転職の判断

求人票の賞与「前年度実績4か月分」は約束?入社1年目はいくら出る?

求人票の「賞与年2回(昨年度実績 計4か月分)」は前の年に出た結果で、今年も同じ月数が出る約束ではありません。何の4か月分か(基本給か月給か)で賞与の額が年に十数万円変わり、入社1年目は算定期間の途中から入るので満額にならないことがあります。今の会社と応募先を「月給×12」と「賞与」に分け、1年目と2年目以降を別に並べた例の計算、今の会社の賞与の支給日と辞める時期の関係、面接と内定のときに聞く4つをまとめました。

公開 2026年11月4日 · 集計 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・「昨年度実績 計4か月分」は前の年の結果で、今年の約束ではない。約束になるのは就業規則と内定時の労働条件通知書
  • ・何の4か月分かで額が変わるが、当サイトの掲載求人では月数を書く会社のうち基準まで書くのは1割前後。入社1年目は按分・寸志・対象外などで満額にならないことがある
  • ・年収は「月給×12」と「賞与」に分け、1年目と2年目以降を別に並べて比べる。聞くのは月給の内訳・賞与の基準・入社した年の扱い・ここ数年の幅の4つ
目次開く
  1. 01年収は「月給×12」と「賞与」に分け、1 年目と 2 年目以降を別に並べる
  2. 02入社 1 年目は満額でないと見ておく。例の計算では 2〜2.7 か月分
  3. 03「実績」「業績連動」「計◯か月分」は、どれも今年の額を約束していない
  4. 04今の会社の賞与が「支給日に在籍」が条件なら、退職日を支給日より後に置く
  5. 05聞くのは、月給の内訳・賞与の基準・入社した年の扱い・ここ数年の幅の 4 つ
  6. 06よくある質問
  7. 07この記事の数字について

今の会社では毎年、夏と冬に賞与が出ている。応募しようか迷っている求人には「月給 32 万円〜」「賞与年 2 回(昨年度実績 計 4 か月分)」「業績連動」とあり、ぱっと見では今より少し上だ。でも、この 4 か月分は入社した年にも出るのか、そもそも年収で比べてよいのかが分からない。

求人票の「昨年度実績 計 4 か月分」は、前の年に社員へ実際に支払われた月数です。今年も同じ月数が出るという約束ではありません。 ハローワークも、求人票の賞与の実績について、必ず次回も同じ月数がもらえるという意味ではない、と説明しています。

しかも「何の 4 か月分か」で額が変わります。 基本給の 4 か月分か、手当を含む月給の 4 か月分かで、年に十数万円違うことがあります。当サイト PREVIO の掲載求人では、賞与の月数を書いている会社のうち、基本給か月給かまで書いているのは 1 割前後でした。

入社 1 年目は満額出ないと見ておいてください。 賞与には、この期間の勤務をもとに額を決めるという算定期間があり、中途で入ると途中から加わることになるからです。下の例で計算すると、4 か月分の会社でも 1 年目にもらえるのは 2〜2.7 か月分ほどで、最初の夏は按分なら 0.7 か月分前後、寸志や対象外の会社なら 0 に近くなります。いくらになるかは会社の規程で決まり、求人票にはほとんど書いてありません。

年収を比べるときは「月給×12」と「賞与」を分け、1 年目と 2 年目以降を別に並べてください。賞与の基準や 1 年目の扱いは、面接か内定のときに 4 つ聞けば分かります。

年収は「月給×12」と「賞与」に分け、1 年目と 2 年目以降を別に並べる

賞与込みの年収だけで比べると、基準の違いと 1 年目の目減りが見えなくなります。架空の例で、今の会社と応募先を並べます。前提は次のとおりです。

  • 今の会社: 基本給 28 万円、月給 31 万円(基本給に手当 3 万円。残業代は別)。賞与は基本給の 4 か月分で 112 万円(夏と冬に 2 か月分ずつ)
  • 応募先: 月給 32 万円、「賞与年 2 回(昨年度実績 計 4 か月分)」「業績連動」。賞与は夏と冬に 2 か月分ずつ出る。賞与の基準が基本給なら、基本給は今と同じ 28 万円と置く
  • 1 年目の計算: 2 月に入社。応募先の夏の賞与は前年 10〜3 月、冬の賞与は 4〜9 月の働きを見る。試用期間も算定に入れる。表の金額はすべて、賞与が実績どおり出た場合
月給×12賞与年収
今の会社372 万円112 万円484 万円
応募先・2 年目以降(賞与が基本給 28 万円の 4 か月分)384 万円112 万円496 万円
応募先・2 年目以降(賞与が月給 32 万円の 4 か月分)384 万円128 万円512 万円
応募先・1 年目(基本給基準、最初の夏を在籍期間で按分)384 万円約 75 万円(夏 約 19 万円+冬 56 万円)約 459 万円
応募先・1 年目(基本給基準、最初の夏が寸志か対象外)384 万円56 万円(冬だけ)約 440 万円

同じ「計 4 か月分」でも、基本給基準なら 112 万円、月給基準なら 128 万円で、16 万円違います。基本給基準なら、月給が 1 万円上がっても年収の差は 12 万円ほどにとどまります。1 年目は、今より 25〜44 万円下がります。

基準が分からないうちは、低い方の金額(基本給で計算した額)で見積もっておくのが安全です。月給基準だった場合の上乗せは、聞いて分かってから足せば十分です。

もう 1 つ、応募先の月給に固定残業代が入っていないかも見ておいてください。今の会社で残業代が月給とは別に出ている場合、固定残業代込みの月給とは同じ物差しで比べられません。今の会社で毎月出ている残業代も、比べる表に足しておくと実際の差が見えます。固定残業代込みの月給の読み方は「「固定残業代45時間分を含む」は毎月45時間の残業?求人票で確かめる方法」に、残業の確かめ方は「求人票の残業時間は嘘?入社前に配属先の残業を確かめる聞き方」にまとめています。

入社 1 年目は満額でないと見ておく。例の計算では 2〜2.7 か月分

賞与は、決まった期間(算定期間)の勤務をもとに額を決め、決まった日に支払う仕組みになっていることがあります。厚生労働省のモデル就業規則も、算定対象期間に在籍した人に、支給日に賞与を支払う形で書かれています(「モデル就業規則 令和7年 12 月版」)。

中途で入ると、最初の賞与の算定期間の途中から加わることになります。上の例(夏の算定期間が 10〜3 月、2 月入社)なら、最初の夏の算定期間のうち在籍しているのは 2〜3 月の 2 か月、6 か月のうち 3 分の 1 です。

  • 在籍期間で按分する会社: 夏の 2 か月分 56 万円の 3 分の 1 で、約 19 万円(0.7 か月分前後)
  • 最初の夏は寸志、または対象外の会社: 0 に近い
  • 試用期間を算定期間に入れない会社: 試用期間の長さによっては、最初の夏が 0 に近くなり、冬も減る

冬の賞与は、この例では算定期間(4〜9 月)にすべて在籍しているので、満額の 2 か月分です。合わせて、1 年目の賞与は 2〜2.7 か月分ほどになります。この例では、4 か月分が出るのは早くて 2 年目からです。

当サイトの掲載求人で、入社 1 年目の扱いが書かれていた求人には、次のような書き方がありました。

  • 初年度は冬の 1 回だけ、2 年目から夏冬 2 回
  • 初年度は減額、または入社月を考慮した額
  • 1 年目の夏は寸志
  • 入社初年度は支給なし、2 年目から満額
  • 在籍期間に応じて按分。試用期間は算定期間に含めない
  • 逆に、入社初年度から支給対象

どの扱いになるかは会社の規程次第です。ただ、こうした扱いを求人票に書いている会社は、当サイトの掲載求人では賞与に触れている会社のうち 5%に満たない程度でした。聞くときは「2 月入社だと、最初の夏の賞与はどう扱われますか」と入社月を添えると、答えが具体的になります。

「実績」「業績連動」「計◯か月分」は、どれも今年の額を約束していない

求人票の賞与の書き方ごとに、分かることと分からないことを並べます。

書き方分かること分からないこと
年 2 回夏と冬など、年 2 回払う制度がある1 回あたりの額。「計 4 か月分」は 2 回の合計で、夏 2・冬 2 のことも、夏 1.5・冬 2.5 のこともある
昨年度実績 ◯か月分前の年に社員に出た結果今年も同じ月数が出ること。何の◯か月分か(基本給か月給か)
業績連動・業績による会社の業績で額が上下するどれだけ下がるか。0 になる年がないか
想定年収(賞与込み)前年度の実績の賞与を入れて計算した見込み入社 1 年目の年収。1 年目は満額にならないと自分で書く求人もある

ハローワークは、求人票の賞与の「実績」について、前の年の実績で、必ず次回も同じ月数がもらえるという意味ではない、昇給と賞与は会社の業績や個人の評価で大きく違うので確定した前年の実績を載せている、と説明しています(「Lesson.6 【 昇給と賞与 】 就活ワンポイント・レッスン」、「求人票(大卒等)の見方のポイント」)。当サイトの掲載求人でも、月数を書く会社の約 9 割はその月数を「実績」として書いており、実績を書く会社のおよそ 4 社に 1 社は業績連動も書いていました。

業績連動の賞与は、就業規則の定め方によっては 0 になることもありえます。賞与は法律で支払いが義務付けられたものではなく、支給額があらかじめ決まっていないものとされています(「23 賞与の決定と支払い」)。モデル就業規則にも、業績の著しい低下などで支給時期を延ばしたり、支給しなかったりすることがある、という型の定めがあります。

約束になるのは、就業規則と労働条件通知書です。常時 10 人以上を雇う会社は就業規則を作って届け出ることになっていて、賞与の定めをするならそれも書くことになっています(「労働基準法」 89 条 4 号)。算定期間、支給日、在籍の要件も、書かれていればここにあります。労働条件通知書は、労働契約を結ぶときに会社から受け取る書面です。求人票の条件は労働契約の申込みの誘引で、契約そのものではなく、契約のときに労働条件通知書などで改めて示すものと解されています(「労働関係法令の解説(令和7年 10 月版)」)。

今の会社の賞与が「支給日に在籍」が条件なら、退職日を支給日より後に置く

転職した年の収入は、今の会社をいつ辞めるかでも変わります。

支給日に在籍している人にだけ賞与を払う、という定めは、裁判でも有効とされています(「賞与不払い|裁判例|確かめよう労働条件|厚生労働省」、大和銀行事件。「23 賞与の決定と支払い」)。今の会社にこの定めがあれば、退職日が冬の賞与の支給日より前だと、その回は出ません。上の例なら、失う冬の賞与は 56 万円です。応募先の 1 年目の目減りと重なると、転職した年の収入は大きく下がります。

反対に、退職日を支給日より後に置けば、在籍の要件で外れることはありません。額そのものは、その回も査定や業績で決まります。

退職を伝える時期は、これとは別に考えます。退職を予定している人の賞与をごく少ない額にとどめたことを違法とした裁判例があります(「[18] 周知されていない就業規則を理由とする賞与の不支給」)。退職予定者の賞与を低く定めること自体は認められうるとされ、違法とされたのはごく少ない額にとどめた場合です。退職予定を理由に額を減らそうとする会社もありうるので、伝えるのは支給の後にするのが無難だと考えます。たとえば冬の賞与が 12 月 10 日支給で、就業規則の退職の申し出が「1 か月前」なら、支給の後に伝えると退職日は早くて 1 月中旬になり、入社は 2 月が現実的です。上の例の前提を 2 月入社にしたのはこのためです。就業規則で見る条文と、支給日から逆算した日程はボーナスをもらって辞める時の記事にまとめています。

入社月が 1 か月ずれると、応募先の最初の賞与の算定期間に入れる月数も変わります。今の会社の支給日と申し出の期限から入社月を決め、その入社月で応募先の 1 年目を計算すると、今の会社と応募先の賞与を同じ表で比べられます。

聞くのは、月給の内訳・賞与の基準・入社した年の扱い・ここ数年の幅の 4 つ

面接か、内定後に条件をすり合わせる場で、次の 4 つを聞きます。

  1. 月給の内訳: 基本給・手当・固定残業代がそれぞれいくらか
  2. 賞与の基準: 「◯か月分」は基本給と月給のどちらの◯か月分か
  3. 入社した年の扱い: ◯月に入社した場合、最初の賞与はどう扱われるか(按分か、寸志か、対象外か)
  4. ここ数年の幅: 賞与はここ数年で何か月分から何か月分まで変わったか。業績連動なら、何の業績に連動するか

この先の年収が上がるかを見たいなら、昇給の実績(昨年度、同じくらいの年次の人で何円上がったか)も一緒に聞いてください。賞与の基準が基本給なら、基本給が上がると賞与も上がるので、昇給と賞与の基準を一緒に聞いておくと、この先の年収が見通せます。

内定が出たら、労働条件通知書に賞与の時期・金額の決め方・入社した年の扱いを書いてもらうよう頼んでください。労働条件のうち書面で示すことが義務になっている範囲に、賞与は入っていません(「労働基準法施行規則」 5 条)。書いていなければ、こちらから求めることになります(これは正社員など期間の定めのないフルタイムの場合です。パートや有期契約では、賞与の有無を文書で示すことがパートタイム・有期雇用労働法 6 条で義務とされています)。

基準まで書いてある求人だけに絞る必要はありません。当サイトの掲載求人では、月数を書く会社のうち基準まで書くのは 1 割前後なので、当サイトの掲載求人で絞ると候補がほとんど残りません。基準が書いていない求人にも応募し、上の 4 つは選考の中で確かめれば間に合います。

よくある質問

求人票に賞与のことが書いていない。賞与なしと思ってよい?

そうとは言えません。求人票に賞与の欄が無い、または空いているのは、求人を載せている媒体の書式によることもあり、書いていない会社の中には賞与がある会社もない会社も混じっています。上の 4 つと一緒に、賞与の有無から聞いてください。

面接で賞与のことを聞くと、印象が悪くならない?

聞いたことで印象がどう変わるかを調べた数字はありません。ただ、賞与は年収を比べるのに欠かせない情報です。聞くこと自体はおかしくないと考えます。面接の場で聞きにくければ、内定後の条件のすり合わせで聞いても間に合います。

年俸制で「賞与なし」とある求人は、どう比べればいい?

年俸制で賞与の欄が「なし」でも、年俸に賞与に当たる分が組み込まれていることがあります。その場合は月数の約束ではなく年俸の額で決まるので、年俸を何回に分けて払うかを聞き、上の表の「月給×12」と「賞与」の欄に当てはめて比べてください。

入社してみたら、求人票の月数より少なかった。約束違反ではない?

求人票の条件は契約そのものではなく、約束になるのは就業規則と労働条件通知書の方だと解されています。「実績」は前の年の結果を示す書き方なので、同じ月数が出なくても、それだけで約束と違うとは言いにくいです。個別の事情で違法かどうかは、労働基準監督署などの相談窓口で確かめてください。

この記事の数字について

  • 例の表の数字はすべて架空の例です。基準(基本給か月給か)、入社月、算定期間、按分の仕方、試用期間の扱いを変えると、1 年目の額は変わります。業績連動の求人で実績より下がる場合も表には入れていません
  • 当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日時点で当サイトに掲載中の求人の、給与・賞与・待遇の欄を全件集計したものです。割合は、該当する求人を 1 件でも持つ会社の割合で、丸めた値です。仕事内容の欄だけに賞与が書かれている求人は数えていません
  • 当サイトの掲載求人には、回数と前年度実績の欄を決まった書式で持つ取込元があり、「実績」として書く割合は高めに出ています。この書式には何の◯か月分かを書く欄が無いため、基準まで書く割合は低めに出ています(この書式を持たない会社だけで数えると、数え方によって 1.5〜2.5 割ほど)。求人票全般の書き方の分布ではありません
  • 統計の賞与の月数(毎月勤労統計の特別集計では、1 回あたり約 1.0〜1.1 か月分)は、残業代を含む「きまって支給する給与」に対する割合です。求人票の「基本給の◯か月分」とは基準が違うので、並べて多いか少ないかは判断できません(「≪特別集計≫2025(令和7)年夏季賞与(一人平均)」、「≪特別集計≫令和7年年末賞与(一人平均)」、「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年2月分結果速報等 を公表します」)
  • 業績連動でどのくらい下がるかの目安は、この記事では扱っていません。会社ごとに、ここ数年の幅を聞くのが確かです
  • 法律の当てはめは個別の事情で変わります。この記事は、出典に挙げた行政の資料と裁判例の範囲で説明しています
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