市場価値と年収
適正年収は平均では分からない 自分の年収が上から何%かを出す
年収診断で出た金額が低い気がする。平均年収と比べても高いか低いかは決まりません。国税庁の統計から、自分の年収が正社員の中で上から何%かを出し、いまの職種の求人で下の端がその額以上の募集がどれくらいあるかを確かめる手順です。登録は要りません。
公開 2026年9月19日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・年収診断で出た金額も平均年収も、それだけでは高いか低いかを決められない
- ・自分の年収を表の2行で挟むと、正社員の中で上から何%〜何%かが出る
- ・もらっている人の分布と、いま出ている募集の下の端は別の数字
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年収診断を受けたら 480 万円と出た。いまの年収が 450 万円だから、少しは上がるということなのか。それとも 480 万円でも低いのか。判断がつかないまま、平均年収の数字を探しに行く。
平均と比べても、高いか低いかは決まりません。平均は真ん中の人の金額ではないからです。代わりにやるのは、自分の年収を表の 2 行で挟むことです。450 万円なら、400 万円は超えていて 500 万円は超えていない。そこから「正社員の中で上から 47%〜67% のあいだ」という位置が出ます。
例に使うのは架空の経歴です。34 歳、正社員、いまの年収は 450 万円。カスタマーサポートを担当していて、勤務地は大阪。会員登録は要りません。
自分の年収が、正社員の中で上から何%かを出す
国税庁が毎年出している調査に、正社員(正職員)の年間給与を階級ごとに数えた統計表があります。1 年を通じて勤務した正社員 3,430 万人が対象です。この人数から、それぞれの金額を超える人が全体の何%かを計算すると、こうなりました。
| 年間給与 | その額を超える人の割合 |
|---|---|
| 300 万円 | 86% |
| 400 万円 | 67% |
| 500 万円 | 47% |
| 600 万円 | 31% |
| 700 万円 | 21% |
| 800 万円 | 14% |
| 900 万円 | 9% |
| 1,000 万円 | 7% |
国税庁『民間給与実態統計調査』令和 6 年分の第 6 表その 1(正社員)の人数から計算しました(統計表の一覧、2026 年 9 月 19 日確認)。役員と、正社員以外(パート・アルバイトなど)は含みません。
読み方は 2 通りです。自分の年収が行と行のあいだにあるなら、その 2 行の割合のあいだが自分の位置です。450 万円なら 47%〜67% のあいだ。行の金額とちょうど同じなら、その額を「超えて」はいないので、1 つ下の行の側を取ります。500 万円ちょうどの人も 47%〜67% のあいだです。
この幅が 47% から 67% にまたがっていても、真ん中あたりという意味にはなりません。ちょうど半分に分かれる金額は別に出せます。500 万円以下に 53%、400 万円以下に 33% が入るので(表の 47% と 67% の裏返しです)、半分の位置は 400 万円台の後半、階級の中で金額が均等に散らばっていると仮定して按分すると 485 万円あたりになります。450 万円はそれより下で、正社員の中では下半分にいます。同じ按分をすれば自分の位置も 1 点で出せて、450 万円なら上から約 57% です。
正社員以外の働き方をしている人は、この表では位置が出ません。この記事の後半で使う、求人の下の端を数える方法は雇用形態に関係なく使えます。
平均と比べたときとは、印象が変わります。正社員の平均給与は 545 万円、雇用形態を問わない給与所得者全体の平均給与は 478 万円です(令和 6 年分の調査結果、2026 年 9 月 19 日確認)。平均が真ん中より高くなるのは、1,000 万円を超える人が 7%、800 万円を超える人が 14% いて、高い側の金額が平均を引き上げるからです。平均との差だけを見ていると、自分が下半分にいるのか上半分にいるのかは分かりません。
男女別に計算すると、500 万円を超える人は男性の正社員で 57%、女性の正社員で 28% でした(同じ第 6 表その 1 から計算、2026 年 9 月 19 日確認)。ただしこの差は、年齢・職種・地域・企業規模のどれもそろえていない数字の差です。自分の位置を出すときは、男女別ではなく上の合計の表を使ってください。
診断が出す「適正年収」は、この表と比べられるのか
表に当てる自分の数字は、源泉徴収票の「支払金額」です。この統計でいう給与は、1 年間の支給総額(給料・手当及び賞与の合計額で、給与所得控除前の収入金額)と定義されていて、通勤手当などの非課税分は含みません(民間給与実態統計調査の用語の解説、2026 年 9 月 19 日確認)。残業代も賞与も入った額面で、手取りではありません。
「平均年収」の数字が資料によって食い違うのは、測っているものが違うからです。厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』でいう賃金は、調査した年の 6 月分の所定内給与額で、時間外・深夜・休日出勤などの超過労働給与を差し引いた額です。賞与は入っていません。令和 7 年の結果は、一般労働者(短時間労働者を除く常用労働者)の男女計で月 34.06 万円でした(主な用語の定義と第 2 表、2026 年 3 月 24 日公表、2026 年 9 月 19 日確認)。パート・アルバイトを含む国税庁の数字とは、対象も中身も別です。
では診断が出す「適正年収」はどちらなのか。doda の年収査定、ビズリーチの年収可能性診断、転職ドラフトのエンジニア年収診断の 3 ページを 2026 年 9 月 19 日に見た範囲では、出す金額に残業代や賞与が含まれるかの記載は見当たりませんでした(doda の「適正年収の算出方法」は画像なので、文字としては読めていません。各社がヘルプなど別のページで説明している可能性はあります)。中身の分からない金額を、中身の分かっている統計と突き合わせることはできません。
そもそも診断の金額は、その人に払われるべき額として決まったものではありません。ビズリーチの年収可能性診断は、わかることとして「あなたに似たキャリアの会員の、『一般的な年収(中央値)』と『上位の年収(上位20%、5%)』がわかります」と書き、そのうえで「当診断のデータは、ビズリーチの会員データを使用しているため、一般的な統計調査とは異なる場合があります」「診断結果は、あなたの実際の年収を保証するものではありません」と注記しています(2026 年 9 月 19 日確認)。出す側が 1 つの金額ではなく中央値と上位の幅で示していて、母集団が自社の会員であることも明記している、ということです。
ぶれの大きさを数字で公表しているサービスもあります。転職ドラフトを運営するリブセンスは、エンジニア年収診断の予測モデルについて、転職ドラフトのスカウトで実際に提示された年収をどれだけ言い当てられるかを測り、誤差は平均 96 万円だと書いています。あわせて「転職ドラフトスカウトに参加したときに得られる提示年収を保証するものではありません」とも説明しています(転職ドラフトの年収診断機能の仕組みと注意点、2026 年 1 月 16 日公開、2026 年 9 月 19 日確認)。IT エンジニア向けのモデルが、そのサービス内の提示年収に対して持つ誤差で、他のサービスの精度でも、市場の年収に対する誤差でもありません。
診断で 480 万円と出たなら、その金額を自分の値打ちとして受け取るのはやめてください。表に当てるのは診断の金額ではなく、源泉徴収票の支払金額(この例では 450 万円)です。480 万円という数字は、位置を出す作業の入口として使えば足ります。
年代で水準がどれだけ動くか
上の表は、20 代も 50 代も一緒に並べた位置です。年齢をそろえた数字も、同じ調査から取れます。
| 年齢階層 | 平均給与 |
|---|---|
| 25〜29 歳 | 407 万円 |
| 30〜34 歳 | 449 万円 |
| 35〜39 歳 | 482 万円 |
| 40〜44 歳 | 516 万円 |
| 45〜49 歳 | 540 万円 |
| 50〜54 歳 | 559 万円 |
同じ調査の第 11 表その 3、1 年を通じて勤務した給与所得者の年齢階層別の平均給与です(2026 年 9 月 19 日確認)。合計は 478 万円で、さきほどの平均給与と同じ集計です。男性だけなら 30〜34 歳は 512 万円、40〜44 歳は 630 万円、女性だけなら 362 万円と 359 万円です。
この表はパート・アルバイトを含む平均なので、正社員の 450 万円をここに当てて「同年代と同じくらい」と読むことはできません。全体の平均が 478 万円に対して正社員だけなら 545 万円なので、正社員にそろえれば同年代の水準もこの表より上になります。正社員だけの年代別の平均は、この調査の統計表には無く(2026 年 9 月 19 日に統計表の一覧を確認)、「同年代の正社員の中で上から何%か」も出せません。雇用形態別に出ているのは全年代の合計で、年齢階層別に出ているのは雇用形態を分けない平均だからです。
この表から読み取れるのは水準が動く向きと幅で、25〜29 歳と 50〜54 歳では 150 万円ほど違います。同じ 450 万円でも、20 代なら年代の平均より上、40 代なら下ということです。位置そのものは、次に見る募集の側の数字で確かめます。
いま募集が出ている側の数字
求人票の年収は、たいてい「450 万円〜700 万円」のように幅で書かれています。低い方をここでは下の端、高い方を上の端と呼びます。下の端が自分の年収以上なら、その求人は自分の年収を下回りません。上の端が自分の年収以上なら、その額まで届く可能性はあるという意味で、こちらの方が範囲は広くなります。
当サイト PREVIO に掲載している求人で、下の端が各金額以上のものの割合は、職種ごとにこうなりました。
| 職種 | 400 万円以上 | 500 万円以上 | 600 万円以上 |
|---|---|---|---|
| カスタマーサポート | 約 65% | 約 35% | 約 15% |
| 個人営業 | 約 70% | 約 35% | 約 15% |
| 建築施工管理 | 約 65% | 約 35% | 約 20% |
| 総務 | 約 70% | 約 45% | 約 30% |
| 法人営業 | 約 80% | 約 50% | 約 35% |
| 採用 | 約 85% | 約 55% | 約 40% |
| 経理(財務会計) | 約 85% | 約 65% | 約 50% |
| 職種を問わず全体 | 約 80% | 約 60% | 約 40% |
掲載中の求人のうち、年収の下限と上限がどちらも 100 万〜5,000 万円の範囲で書かれているものを全件集計しました(単位の取り違えとみられる極端な値を外すための範囲です)。職種は掲載時の職種区分で、1 件の求人に複数の区分が付くため、行どうしは重なります。勤務地は絞っていません。割合は 5% 単位に丸めていて、掲載件数は公開していません(2026 年 9 月 19 日時点)。最後の行がここに挙げた職種の多くより高いのは、当サイトの掲載求人に IT・コンサルティング・事業企画の職種が多く含まれていて、それらの下の端が高い側に寄っているからです。
自分の年収で読むときは、最初の表と同じように挟みます。450 万円なら、下の端が 400 万円以上の求人と 500 万円以上の求人のあいだです。カスタマーサポートなら、前者が約 65%、後者が約 35%。いまの年収を下回らない募集の割合は、この 2 つのあいだにあります。
同じ求人を上の端で数えると、500 万円まで出る求人は全体の約 90%、カスタマーサポートで約 75% です。下の端で数えた約 60%・約 35% との差が、求人票の幅のどこを取るかの差になります。
自分の職種が表に無い場合と、勤務地で数字が動くかを確かめたい場合は、自分の見ている求人サイトで同じことができます。市場価値診断の年収はどう読むかに、求人を 10 件開いて下の端を書き出す手順と、上の端の読み方を載せています。
出した 2 つの数字から、希望年収の線を決める
ここまでで、上から何%のあいだか(450 万円なら 47%〜67%、按分すれば約 57%)と、その金額の前後で募集がどれくらいあるか(カスタマーサポートなら下の端 400 万円以上が約 65%、500 万円以上が約 35%)の 2 つが出ました。希望年収を決めるときに見るのは、後者の割合です。
線を 500 万円に置くと、カスタマーサポートで下の端がその額以上の求人は約 35%。この範囲なら、採用された時点で 500 万円を下回りません。上の端が 500 万円以上の求人まで入れれば約 75% に広がりますが、そちらは幅の上の方を取れた場合の話で、届くかどうかは選考次第です。600 万円まで線を上げると、下の端で約 15%、上の端で約 60% になります。
確実に下回らない側の割合が 1 割を切る線を選ぶなら、その金額を出している求人が何を求めているかを先に見ておく必要があります。線を決めたら、その金額以上の求人を数件開いて、応募要件と自分の経歴を突き合わせてください。
この見方で分からないこと
最初の表は、職種も地域も企業規模もそろえていません。同じ 450 万円でも募集の水準は職種でかなり違い、職種別の表でも、下の端が 500 万円以上の求人の割合は 35% の職種から 65% の職種まで開いていました。
求人の割合は、当サイトが掲載している求人の構成であって、日本の求人全体ではありません。求人票に書かれた金額は、内定のときに提示される額そのものでもありません。掲載中の求人のうち、年収の下限か上限のどちらかが書かれていないものが 2 割弱あり、それらはこの集計に入っていません。集計に使えた求人の数は職種によって開きがあるので、数の少ない職種ほど割合は動きやすくなります。
統計の側にも断りがあります。国税庁は、この調査が事業所の支払額を集計したもので、個人の所得全体を示したものではないと書いています。1 人が複数の事業所から給与を受け取っている場合は、別々の給与所得者として数えられます(利用上の注意、2026 年 9 月 19 日確認)。
そして、金額の位置が分かっても、その求人に応募できるかどうかは別です。
職務経歴書を送って確かめる
応募要件と自分の経歴の突き合わせを引き受ける画面を、当サイトで出しています。「あなたの経歴、最高でいくら?」です。職務経歴書のファイルを送ると、職種と勤務地を職務経歴書から読み取ったうえで、掲載中の求人と照らした結果が返ってきます。会員登録は要らず、企業に公開されることもなく、登録しなければ送った経歴は一定期間後に自動で削除されます。
返ってくるのは 3 つです。いまの経歴で候補になりやすい年収帯(低い側の目安)、年収・年間休日・福利厚生・役職を件数つきで並べたもの、そしてこの先の行き先(役割を上げる、職種を広げる、いまの職種のまま年収を上げる、働き方を変える)です。
数字はこの記事と同じ掲載求人から数えていますが、集計の条件はこの記事の表と同じではありません。画面にも「年収は求人票に書かれた上限と下限を数えたもので、内定の見込みではありません」と出ます。予想した金額ではなく、いま出ている求人を数えた結果です。
よくある質問
年収診断は無料ですか。登録しないと使えませんか?
2026 年 9 月 19 日に確認した範囲では、doda の年収査定は「完全無料」で会員登録が必要、ビズリーチの年収可能性診断は会員登録後に結果が表示される形、転職ドラフトのエンジニア年収診断は会員登録不要でした(転職ドラフトは IT エンジニア向けです)。この記事の表から位置を出す方法なら、どのサービスにも登録せずにできます。
30 歳で年収 630 万はすごいですか?
正社員の分布でいうと、600 万円を超える人は 31%、700 万円を超える人は 21% なので、630 万円は上から 21%〜31% のあいだです。ただしこれは 20 代から 50 代までを一緒にした分布です。年代が上がるほど平均は上がるので(30〜34 歳 449 万円に対して 50〜54 歳は 559 万円)、30 歳に限って数えればもっと上の位置になります。年齢をそろえた分布は公表されていないので、何%かまでは出せません。
手取り 30 万ってすごいですか?
この記事の表は額面(源泉徴収票の支払金額)で並んでいるので、手取りの金額はそのまま当てはめられません。手取りは社会保険料や税金を引いた後の金額で、扶養の人数や住んでいる自治体でも変わります。源泉徴収票が手元にあれば支払金額を、無ければ給与明細の総支給額を 12 か月分と賞与で足した額を使ってください。
35 歳で「勝ち組」の年収はいくらですか?
線を引ける統計はありません。年齢階層別に公表されているのは平均で、35〜39 歳は 482 万円でした(1 年を通じて勤務した給与所得者、パート・アルバイトを含む)。正社員の分布では、800 万円を超える人が 14%、1,000 万円を超える人が 7% です。
会社の平均年収と自分の年収を比べてよいですか?
会社が公表している平均年収は、その会社の年齢構成と職種構成で決まる数字です。若い社員が多い会社は低く出ますし、管理職や専門職の比率が高い会社は高く出ます。自分の年収が高いか低いかを見るなら、この記事の表のように、雇用形態をそろえた分布の中の位置で見る方が当てになります。
転職したら年収はいくらになりますか?
この記事で分かるのは、いまの年収が募集の下の端としてありふれた額かどうかまでです。実際にいくら提示されるかは、求人ごとの応募要件と選考の結果で決まります。求人票に書かれた幅の上の端まで届くかどうかも、別の話です。