転職の判断
「固定残業代45時間分を含む」は毎月45時間の残業?求人票で確かめる方法
「固定残業代45時間分を含む」は、毎月45時間残業するという約束ではありません。残業が少ない月も45時間分の手当を満額払う、という払い方の取り決めで、45時間を超えた分は追加で払われます。「やめとけ」と言われる求人かは時間数ではなく、基本給・固定残業代の時間数と金額・超えた分の追加支給の3点が求人票に書いてあるかで見分けます。実際の残業時間は、固定の時間数と求人票の平均、面接で聞いた配属先の数字がそろうかで確かめます。
公開 2026年11月4日 · 集計 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・「45時間分を含む」は45時間残業する約束ではなく、残業が少ない月も手当を満額払う払い方の取り決め。45時間を超えた分は追加で払われる。そのかわり45時間までは残業しても給与は増えない
- ・「やめとけ」と言われる求人かは、時間数ではなく書き方で見分ける。基本給・固定残業代の時間数と金額・超えた分の追加支給の3点がそろっているか。欠けていれば面接で聞き、内定時に労働条件通知書で同じ内容かを確かめる
- ・実際の残業時間は、固定の時間数・求人票の平均・面接で聞いた配属先の数字がそろうかで判断する。年収で比べるときは、今の会社の年収を移った先でも見込む残業時間で出し直し、固定残業代込みの額と並べる
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年収を上げたくて求人を見ていたら、条件の良い求人の給与欄に「固定残業代45時間分を含む」とある。今の職場は残業が少ないのに、毎月 45 時間も働かされるのだろうか。調べると「45時間はやばい」「固定残業のある会社はやめとけ」という声が出てきて、応募していいのか分からなくなる。
「45時間分を含む」は、毎月 45 時間残業するという約束ではありません。残業が少ない月も、45 時間分の手当を満額払うという払い方の取り決めです。45 時間を超えた月は、超えた分が追加で払われます。 だから「やめとけ」と言われる求人かどうかは、45 時間という数字ではなく、求人票の書き方で見分けます。見るのは、基本給、固定残業代の時間数と金額、超えた分を追加で払うこと、の 3 点です。
そのうえで、その会社で実際に何時間残業があるかは、固定残業代の時間数からは分かりません。求人票の平均残業時間と、面接で聞いた配属先の数字がそろうかで確かめます。3 点がそろっていて、実際の残業の数字も答えてくれる会社なら、45 時間込みというだけで応募を見送る理由にはならない、と私は考えています。
「45時間分」は残業する時間の約束ではなく、手当の額を決める時間
固定残業代は、一定時間分の残業代を、毎月決まった額で払う仕組みです。厚生労働省のリーフレットが示す求人票の記載例でも、固定残業代は「時間外労働の有無にかかわらず」支給するものとして書かれています(厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」)。
給与明細で考えると分かりやすくなります。
- 残業が 10 時間の月も 0 時間の月も、45 時間分の手当は同じ額が入る
- 45 時間を超えた月だけ、超えた分の残業代が上乗せされる
- そのかわり、0〜45 時間のあいだは、何時間残業しても毎月の給与は増えない
つまり固定残業代は、残業した分だけ増える今の払われ方と違い、残業が少ない月ほど得になる形です。残業が増えても 45 時間までは給与が変わらないので、残業が増えたのに手取りが増えない、という損の感じ方もここから来ます。
固定残業代があるからといって、それを理由に 45 時間残業しなければならないわけではありません。時間数は手当の金額を決める前提です。
「やめとけ」と言われる求人かは、時間数ではなく求人票の 3 点で分かる
固定残業代を給与に含める会社が求人票に書くべきこととして、厚生労働省は次の 3 つを挙げています(厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」)。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代の時間数と金額(何時間分でいくらか)
- その時間を超えた分の残業代を追加で払うこと
3 つとも書いてある求人は、払い方がはっきり書かれた求人です。どれかが欠けていれば、書き方が足りない求人と見てかまいません。
たとえば、月給の横に「固定残業代45時間分を含む」と注があるだけで、基本給の額がない求人があります。固定残業代の金額が「約◯万円」と書いてあれば引き算はできますが、それでは基本給が書かれていることにはなりません。欠けているのが 1 点だけで、残りがそろっているなら、それだけで見送る必要はありません。面接か内定の段階で「固定残業代を除いた基本給はいくらですか」と聞けば足ります。聞いても答えがはっきりしないなら、そこで見送る理由になります。
内定が出たら、労働条件通知書で同じ 3 点を見ます。求人票で示した条件を変えるときは、変更の内容を明示することになっています(厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~」)。基本給と固定残業代が別々の金額で書いてあり、時間数と超えた分の支払いが求人票と同じなら、払い方の確認は済みです。実際の残業時間は、通知書に書く決まりがある項目には入っていないので、面接で聞いた数字は承諾の前にメールで確かめておきます(文例は「求人票の残業時間は嘘?入社前に配属先の残業を確かめる聞き方」にあります)。
実際の残業時間は、固定の時間数・平均・面接の答えを並べて確かめる
当サイトの掲載求人では、求人票に書かれた平均残業時間が、固定残業代の時間数よりずっと少ない求人は珍しくありません。まず、給与欄に固定残業代を書いている会社が約 4 割でした。そのうち時間数を読み取れた会社の約 4 社に 1 社が、45 時間分の求人を出しています。45 時間を超える時間数の求人を出す会社は 5% 未満です。
その 45 時間分の求人を出す会社のうち、同じ求人に平均残業時間も数字で書いている会社は約 2 割でした。そして、45 時間分の求人を出して平均も書いている会社の約 7 割は、平均 20 時間以下と書いた求人を出しています(いずれも 2026 年 11 月 4 日時点、掲載中の求人すべてを会社単位で数えた割合。会社は該当する求人を 1 件でも出していれば数えた)。45 時間込みでも、平均はずっと少ないと書く会社がある一方、平均を書かない会社が約 8 割あり、そこは求人票だけでは分かりません。
そこで、求人票の給与欄にある固定残業代の時間数、求人票の平均残業時間(書いていなければ空欄)、面接やカジュアル面談で聞いた配属予定の部署の数字を並べて見ます。これらがだいたいそろえば、その数字は信じてよい材料になります。面接の答えが平均よりかなり多い、平均を書いていないのに面接でも数字が出てこない、という場合は、そこをもう一度聞きます。
固定残業代のある求人では、固定の時間数と実際の残業の差、45 時間を超えた月の扱いを聞いておきます。時期と時間を具体的に聞くと、仕事の様子を知るための質問として聞けます。
- 「固定残業代は 45 時間分とありますが、配属予定の部署では、実際の残業はふだん月に何時間くらいですか」
- 「去年、45 時間を超えた月はありましたか。その月は、超えた分が別に支払われましたか」
求人票の平均が誰の数字なのかと、配属先の残業の聞き方は「求人票の残業時間は嘘?入社前に配属先の残業を確かめる聞き方」にまとめています。
答えを聞く前に、残業が月に何時間までなら受け入れられるか、それを超える月が年に何回までなら受け入れられるかを決めておくと、聞いたその場で判断できます。判断の基準にするのは 45 時間という数字ではなく、自分が受け入れられる時間だと考えます。
年収で比べるときは、今の年収を見込む残業時間で出し直して、固定残業代込みの額と並べる
固定残業代込みの月給と、残業代が別に出ている今の月給は、そのままでは比べられません。比べ方の基本は次のとおりです。
- 応募先の月給は、残業が 0 時間の月も 45 時間の月も同じ額で、45 時間を超えた分だけ増える
- 今の会社は、基本給などに、実際に残業した時間分の残業代が足される(給与明細で基本給と残業代を分けておく)
- そこで、今の会社の年収を、移った先でも見込む残業時間で出し直し、応募先の固定残業代込みの額と並べる。今の会社は残業するほど増え、応募先は 45 時間までは増えないので、見込む残業が少ないほど応募先に有利、多いほど今の会社に有利な方へ動く
固定残業代を引いた額(基本給など)は、残業なしで受け取る額ではありません。賞与が基本給を基準に決まる場合は、その基準になる額として別に見ておきます。
賞与が「基本給の◯か月分」と決まっている場合、その基本給に固定残業代が入るかどうかで年収が変わります。面接で「賞与は基本給の何か月分ですか。その基本給に固定残業代は入りますか」と聞いておきます。
休日の日数が違う求人を、残業込みかどうかをそろえて比べる例は「年間休日105日は土曜出勤?休みが減っても年収50万円アップなら割に合う?」に、賞与の基準の読み方は「求人票の賞与「前年度実績4か月分」は約束?入社1年目はいくら出る?」にあります。
よくある質問
45 時間という数字には意味がある?
45 時間は、労働基準法 36 条で、36協定を結んで届け出た会社が残業させられる原則の上限(1 か月 45 時間・1 年 360 時間)と同じ数字です(e-Gov 法令検索「労働基準法」)。毎月 45 時間ちょうどの残業が 1 年続くと年 540 時間になり、月の上限には収まっていても、原則の年 360 時間を超えます。原則を超えて残業させるには 36協定の特別条項が要り、その場合も、一般の業務では休日労働を含めて月 100 時間未満・2〜6 か月の平均で 80 時間以内、時間外労働だけで年 720 時間以内、45 時間を超えられる月は年 6 か月までとされています(新技術・新商品などの研究開発、自動車の運転、医師などは別の扱いがあります)。ただ、固定残業代の時間数は手当の額を決める時間なので、45 時間込みという書き方だけで、実際の残業が多いとも違法とも言えません。
固定残業代があっても、定時で帰っていい?
固定残業代があることを理由に、残業しなければならないわけではありません。固定残業代は残業の有無にかかわらず払う手当だからです。残業をする義務があるかどうかは、36協定や就業規則、会社からの残業の指示の側の話で、会社が残業を命じた場合は別です。職場の空気は求人票からは分かりません。気になるなら、面接で配属先の残業の数字と合わせて、定時で帰る人がどのくらいいるかを聞いておきます。
20 時間・30 時間・40 時間分なら、見方は変わる?
変わりません。どの時間数でも、時間数は手当の額を決める時間で、見るのは求人票の 3 点と、平均・面接の答えとのずれです。時間数が少ないほど、少ない残業時間から追加支給が始まる、という違いがあるだけです。
平均残業 20 時間なのに、固定残業代が 45 時間分なのはなぜ?
その理由は、求人票からは分かりません。45 が 36協定の原則の上限と同じ数字だという点は確かですが、それが会社の決めた理由かどうかは確かめられていません。理由より、平均 20 時間が配属先にも当てはまるかを面接で聞く方が、応募の判断に役立ちます。
45 時間は 1 日あたり何時間?
月に 20〜22 日働くとして割り算すると、1 日あたり約 2 時間です。実際の残業は月によって偏るので、あくまで月の時間を平らにならした目安です。
この記事の数字について
- 当サイトの掲載求人の割合は、2026 年 11 月 4 日時点で掲載中の求人すべてを、会社単位で数えたものです。固定残業代の有無と時間数は給与欄の書き方から、平均残業時間は求人票の給与・勤務時間・休日・仕事内容などの欄から読み取りました。文面からの読み取りに誤りが混じるため、割合は丸めて書いています。「45 時間分の求人を出す会社」は 45 時間の求人を 1 件でも出す会社で数え、「45 時間を超える時間数の求人を出す会社」は、同じ会社が時間数の違う求人を出していることがあるので、会社ごとに一番長い時間数で数えました。求人票に書かれた時間を数えたもので、実際の残業時間を数えたものではありません。当サイトの掲載求人は取り込み元や掲載の多い会社で偏るため、日本の求人全体の割合ではありません
- 固定残業代の表示の 3 点は、1 つ目のリーフレットでは若者雇用促進法に基づく指針として、若者の募集・求人を行う事業主などに向けて示されています。求人票で労働条件を明示し、変えるときは変更を明示する決まりは職業安定法によるもので、労働者を募集する企業に向けた 2 つ目のリーフレットにも、賃金欄の固定残業代の記載例として同じ 3 点が載っています
- 固定残業代の時間数そのものの上限を定めた決まりは、この記事では確かめていません
- 違法かどうかの判断は、この記事では扱っていません。個別の事情は、労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談してください
- 出典: 厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」、厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~」、e-Gov 法令検索「労働基準法」(いずれも 2026 年 11 月 4 日に確認)