込み賃金を前職と比べ、どの見通しに当たるかを記録します。提示された年収と賞与は別に確認し、統計の割合から希望年収や家計を計算しません。
「4 割」と「6 割」の差は、数えた人・金額の意味・聞き方から生まれる
転職後に上がった人の割合を探すと、約 4 割と 6 割超の数字が並びます。どちらかが正しく、どちらかが間違いという関係ではありません。調査ごとに、数えた人、比べた金額、質問の仕方が違います。
| 調査 | 数えた人 | 比べた金額・聞き方 | 公表値 |
|---|---|---|---|
| 厚生労働省 | 前職が雇用者の転職入職者 | 賞与を除く賃金の増減を本人が選択 | 増加 40.8% |
| マイナビ | 20〜50 代で現在は正社員、2025 年に転職した人 | 前職と現在の年収帯を比較 | 増加 39.7% |
| doda | エージェント経由の転職決定者 | 前職と転職後の年収を比較 | 増加 64.1% |
| リクルート(2024 年 10〜12 月期) | エージェント経由の転職決定者 | 前職より賃金が 1 割以上増えたか | 1 割以上増加 35.8% |
マイナビの数字は、20〜50 代で現在は正社員、2025 年に転職した 1,446 人へのインターネット調査です。前職と現在の年収を 50 万円刻みの帯で答えた結果では、上がった人が 39.7%、下がった人が 20.6%でした。同じ回答者に転職後の変化を直接聞く別の質問では、上がった 39.1%、変わらない 36.3%、下がった 24.6%です。同じ調査でも、年収帯を比べるか、変化を直接聞くかで「下がった」が 4 ポイント変わりました。マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」を 2026 年 9 月 21 日に確認しました。
doda の 64.1%は、2025 年 10 月から 2026 年 3 月に doda エージェントサービスを利用して転職した人が対象です。自分で応募した人を含む転職者全体の割合ではありません。doda「転職で年収アップするのはどんな人? 年収アップ成功者の傾向と年収を上げるポイント」は、人数を公表していません(2026 年 8 月 24 日公表、2026 年 9 月 21 日確認)。
同じページにある平均アップ額 109 万 4,383 円は、年収が上がった人だけの平均です。下がった人と変わらない人を含む期待額ではありません。さらに doda は、64.1%と平均アップ額は同じ条件で算出した数字ではないと注記しています。「転職すると平均で約 109 万円上がる」とは読めません。
リクルートの 35.8%は、2024 年 10〜12 月期にリクルートエージェントで転職した人のうち、賃金が 1 割以上増えた割合です。前職の賃金には時間外労働などの割増賃金を含み、転職後の賃金には含みません。原典も、この違いによって実態より低めになる傾向があると注記しています。リクルート「2024年10-12月期 転職時の賃金変動状況」を 2026 年 9 月 21 日に確認しました。
この数字で分からないこと
厚生労働省の調査からは、賞与を含む年収が何万円動いたかは分かりません。200 万円の増加が珍しいか、年収 600 万円の人ならいくらを希望してよいかにも答えられません。3 割以上増えた人が 9.0%いることは分かりますが、元の金額も賞与も分からないため、金額には直せません。
職種別の増減も出せません。転職先の職種や仕事内容が変わった人と、同じ仕事を続けた人が同じ集計に入っています。年齢や働き方との関係は見えても、年齢そのものが賃金の増減を起こしたとは言えません。
希望額がいまの求人で現実的かを見たい場合は、市場価値診断の年収はどう読むかに、求人の下の端から確かめる手順があります。
よくある質問
転職すると年収はいくら上がるのが普通ですか?
厚生労働省の雇用動向調査では、金額は分かりません。分かるのは、残業代を含み賞与を除く賃金が何割動いたかです。2025 年は増えた人のうち約 7 割が 1 割以上の増加でしたが、転職した人全員の約 7 割ではありません。
転職で年収が下がる人はどれくらいいますか?
厚生労働省の 2025 年調査では、賞与を除く賃金が減った人は 31.0%でした。減った人のうち約 7 割は 1 割以上の減少です。年齢で差があり、50〜54 歳では減少 42.0%が増加 29.4%を上回りました。
転職で 200 万円上がるのは珍しいですか?
この調査だけでは分かりません。たとえば 400 万円から 600 万円なら 50%増ですが、雇用動向調査が比べるのは賞与を除く賃金で、年収 200 万円の増加とは同じではありません。3 割以上増えた人が 9.0%という数字までが、この調査から言える範囲です。
未経験の職種へ転職しても年収は上がりますか?
ここで使った調査からは分かりません。doda は異業種・異職種へ移った人を集計していますが、未経験者だけの集計ではありません。「異業種・異職種」と「未経験」は同じではないため、この記事では割合に置き換えません。doda「転職で年収アップするのはどんな人? 年収アップ成功者の傾向と年収を上げるポイント」を 2026 年 9 月 21 日に確認しました。