AI と転職
書類選考に落ちた理由が分からないとき AIに渡せる材料は出した書類と求人票の2つ
応募要件を条件ごとに分解して、書類に対応する記述が見つからなかったものを並べるプロンプトと、実際の出力を載せます。落ちた理由そのものは、企業に聞いても返ってこないことがあります。
公開 2026年9月20日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・AIに渡せるのは、出した書類と応募先の求人票の2つ
- ・応募要件を分解して照らすプロンプトと、返ってきた出力を載せている
- ・出てくるのは合否の判定ではなく、自分で確かめる候補の一覧
書類選考で何社か落ちると、次に何を直せばいいのか分からなくなります。「落ちる理由 8 選」のような記事を読んでも、並んでいる理由のどれが自分に当たっているのかは決まりません。
この記事で使うのは、出した書類と、応募した求人票の 2 つです。この 2 つで AI にできるのは、落ちた理由を当てることではなく、求人票の応募要件を条件ごとに分解して、書類に対応する記述が見つからなかった条件を並べることです。プロンプトと、返ってきた出力の抜粋を載せます。扱うのは応募要件と書類の対応だけで、誤字や書式、志望動機の中身、応募のタイミングは範囲の外です。出力は OpenAI の gpt-5.6-sol を Codex CLI から呼んで取りました。
落ちた理由は、聞いても返ってこないことがある
何を直すかを決める前に、理由そのものが手に入るのかを見ておきます。
個人情報保護委員会の Q&A に、「雇用管理情報には、人事評価や選考に係る個々人の情報など非開示とすることが想定される情報が含まれます」という前提を置いた問いがあります。回答は事業者に向けたもので、本人から開示の請求を受けた保有個人データのうち、開示することにより「その業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当するとして非開示とする範囲を、あらかじめ定めて従業者に周知しておくことが望ましい、というものです(個人情報保護委員会 Q9-11、2026 年 9 月 20 日確認)。
事業者側の手続きについての記述で、応募者が問い合わせたときに答えが返るかを定めたものではありません。読み取れるのは、選考に関わる情報が非開示になり得るものとして扱われている、というところまでです。それでも、返事を待つ間にできることはあります。
手元にある材料は 2 つ
理由が返ってこない場合でも、出した書類と、応募した求人票は残ります。
求人票の側には、企業が文章にした条件が入っています。当サイト PREVIO で掲載中の求人を数えると、応募要件の欄が埋まっているものが 95% 以上ありました。掲載中の求人すべてを分母にして、応募要件に「必須」の語が出てくるものが 85%、「歓迎」の語が出てくるものが 70% です(いずれも 2026 年 9 月 20 日時点。85% と 70% は 5% 単位に丸めています)。当サイトの求人にかぎった数字ですが、応募要件が文章で残っていること自体は珍しくありません。
応募したページが掲載終了で開けないことはあります。応募時の確認メールに求人の内容が入っていることがあるので、まずそこを探します。どちらも残っていなければ、この方法は使えません。似た求人で代用すると、条件が入れ替わります。
やるのは、その条件と自分の書類を照らすことです。
応募要件と書類を突き合わせる
使うプロンプトはこれです。
下の「応募要件」を、1 行につき 1 つの条件になるように分解してください。
そのうえで、条件ごとに、下の「職務経歴書」に対応する記述があるかどうかだけを判定してください。
・書いてある:対応する記述を職務経歴書から引用する
・書いていない:職務経歴書のどこにも対応する記述がない
「経験が無い」とは判定しないでください。書かれていないというだけで、経験が無いとは限らないためです。
新しい経歴を作らないでください。職務経歴書に書かれていないことは書かないでください。
応募要件
(ここに求人票の応募要件を貼る)
職務経歴書
(ここに職務経歴書を貼る)
同じプロンプトを ChatGPT や Gemini に貼ることもできますが、下の出力は別の環境で取ったもので、ブラウザ画面でも同じ形で返るかは確かめていません。
貼るものを決めておきます。
- 応募要件: 求人票で条件が書かれている欄を、見出しごとそのまま。「応募資格」「応募要件」「求める経験・スキル」など呼び方は媒体によって違いますが、その中の「必須」「歓迎」の見出しを残しておくと、下の出力のように必須と歓迎が分かれたまま返ります
- 職務経歴書: 実際に提出した版。書き直した最新版ではありません。資格や免許の欄まで含めます(欄を落とすと、その資格が「書いていない」に入ります)
- 消すのは氏名だけではありません。連絡先、取引先や案件の名前、社外に出していない金額も落とします。消す範囲は職務経歴書をAIに渡す前に消す個人情報に書きました。消したかどうかとは別に、勤務先の規程や守秘義務で、そもそも外部の AI に入れてよいかも先に確かめてください
例に使ったのは架空の組み合わせです。求人票は SaaS 企業の法人営業で、必須が 5 項目、歓迎が 4 項目。書類は印刷会社で法人営業を 6 年やってきた人のもので、既存顧客への販促物の提案が中心です。1 回目に返ってきた 15 項目から 9 項目を抜き出します。
## 必須
法人向けの営業経験:書いてある
「中堅の印刷会社で法人営業を 6 年。」
営業経験が 3 年以上:書いてある
「中堅の印刷会社で法人営業を 6 年。」
無形商材の営業経験:書いていない
新規開拓の経験:書いていない
Excelでの数値管理経験:書いてある
「Word、Excel(表の作成、簡単な集計)」
Excelの関数を使った集計スキル:書いていない
## 歓迎
SaaS業界での就業経験:書いていない
後輩育成の経験:書いてある
「5 年目から後輩 1 名の同行と指導」
年間1億円以上の予算を担当した経験:書いていない
同じ入力で 3 回実行しました。応募要件が何項目に分解されるかは 11〜15 と回によって違い、条件の言い回しも回ごとに変わります(1 回目の「法人向けの営業経験」と「営業経験が 3 年以上」は、2 回目には「法人向けの提案営業の経験が3年以上ある」の 1 行にまとまっています)。
そこで、内容の同じ条件が 3 回すべてに現れたものだけを取り出して、判定を比べました。回によって現れたり消えたりした条件は、この比較から外れています。取り出せたのは 10 条件で、判定は 3 回とも同じでした。無形商材の営業、新規開拓、SaaS 業界の経験、チームのマネジメント、年間 1 億円以上の予算、SFA/CRM の利用、Excel の関数を使った集計が 3 回とも「書いていない」、法人営業 3 年以上、他部署との連携、後輩育成が 3 回とも「書いてある」です。
別の 3 経歴(急性期病院の看護師、受託開発のエンジニア、ドラッグストアの店長)でも、それぞれ別の求人票と組み合わせて 1 回ずつ試しました。同じ 2 択で返り、この 6 回の範囲では、経歴書に無い経歴を引用として作った出力はありませんでした。出力が表になるか箇条書きになるかは、回によって変わります。
入力から確かめようのないことを判定させると、揃わなくなります。 最初は、書いてある(A)、経験はあるが書かれていない(B)、経験そのものが無い(C)の 3 分類で頼んでいました。同じように 3 回試すと、1 回目は 11 項目のうち A が 4 で残り 7 が「判定できない」、2 回目は 9 項目で A が 3、B が 2、C が 1、「判定できない」が 3、3 回目は 11 項目で A が 3、B が 3、C が 2、「判定できない」が 3 です。無形商材や新規開拓のように、同じ条件が回によって B になったり C になったり「判定できない」になったりします。1 回目の出力には「記載がない項目については、B(経験がある可能性はあるが未記載)とC(経験自体がない)を区別できないため、『判定できない』としています」と書かれていました。B と C を分ける材料は職務経歴書の中に無いので、モデルの側では決まりません。
出てきた一覧の読み方
ここから先は読む側の仕事です。返ってくるのは合否の判定ではなく、自分で確かめる候補の一覧だと思ってください。
まず、求人票が数字で水準を切っている条件を見ます。 「3 年以上」「20 名以上」のように年数や人数が付いた条件は、経歴書の側にも数字が書いてあるかどうかで分かれます。上の抜粋の「営業経験が 3 年以上」が「書いてある」になっているのは、経歴書に「法人営業を 6 年」と年数があるからです。別の経歴で試したときは、求人票の「アルバイト・パート 20 名以上の育成の経験」が「書いていない」で返りました。経歴書には「新人パートの OJT を担当し、レジ業務と品出しの手順書を作成しました。」とあって、育成の記述自体はあります。同じ求人票の「20 名以上のシフト管理」のほうは、経歴書に「パート・アルバイト 25 名のシフト作成を毎月担当。」と人数があるので「書いてある」でした。1 回ぶんの出力で見えた分かれ方ですが、経歴書に数字を書いていない項目は、やっていても「書いていない」に入ります。
こういう行で足せるのは、実際に達していた数字だけです。届いていなかったなら足せません。
水準の付いていない条件は、1 つずつこう聞きます。
「この条件に当たることを、いつ、どこで、何をしたか思い出せるか」
提出した版に書いていないだけで、やっていたことは他にもあります。今の職歴だけでなく、前の職場や、手元にある別の版・評価資料まで当たって構いません。思い出せるなら、書類に書き落としていた条件です。次に出す書類に足すときは、条件名をそのまま並べるのではなく、いつ、どの業務で、どの程度やったかまで書きます。上の例なら「Excel の関数を使った集計」がこれに当たるかもしれません。使っていたなら、どの関数で何を集計していたかを書きます。
そこまで当たっても出てこないなら、今の手元では裏づけられない条件です。上の例の「無形商材の営業経験」は、この経歴書の範囲では確認できません。
「書いてある」のほうも、引用を 1 つずつ読みます。 引用された記述が、求人票の言葉と同じことを指しているとは限りません。上の抜粋にある「Excelでの数値管理経験:書いてある」が引いているのは、経歴書の「Word、Excel(表の作成、簡単な集計)」です。表を作って簡単な集計をしたことは書いてありますが、数値管理と呼べるかは経歴書からは決まりません。同じ求人票の行を、別の回は 1 つの条件にまとめて「書いていない」と判定し、「『Excel(表の作成、簡単な集計)』という記述はありますが、関数を使用した集計であることまでは書かれていません」と注記していました。引用を読んで違うと思ったら、「書いていない」の側に自分で移します。
分けた結果をどう使うかは、件数ではなく必須と歓迎の別で見ます。裏づけられない条件が必須の側に並んでいるなら、書類の書き方だけでは埋まりません。応募を続けるか、条件の近い求人を探すかを決めることになります。歓迎の側に寄っているなら、書き落としがどれだけあるかを先に見ます。書き落としが多いほど、同じ経歴のまま、求人票との対応を伝えやすくする余地が残っています。
全部が「書いてある」で返ることもあります。その場合、この方法から言えるのは、はっきりした書き落としは見つからなかった、というところまでです。経験の深さや実績の大きさ、他の応募者との比較は、この 2 つの材料からは分かりません。
足す側の作業に入るなら、材料の出し方は転職でAIに使うプロンプトに、書類そのものの直し方は職務経歴書をAIに添削してもらうに書きました。
確かめた範囲
- 出力は 2026 年 9 月 20 日に、Codex CLI 経由の gpt-5.6-sol(reasoning effort medium、Web 検索を切って、毎回新しいセッション)で取りました。上のプロンプトのまま、架空の組み合わせで 3 回、別の 3 経歴(看護師、受託開発のエンジニア、ドラッグストアの店長)で 1 回ずつ。落とした 3 分類の版も、同じ組み合わせで 3 回取っています。合わせて 9 回です
- ChatGPT や Gemini のブラウザ画面では試していません。同じ形で返るかは分かりません
- 応募要件が何項目に分解されるかは 11〜15 と回によって揺れます。この揺れ自体は直せていません。判定を比べたのは、内容の同じ条件が 3 回すべてに現れた 10 条件だけで、回ごとに出たり消えたりした条件は比較から外れています
- 架空の経歴 4 通りでの試行です。判定が合っているかどうかを、人が作った正解と比べたわけではありません。3 回そろったのは同じ答えが返ったという意味で、その答えが正しいという意味ではありません
- 経歴も求人票もすべて架空です。実在する人や求人のデータは使っていません
- 出てきた「書いていない」が、落ちた理由だとは限りません。企業が何人を見て、誰と比べて、どこで切ったかは、この方法では分かりません
- 判定しているのは、求人票の文章と書類の文章が対応するかどうかだけです。経験の深さ、実績の大きさ、文章の読みやすさは見ていません
- 求人の集計は当サイトの掲載求人が対象で、転職市場全体を代表するものではありません。「応募要件の欄が埋まっている」は、その欄が空でないかどうかを数えたものです。「必須」「歓迎」も語が出てくるかどうかを数えたもので、書き方の質や、両方が同じ求人に入っている割合は見ていません
よくある質問
書類選考に落ちた理由を、企業に聞いてもいいですか
企業に尋ねることはできます。答えるかどうかは相手次第で、選考に関わる情報は非開示になり得るものとして扱われています(個人情報保護委員会 Q9-11、2026 年 9 月 20 日確認)。返事を待つ間に、手元の 2 つで突き合わせを進められます。
AI に「なぜ落ちたか」を聞けば分かりますか
分かりません。AI に渡せるのは求人票と書類だけで、選考の場で何が起きたかは渡せません。
履歴書も同じように見られますか
この記事で試したのは職務経歴書だけです。履歴書のうち、資格や学歴のように記録を書く欄なら同じ形で照らせます。志望動機のように応募先ごとに書く欄も、対応する語があるかは見られますが、経験の記録を突き合わせるこの方法には向きません。
「書いていない」と出た条件は、書き足せば通りますか
通るとは限りません。この方法で分かるのは、書類に対応する記述が見つからなかった条件の一覧までです。書き足したあと通ったかどうかは、この記事では確かめていません。