転職の判断

固定残業代込みの月給30万円は今より上?基本給と残業時間から年収を比べる方法

「月給30万円(固定残業代45時間分・7万円を含む)」と、残業代が全額出る今の給与は、月給どうしでは比べられません。比べるのは、固定残業代を除いた 1 時間あたりの基本給と、移った先で見込む残業時間で出し直した今の年収です。架空の例では、見込む残業が月約 15 時間より多ければ月給は今の会社の方が上で、賞与が基本給の 4 か月分なら年収は月約 8 時間で並びます。7 万円が 45 時間分に足りているかの計算、手当と賞与の基準で変わる所、面接と内定後に何を聞くかまでまとめました。

公開 2026年11月4日 · 集計 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・月給どうしは比べられない。比べるのは 1 時間あたりの基本給と、移った先で見込む残業時間で出し直した今の年収。固定残業代は残業しない月も満額出るので、見込む残業が少ないほど応募先に有利になる
  • ・年収を大きく動かすのは、実際の残業時間と、賞与の「◯か月分」が基本給か月給か。架空の例では賞与の基準だけで年 28 万円違う
  • ・固定残業代の金額は、基本給 ÷ 月の所定労働時間 × 1.25 × 時間数 と比べれば、書かれた時間数の残業代として足りているかが分かる。足りなければ、何時間を超えたら追加で払われるかを内定後に聞く
目次開く
  1. 01比べるのは月給ではなく、1 時間あたりの基本給と、見込む残業時間で出し直した今の年収
  2. 02年収は、賞与の「◯か月分」が基本給か月給かで約 30 万円変わる
  3. 03「45時間分・7万円」が 45 時間分の残業代に足りているかは、基本給から計算できる
  4. 04ほかの求人も、3 行の計算で今の給与と比べられる
  5. 05残業時間は面接で聞き、残業代の計算は内定後にまとめて確かめる
  6. 06よくある質問
  7. 07この記事の数字について

気になる求人に「月給30万円(固定残業代45時間分・7万円を含む)」とある。今の月給より 3 万円高いけれど、固定残業代を除くと基本給は 23 万円で、今の基本給より低い。残業代が全額出ている今の給与と、どちらが上なのかが分からない。

月給どうしでは比べられません。比べるのは、固定残業代を除いた 1 時間あたりの基本給と、移った先で見込む残業時間(今と同じくらいなら、今の残業時間)で出し直した今の年収です。 この記事の架空の例(今は基本給 27 万円で残業代が全額出る、応募先は基本給 23 万円+固定残業代 7 万円)では、月給は 3 万円上がっても、見込む残業が月約 15 時間より多ければ月給は今の会社の方が上です。年収では、賞与が基本給の 4 か月分なら見込む残業が月約 8 時間を超えると今の会社の方が上になり、残業が月 20 時間なら年約 30 万円下がります。賞与が月給(固定残業代込み)の 4 か月分なら、並ぶのは月約 20 時間です。

上か下かを決めるのは、移った先の実際の残業時間と、賞与の基準(基本給か月給か)の 2 つです。 この 2 つは求人票に書いていないことが多いので、面接や内定後に確かめます。

比べるのは月給ではなく、1 時間あたりの基本給と、見込む残業時間で出し直した今の年収

固定残業代は、決まった時間分の残業代を、残業が少ない月も満額払う仕組みです。応募先の月給 30 万円は、残業 0 時間の月も 30 万円で、45 時間を超えた分だけ増えます。今の会社の月給は、基本給に、実際に残業した時間分の残業代を足した額です。固定残業代の仕組みと、求人票で見る 3 点については「「固定残業代45時間分を含む」は毎月45時間の残業?求人票で確かめる方法」にあります。

比べるときは、基本給を 1 時間あたりの額に直してそろえ、移った先で見込む残業時間ごとに、今の会社でその時間残業した場合の月給と年収を出して並べます。

例の数字は架空です。前提は、今も応募先も年間休日 120 日・1 日 8 時間、賞与は年 4 か月分、時間外の割増は 25%。手取り・税・社会保険は入れていません。

  • 月の平均所定労働時間: (365 − 120) × 8 ÷ 12 ≈ 163.3 時間
  • 1 時間あたりの基本給: 今 27 万円 ÷ 163.3 ≈ 1,653 円、応募先 23 万円 ÷ 163.3 ≈ 1,408 円(約 15% 低い)
  • 残業 1 時間の単価(× 1.25): 今 約 2,066 円、応募先 約 1,760 円
見込む残業(月)今の月給応募先の月給今の年収応募先の年収
0 時間27 万円30 万円432 万円452 万円(480 万円)
10 時間約 29.1 万円30 万円約 457 万円452 万円(480 万円)
20 時間約 31.1 万円30 万円約 482 万円452 万円(480 万円)
30 時間約 33.2 万円30 万円約 506 万円452 万円(480 万円)

今の年収は、月給 × 12 + 賞与(基本給 27 万円の 4 か月分 = 108 万円)。応募先の年収は、月給 30 万円 × 12 + 賞与で、賞与が基本給 23 万円の 4 か月分なら 452 万円、月給 30 万円の 4 か月分なら括弧内の 480 万円です。応募先の年収は、残業が 0 時間でも 30 時間でも同じです。

分かれ目は次のとおりです。

  • 月給が並ぶのは、見込む残業が月約 15 時間(差の 3 万円 ÷ 今の残業単価 2,066 円 ≈ 14.5 時間)。それより少なければ応募先の月給が上、多ければ今の会社の方が上
  • 年収が並ぶのは、賞与が基本給基準なら月約 8 時間、月給基準なら月約 20 時間

固定残業代込みの給与で一番損をするのは、移った先で残業が増えたのに、給与が変わらない場合です。例の応募先で月 30 時間残業すると、今の会社なら月約 33.2 万円のところ、応募先は 30 万円のままです。逆に、移った先の残業が今より少ないなら、固定残業代は満額出るので応募先が有利になります。固定残業代込みだから必ず損、ということはありません。

基本給が低いと、残業 1 時間の単価も下がります。単価は基本給から計算するので、例では今の約 2,066 円が、応募先では約 1,760 円です。固定残業代の時間を超えて残業した分は、この単価で払われます。

年収は、賞与の「◯か月分」が基本給か月給かで約 30 万円変わる

例の応募先の年収は、賞与が基本給の 4 か月分なら 452 万円、月給(固定残業代込み)の 4 か月分なら 480 万円です。同じ「賞与 4 か月分」でも、何の 4 か月分かで年 28 万円違います。今の年収が約 482 万円(残業月 20 時間)なら、前者は年約 30 万円下がり、後者はほぼ同じです。

求人票には「賞与年2回」「4 か月分」とだけあって、基準が書いていないこともあります。その場合、例の応募先の年収が 452 万円か 480 万円かは、まだ決まっていません。基準は面接か内定後に確かめます(後の節)。賞与の「前年度実績◯か月分」がどこまで約束か、入社 1 年目にいくら出るかは「求人票の賞与「前年度実績4か月分」は約束?入社1年目はいくら出る?」にあります。

「45時間分・7万円」が 45 時間分の残業代に足りているかは、基本給から計算できる

固定残業代の金額が、書かれた時間数の残業代として足りているかは、次の式で出せます。

基本給 ÷ 月の所定労働時間 × 1.25 × 時間数

月によって決まる賃金は、その額を月の所定労働時間(月で違う場合は 1 年間の 1 か月平均)で割った額が 1 時間あたりの賃金とされ、時間外の割増はその 2 割 5 分以上とされています(e-Gov 法令検索「労働基準法施行規則」、e-Gov 法令検索「労働基準法」、e-Gov 法令検索「労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令」)。厚生労働省の Q&A では、通常の 1 時間の賃金が 1,000 円なら、時間外 1 時間につき 1,250 円以上という例が示されています(厚生労働省「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」)。

例の応募先(基本給 23 万円・年間休日 120 日・1 日 8 時間)に当てはめると、1,760 円 × 45 時間 ≈ 7.9 万円です。7 万円で足りるのは約 40 時間分(7 万円 ÷ 1,760 円)です。年間休日が 105 日で所定労働時間が月 173.3 時間でも、45 時間分は約 7.5 万円で、7 万円には届きません。

割増の基礎が基本給だけで、所定労働時間を超えた分がすべて法定の時間外労働なら、法律の計算では、この例は約 40 時間を超えたところから差額の支払いが要ることになります。違法かどうかは、会社の所定労働時間や手当の扱いで変わるので、ここでは判断しません。内定後に「何時間を超えたら追加で払われますか」と聞くと、会社がどう計算しているかが分かります。

求人どうしを手早く並べるときは、時間数ではなく、固定残業代の金額 ÷ 時間数を見る方が役に立ちます。同じ「45 時間分」でも、金額は求人によって大きく違うからです。当サイトの掲載求人では、45 時間分の固定残業代の金額を読み取れた会社のうち、金額 ÷ 時間数が 1 時間 1,600 円未満の会社が約 3 割、2,000 円以上の会社が約 35% ありました(2026 年 11 月 4 日時点、会社ごとに一番低い額で数え、5% 単位に丸めた結果)。45 時間分なら、1,600 円は 7 万 2,000 円、2,000 円は 9 万円です。例の応募先は 7 万円 ÷ 45 ≈ 1,556 円です。ただ、この割り算だけでは基本給に対して足りているかまでは分からないので、気になる求人は上の式で確かめます。

手当がある場合は、割増の基礎に入る手当と入らない手当がある

月給に基本給以外の手当が含まれる場合は、どの手当を 1 時間あたりの賃金に入れるかで、足りているかの計算が変わります。割増の基礎から除外できるのは、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当、臨時に払われた賃金、賞与のように 1 か月を超える期間ごとに払われる賃金に限られていて、例示ではなく限定的に挙げたものとされています(e-Gov 法令検索「労働基準法」 37 条 5 項、e-Gov 法令検索「労働基準法施行規則」 21 条、「時間外・休日労働と割増賃金|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件|厚生労働省」)。そのため、職務手当や資格手当のように、ここに挙がっていない手当は基礎に入ります。挙がっている手当も、名前ではなく実質で判断するとされていて、たとえば住宅手当の名目でも全員に一律で払われている部分は基礎に入ります(同)。月給の内訳が基本給と固定残業代だけでない求人は、手当の内訳を聞いてから計算します。

年間休日が違うと、月の所定労働時間が変わり、1 時間あたりの基本給も変わります。休日の日数が違う求人を 1 時間あたりの年収で比べる計算は「年間休日105日は土曜出勤?休みが減っても年収50万円アップなら割に合う?」にあります。

ほかの求人も、3 行の計算で今の給与と比べられる

求人票から使う数字は、固定残業代を除いた基本給、固定残業代の金額と時間数、年間休日、賞与の月数です。これに移った先で見込む残業時間を合わせれば、次の 3 行で足ります。

  • 1 時間あたりの基本給: 基本給 ÷ 月の所定労働時間(年間休日 120 日・1 日 8 時間なら 163.3 時間、105 日なら 173.3 時間)
  • 固定残業代が足りているか: 1 時間あたりの基本給 × 1.25 × 時間数 を、書かれた固定残業代と比べる
  • 年収:(基本給 + 固定残業代)× 12 + 賞与。見込む残業時間で出し直した今の年収と並べる

賞与の基準が分からないときは、基本給基準と月給基準の 2 通りを出しておくと、どこまで下がりうるかが見えます。

残業時間は面接で聞き、残業代の計算は内定後にまとめて確かめる

面接では、配属予定の部署の月の平均残業時間を聞きます。働き方の質問として聞けて、例のとおり年収の計算にそのまま効く数字です。賞与の「◯か月分」の基準(基本給か月給か)は、面接で聞いても、内定後に聞いてもかまいません。詳しい聞き方は「求人票の残業時間は嘘?入社前に配属先の残業を確かめる聞き方」にあります。

お金の細かいことは、内定後に条件を確認する場で、採用担当(エージェント経由ならその担当者)にまとめて聞きます。

  • 賞与の「◯か月分」の基準は基本給か月給か(面接で聞いていなければ)
  • 何時間を超えたら追加の残業代が払われるか(年間休日と 1 日の所定時間も一緒に)
  • 基本給以外の手当の内訳

答えがそろったら計算し直し、最後に労働条件通知書で、基本給・固定残業代の金額と時間数が聞いたとおりに書いてあるかを見ます。賞与の基準は通知書に書かれないことがあるので、書面かメールで残してもらいます。

計算して年収が下がるなら、基本給の相談をしてもおかしくありません。言い方は「固定残業代を減らして基本給に回してほしい」より「基本給を上げてもらえないか」の方が筋が通ります。固定残業代は基本給から計算する額なので、基本給が上がれば 45 時間分の金額も上がるのが本来の形だからです。例の場合、残業月 20 時間・賞与が基本給の 4 か月分・固定残業代 7 万円のままなら、基本給が約 24.9 万円(提示より約 2 万円高い額)になれば、年収が今と並びます。なお、その基本給だと、7 万円で足りるのは約 37 時間分です。「今は基本給 27 万円で残業代は全額出ていて、月 20 時間ほどの残業で比べると年収が約 30 万円下がる計算になる」と、計算を見せて切り出すと、条件の相談として伝わりやすくなります。通るかどうかは会社しだいです。

よくある質問

基本給が低すぎないかは、どう確かめる?

基本給 ÷ 月の所定労働時間を、勤務地の最低賃金と比べます。最低賃金と比べる賃金には、所定労働時間を超える労働に対する賃金は入れないとされているので、固定残業代は含めず、基本給の側で比べます(e-Gov 法令検索「最低賃金法」 4 条、e-Gov 法令検索「最低賃金法施行規則」 1 条)。手当がある求人では、比べる賃金の範囲は基本給だけとは限りません。たとえば月給 22 万円のうち 45 時間分 6 万円が固定残業代なら、基本給 16 万円 ÷ 163.3 時間 ≈ 980 円です。令和 8 年度の地域別最低賃金は、最も低い宮崎で 1,085 円、東京で 1,280 円で、発効は県によって 10〜12 月です(厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」)。基本給を時給に直した額がこれを下回る求人は、条件をよく確かめてください。

想定年収「450万〜550万円」は、今の年収とそのまま比べていい?

そのままでは比べられません。固定残業代込みの求人の想定年収は、固定の時間分までの残業代が入った額で、実際の残業時間にかかわらず同じです。今の年収は、実際にした残業の残業代込みです。今の年収を、移った先で見込む残業時間で出し直してから並べます。例では想定年収の下限 450 万円が、賞与が基本給基準の場合の 452 万円とほぼ同じです。幅のどこになるかの決め方は会社によるので、提示額が出たら、どの項目が上がったか(基本給か、固定残業代や手当か)を見て、同じ計算をやり直します。

手取りで比べるには?

手取りは税と社会保険の計算が入るので、この記事の例には入れていません。目安なら、今の給与明細で手取り ÷ 額面の割合を出し、両方の年収に掛ける方法があります。比べ方(基本給・残業時間・賞与の基準)は、手取りにしても変わりません。

20 時間分・30 時間分の固定残業代は、いくらなら足りている?

式は 45 時間分と同じで、時間数を入れ替えるだけです。例の応募先と同じ基本給 23 万円・年間休日 120 日なら、1,760 円 × 20 時間 ≈ 3.5 万円、× 30 時間 ≈ 5.3 万円です。基本給と所定労働時間で変わるので、求人ごとに計算します。

この記事の数字について

例の数字(基本給 27 万円と 23 万円、固定残業代 7 万円、残業時間)は架空です。年間休日 120 日・1 日 8 時間・賞与年 4 か月分・時間外の割増 25%・割増の基礎は基本給だけ、を前提に計算しました。手取り・税・社会保険、深夜や休日の割増、月 60 時間を超える時間外の割増は入れていません。年間休日、賞与の基準、手当の扱い、実際の残業時間が違えば、分かれ目の時間は動きます。

当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日時点で掲載中の求人のうち、給与欄の文章から固定残業代の金額と時間数を両方読み取れた求人を対象に、金額 ÷ 時間数を出し、会社ごとに一番低い額で数えた割合です。本文の値は、45 時間分の求人を出す会社に限り、その求人のうち一番低い額で数えました。金額が範囲で書かれている場合は下限を使い、時間数が範囲で書かれている求人は除きました。割合は 5% 単位に丸めています。基本給や所定労働時間は読んでいないので、個々の求人の固定残業代が足りているかは判定していません。当サイトの掲載求人は取り込み元や掲載の多い会社で構成が決まるので、日本の求人全体の割合ではありません。

法律については条文と厚生労働省の資料に書いてあることだけを書き、個々の求人の固定残業代が有効か、違法かは判断していません。退職金や昇給の決め方は会社の規程によるので、扱っていません。

出典は 2026 年 11 月 4 日に確認しました。

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