転職の判断
管理職を降りたい。社内で降格を願い出るか、転職するか?
管理職を降りたい人向けに、社内で降格を願い出るか転職するかの分かれ目をまとめました。つらいのが管理職の役割なのか会社のやり方なのかでどちらが向くか、降りた後の満足度の変わり方、社内で降りた時の給料の決まり方と残業代、管理職のまま会社を変える道、上司への切り出し方を載せています。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・社内で降りるか転職するかは、つらさの元が「役割」か「上の人・会社のやり方」かで分かれること。降りた人の満足度は一度下がり、時間がたつと戻ること
- ・社内で降りた時の給料の下がり方は、賃金規程に定めがあれば申し出る前に見当がつくこと。転職なら管理職のまま会社を変える道もあり、年収は残業代を分けて比べること
- ・上司に「現場に戻れるか」と質問の形で切り出す方法と、数字が分かる前の家族への話し方
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部下の評価と、上から降りてくる数字との板挟みがつらい。管理職を降りたい。ただ、社内で降格を願い出るのがいいのか、転職して入り直すのがいいのか、そもそも管理職を降りたいのか、会社を辞めたいのかも、自分ではっきりしない。
どちらの道が合うかは、つらさの元で分かれます。部下を評価する、数字を背負って上と下に挟まれる、という管理職の役割そのものがつらいなら、社内で降りられるかを先に確かめます。現場に戻れば、つらさの元が外れるからです。上の人や会社のやり方(目標の降り方、未達の詰め方)がつらいなら、社内で降りても同じ上司と同じ会議の下に残ります。この場合は転職が本命で、しかも役職なしと決める必要はなく、管理職のまま、やり方の違う会社に移ることも選べます。両方がつらい人は、いちばんつらいのがどちらかで決めます。
| 道 | 向く人 | 先に分かること | 残るもの |
|---|---|---|---|
| 社内で降りる | 評価・詰め・板挟みという役割そのものがつらい人 | 降りた後の給料(賃金規程に定めがあれば) | 同じ職場の上司・元の部下、周りの目 |
| 転職する | 上の人・会社のやり方がつらい人 | 求人ごとの条件だけ(応募してみないと分からない) | 入社後に上司が替わる可能性 |
降りて後悔するかについては、役職を外れた人の調査で、満足度は降りた直後に一度下がり、時間がたつと降りる前と同じくらいに戻っています。自分から降りた人では「解放された」が 40.1%、「失望」は 6.3% でした(「ポストオフの新常識 人と組織のあらたな関係」、リクルートワークス研究所)。
管理職を降りて後悔する? 満足度は一度下がり、時間がたつと戻る
リクルートワークス研究所が 2025 年 12 月に、役職を外れた当事者 1,200 名に聞いた調査があります。回答者の 8 割強は 45 歳以上で、30 代後半〜40 代前半の人にそのまま当てはまる数字ではありません。それでも、降りた後に気持ちがどう変わるかの傾向は分かります。
仕事に不満がある人の割合は、降りる前 36.3% → 降りた直後 43.2% → 調査時点 33.0% でした。直後に一度悪くなり、その後は降りる前より少し良いところまで戻っています。
降りたことをどう受け止めたかは、自分から降りたか、会社の判断で外されたかで違います。
| 受け止め | 自分から降りた人 | 会社の判断で外された人 |
|---|---|---|
| 解放された | 40.1% | 22.5% |
| 失望 | 6.3% | 24.6% |
| 仕事へのモチベーションを維持できている | 40.8% | 34.6% |
| キャリアの将来展望を描けている | 34.5% | 23.0% |
ただし、周りからの期待や評価については、下がったと答えた人が半数を超えます。50〜64 歳で役職を外れた 766 名の調査では、降りる前と比べて「周囲からの期待の大きさ」が下がったと答えた人が 56.1%、「人事評価」が下がった人が 51.2% でした(「ポストオフ経験に関する意識調査」、リクルートマネジメントソリューションズ、2021 年公開)。周りの見方が変わることは、どちらの道でも避けられません。社内で降りるなら、次の節で書くように、降りた後の自分の役割を先に決めておくと立ち位置がはっきりします。
社内で降りるなら、給料の下がり方は賃金規程から見当をつけられる
社内で降りる利点は、降りた後の給料に申し出る前に見当がつくことです。役職を外すかどうかは会社が人事として決めるのが一般的で、給料を下げる変更には本人の合意が要ります(「労働契約法」 8 条)。合意しても、就業規則の基準を下回る部分は無効になり、基準どおりになります(同 12 条)。つまり、規程の基準を下回る給料にはなりません。賃金規程(等級表や手当の定め)に役職を外れた時の扱いが書いてあれば、申し出る前にどこまで下がるかの見当がつきます。転職だと、条件は求人ごとにしか分かりません。
下げ方は会社で違います。前の節のワークス研究所の調査で人事担当者に聞いたところ、役職を外れた人の給料の決め方は「即時降格・減給」30.4%、「役職手当のみ削減」19.2%、「段階的引き下げ」17.4% でした(「ポストオフの新常識 人と組織のあらたな関係」)。役職手当だけ外れる会社もあれば、等級ごと下がる会社、少しずつ下げる会社もあります。
年収がどう変わるかは、賃金規程を見れば次の 3 つの足し引きで見積もれます。
- 役職手当が外れる分: たとえば月 5 万円なら年 60 万円。役付手当などを支給された人の平均は月 4 万 3,500 円でした(令和 6 年 11 月分、役職別の内訳はなし。「令和7(2025)年就労条件総合調査の概況」)
- 等級が下がる場合: 基本給と賞与の差
- 残業代が付く分: いま管理監督者として残業代が付かない扱いなら、降りると残業代の対象になりえます。額は降りた後の給料と残業時間しだいです。管理監督者に当たるかは、肩書ではなく権限や立場の実態で決まります(「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」)
規程が手元で見られないなら、切り出す時に上司から人事に確かめてもらう形にできます(次の節)。
給料のほかに決めておきたいのが、降りた後の自分の役割です。同じ調査で、役職を外れた人の役割を「特に明確な役割定義はない」と答えた会社が 17.8% ありました。「数字を持つプレイヤーとして戻る」「新人の同行を受け持つ」のように、上司と決めてから降りると、元の部下や周りの人にとっても立ち位置がはっきりします。
もう 1 つ、課長のまま何なら変えられるかも聞いておく価値があります。部下の人数を減らす、評価の一部を上の人と分ける、などです。ただ、つらいのが評価や詰めそのものなら、管理職である限りほぼ外れません。それでも聞いておくと、社内でできることは確かめたと納得してから次に進めます。
転職するなら、管理職のまま会社を変える手もある
上の人や会社のやり方がつらい人は、転職でも役職を下げると決めなくてかまいません。部下を育てる、評価するという仕事自体が嫌でないなら、まず管理職のまま、目標の決め方や詰め方が違う会社に移ることを考えます。役職を下げるかは、その後に考えれば足ります。
転職で賃金が下がるとは限りません。40〜44 歳で転職した人の、前の職場と比べた月の賃金は「増加」44.9%、「減少」27.4% でした(「令和7年雇用動向調査結果の概況」)。この賃金は残業代を含み賞与を除いた月の額で、役職が上がったか下がったかは区別されていません。自分の場合にどうなるかは、求人の固定給、歩合があればその計算方法、残業代の扱いで確かめます。歩合がある求人なら、歩合は上振れとして考え、固定給だけで家計が回るかを先に見るのが安全です。
役職なしの求人と比べる時は、残業代を分けて見ます。いま管理監督者の扱いで残業代が出ていないなら、役職なしの職場では残業代の対象になりえます。求人票の年収に残業代が含まれているか、別に付くかを確かめてから、いまの年収と比べます。管理職の求人に移る場合も、管理監督者に当たるかは肩書でなく実態で決まるので、残業代の扱いは求人ごとに見ます(役職が付いても残業代が付く場合の話は「管理職候補」の記事にまとめました)。
面接では、次のことを聞いておくと、転職先で同じ悩みを抱えないための手がかりになります。
- 役職なしで入るなら: この採用は将来の管理職を想定しているか。想定されていると、いずれ同じ立場を求められることがあります
- 上のやり方を避けたいなら: 課の目標はどう決まるか、根拠を出して上と調整する余地はあるか。未達の月の会議ではどんな話になるか。このポジションが空いている理由(前任者が上のやり方で辞めていないか)。できれば直属の上司になる人と話します
答えは手がかりで、会社のやり方を見抜けるとは限りません。入社後に上司が替わることもあります。
辞める理由は、上司個人の話でなく仕事の進め方の話にします。「上司が合わない」と言う代わりに「目標の決め方と未達の扱い方」を挙げます。「数字に厳しいのはどこも同じ」と返されたら、厳しさの中身を知りたいと言って、上の質問につなげます。役割がつらくて役職なしを選ぶ人は、「管理職が嫌だった」で終えず、現場でどんな仕事をしたいかまで話します。転職の解説記事では、管理職より現場で働きたいという理由を、専門性や成果といった前向きな動機に言い換えることが勧められています。
上司への切り出しは「現場に戻れるか」という質問にする
社内で降りられるかを確かめる時も、転職を考えている時も、上司への切り出しは、「降ろしてください」というお願いより質問の形にします。「向いていない」と言うと能力の評価の話になり、上司は励ますくらいしか返せなくなるからです。次の順で話します。
- いまの状態: 評価と板挟みがきつくなっている
- 何をしたいか: 現場に戻れば、数字で返せる
- 質問: 現場に戻ることはできるか。その場合、給料や扱いはどうなるか(人事に確かめてもらえるか)
役職を外すかは会社が決め、給料を下げるには本人の合意が要るので、降格の願いは書面を出せば通るものではなく、どのみち上司との話し合いを経ます。本人の申し出で降りる仕組み(「自己申告によるポストオフ」)を設けている会社は、ワークス研究所の人事担当者への調査で 32.8% でした(「ポストオフの新常識 人と組織のあらたな関係」、複数回答)。仕組みが無ければ個別の相談になり、応じるかは会社が決めます。現場に戻れるかを聞いただけなら、その後に転職を選ぶこともできます。気まずさが残ることはあります。
降りた後の給料や転職先の額が分かるまでには時間がかかるので、家族には、数字が分かる前に話してかまいません。決まっていない話をまとめて伝えるより、次の 3 つに分けると伝わります。
- 決まっていること: 仕事がきつい状態が続いている。降りれば役職手当は外れる
- まだ分からないこと: 等級が下がるか、残業代がいくら付くか、転職先の額
- これからやること: 上司に現場に戻れるかを聞く。求人も見る。数字が出たら一緒に決める
「いつ何が分かるか」まで言っておくと、家族も見通しを持てます。
眠れない日が続いているなら、降りるかを決める前に受診と相談を
眠れない状態が続いているなら、降りるかどうかの判断より先に、医療機関の受診と相談をしてください。降りるかどうかは、その後でも決められます。働く人とその家族が使える電話相談に、「働く人の「こころの耳電話相談」」(0120-565-455。平日 17:00〜22:00、土日 10:00〜16:00。受付は平日 21:50、土日 15:50 まで。祝日・振替休日・年末年始を除く)があります。
よくある質問
降格願いは受理されないことがある?
あります。役職を外すかどうかは会社が人事として決めるのが一般的で、申し出に応じるかも会社が決めます。給料を下げる部分には本人の合意が要ります(「労働契約法」 8 条)。書面を出す前に、上司に現場に戻れるかを聞いて、会社の考えを確かめるのが先です。
降格願いの書き方・例文は?
書面の形式は会社ごとに違うので、例文をなぞるより、出すまでの順番を押さえます。先に上司に現場に戻れるかを聞き、降りた後の給料と役割をすり合わせてから、会社の求める形で出します。書く中身は、上司に話した 3 つ(いまの状態、何をしたいか、希望する扱い)と同じで足ります。
管理職をやめてよかったと思う理由は?
ワークス研究所の調査では、自分から降りた人の 40.1% が「解放された」、34.8% が「安堵した」と答えています。週の平均労働時間は、降りる直前 48.4 時間 → 直後 43.2 時間に減り、週 60 時間以上の人は 25.8% → 10.7% になりました(「ポストオフの新常識 人と組織のあらたな関係」)。50〜64 歳の調査の自由記述にも、時間・自由・余裕を得たという趣旨の声があります(「ポストオフ経験に関する意識調査」)。
管理職に向いていないのは甘え?
多くの管理職が、人手不足や業務量の増加を課題に挙げています。企業規模 50 人以上の第 1 階層の管理職 2,000 人への調査(2019 年)では、人手不足 57.5%、後任者不足 56.2%、自身の業務量増加 52.5% を課題に挙げていました(「中間管理職の就業負担に関する定量調査 - パーソル総合研究所」)。管理職でない人のうち「現在の会社で管理職になりたい」と答えた人は 2026 年で 15.7% です(「今後どのようなキャリアを考えていますか? - 働く10,000人の就業・成長定点調査 - パーソル総合研究所」。管理職本人には聞いていない設問)。
一度降りたら、また管理職に戻れる?
戻れるかを測った調査は見当たりません。一度降りて体調を整え、また挑戦する道を勧める声もあります(個人の声)。いつか戻りたいかもしれないなら、降りる時に、将来また役職に就く可能性についても上司と話しておくとよいでしょう。
体調不良・メンタルを理由に降りてもいい?
理由にしてかまいません。ただ、眠れない・体が持たない状態なら、降りるかどうかの判断より先に受診と相談をしてください(上の節)。
但し書き
- 降りた人の数字は、リクルートワークス研究所「ポストオフの新常識 人と組織のあらたな関係」(2025 年 12 月調査、当事者 1,200 名、回答者の 8 割強が 45 歳以上、男性 95.0%)と、リクルートマネジメントソリューションズ「ポストオフ経験に関する意識調査」(50〜64 歳 766 名)から引きました。どちらも 30 代後半〜40 代前半の人より年齢が上で、読者の場合の割合や金額としては読めません。役職を外れた人に多い傾向として使っています
- 自分から降りた人と会社の判断で外された人の差が、自分で選んだから生まれたのか、もともと違う人たちだったからなのかは、調査からは分かりません
- 雇用動向調査の賃金の増減は、残業代を含み賞与を除いた月の額で、年収ではありません。役職の上下も区別されていません
- 次のことは、測った調査が見当たりませんでした。役職を下げて転職した人に限った賃金の変化、採用側が「管理職より現場で働きたい」という理由をどう受け止めるか、社内で降りた経歴が後の転職でどう見られるか、職種・年齢別の役職なしの求人の年収相場(当サイトの掲載求人でも集計していません)。本文でこれらに触れた所は、書き手の判断です
- 管理監督者に当たるか、降りた後の給料が適法かは、個別の会社の規程と実態で決まります。本文は一般的な仕組みの説明で、法的な判断ではありません
- 出典はいずれも 2026 年 11 月 4 日に確認しました