転職の判断

役職が下がる転職、年収はどう変わる? 入社後に役職と年収は戻せる?

行きたい会社の求人が役職なしの担当者で、年収も今より下がる課長クラスの人向けに、役職を下げて入るのはどれくらい普通か、年収の差を役職手当・等級・賞与の月数・残業代に分けた時に入社後に戻るのはどれか、役職と年収を入社後に戻せるかを入社前に確かめる 3 つの質問、下げてでも移るかの決め方をまとめました。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・前職が課長だった転職者の 7 割近くは、係長以下か役職なしで入っていること。役職を下げて入るのは珍しくない
  • ・下がる年収には主に役職手当・入社時の等級・賞与の月数・残業代の 4 つが混ざり、役職が付けば戻る部分と、戻らないと考えておく部分があること
  • ・入社後に戻せるかは入る会社の昇格の仕組みと採用の想定で決まり、入社前に聞けること。移るかは、戻らない前提の年収で家計が回るかと、残った場合のこれからとの比べで決めること
目次開く
  1. 01役職を下げて入るのは格落ち? 課長クラスの転職では多数派
  2. 02下がる年収は何が減っている? 役職手当は戻り、賞与の月数は戻らない
  3. 03入社後に役職と年収は戻せる? 昇格の仕組みと、何のための採用かで決まる
  4. 04下げてでも移るかは、戻らない前提の年収で決める
  5. 05内定の条件で見るのは 4 か所
  6. 06よくある質問
  7. 07但し書き

課長代理や課長として働いていて、行きたい会社の求人を見つけた。ところがポジションは役職なしの担当者で、提示された年収も今より下がる。周りには「格落ちだ」と言われ、下げてでも移るべきか、下がった年収と役職は入ってから戻せるのかで迷っている。

役職を下げて入るのは、課長クラスで転職した人の多数派です。国の転職者実態調査(令和 7 年)では、前の会社で課長だった転職者のうち、移った先でも課長以上だった人は約 3 割で、7 割近くは係長以下か役職なしで入っています。

年収の差には、主に次の 4 つが混ざっています(ほかの手当の差が入ることもあります)。入社後に戻るかどうかは、中身ごとに違います。

下がる部分何が起きるか入社後に戻るか
役職手当役職が無ければ付かない役職が付けば戻る
入社時の等級(基本給の帯)今より下の等級に置かれる。賞与が基本給の何か月分で決まる会社なら、賞与も下がる昇格しないと戻らない
賞与の月数会社の制度で決まる戻らないと考えておく
残業代いま残業代が付かない扱いなら、入社後は付くのが普通年収の差を縮める。ただし提示年収に見込みが入っていれば縮まない

下げてでも移るかは、戻らない前提の年収で家計が回るかで決めます。比べる相手は今の年収ではなく、今の会社に残った場合のこれからの年収と働き方です。

役職を下げて入るのは格落ち? 課長クラスの転職では多数派

前の会社で課長だった転職者のうち、移った先で係長か役職なしだった人は 69.9% です。移った先で正社員の人に限っても 65.1% でした(転職者実態調査 令和 7 年、「第36表 現在の勤め先での就業形態、直前の勤め先と現在の勤め先の役職間の移動状況」、厚生労働省)。年齢では分けていない数字ですが、課長クラスで動いた人の多くが役職を下げて入っている、とは言えます。役職ごとの内訳と、課長のまま移れる約 3 割の読み方は「管理職の転職は難しい?」に書きました。

「格落ち」は、今の会社の中での物差しです。次に転職する時、「課長代理 → 担当者」という経歴がどう見られるかを測った調査は見当たりません。見る側が気にするのは肩書の上下より、なぜ移り、移った先で何をしたかだと考えます。

そもそも役職の階層の数は会社で違います。課長代理は、会社によって課長相当にも係長相当にも数えられます。役職を細かく分けている会社の課長代理と、役職の少ない会社の「役職なし」は、肩書だけでは比べられません。比べるなら、部下や案件をどこまで任されるかと、給料の中身です。

下がる年収は何が減っている? 役職手当は戻り、賞与の月数は戻らない

提示年収の差には、役職手当・入社時の等級・賞与の月数・残業代が混ざっています。今の源泉徴収票と給与明細を基本給・役職手当・その他の手当・賞与に分け、内定の条件も同じ分け方で並べると、差の大部分がどれかが分かります。

役職手当は、支給された人の平均で月 4 万 3,500 円です(令和 6 年 11 月分。「令和7(2025)年就労条件総合調査の概況」、厚生労働省)。12 か月で 50 万円前後です。差が 100 万円なら、平均的な役職手当で説明できるのは半分ほどで、残りは入社時の等級や賞与の月数の差、ほかの手当の差、提示年収に入った残業代の見込みなどから来ていると考えられます。役職手当は役職が付けば戻ります。

入社時の等級は、役職とは別の物差しです。担当者として入っても、どの等級(基本給の帯)に置かれるかは会社が決めます。賞与が基本給の何か月分で決まる会社なら、等級が下がると賞与もいっしょに下がります。この部分の年収は、役職が付くだけでは元に戻らず、等級が上がる(昇格する)まで下がったままです。

賞与の月数は会社の制度で決まります。等級や評価で月数が変わる制度もありますが、入社前に見積もる時は、戻らないものとして置いておくのが安全です。月給が同じでも賞与の月数で年収がどれだけ変わるかは「40代の転職で年収は下がる?」に計算例があります。

残業代は、差を縮めるかもしれませんが、縮むとは限りません。いま残業代が付かない扱い(管理監督者)なら、役職なしで入れば残業代の対象になるのが普通です。管理監督者に当たるかは肩書ではなく、権限や立場の実態で決まります(「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」、厚生労働省)。ただ、提示年収に残業代の見込みがもう入っているなら、差は縮みません。提示年収に残業代が含まれているか、含まれているなら何時間分かによって、比べ方が変わります。固定残業代込みの月給の比べ方は「固定残業代込みの月給30万円は今より上?」にあります。

国の統計で見ると、40〜44 歳で転職した人のうち前職より賃金が減った人は 27.4%、増えた人は 44.9% です(「令和7年雇用動向調査結果の概況」 表6、厚生労働省)。役職の上下を区別していない数字なので、下がる側にいる人は珍しくない、という程度に受け取れる数字です。年齢ごとの増えた人・減った人の割合は「転職の年収相場」で比べています。

入社後に役職と年収は戻せる? 昇格の仕組みと、何のための採用かで決まる

中途で入った人が何年で係長や課長になるかを追った公的統計は、見当たりませんでした。転職した時点の役職を聞いた調査はあっても、その後の昇格を追ったものは見当たりません。「平均何年」という目安は出せません。

戻せるかどうかは入る会社の昇格の仕組みで決まるので、入社前に聞けば見当がつきます。面接で「実績次第で早めに上も目指せる」と言われたら、確かめるのは次の 3 つです。

  • 昇格はいつ、どう決まるか(年に何回の審査か、等級ごとに最低何年いる決まりがあるか)
  • 中途で入った人が係長・課長になった例があるか、あるなら入って何年目くらいか(「管理職候補」の求人で、候補のまま上がれないかを確かめる時と同じ質問です)
  • この採用は、将来その部署を任せる人を想定しているのか、担当者を補う採用なのか

なかでも大事なのは 3 つ目です。将来その部署を任せる人を想定した採用なら上への道があり、担当者を補う採用なら、上の席が空くまで時間がかかるかもしれません。増員の採用でも、後から席が作られることはあるので、推測せずに聞くのが早道です。

聞いた答えは、メールなど形に残る方法でもらっておくのがおすすめです。面接で口頭で言われた「早めに上も目指せる」は、時期も条件も記録に残らないことがあるからです。法令で入社時に示すよう決まっている労働条件には「昇給」の決まりが入っていますが、書面で渡す義務の対象からは外されています(「労働基準法施行規則」 5 条)。昇格や役職の見込みは、示すよう決まっている項目に挙がっていません。それでも入ってから上司が替わることはあるので、聞いた答えは見込みで、約束ではありません。

下げてでも移るかは、戻らない前提の年収で決める

考えることは 2 つあります。

1 つ目は、戻らない前提の年収で家計が回るかです。等級の差と賞与の月数の差はこの先も続くものとして計算し、役職手当が戻る分や残業代が付く分は、うまくいった時の上乗せとして計算に入れないでおきます。その年収で住宅費や教育費が回らないなら、移る理由にどれだけ納得していても、無理をしない方がいいでしょう。どこまで下がったらやめるかの線は統計からは出せず、家計から決めるしかありません。

2 つ目は、下げて手に入るもの(仕事、会社の先行き、働き方)が、その差に見合うかです。比べる相手は、今の会社に残った場合の、この先の年収と働き方です。今の年収がこの先も続くとは限らないなら、今の年収と比べるより、残った場合と移った場合でこの先の年収と働き方がどうなるかを比べた方が、判断しやすくなります。

聞いた結果、将来の管理職は想定していない採用だと分かったら、役職手当の分も戻らない側に入れて計算し直します。そのうえで、怖いのが年収なのか肩書なのかを分けて考えます。年収なら、計算で答えが出ます。肩書なら、それは人と比べた時の話です。それよりも、移った先で自分が中心になって進め、成果として説明できる仕事があるかの方が、後々の評価につながると考えます。

家族には、提示額と今より下がる額、そのうち役職手当の分まではもう分かっていて、提示額に残業代が入っているか、賞与が何か月か、入社時の等級と昇格の決まりはこれから次の面談で聞く、と伝えると話がかみ合います。戻らない前提の年収で家計を見るのは、その答えが出てからです。「下がってまで行く意味」を聞かれたら、残った場合のこの先と比べる話だと先に伝えておくと、話がすれ違いにくくなります。

この 1 社の求人だけを見て決める必要もありません。役職付きで入れる求人を並行して見ておくと、比べる材料が増え、この会社が「役職を下げてでも行く会社か」を判断しやすくなります。

内定の条件で見るのは 4 か所

  • 月給の内訳: 基本給と手当が分かれているか。固定残業代が入っていないか
  • 賞与: 年何か月か、昨年の実績はいくらか
  • 残業代の扱い: 付くのか。提示年収に何時間分入っているか
  • 入社時の等級・職位と、昇給・昇格の決まり: 書面に無ければ、聞いて答えをメールでもらう

よくある質問

降格された後の転職は不利? 職務経歴書に書く?

この記事は、自分で役職の低い求人を選ぶ転職の話で、降格処分を受けた後の転職は扱っていません。役職を下げて入った経歴が次の転職でどう見られるかを測った調査は見当たりません。職務経歴書には、各社で就いていた役職をそのまま書きます。

給料が下がったけど転職して良かったと思う理由は?

良かったと思う理由は人それぞれで、体験談を一般化することはできません。年収が下がること自体は珍しくなく、40〜44 歳で転職した人のうち、前職より賃金が減った人は 27.4% でした(「令和7年雇用動向調査結果の概況」 表6)。良かったと思えるかは、年収と引き換えに手に入れたもの(仕事、会社の先行き、働き方)が、下がった分に見合ったかで決まります。

管理職から一般職(役職なし)に移って後悔しない?

役職なしで入る側の後悔は、主に年収と、入社後の扱いに関するものです。年収は、戻らない前提で家計が回るかを入社前に見ておけば、後で驚くことは減らせます。入社後の扱いは、昇格の決まりと、何のための採用かを聞いておくことで見当がつきます。管理職そのものを降りたい人の後悔や、社内で降りる道との比べ方は「管理職を降りたい。社内で降格を願い出るか、転職するか?」に書きました。

課長代理は管理職経験として書ける?

課長代理の扱いは会社で違うので、肩書より、誰の何をどこまで任されていたかを書く方が伝わります。職務経歴書でのマネジメント経験の書き方は「職務経歴書のマネジメント経験、人数と達成率だけで伝わる?」にあります。

役職を下げて入った人が、入社後すぐ降格・減給されることはある?

入社後の降格や減給がどれくらい起きるかの統計は見当たりません。入る前にできるのは、条件を書面で受け取り、聞いた昇格の見込みもメールなど形に残しておくことです。

但し書き

  • 転職者実態調査の役職の移動(第36表)は年齢を分けていません。課長代理がどの区分に数えられたかは、調査票の定義を確かめていません
  • 役職を下げて入った人だけの賃金の変化や、その後の昇格を追った統計は見当たりませんでした(転職者実態調査の賃金の変化は、現在の役職だけで分けています)
  • 雇用動向調査の賃金の増減は、役職の上下を区別していません。賃金に賞与が含まれるかは、この記事では確かめていません
  • 役職手当の額は支給された人の平均で、役職ごとの内訳はありません
  • 労働条件の明示の話は法令の文言の紹介で、口約束の効力などの法的な判断ではありません。管理監督者に当たるかも、個別の会社の実態で決まります
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  • 出典はいずれも 2026 年 11 月 4 日に確認しました
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