転職の判断

会社の先行きが不安な50代、転職と残るのはどちらが危ない?

会社の業績が心配でも「50代の転職はやめとけ」という記事を読んで迷う人向けに、50代前半の転職で何が厳しいかを公的統計で答えます。やめとけと言われる理由を50代ならだれにでも当てはまるものと人や会社で変わるものに分け、業績が悪い会社に残る場合の危険、転職先の条件を何と比べればいいか、動く前に確かめることを載せました。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・50代前半でも転職する人は毎年いて、移った人の4人に3人は正社員。厳しいのは決まるかより、年収などの条件であること
  • ・「やめとけ」の理由を、50代ならだれにでも当てはまるものと人や会社で変わるものに分けた一覧と、業績が悪い会社に残った場合の危険
  • ・転職先の提示額を今の年収ではなく残った場合の年収と比べる考え方と、会社に変化が出ている時・まだ漠然と不安な時の動き方
目次開く
  1. 01「やめとけ」は言いすぎ。厳しいのは決まるかより条件
  2. 02「やめとけ」の理由は、50代ならだれにでも当てはまるものと、人や会社で変わるものに分かれる
  3. 03業績が悪い会社に残るのも、安全な選択ではない
  4. 04比べる相手は、今の年収ではなく残った場合の年収
  5. 05動くなら、何から確かめればいい?
  6. 06よくある質問
  7. 07この記事の数字について

賞与が減った、早期退職の話が出ている、取引先が減ってきた。あるいは、まだ具体的な動きはないが、会社の業績が悪いという話だけが耳に入ってくる。転職を考えて調べると、「50 代の転職はやめとけ」「年収が下がる」という記事ばかりが出てきて、動けずにいる。

「やめとけ」は言いすぎです。50〜54 歳で転職した人の 4 人に 3 人(76.7%)は、正社員で採られています(厚生労働省「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」)。ただ、賃金などの条件は下がることがあります。2025 年に転職した 50〜54 歳のうち、前の会社より賃金(賞与を除く月の賃金)が減った人は 42.0% で、増えた人(29.4%)より多くなっていました(厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」)。50 代の転職で厳しいのは、決まるかどうかより条件のほうです。

転職先の条件を比べる相手は、今の年収ではなく、会社に残った場合の年収です。業績が悪い会社に残るのも、安全な選択ではありません。賞与の減額や早期退職の話など、会社に変化が出ているなら、辞める前に、在職中に転職先の条件を確かめて、残った場合と並べてから決めます。

「やめとけ」は言いすぎ。厳しいのは決まるかより条件

50 代に入っても、転職する人は毎年います。2025 年の男性の転職入職率(1 年のうちに転職して入った人の割合)は、50〜54 歳で 4.7% で、45〜49 歳(6.0%)、55〜59 歳(5.8%)と大きくは変わりません(厚生労働省「-令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況-」)。移った先も、50〜54 歳では 76.7% が正社員です。

年齢で差が出るのは、転職先での条件です。転職した 50〜54 歳のうち、前の会社より賃金(賞与を除く月の賃金)が減った人は 2025 年に 42.0%、増えた人は 29.4% でした(厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」)。ただし前の年(2024 年)は増えた人のほうが多く、増えた人が 39.0%、減った人が 28.2% でした。50 代前半では、増えた人と減った人のどちらが多いかが年によって入れ替わっていて、必ず下がるとは言えません。ただ、減る人が多い年もあるので、家計は下がる前提で見ておきます。

55〜59 歳で転職した人では、50 代前半との差がもう少しはっきり出ます。正社員で採られた人は、50〜54 歳の 76.7% に対し 55〜59 歳は 61.4% で(厚生労働省「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」)、賃金は 2024 年・2025 年の 2 年続けて、減った人が増えた人より多くなっています。ただ、54 歳までに動けば下がらない、とまでは言えません。転職する人の割合も、男性では 55 歳を過ぎて減ってはいません。

「やめとけ」の理由は、50代ならだれにでも当てはまるものと、人や会社で変わるものに分かれる

「やめとけ」の記事が挙げる理由には、50 代ならだれが動いても当てはまるものと、人や会社によって当てはまらないものが混ざっています。前者は避けられないので、条件として織り込んで比べます。後者は、自分の場合を確かめられます。

理由どんな厳しさか50代ならだれにでも当てはまるか
賃金が下がることがある2025 年、50〜54 歳の転職で、賞与を除く月の賃金が 1 割以上減った人は 28.3%年で変わる。2025 年は減った人、2024 年は増えた人のほうが多い
正社員で採られにくくなる正社員で採られた人は 50〜54 歳 76.7%、55〜59 歳 61.4%55 歳を過ぎると当てはまる。50〜54 歳はまだ全体(73.9%)並み
賃金を年齢で決める会社がある転職者がいる事業所のうち、賃金を決める時に年齢を考えた事業所は 35.3%(製造業 52.4%)当てはまる。年齢の割に経験が求人に合わないと、提示が年齢相応にならないことがある
退職金が減る自己都合で辞めると、定年まで勤めるより少ないのが平均当てはまる。額は会社の規程で決まる
経験が合う求人が少ない今までの仕事を活かせる求人が、通える範囲に何件あるか人と地域で変わる。数えれば分かる
人材紹介で求人が紹介されない人材紹介だけで探すと、紹介される求人が無く、そこで止まってしまう探し方で変わる
役職が付かない課長だった人が、役職無しで入ることがある求人で変わる。入社時の役職は求人と面接で確かめられる
年下の上司・やり方の違い入ってみたら上司が年下だった、前の会社のやり方が通じない会社で変わる。内定の後に確かめられる
何十社も落ちる書類で落ち続けて、心が折れる数字では確かめられない。探し方で変わる部分はある

上の 4 つは、50 代で動く時に織り込んでおくものです(賃金の向きは年で変わり、正社員の割合の差は 55 歳を過ぎてから出ます)。だから「やめとけ」が当たっているかどうかは、この 4 つを織り込んでも、残るより良い条件の転職先があるかで決まります。それを比べる方法は後の節に書きました。

「みじめ」と言われる場面(役職が付かない、上司が年下、何十社も落ちる)は、下の 5 つの側にあります。

課長だった人が課長のまま入れるのは、少数派です。 前の勤め先で課長だった転職者(全年齢・全職種)のうち、転職後も課長以上で入った人は約 3 割でした(厚生労働省「第36表 現在の勤め先での就業形態、直前の勤め先と現在の勤め先の役職間の移動状況」、令和 7 年転職者実態調査)。入社時から課長として採る求人か、課長「候補」かは、求人の題名やポジションの欄に役職が書かれているかで見て、分からなければ面接で確かめます(管理職の転職は難しい? 課長のまま移れるのは約3割)。応募書類や面接では、部下の人数を正直に書いたうえで、何を任され、どう進めたかを足して課長の経験を伝えます(部下のいない担当課長、職務経歴書に「課長」と書いていい?)。

年下の上司は、内定の後の面談で配属先と上司を確かめれば、入る前に分かります。 やりやすいかどうかは、上司の年齢より、部下の話を聞く人かどうかで分かれます(転職先の上司が年下だったら、入社を決める前に何を確かめる?)。

何社受ければ決まるかは、数字がありません。 応募した社数や書類の通過率の公的な統計は見当たらず、「何十社も落ちた」は個人の声です。分かっているのは 50 代がどこで探しているかで、最後の節に書きました。

業績が悪い会社に残るのも、安全な選択ではない

「やめとけ」の記事は、残った場合の危険にほとんど触れません。業績が悪い会社に残ると、早期退職の募集、会社都合の離職、倒産に巻き込まれることがあります。

会社の都合で辞める人は、50 代の後半で増えます。男性の離職者のうち、事業所の「経営上の都合」で辞めた人は、50〜54 歳で 3.4%、55〜59 歳で 9.6% です(2025 年。厚生労働省「-令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況-」)。転職した人の側から見ても、55〜59 歳の 6.6% は倒産・整理解雇などで、6.8% は早期退職優遇制度などで前の会社を辞めています(厚生労働省「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」)。

早期・希望退職は、赤字の会社だけが募るものでもありません。2025 年度に早期・希望退職を募った上場企業は 46 社・計 2 万 781 人で、約 7 割は直近の決算が黒字の会社でした(東京商工リサーチ「2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準」)。中小企業でどれくらい募集があるかの統計は見当たりません。

倒産は、2025 年に全国で 1 万 300 件あり、前の年より増えました。4 分の 3 は負債 1 億円未満の小さな会社です(東京商工リサーチ「2025年(令和7年)の全国企業倒産1万300件」)。

自分の会社がどうなるかは、統計からは言えません。ただ、残るのも安全ではありません。早期退職の募集のように考える時間があるとは限らず、倒産や整理解雇のように、準備する時間が無いまま仕事を失うこともあります。残っている間にも年齢は上がり、55〜59 歳で転職した人は、正社員で採られた割合が 50 代前半より低く、賃金が減った人のほうが多くなっています。

比べる相手は、今の年収ではなく残った場合の年収

転職先の提示額を今の年収と比べると、残る側を実際より良く見てしまいます。業績が悪い会社では、今の年収が続くとは限らないからです。

架空の例で言うと、今の年収が 600 万円で、そのうち賞与が 120 万円の人が、賞与が出なくなりそうだとします。残った場合の年収は 480 万円です。外から 520 万円の提示が来たら、今の年収より下がりますが、残った場合よりは上です。年収が下がるからやめておけ、というのは今の 600 万円と比べた時の話で、比べる相手を 480 万円にすると答えが変わることがあります。提示額も月給と賞与に分けて見ます。賞与の月数の違いで年収がどれだけ変わるかと、提示額の比べ方は40代の転職で年収は下がる? 月給と賞与を分けて見る理由にまとめています。

残った場合の年収は、自分の会社の見通しから見積もります。賞与が減る・出ない見込み、昇給が止まる見込み、役職定年があればその後の年収です。55 歳から 65 歳までの合計を出して、転職先でいくらもらえれば残るのと同じになるかを逆算する計算は、55歳を過ぎたら転職できない? 役職定年の前に、残る場合と出る場合を比べるで例を出しています。

転職先の年収は、応募して提示を受けるまで分かりません。辞める前に在職中に応募して、提示額を手元に持っておきます。収入が途切れるのが怖いなら、なおさら辞める前に次を決めます。

会社に変化が出ている人(賞与が減った、早期退職の話が出ている、など)は、急ぐ理由があります。 早期退職の募集が出た時に、「退職金の上乗せ+転職先の提示額」と「残った場合」をその場で並べられるよう、今のうちに転職先の提示額を受け取っておきます。平均では、早期退職の優遇制度で辞めた人の退職金は、定年で辞めた人より高くなっています(辞め方ごとに勤続年数の構成が違うので、同じ人が辞め方を変えた時の差ではありません)。募集を待つかどうかは、上乗せの額と転職先の提示額が見えてから決めても遅くありません。

まだ漠然と不安なだけの人は、統計から見て急ぐ理由は見つかりません。 ただ、55〜59 歳で転職した人は、正社員で採られた割合が 50 代前半より低く、賃金が減った人のほうが多くなっています。在職中に求人を見て、自分の経験が合う求人があるかを確かめるところから始めます。

動くなら、何から確かめればいい?

確かめることは 3 つです。

今までの経験が合う求人が、通える範囲に何件あるか。 50〜54 歳の転職者が今の会社を選んだ理由は、「自分の技能・能力が活かせるから」45.3%、「仕事の内容・職種に満足がいくから」44.9% が上位で、「キャリアアップできるから」は 12.7% でした(厚生労働省「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」)。50 代は今までの仕事の延長で移る人が多い年代です。たとえば総務・人事・経理を一通りやってきた人なら、管理部門を少人数で回す求人が候補になります。それが地元に何件あるかは、数えるしかありません。

探す窓口を一つに絞らない。 50〜54 歳の転職者が使った方法は、ハローワークなどの公的機関 42.5%、求人サイト・求人誌など 43.9%、企業のホームページ 21.6%、知人・友人などの縁故 20.6% です。民間の職業紹介(人材紹介)は 17.9% で、25〜29 歳(27.7%)より小さい割合です(同じ調査)。人材紹介だけで探して紹介が来なくても、それで道が無いわけではありません。窓口を広げておけば、一つの経路でうまくいかなくても、ほかの経路が残ります。

今の会社の退職金規程で、自己都合で辞めたらいくらか。 早期退職を待つか迷う時も、上乗せのある額や転職先の提示と比べる土台はこの額です。30〜99 人の企業の約 3 割には、退職給付の制度自体がありません(厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」)。

よくある質問

50代で転職できる確率はどのくらいですか?

探した人のうち何割が決まったかを示す公的な統計は見当たりません。あるのは、働いている人のうち 1 年で転職した人の割合で、2025 年の男性の 50〜54 歳は常用労働者の 4.7%、女性は 7.9% です(雇用動向調査)。50 代に入って急に止まる数字ではありません。

転職がきつい年齢は何歳くらいですか?

何歳から急にきつくなる、という線は統計からは引けません。男性の転職入職率は、55〜59 歳でも 50〜54 歳と大きくは変わりません。差が出るのは条件で、55〜59 歳で転職した人は、正社員で採られた人が 61.4%(50〜54 歳は 76.7%)、賃金は 2 年続けて減った人が増えた人より多くなっています。

50代で正社員になった人はいますか?

います。2025 年の調査で、転職した 50〜54 歳の 76.7% は正社員で採られています。ただし、正社員を目指して探した人のうち何割がなれたか、ではありません。採られた人の内訳です。

書類で落ち続けたらどうすればいいですか?

何社受ければ決まるか、書類がどれくらい通るかの公的な統計は見当たりません。言えるのは、50 代の転職者はハローワーク、求人サイト、企業のホームページ、知人のつてを併せて使っている、ということです。人材紹介や一つのサイトだけで探しているなら、窓口を広げます。求人票の「年齢不問」がどこまで本当かの読み方は、「年齢不問」は本当は何歳まで? 40代後半が狙える求人の見分け方にまとめました。

50代で転職して後悔する人は多いですか?

後悔した人の割合を示す統計は見当たりません。近いものとして、転職した 50〜54 歳に今後の希望を聞くと、「今の職場で今後も働きたい」が 58.8%、「機会があれば転職したい」が 14.0%(全年齢では 20.6%)でした。転職した人のその後の気持ちで、転職しなかった人と比べたものではありません。

仕事を辞めてから探すのは危ないですか?

勧めません。辞めると収入が途切れ、比べる相手(残った場合)も無くなります。在職中に求人を見て、提示額を手元に持ってから決めます。「転職しない方がいい人」の特徴に当てはまるかどうかより、在職中に転職先の条件を見て比べるほうが確かです(転職しない方がいい人の特徴に当てはまったら、やめておくべき?)。

この記事の数字について

  • 転職入職率は、1 年間に転職して入った人を、その年の 6 月末の常用労働者で割った値です(雇用動向調査 令和 7 年)。探した人のうち何割が決まったかではありません。本文の 45〜49 歳・55〜59 歳との比較は男性の値です。
  • 賃金が増えた・減ったは男女計の値で、前の会社との比較です(雇用動向調査 令和 7 年・令和 6 年)。金額ではなく、賞与を除いた月々の賃金で比べています。1 割以上減った人の 28.3% も同じ月々の賃金の話で、賞与を含めた年収にそのまま当てはめられません。賃金の定義と全年代の値は転職の年収相場 金額ではなく、賃金が増えた人・減った人の割合を年齢別に比べるにあります。
  • 50〜54 歳の賃金の向きは、令和 6 年と令和 7 年で逆になっていて、年ごとに大きく動きます。
  • 正社員の割合、選んだ理由、探した方法、今後の希望は、令和 7 年転職者実態調査の個人調査で、5 人以上の事業所に 2024 年 10 月〜2025 年 9 月に雇われた転職者の値です(2025 年 10 月 1 日現在)。探した方法は複数回答で、使った方法です。どの方法で決まったかではありません。
  • 年齢を考えて賃金を決める事業所の割合は、同じ調査の事業所調査で、転職者がいる事業所を分母にした値です。
  • 「経営上の都合」の割合は、転職した人に限らない男性の離職者のうち、事業所が回答した離職理由の値です(雇用動向調査 令和 7 年)。
  • 早期・希望退職の数字は上場企業だけの集計で、中小企業を含みません。倒産の 1 万 300 件は、負債 1,000 万円以上の倒産の集計です。
  • 退職金の比較は、勤続 20 年以上・45 歳以上の退職者の平均(大学・大学院卒の管理・事務・技術職。令和 4 年 1 年間の退職者)です。自己都合と定年、早期優遇と定年の比較はどちらも、辞め方ごとに勤続年数の構成が違うので、同じ人が辞め方を変えた時の差ではありません。退職給付制度が無い企業の割合は、30〜99 人の企業の値です(就労条件総合調査 令和 5 年)。
  • 課長以上で入った人の約 3 割は、令和 7 年転職者実態調査の前職と現職の役職の表(全年齢・全職種)によります。年齢・職種で分けた表は無く、50 代や総務に限った割合は分かりません。
  • 本文の年収の例(600 万円、120 万円、480 万円、520 万円)はすべて架空です。
  • 「統計が見当たらない」と書いたものは、2026 年 11 月 4 日時点で確認できた範囲での話です。
  • どの数字も 50 代全体の値で、特定の職種・業種・会社の規模に限ったものではありません。自分の会社がどうなるかは、これらの統計からは分かりません。
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