転職の判断
求人票の残業時間は嘘?入社前に配属先の残業を確かめる聞き方
求人票の「残業月20時間」は、多くの場合、会社が出した平均で、配属先の繁忙期の数字ではありません。それが誰の平均か、一番多い月は何時間かが書いていないと、入社前にずれに気づけません。応募前に求人票と公表データで残業の書き方を見て、面接で配属先の平均と一番多かった月の時間を聞き、内定を承諾する前に聞いた数字をメールで確かめてもらう。3 つの時点の聞き方と、確認のメールの文例を載せています。
公開 2026年11月4日 · 集計 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・求人票の残業時間は多くの場合、会社が出した平均で、配属先の繁忙期の数字ではない。誰の平均か・一番多い月は何時間かが書いていないと、入社前にずれに気づけない
- ・面接では「残業はありますか」ではなく「配属予定の部署で、直近 1 年に一番多かった月は何時間でしたか」と聞く。良い時期だけの答えには、続けて悪い時期を聞く
- ・内定を承諾する前に、聞いた数字を自分で書いてメールで送り、合っているか返事をもらう。会社が数字を直す機会になる
目次開く閉じる
求人票には「残業月20時間程度」とあったのに、入ってみたら毎月 50 時間近く働いていた。次の転職では、入る前に本当の残業時間を知りたい。
求人票の残業時間は、多くの場合、会社が出した平均です。配属先の繁忙期の数字ではありません。 その平均が全社のものか部署のものか、一番多い月は何時間かは、たいてい書かれておらず、書いていなければ入社前にずれに気づけません。当サイトの掲載求人でも、平均の残業時間を数字で書いている会社のうち、それが全社の平均か部署の平均かまで書いている会社は 1 割未満でした(2026 年 11 月 4 日時点、掲載中の求人すべてを会社単位で数えた結果)。
なので、確かめるのは平均の数字そのものより、それが誰のどの時期の数字かです。面接で聞くなら「残業はありますか」ではなく、こう聞きます。
配属予定の部署で、直近 1 年で一番多かった月は何時間でしたか
「ありますか」では有無しか返ってきません。確かめる機会は、次の 3 回です。
- 応募前に、求人票と公表データで残業の書き方を見る: 時間が数字で書いてあるか、誰の平均か、特別条項に触れているかを見る
- 面接で、配属先の平均と一番多かった月の時間を聞く: 人事と配属先の責任者に、聞くことを分ける
- 内定を承諾する前に、聞いた数字をメールで確かめてもらう: 聞いた数字を自分で書いて送り、合っているか返事をもらう
固定残業代の時間数の読み方は「「固定残業代45時間分を含む」は毎月45時間の残業?求人票で確かめる方法」にあります。残業以外のずれは別の記事で扱っています。転勤は「「転勤なし」の求人でも入社後に転勤はある?内定を受ける前に書面で確かめること」、賞与は「求人票の賞与「前年度実績4か月分」は約束?入社1年目はいくら出る?」、在宅勤務は「求人の「リモート可」はどこまで信じていい?入社前に在宅勤務の日数を確かめる方法」、休日は「年間休日105日は土曜出勤?休みが減っても年収50万円アップなら割に合う?」を見てください。
1. 応募前に、求人票と公表データで残業の書き方を見る
求人票で見る所
求人票の残業の欄では、次の 3 つを見ます。
- 時間が数字で書いてあるか。 「残業少なめ」「ほぼなし」「定時で帰れる」のような言葉には時間が無いので、どのくらいかは分かりません。言葉だけなら、面接で数字に置き換えてもらう項目です
- 誰の平均か書いてあるか。 「全社平均」「部署平均」と書いてあれば手がかりになります。書いていなければ、会社全体の 1 年の平均かもしれない、と読んでおきます
- 36 協定の特別条項に触れているか。 特別条項は、納期のひっ迫などの時に、月 45 時間を超えて残業させてよいという取り決めです。「特別条項あり」なら、平均が 20 時間でも、繁忙期には 45 時間を超えることがありえます
ハローワーク(姫路)の求人の登録様式の見本には、「時間外労働-36協定における特別条項の有無、特別な事情・期間等」の欄があります(「求人情報用【基本項目】確認票」)。転職サイトやエージェントの求人にはこうした決まった欄が無く、当サイトの掲載求人でも、36 協定や特別条項に触れている会社は 5% 未満でした。書いていなければ、面接で聞きます。「あり」と書いてあっても、超えてよい枠があるというだけで、実際に何回使っているかは分かりません。
求人票以外の公表データ
求人票とは別に、働き方の数字を公表している会社もあります。
- しょくばらぼ: 厚生労働省の職場情報総合サイトで、会社ごとの働き方や採用の状況を検索できます(「職場情報総合サイト しょくばらぼ|職場情報開示に積極的な企業紹介」)。すべての会社が載っているわけではありません
- 女性活躍推進法の情報公表: 公表する項目の中に「労働者の一月当たりの平均残業時間」があります。ただし会社が選ぶ項目の 1 つで、出していない会社もあります(「女性活躍推進法が改正されました!」)
- 中途採用比率: 常時雇用する人が 301 人以上の会社は、2021 年 4 月から、正社員の採用のうち中途で採った人の割合(中途採用比率、直近 3 年度)をおおむね年 1 回公表することになっています(「令和3年4月から 常時雇用する労働者数が301人以上の企業において 正規雇用労働者の中途採用比率の公表が義務化されます」)。残業の数字ではありませんが、中途の人をどのくらい採っている会社かの手がかりになります
公表されている残業時間も多くは会社全体の数字で、求人票と同じ「20 時間」が出てくるかもしれません。その場合も、全社の数字だと分かったことで、面接で「全社では月 20 時間と拝見しましたが、配属予定の部署ではどのくらいですか」と、全社と部署の差を聞けます。
口コミの見方
口コミサイトの残業時間は、会社が出す平均とは別の角度の数字ですが、答えた人の部署や不満の強さで偏ります。書き込みでは次を見ます。
- いつの書き込みか(数年前と今では体制が違うことがあります)
- 書いた人の職種(応募する職種と同じか)
- 「納期前は」「◯月は」のように、時期が書いてあるか
部署名まで書いた書き込みは多くないので、口コミで配属先の残業が分かるとは考えず、面接で何を聞くかを決める手がかりに使います。口コミが月 40 時間で、面接で「繁忙期でも 30 時間くらい」と言われたら、どちらかを選ぶより、その差を「一番多かった月はどのくらいでしたか」と聞きます。差が埋まらなければ、多い方を前提に考えておくのが安全です。
エージェント経由で応募するなら
面接で聞きにくい数字は、エージェントに先に聞いてもらってかまいません。返ってきた数字には、その数字を誰に確かめたかを聞き返します。「人事に確認した数字ですか、配属先の課長に確認した数字ですか、それとも全社の平均ですか」。
2. 面接で、配属先の平均と一番多かった月の時間を聞く
残業のことは聞いてよい
面接で残業を聞くと、やる気がないと思われるのでは、と心配になるかもしれません。聞いたことで評価が変わるかどうかは分かりませんが、労働時間は、募集の時に示すことになっている労働条件の 1 つです(「職業安定法」 5 条の 3)。厚生労働省の求職者向けのリーフレットも、労働条件の一部が後から示される場合について、「明らかとなっていない労働条件などがないか、面接等で求人企業に確認することが大切」としています(「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」)。
気になるなら、聞き方を変えます。「残業はありますか」「多いですか」ではなく、時期と時間を具体的に尋ねると、仕事の様子を知るための質問として聞けます。
平均の内訳が分かる聞き方
| 聞くこと | 聞き方の例 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 一番多い月 | 配属予定の部署で、直近 1 年で一番多かった月は何時間でしたか | 繁忙期に何時間まで増えるか |
| 繁忙期の長さ | 繁忙期はいつ頃で、何か月くらい続きますか | 忙しい時期が年に何か月あるか |
| 特別条項を使った回数 | 去年、45 時間を超えた月は何回ありましたか | 特別条項の枠を実際に使っているか |
| 欠員か増員か | 前任の方が抜けた枠ですか、増員ですか。空いている間はどなたが担当されていますか | いまの部署の忙しさ |
「欠員か増員か」は、「辞めた人の枠なら残業が多い」という意味ではありません。求人票の平均は過去の数字で、いま部署に 1 人欠けているかは書いていません。欠員なら、補充されるまで残った人が分担していた仕事を、入った人が引き継ぐ場合があります。増員なら、仕事が増えている理由を聞けば、繁忙の見通しが分かります。
聞く相手を分ける
一次面接は人事、二次面接は配属先の課長、という流れなら、聞くことを分けます。
- 人事に: 特別条項の有無と、去年 45 時間を超えた月の回数。欠員か増員か
- 配属先の責任者に: 部署で一番多かった月と、繁忙期の時期と長さ(部署の数字は、その部署の責任者がいちばん把握しています)
「部署によります」「繁忙期以外は定時です」と返ってきたら
「部署によります」「時期によります」は、それ自体は嘘とは限りません。困るのは、そこで話が終わってしまうことです。はぐらかしかどうかを見抜こうとするより、もう一言続けて聞きます。
- 「部署によります」→「配属予定の部署ではどうですか」
- 「時期によります」→「一番多い時期はいつ頃で、その月は何時間くらいでしたか」
「繁忙期以外は定時で帰れます」のように、忙しくない時期の話だけで、繁忙期の長さと時間が出てこない答えは、続けて聞くサインです。 繁忙期が年に何か月あって、その間は何時間なのかが抜けています。
面接の場で、答えが本当かを確かめる方法はありません。配属先の責任者に聞いても数字が出てこなければ、嘘と決めつけず「確かめられなかった」と受け取り、口コミや公表データのほうを判断の材料にします。
3. 内定を承諾する前に、聞いた数字をメールで確かめてもらう
労働条件通知書に書く決まりがあるのは残業の「有無」まで
契約の時に会社が書面で示す労働条件のうち、残業について決まりがあるのは「所定労働時間を超える労働の有無」で、何時間かは含まれていません(「労働基準法施行規則」 5 条)。「所定時間外労働 有」としか書いていなくても、決まりの上ではそれで足ります。面接で聞いた「月 20 時間くらい」は、そのままでは書面に残りません。
通知書では、残業の有無と就業場所を見ておきます。固定残業代の時間数と金額は、求人票(募集の段階)で書くことになっている項目なので、応募した求人票と見比べておきます。求人票で見る 3 点(基本給、固定残業代の時間数と金額、超えた分の追加の支払い)は「「固定残業代45時間分を含む」は毎月45時間の残業?求人票で確かめる方法」にまとめています。
確認のメールの文例
面接で聞いた数字は、承諾の前にメールで確かめてもらいます。「残業時間を文書でください」と頼むのではなく、聞いた内容を自分で書き、合っているかどうかを返事してもらう形にすると、面接の内容の確認として送れます。
件名: 内定のご連絡へのお礼と、条件の確認のお願い
◯◯株式会社 人事部 ◯◯様
このたびは内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。 承諾のお返事の前に、面接で伺った働き方について、私の理解が合っているか確認させてください。
・配属予定の◯◯部の残業は、月平均◯時間程度 ・繁忙期は◯月〜◯月頃で、その間は月◯時間程度 ・昨年、月 45 時間を超えた月は◯回程度
面接でこのように伺いましたが、この理解で合っていますでしょうか。 異なる点があれば、お手数ですがご指摘いただけますと幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
(氏名)
◯には面接で聞いた数字をそのまま入れ、聞けなかった項目は行ごと消して構いません。エージェント経由なら、同じ文面を担当者に渡して会社に確かめてもらう形でも送れます。在宅勤務の日数も確かめたい人は、1 通にまとめて構いません。在宅勤務の確かめ方は「求人の「リモート可」はどこまで信じていい?入社前に在宅勤務の日数を確かめる方法」にあります。
メールを送るのは、承諾の前に会社が数字を訂正できるようにするため
このメールで、入社後に「50 時間になったから約束違反だ」と言える保証はありません。平均の残業時間は、契約の時に書面で示す決まりがある項目には入っていません。それでも送るのは、入社前に意味があるからです。聞いた数字を書いて確かめると、会社は「合っています」と返すか、「実は繁忙期はもう少し多い」と訂正するかのどちらかになります。訂正されたら、その数字を見て承諾するかを決められます。
求人票の残業の平均には、誰の数字かも繁忙期の時間もたいてい書いていない
求人票の「月平均 20 時間」は会社が出した平均で、会社全体を 1 年ならした数字のことがあります。ならすと、部署の差と時期の差が消えます。納期前に 60 時間、閑散期に 10 時間の部署でも、全社の平均は 20 時間になりえます。当サイトの掲載求人で、残業の書き方を会社単位で数えた結果が次の表です。
| 当サイトの掲載求人での書き方 | 会社の割合 |
|---|---|
| 残業・時間外に触れる会社のうち、平均の時間を数字で書く会社 | 約半分 |
| 全体の会社のうち、どの求人にも平均の時間を書く会社 | 約 2 割 |
| 平均の時間を数字で書く会社のうち、全社か部署かまで書く会社 | 1 割未満 |
| 全体の会社のうち、36 協定・特別条項に触れる会社 | 5% 未満 |
(2026 年 11 月 4 日時点、当サイトに掲載中の求人すべて。会社単位で、その書き方の求人を 1 件以上出している会社を数え、5% 単位に丸めた)
数字が書いてあっても、誰の平均かは分からないのが普通です。一番多い月の時間は、特別条項があれば 45 時間を超えうる、というところまでしか求人票からは読めません。
書いていないことは、ずれの原因の 1 つです。ハローワークに寄せられた「求人票の内容と実際の条件が違う」という申出は、令和 6 年度に 3,297 件ありました。内容別では賃金(929 件)に次いで就業時間(661 件)が多く(1 件の申出に複数の内容を数えた延べ件数)、要因別で最も多いのは「求人票の内容が実際と異なる」ですが、「求人者の説明不足」「求職者の誤解」によるものも一定数ありました(「令和6年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」)。全社の平均だという説明がないまま、自分の部署の数字だと受け取ることも、入社後に違うと感じる原因になりえます。
求人の情報で、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をすることは、職業安定法で禁じられています(「職業安定法」 5 条の 4)。厚生労働省の Q&A が「虚偽の表示」の例に挙げているのは、意図して実際の条件と違えて書く場合です。虚偽でなくても、誤解を生じさせる表示も禁じられていて、例として、社内で給与の高い人の基本給を全員の基本給のように表示することが挙がっています。残業時間の数字の例は挙がっていません(「令和4年 改正職業安定法Q&A」)。全社の平均が配属先の残業と違っていたことを、すぐに「嘘」と呼べるとは限りません。
よくある質問
求人票の残業時間が嘘だったら違法ですか
求人での虚偽や誤解を生じさせる表示は職業安定法で禁じられていますが、虚偽の例とされているのは意図して実際と違えて書く場合です(上の節)。平均の数字と実際の残業が違ったことが違法に当たるかは個別の事情で判断されるもので、この記事では言い切れません。ハローワークの求人なら、ハローワーク求人ホットライン(03-6858-8609)に相談できます(「ハローワークの求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出|厚生労働省」)。
入社してから話と違ったらどうなりますか
労働基準法には、契約の時に明示された労働条件が事実と違う場合、働く人はすぐに契約を解除できる決まりがあります(「労働基準法」 15 条 2 項)。ただ、平均の残業時間は、法令で明示が決まっている項目に入っていないので、そのずれがこれに当たるかは言い切れません。困った時は、ハローワークの求人なら上のホットライン、それ以外は労働の相談窓口に相談してください。
特別条項ありの会社は、何時間まで残業がありえますか
特別条項があっても上限があります。休日の労働を含めて月 100 時間未満・2〜6 か月の平均で 80 時間以内、時間外労働だけで年 720 時間以内、45 時間を超えられるのは年 6 か月までとされています(「労働基準法」 36 条)。ただし、業務によっては別の上限や例外があります(新技術・新商品などの研究開発、自動車の運転、医師など)。その会社が実際に何回使っているかは、面接で「去年、45 時間を超えた月は何回ありましたか」と聞いて確かめます。
離職率はどこで分かりますか
中途の求人で、離職率を示す決まりはありません。求めに応じて採用や定着の状況などの職場情報を出す決まりがあるのは、新卒などを条件にした募集です(「青少年の雇用の促進等に関する法律」 13 条・14 条)。中途の応募者が離職率を尋ねるのは自由ですが、答えるかは会社しだいです。手がかりは、しょくばらぼや会社の公表データ、301 人以上の会社の中途採用比率、口コミです。当サイトの掲載求人でも、離職率や定着率を数字で書いている会社は 5% 未満でした。
残業のことを聞くと、面接で落ちますか
聞き方で評価がどう変わるかを示す材料は見つかりませんでした。ただ、労働時間は、職業安定法で募集の時に示すことになっている労働条件の 1 つです(5 条の 3)。聞き方は面接の節の表にまとめました。聞きにくければ、エージェントに先に聞いてもらう方法もあります。
この記事の数字について
当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日時点で掲載中の求人すべてについて、勤務時間・休日・給与・仕事内容などの欄の文章から残業の書き方を拾い、その書き方の求人を 1 件以上出している会社を数えたものです。割合は 5% 単位に丸めました。判定は求人票に書いてあるかどうかで、書かれた数字が実態と合っているかは確かめていません。当サイトの掲載求人は取り込み元や掲載の多い会社で構成が決まるので、日本の求人全体の割合ではありません。
平均残業時間に、管理職を含めるかなどの公的な決まった数え方は確認できませんでした。会社によって数え方が違う可能性があります。
法律の当てはめは条文と厚生労働省の資料の範囲にとどめ、個別の求人が違法か、契約を解除できるかは判断していません。ハローワークの申出の件数は、ハローワークの求人について寄せられた分で、転職サイトやエージェントの求人のずれの量は含みません。
出典は 2026 年 11 月 4 日に確認しました。