市場価値と年収

40代の転職で年収は下がる? 月給と賞与を分けて見る理由

40代後半で転職すると年収は下がるのか。国の統計では45〜49歳は賃金が増えた人の方が多い一方、その賃金は賞与を除いた月の額です。賞与の月数だけで年収が約90万円下がる計算例、提示額の比べ方、どこまで下がってよいかを家計から決める方法をまとめました。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・45〜49歳で転職した人は、2024年も2025年も賃金が増えた人の方が多い。ただし統計の賃金は賞与を除く月の額
  • ・月給が同じでも賞与の月数が減ると年収は下がる。提示額は月給と賞与に分け、賞与が少ない年の額で比べる
  • ・どこまで下がってもよいかは家計から決め、退職金はそれとは別に考える
目次開く
  1. 0140代後半の転職で、年収が下がるのは当たり前ではない
  2. 02月給が同じでも、賞与の月数の差だけで年収は約90万円下がる
  3. 03提示額は月給と賞与に分け、賞与が少ない年の額で比べる
  4. 04どこまで下がってもよいかは、家計から逆算して決める
  5. 05会社の再編で、残った場合の年収も分からない時は?
  6. 06自分の職種でいくら提示されるかは、統計では分からない
  7. 07よくある質問
  8. 08但し書き

転職を考え始めたものの、40 代後半の転職は年収が下がるのが当たり前、100 万円下がった、という話を目にして足が止まっている。家族やローンを抱えていて、どれだけ下がるのかが気になる。

下がるのが当たり前、とは言えません。国の統計で 45〜49 歳で転職した人を見ると、2025 年は賃金が増えた人 41.1%、減った人 30.1%、2024 年も増えた人 46.4%、減った人 23.8% で、2 年続けて増えた人の方が多くなっています。ただし、この統計の賃金は賞与を除いた月の額です。賞与が年収の大きな割合を占める人は、提示された月給が今と同じでも、賞与の月数が少ない会社に移るだけで年収が大きく下がります。どこまで下がってもよいかは、自分の家計から決めます。

40代後半の転職で、年収が下がるのは当たり前ではない

厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」の表 6 で、45〜49 歳で転職した人の賃金を見ると、2025 年は増えた人 41.1%、変わらない人 28.0%、減った人 30.1% でした。2024 年は増えた人 46.4%、減った人 23.8% です。2 年とも、増えた人が減った人を上回っています。50〜54 歳は、2025 年は減った人の方が多く(増えた 29.4%、減った 42.0%)、2024 年は増えた人の方が多くなりました(増えた 39.0%、減った 28.2%)。減った人の方が多くなる年齢は、年によって変わります。

この統計が比べているのは、残業代を含み、賞与を除いた月の賃金です。年収ではないので、賞与が減った分はこの数字に表れません。統計の定義の詳しい説明と全年齢の数字は、転職で年収が上がる人の割合にまとめています。

月給が同じでも、賞与の月数の差だけで年収は約90万円下がる

月給が同じなら、統計では賃金が変わらなかった人として数えられます。それでも年収は下がることがあります。

たとえば、年収 780 万円で賞与が年 5 か月分の人を考えます(架空の例です)。賞与も月給と同じ額を 1 か月分として数える、ざっくりした計算です。

  • 1 か月分 = 780 万円 ÷(12 か月 + 5 か月)≒ 45.9 万円
  • 賞与 = 45.9 万円 × 5 か月 ≒ 229 万円(年収の約 3 割)

転職先の月給が同じ 45.9 万円で、賞与が 3 か月分だとすると、

  • 転職先の年収 = 45.9 万円 ×(12 か月 + 3 か月)≒ 688 万円
  • 差 = 780 万円 − 688 万円 ≒ 92 万円

月給は 1 円も下がっていないのに、賞与 2 か月分の差で年収は約 90 万円下がります。賞与を基本給だけで計算する会社では残業代が入らないので、正確な額は自分の源泉徴収票と給与明細で出してください。

780 万円と 5 か月を、自分の年収と賞与の月数に置き換えれば、同じ式で出せます。月給が同じでも、賞与の月数の差だけで年収が 100 万円近く下がることは起こりえます。

残業代が減って年収が下がることもあります。統計の月の賃金は残業代込みなので、今残業代が付いている人は、残業の少ない会社や、残業代の付かない立場に移ると月給そのものが下がります。管理職として入ると残業代が付かない場合があり、付くかどうかは肩書きではなく実態で決まります。見分け方は管理職で入ると残業代は付かない?に書きました。

提示額は月給と賞与に分け、賞与が少ない年の額で比べる

求人票の年収◯〜◯万円という幅だけでは、賞与と残業代の内訳は分かりません。比べる時は、提示額を次の 2 つに分けます。

  • 月給: 残業代を含むのか、固定残業代(みなし残業◯時間)が入っているのか、残業代が別に付くのか
  • 賞与: 年何回で何か月分か、業績連動か、昨年の実績はいくらか

求人票では、賞与の欄と、想定年収に残業代が含まれているかを見ます。書かれていなければ、内定時に受け取る条件提示の書面で確かめます。一次面接で年収ばかり聞くのが気になるなら、条件提示の段階で聞けば十分です。この段階なら、内訳を聞くのは当然のことです。

業績連動の賞与は、入ってみないと実額が分かりません。転職先の賞与は、提示された月数のうち少ない方で計算します。今の年収も同じです。上の例なら、賞与が 4 か月の年は 45.9 × 16 ≒ 734 万円、6 か月の年は 45.9 × 18 ≒ 826 万円で、今の年収は 730〜830 万円の間で動きます。比べるのは、今の賞与が少なかった年の 730 万円前後と、転職先の賞与が少なめに出た場合の額です。こうすると、両方を同じ条件で比べられます。

どこまで下がってもよいかは、家計から逆算して決める

何割までなら下がってもよい、という統計の目安はありません。

子どもの進学やローンの残りなど、この先数年に毎年出ていくお金を見て、それを手取りで賄える年収を下限にします。転職先の年収を賞与を少なめに見積もって出し、この下限を上回るかを確かめます。賞与が出なくても月給だけで固定費を払えるかまで見ておくと、さらに安全です。下限の判断に数万円の精度は要りません。手取りの出し方はよくある質問に書きました。

退職金や企業年金は、この下限とは分けて考えます。下限は毎年の家計が回るかどうか、退職金は定年の時に手元に何が残るかの話で、混ぜると両方が見えにくくなります。退職金について確かめることは 2 つです。今辞めた場合にいくら出るか(退職金規程と人事で確かめる)と、転職先に退職金・企業年金の制度があるか(条件提示の段階で聞ける)です。

会社の再編で、残った場合の年収も分からない時は?

再編で給与体系や賞与の決め方が変わるなら、比べる相手は今の年収ではなく、残った場合の年収の見込みです。見込みはある程度の幅で考え、転職先の提示(賞与は少なめに見積もった額)と並べて、どちらも家計の下限を上回るかを見ます。残った場合の年収の見積もり方や、早期退職の募集が出そうな時にどう動くかは、50代の転職にまとめています。

自分の職種でいくら提示されるかは、統計では分からない

統計で分かるのは割合だけで、金額は分かりません。前職と同じ職種で移った人と違う職種に移った人を分けて、賃金の増減を集計した表も見つかりません。そのため、同じ職種で移れば下がりにくいかどうかも分かりません。

厚生労働省「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」の事業所調査(表 5、複数回答)では、転職者の賃金を決める時に「これまでの経験・能力・知識」を考慮した事業所が 59.2% で最も多く、「前職の賃金」は 27.0% でした。今の年収が、そのまま提示の起点になるとは限りません。

見当をつけるには、同じ職種の求人の提示額を月給と賞与に分けて何社か並べることと、実際に条件提示を 1〜2 社受けてみることが確かです。経験にどれだけ値段が付くかは、その経験がその会社の今の課題に役立つかで変わります。求人票の仕事内容を読み、自分の経験のうちその仕事に役立つものを、職務経歴書の最初に書いておきます。

よくある質問

40代で転職すると、年収はどのくらい下がる?

公的統計で分かるのは下がった人の割合までで、平均でいくら下がったかは出ません。45〜49 歳(2025 年)で賃金が減った 30.1% のうち、一番多いのは 1 割未満の減少で 14.0%、3 割以上下がった人は 6.8% でした(e-Stat「第13-2表 性、年齢階級、就業形態・雇用形態・前従業上の地位、賃金変動区分別 入職者数及び構成比」)。これも賞与を除く月の額なので、自分の年収でどうなるかは、本文の式に賞与の月数を入れて出します。

50代で転職すると、年収はどうなる?

50〜54 歳は、賃金が増えた人と減った人のどちらが多いかが、年によって変わります。2025 年は減った人 42.0%、増えた人 29.4% でしたが、2024 年は増えた人 39.0%、減った人 28.2% でした(「令和7年雇用動向調査結果の概況」 表 6)。50 代の転職が決まりやすいかどうかや書類選考については、50代の転職で扱っています。

年収が100万円下がる転職は受けてもいい?

100 万円という額だけでは決まりません。下がった後の年収(賞与を少なめに見積もった額)が、家計から逆算した下限を上回るかで決めます。今の年収も、賞与が多かった年ではなく少なかった年の額と比べます。

年収が下がる許容範囲は何割まで?

統計の目安はありません。何割なら大丈夫かは、家計の固定費と賞与の割合で人によって変わります。本文の方法で、自分の下限を出してください。

手取りはどう出せばいい?

今の源泉徴収票から、自分の手取りの割合を出すのがずれにくい方法です。源泉徴収票の支払金額から、源泉徴収税額と社会保険料等の金額を引きます。住民税は源泉徴収票には載っていないので、勤め先から届く住民税の決定通知書(特別徴収税額の通知)か、給与明細の住民税の額を 1 年分にして引きます。残った額を支払金額で割ると、手取りの割合になります。転職先の提示額にその割合を掛ければ、手取りのおおよその額が出るので、下限と比べられます。税と社会保険料は年収・家族構成・扶養で変わるので、候補が絞れたら手取りの計算ツールや税理士・FP で確かめます。

転職で給料が下がる時の補助金はある?

給料が下がった時に出る高年齢雇用継続給付は、60〜64 歳の雇用保険の被保険者が対象の制度で、40 代・50 代の転職には当てはまりません。制度の条件は、役職定年の前に転職するかの記事の最後にある「この記事の数字について」の節に書いています。

年収が下がる転職は後悔する?

後悔した人の割合を示す調査は見つかりませんでした。全年齢の転職者が今の勤め先の賃金に満足しているかを聞いた調査では、「満足」又は「やや満足」が 49.8%、「不満」又は「やや不満」が 27.6% でした(「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」 表 14)。年齢別の数字ではありません。

但し書き

  • 雇用動向調査の数字は、令和 7 年(2025 年)・令和 6 年(2024 年)の年計で、対象は転職入職者のうち前職が雇用者で、調査時にも在籍していた人です。賃金は残業代を含み、賞与など臨時的なものを除いた月の額です。表の区分のほかに不詳があるため、足しても 100% にはなりません。
  • 転職者実態調査は、雇用期間の定めが無いか 1 年以上の一般労働者(短時間労働者を除く)で、2024 年 10 月 1 日〜2025 年 9 月 30 日に雇われた転職者が対象です。表 5 は事業所に聞いた複数回答の割合で、個々の会社が前職の年収をどれだけ反映するかは分かりません。
  • 計算例の年収・賞与の月数は架空の数字で、賞与を月給と同じ額で数えたざっくりした計算です。
  • 同じ職種で移った場合と違う職種に移った場合、転職先の会社の大きさで賃金の増減がどう違うかは、公表されている表からは確かめられなかったため扱っていません。
  • 出典はいずれも 2026 年 11 月 4 日に確認しました。
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