転職の判断
55歳を過ぎたら転職できない? 役職定年の前に、残る場合と出る場合を比べる
役職定年を控えて転職するか残るかで迷う50代前半の人向けに、55歳を過ぎても転職できるのか、何が変わるのかを公的統計で答えます。残った場合の55〜65歳の年収と退職金から、外でいくらもらえれば残るのと同じになるかを出す計算例と、部下や肩書を手放すつらさの比べ方も載せています。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・55歳を過ぎても転職する人の割合は減っておらず、55〜59歳の転職では年収が下がる人のほうが多いこと
- ・残った場合の10年の合計から、転職先でいくらもらえたら残るのと同じになるか(分かれ目の年収)を出す計算例
- ・部下と肩書を手放すつらさを、分かれ目の年収との差額に置き換えて比べる方法
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役職定年まで、あと 1〜2 年。人事からは、55 歳で役職を外れると年収が 3〜4 割下がると説明を受けた。調べると、人材会社は役職にいるうちに動けと書き、体験談には役職定年の後のつらさが書かれている。どちらも極端に見えて、決めきれない。
55 歳を過ぎても、転職はできます。1 年のうちに転職した男性の割合は、50〜54 歳で 4.7%、55〜59 歳で 5.8% で、55 歳を過ぎて減ってはいません(厚生労働省「-令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況-」)。ただ、55〜59 歳で転職した人は、前の会社より賃金が下がった人のほうが、上がった人より多くなっています(令和 6 年・7 年の 2 年続けて)。55 歳を過ぎて難しいのは、転職そのものより、いまと同じ年収で移ることです。
そのため、出るか残るかは、何歳までに動くかという一般論ではなく、自分の数字で比べて決めます。残った場合の 55〜65 歳の 10 年の合計を先に出し、転職先の年収がいくらなら同じになるかを逆算します。
架空の例で言うと、いまの年収が 1,150 万円、役職定年後が 700 万円、60 歳からの再雇用が 400 万円なら、残った場合の 10 年は 5,500 万円です。移った先も 60 歳定年で、再雇用は同じ 400 万円と置くと、55〜60 歳に外で 700 万円もらえれば、お金の上では残るのと並びます。いまの年収より約 4 割低い額です。
残る側の数字は、求人を探す前に、54 歳のうちに全部そろいます。
55歳を過ぎても転職はできる。ただし転職先の年収は下がりやすい
1 年のうちに転職した人の割合(転職入職率)は、令和 7 年の男性で 45〜49 歳 6.0%、50〜54 歳 4.7%、55〜59 歳 5.8% です。55 歳を境に転職する人が減る形には、統計はなっていません(厚生労働省「-令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況-」)。
違いが出るのは年収です。同じ調査で、転職した人のうち前の会社より賃金が上がった人と下がった人の差(男女計)を見ると、55〜59 歳は下がった人が 13.4 ポイント多く、1 割以上下がった人が 30.6% います(「令和7年雇用動向調査結果の概況」)。前の年(令和 6 年)も下がった人が 9.2 ポイント多く、55〜59 歳では 2 年続けて同じ向きです。50〜54 歳は年によって違い、令和 7 年は下がった人が 12.6 ポイント多く、令和 6 年は上がった人が 10.8 ポイント多くなっていました。
役職にいるうちに動け、という助言を統計で裏付けられるのは、55〜59 歳の転職では年収が下がる人のほうが多い、という所までです。55 歳を過ぎたら転職できない、とは言えず、54 歳までに動けば下がらない、とも言えません。
求人票を見ても、55 歳で応募できなくなるわけではありません。求人に年齢の上限を書けるのは、定年を上限にする場合や、若い人を長く育てるための募集などの例外だけです(「ハローワークインターネットサービス - 年齢制限該当事由について」)。当サイトの掲載求人では、応募資格の欄に年齢の上限を書いている会社は 5% 未満で、そのうち約 95% は 50 歳未満の上限でした(2026 年 11 月 4 日時点、掲載中の求人を出している会社単位)。求人票の条件で 55 歳が応募できない会社は、わずかです。ただ、年齢を書いていなくても選考で年齢を見る会社はあり、その数は数えられません(「年齢不問」は本当は何歳までか)。
残った場合、55〜65歳の10年でいくらになるか
残った場合の 10 年は、3 つの数字で決まります。55〜60 歳の年収、60〜65 歳の再雇用の年収、退職金です。
55〜60 歳の年収は、人事の説明額をそのまま使います。 下がり幅は会社の規程で決まり、世間の相場は当てになりません。役職定年を経験した 60 代前半の男性に聞いた 2018 年のネット調査では、9 割超が役職定年で年収が下がり、役職定年前を 100 として 50〜75% が最も多く、半分未満になった人も約 4 割いました(明治安田生活福祉研究所「50 代・60 代の働き方に関する意識と実態」)。3〜4 割減は、この最も多い帯に入ります。
60 歳で、もう一段下がります。 定年が 60 歳の会社は 69.7%(定年制がある会社のうち)で(人事院「令和7年 民間企業の勤務条件制度等調査 結果概要」)、その後は再雇用になります。同じ 2018 年の調査で、60 代前半で継続雇用されている男性のうち、年収が定年直前の半分未満になった人は約 4 割でした。役職定年で下がった後に、60 歳でまた下がる。残った場合の計算で 60〜65 歳に入れるのは、この再雇用の年収です。再雇用の条件も、人事に聞けば分かります。
65 歳までの雇用確保(定年の引上げ・定年の廃止・継続雇用のどれか)は会社の義務で、継続雇用の対象者を会社が絞れる経過措置は 2025 年 3 月末で終わりました(「高年齢者雇用に取り組む事業主の皆様へ(ハローワーク飯田橋) | 東京ハローワーク」)。残れば、原則として、希望すれば 65 歳まで働けます(就業規則の解雇・退職の事由に当たる場合を除く)。
退職金は、60 歳で定年退職したときの額を入れます。 平均で見ると、定年まで勤めた人の退職金は自己都合で辞めた人より高く、早期退職の優遇制度で辞めた人はさらに高くなっています(勤続 20 年以上・45 歳以上、大学・大学院卒の管理・事務・技術職で、定年 1,896 万円、自己都合 1,441 万円、早期優遇 2,266 万円。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」)。ただし、辞め方ごとに勤続年数の構成が違うので、同じ人が辞め方を変えたら何割違うかは、この平均からは言えません。自分の額は、会社の退職金の規程で計算します。退職金が役職に応じたポイントを毎年積む形なら、役職を外れた後は積み上がりが鈍ります。これも規程を見ないと分かりません。
架空の例で、残った場合を足すとこうなります。
| 期間 | 年収(例) | 年数 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 55〜60 歳(役職定年後) | 700 万円 | 5 年 | 3,500 万円 |
| 60〜65 歳(再雇用) | 400 万円 | 5 年 | 2,000 万円 |
| 10 年の合計 | 5,500 万円 |
外でいくらもらえたら、残るのと同じになるか
転職先で自分の年収がいくらになるかは、統計からは分かりません。分かるのは、55〜59 歳では下がる人のほうが多いということだけです。そこで、逆から考えます。残った場合の合計を先に出し、転職先でいくらもらえたら同じになるか(分かれ目の年収)を計算する。あとは、来た話がそれを超えるかだけを見ればよくなります。
上の例(残った場合の 10 年が 5,500 万円)で、移った先の条件を 3 通りに置いて計算すると、こうなります。移った先で勤めて出る退職金は入れていません。
| 移った先の置き方 | 計算 | 分かれ目の年収 | 何と比べるか |
|---|---|---|---|
| 65 歳まで同じ年収が続く | 5,500 万円 ÷ 10 年 | 550 万円 | 10 年をならした平均。提示額とは直接比べない |
| 60 歳定年で、60〜65 歳は 400 万円の再雇用 | (5,500 − 2,000) 万円 ÷ 5 年 | 700 万円 | 55〜60 歳の提示額 |
| 同上で、退職金が残るほうが 300 万円多い | (5,800 − 2,000) 万円 ÷ 5 年 | 760 万円 | 55〜60 歳の提示額 |
求人で提示されるのは、ふつう入ってすぐの年収です。60 歳定年の会社が多いので、提示額と比べるのは 2 行目の形です。1 行目の 550 万円は、移った先で 65 歳まで年収が下がらない場合の数字で、550 万円を超える話が来れば得、とは読めません。
移った先の再雇用が残った場合と同じなら、外で必要な 55〜60 歳の年収は、残った場合の 55〜60 歳の年収と同じです。例では、いまの 1,150 万円から約 4 割低い 700 万円の提示でも、お金の上では残るのと並びます。人事から聞いた役職定年後の年収が、そのまま求人の提示額と比べる目安になります。
退職金の差は、残る側に「60 歳で定年退職したときの額」、出る側に「いま辞めたときの額(早期退職の優遇が使えるなら上乗せ込み)」を入れ、その差を残る側の合計に足します。3 行目がその例で、差が 300 万円なら分かれ目は 760 万円に上がります。逆に、早期退職の上乗せのほうが大きければ、分かれ目は下がります。退職金の差は規程を読まないと分からないので、最初に確かめます。
部下と肩書を手放すつらさは、年収の差額に置き換えて比べられる
2018 年のネット調査では、役職定年で年収が下がった人の約 6 割が、仕事への意欲が下がったと答えています。年収が変わらなかった人でも、約 4 人に 1 人が下がっています(明治安田生活福祉研究所「50 代・60 代の働き方に関する意識と実態」)。年収だけでなく、役職を外れること自体が意欲に響いているようです。ただ、受け止めは外れ方でも違い、役職を外れた人に聞いた別の調査では、「失望」と答えた人は、自分から降りた人で 6.3%、会社の判断で外れた人で 24.6% でした(リクルートワークス研究所「ポストオフの新常識 人と組織のあらたな関係」)。
残った場合の配置先は会社によりますが、スタッフ職に置く会社が多くなっています。部長級に役職定年がある会社で、役職を外れた後の配置先は「同格のスタッフ職」が 42.1%、「格下のスタッフ職」が 34.4% でした(人事院「令和5年民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要」)。
一方、外に出ても、部下を持つ仕事に就けるとは限りません。残っても出ても、お金か役割のどちらかを手放す可能性があります。
分かれ目の年収は、役割のためにいくら手放せるかを考えるのにも使えます。部下を持つ仕事で提示された年収が分かれ目より低いなら、その差額が、部下を持つ仕事を選ぶ代わりに手放すお金です。架空の例で、分かれ目が 700 万円、部下を持つ仕事の提示が 620 万円なら、差は年 80 万円、60 歳までの 5 年で 400 万円です。55〜60 歳をスタッフ職で過ごすのと、収入が 400 万円少なくても部下を持つ仕事に就くのと、どちらを取るかを決めればよくなります。
いつまでに、何をそろえて決めればいいか
決めるのは 54 歳のうち、役職を外れる時期と、早期退職の優遇制度があるならその締め切りの前です。役職を外れるのが誕生月か、翌年度の頭かは会社によるので、規程で先に確かめます。
残る側の数字は、いまの会社の中でそろいます。
- 55〜60 歳の年収(人事の説明額)
- 退職金の規程: 自己都合と定年でどれだけ違うか、役職を外れた後に積み上がりがどう変わるか、早期退職の優遇制度があるか
- 60 歳以降の再雇用の条件と、何歳まで働けるか
退職金の規程は、まず自分で読みます。どこにあるかは会社によります。早期退職の優遇は、常設の会社もあれば、その年だけ募集する会社もあるので、使った人に条件を聞くのが手早い方法です。人事に聞くのは、それでも分からない所だけにします。
転職先で提示される年収は、応募しないと分かりません。人材紹介の担当者には、最初に「54 歳のうちに比べる材料が欲しい。すぐ動くとは決めていない」と伝えます。そのうえで、扱った金額、削減額、取引先の数、部下の人数など、経験を数字で伝え、年収の幅と、その中に部下を持つ仕事があるかを一度に聞きます。
移った先の定年・再雇用の上限・役職定年の有無は、求人票にはまず載っていません。当サイトの掲載求人では、仕事内容・応募資格・待遇の欄に「役職定年」の語が出てくる会社は 1% 未満でした(2026 年 11 月 4 日時点、掲載中の求人を出している会社単位)。書いていなくても、制度が無いとは限りません。内定の前に、書面で確かめます。
家族には、決めた後ではなく、残った場合の表と分かれ目ができた時点で見せます。決める前に見せれば、家族も一緒に比べられます。
よくある質問
55歳で転職は難しいですか?
転職する人の割合は、55 歳を過ぎて減ってはいません(令和 7 年の男性で 50〜54 歳 4.7%、55〜59 歳 5.8%)。違いが出るのは年収で、55〜59 歳では前の会社より下がる人のほうが多くなっています。難しいのは、転職そのものより、いまと同じ年収で移ることです。
役職定年後に年収はどうなりますか?
会社の規程で決まります。2018 年のネット調査では、役職定年を経験した 60 代前半の男性の 9 割超が下がり、年収が役職定年前の 50〜75% になった人が最も多く、半分未満になった人も約 4 割いました。幅が広いので、自分の計算には人事から聞いた額を使います。
55歳の役職定年の後はどうなりますか?
部長級に役職定年がある会社では、役職を外れた後の配置先は同格のスタッフ職が 42.1%、格下のスタッフ職が 34.4% で、スタッフ職に置く会社が多くなっています。60 歳定年の会社なら、その後 60 歳でもう一度、再雇用で年収が下がります。
役職定年はなぜしんどいのですか?
年収だけでなく、役職を外れること自体が意欲に響くからです。2018 年の調査では、役職定年で年収が下がった人の約 6 割が意欲が下がったと答え、年収が変わらなかった人でも約 4 人に 1 人が下がっていました。
定年まで数年残して辞めるのはありですか?
退職金がどう変わるかで決まります。平均では、自己都合で辞めた人の退職金は定年で辞めた人より低く、早期退職の優遇制度で辞めた人は定年で辞めた人より高くなっています(勤続年数の構成が違うので、同じ人の比較ではありません)。辞めるなら、まず優遇制度があるか、いつ募集があるかを確かめます。
役職定年は廃止されていきますか?
全体として減っているとは言えません。人事院の調査では、役職定年がある会社のうち、続ける予定の会社が令和 5 年・令和 7 年とも 9 割を超えています。役職定年がある会社の割合は令和 5 年 16.7%、令和 7 年 22.3%(500 人以上の会社では 30.4%)ですが、調べた会社の規模の基準が違う(令和 5 年は常勤 50 人以上、令和 7 年は 100 人以上)ので、この 2 つから増減は読めません。廃止した大手の例はあり、その多くは、年齢で外す代わりに評価で役割を決める仕組みを同時に入れています(厚生労働省「高齢者の活躍に取り組む企業の事例集の展開」)。自分の会社が廃止するかは、比べる前提にしないほうが安全です。
移った先でも65歳まで働けますか?
65 歳までの雇用確保は会社の義務で、21 人以上の会社の 99.9% が措置を実施済みです(厚生労働省「令和7年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します」)。ただし義務なのは 65 歳までの雇用で、同じ年収・同じ仕事ではありません。
この記事の数字について
- 転職入職率は男性の値、賃金の上がった・下がったは男女計の値で、対象が違います。どちらも年齢別の全体の値で、部長や大企業の出身者に限ったものではなく、役職定年の前に動いた人と後に動いた人も区別していません(雇用動向調査 令和 7 年・令和 6 年)。50〜54 歳の賃金の向きは、令和 6 年と令和 7 年で逆になっていて、年ごとに大きく動きます。
- 役職定年後の年収、継続雇用後の年収、意欲の数字は、明治安田生活福祉研究所が 2018 年に行ったネット調査(50〜69 歳 6,250 人、人口比の補正なし)によります。2026 年時点の水準や、全体の割合を示すものではなく、目安として使っています。年収の分布は 60〜64 歳の男性(役職定年の経験者 405 人)、意欲の約 6 割は 60 代の回答者の値で、対象が違います。
- 部長級の配置先は人事院の令和 5 年調査で、部長級に役職定年制がある会社が分母です。定年が 60 歳の会社の 69.7% は人事院の令和 7 年調査で、常勤 100 人以上で定年制がある会社が分母です。
- 退職金の平均は、勤続 20 年以上・45 歳以上の退職者で、大学・大学院卒の管理・事務・技術職の値です(就労条件総合調査 令和 5 年。令和 4 年 1 年間の退職者)。
- 計算例の数字(1,150 万円、700 万円、400 万円、620 万円、退職金の差 300 万円)はすべて架空です。税・社会保険料を引く前の額面で比べています。
- 60 歳の時点より賃金が 75% 未満に下がった状態で働き続けると、高年齢雇用継続給付が出ます。2025 年 4 月以降に 60 歳になる人は、上限が各月の賃金の 10% です(厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」)。基準は 60 歳時点の賃金なので、55 歳で既に下がった分は基準に入りません。残る場合にも、移った先で 60 歳以降に下がる場合にも出うるため、計算例には入れていません。
- 当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日時点で当サイトに掲載中の求人を出している会社を分母にした割合で、丸めた値だけを載せています。年齢の上限は応募資格の欄だけを数え、手当・定年・再雇用などの記載は除きました。「役職定年」の語は仕事内容・応募資格・待遇の欄を数えました。求人全体の割合ではありません。