市場価値と年収
市場価値診断の年収はどう読むか 登録せずに求人の下の端から確かめる手順
市場価値診断で出た金額を、そのまま希望年収として出していいのか。診断が何を根拠にしているかを各社の公表で確かめ、求人に書かれた年収の下の端を数えて確かめる手順を載せます。会員登録は要りません。
公開 2026年9月18日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・診断が出す1つの金額は、求人の年収の下の端なのか上の端なのかを区別していない
- ・同じ600万円でも、下の端で届く求人と上の端でしか届かない求人が混ざっている
- ・求人を10件開いて下の端を書き出せば、その金額を希望年収にできるか登録なしで分かる
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市場価値診断を受けると、年収の欄に金額が 1 つ出てきます。600 万円。受けていない人も、自分の経歴がいくらで見られているのかは知りたいところだと思います。ただ、その金額を転職の希望年収としてそのまま出していいのかは、金額を見ただけでは決まりません。
求人の側から見ると、理由が分かります。当サイト PREVIO に載っている東京の経理(財務会計)の求人で、600 万円まで出る求人のうち、600 万円から始まるものは 3 分の 2 ほどでした。残りの 3 分の 1 は、幅の上の端でだけ 600 万円に届く求人です(2026 年 9 月 18 日時点)。診断が出す 1 つの金額は、このどちらなのかを区別していません。
この記事で扱うのは、市場価値のうち金額の部分だけです。やることは会員登録の要らない数え方で、自分の職種と勤務地で求人を 10 件開き、年収の下の端だけを書き出します。
診断で出た金額は、求人票のどの数字と比べればいいのか
求人の年収は、たいてい「500万〜800万」のように幅で書かれています。この 2 つの数字は意味が違います。下の端は、その求人で企業が示している下の額。上の端は、その求人で示されている上の額です。
東京の経理(財務会計)の求人を、金額ごとにこの 2 通りで見ると、こうなりました。
| 金額 | その額まで出る求人のうち、その額から始まる求人の割合 |
|---|---|
| 500 万円 | 約 75% |
| 600 万円 | 約 65% |
| 700 万円 | 約 40% |
| 800 万円 | 約 30% |
| 1,000 万円 | 約 10% |
当サイトの掲載求人のうち、掲載時の職種区分が経理(財務会計)で、勤務地に東京を含むものを全件集計しました。年収は下の端と上の端の両方が 100 万〜5,000 万円の範囲で書かれている求人だけを対象にしています(単位の取り違えとみられる極端な値を外すための範囲です)。割合は 5% 単位に丸めていて、掲載件数は公開していません(2026 年 9 月 18 日時点)。
500 万円なら、その額まで出る求人のほとんどがその額から始まっています。ところが 1,000 万円になると 1 割まで下がります。金額が上がるほど、「その額まで出る」と「その額から始まる」は別の話になっていきます。
自分の金額がどちら側の数字なのかを決めないと、求人の見え方が変わります。上の端で見れば候補は広く、下の端で見れば狭い。同じ求人群の話です。
人材サービス産業協議会(JHR)が出している『転職賃金相場』も、職種ごとに 1 つの金額は出していません。募集時の最低年収の中央値と、募集時の最高年収の上位 15%値(最高年収を高い順に並べて上から 15%の位置にある額。上の方の一部だけが届く額です)を別々に集計し、協力各社の値のばらつきをそれぞれ幅で示す作りです。2025 年版は 2025 年 4 月〜8 月の求人が対象で、エリアは首都圏・東海・関西(「地方企業の管理職」だけは例外)。データの出どころは国内主要の求人メディアと人材紹介会社の求人情報で、この業界の主要 7 社が協力しています(転職賃金相場2025 と同 PDF の 3 ページ、2026 年 9 月 18 日確認)。求職者向けの使い方としては「提示された年収が適正かどうかを判断する目安」と書かれています。
市場価値診断の金額は何を見た数字か
出てきた金額が自分の実感と合わないとき、どこを疑えばいいのか。各社が公表している算出の材料を見ると、当たりが付きます。
| サービス | 入力するもの | 公表している算出の材料 | 会員登録 |
|---|---|---|---|
| doda 年収査定 | これまでの経歴 | 「186万人」の転職者ビッグデータを「機械学習」で処理 | 必要 |
| ミイダス | 登録時の入力データ(経験・スキル) | 類似したユーザーの年収実績と、その人に興味がある企業のデータ | 必要(約 5 分) |
| 転職ドラフト 年収診断 | 経験年数・経験職種数・経験技術数 | 転職ドラフトのスカウトで企業が提示した年収 12 万件以上(2016 年 1 月〜2025 年 10 月の実績、インフレ率で調整) | 不要(IT エンジニア向け) |
各社の公表ページを 2026 年 9 月 18 日に確認しました。ミイダスの定義はサポートページにあります。
材料はどれも過去のデータです。転職した人の年収、似た経歴の人の年収、過去に提示された年収。この 3 つの公表ページには、いま募集が出ている求人の金額を使っているという記述はありませんでした。つまり自分の経歴がその母集団から外れているほど、出てくる金額は当てにしにくくなります。
そのずれの大きさを自分で公表しているサービスもあります。転職ドラフトを運営するリブセンスは、年収診断の予測モデルの誤差を自社で測り、平均で 96 万円と書いています。そのうえで「技術や職種の経験年数だけでは説明がつかない部分が平均100万程度ある」「転職ドラフトスカウトに参加したときに得られる提示年収を保証するものではありません」と説明し、業務経験年数が長い人ほど誤差が大きくなることも示しています(転職ドラフトの年収診断機能の仕組みと注意点、2026 年 1 月 16 日公開、2026 年 9 月 18 日確認)。これは IT エンジニア向けのモデルが、転職ドラフトのスカウトで提示された年収をどれだけ言い当てられるかを測った数字で、他のサービスの精度でも、転職市場全体の年収に対する誤差でもありません。
100 万円の幅があるなら、600 万円という結果は 500 万円台にも 700 万円台にもなり得ます。どの診断を選ぶかで詰める話ではないので、次は求人の側から確かめます。
登録せずに、求人 10 件から下の端を数える
手順は 4 つです。
1. 求人サイトで、自分の職種と勤務地だけで絞る。 年収の条件は付けません。絞り込みが下の端と上の端のどちらで効いているかは、画面から分からないことがあります。
2. 並び順を 1 つ決めて、上から 10 件開く。 新着順でも更新順でもかまいません。10 件にするのは、手で開いて中身を見られる数だからです。あとで数え足せるように、どの並びにしたかは覚えておきます。
3. 各求人で、年収として書かれている金額のうち、いちばん低い額を下の端として書き出す。「500万〜800万」なら 500。金額が 1 つだけなら、その額。「5,000,000 円」のような円表記は万円に直します。年収の記載が無い(月給しか書いていない、応相談、記載なし)求人は「不明」と書いて、10 件から外しません。
4. 基準にする金額を決めて、下の端がその額以上の求人がいくつあるかを数える。 診断で出た金額でも、自分が出したい希望年収でもかまいません。「不明」は数に入れません。
不明が 3 件を超えたら、同じ並びの続きから 10 件足して 20 件で数え直します。 絞り込みの結果が 10 件に満たないときは、勤務地を隣の県まで広げるか、職種を隣の区分まで広げます。同じ会社や同じ業界ばかりが並んでいるときも、並び順を変えてもう 10 件取ります。
東京の経理(財務会計)の求人で、並び順を 1 つ決めて 10 件開くと、こうなりました。金額は 50 万円単位に丸めています(2026 年 9 月 18 日時点)。
| # | 下の端 | 上の端 |
|---|---|---|
| 1 | 300 万円 | 500 万円 |
| 2 | 700 万円 | 850 万円 |
| 3 | 750 万円 | 1,000 万円 |
| 4 | 700 万円 | 1,200 万円 |
| 5 | 不明 | 不明 |
| 6 | 不明 | 850 万円 |
| 7 | 600 万円 | 1,200 万円 |
| 8 | 600 万円 | 1,200 万円 |
| 9 | 500 万円 | 1,150 万円 |
| 10 | 500 万円 | 1,000 万円 |
600 万円を基準にすると、下の端が 600 万円以上なのは 5 件(#2、#3、#4、#7、#8)。1,000 万円を基準にすると 0 件です。一方、上の端が 1,000 万円以上の求人は 6 件あります。1,000 万円も出る求人は 6 件あるのに、1,000 万円から始まる求人は 1 件もない。同じ 10 件を見て出てきた数字です。
数えた件数をどう読むか
下の端がその額以上だった求人は、その額より低い提示にはならない側の求人です。上の例の 600 万円なら 5 件。この 5 件については、600 万円という希望が求人の下の額を割りません。
件数が 1〜2 件のときは、並び順を変えれば 0 件にも 4 件にもなる範囲です。10 件足して 20 件で数え直してから読みます。20 件数えても 2 件以下なら、その金額を下の端として出している求人は、いまの職種と勤務地では少ないということです。逆に半分を超えていたら、その金額は募集の下の端としてありふれているので、1 つ上の金額で数え直すと自分の狙える線が見えます。
0 件だったときは、その金額を出せないという意味ではありません。上の端がその額以上の求人があれば、幅の上の方を取りにいく話になります。上の端も届かない求人は、その金額では応募先になりません。上の例の 1,000 万円なら、前者が 6 件、後者が #1・#2・#6 の 3 件(#5 は不明)でした。
0 件だったら、次にやることは 1 つです。上の端がその額以上の求人を 3 件ほど開いて、応募要件に並んでいる言葉のうち、自分の職務経歴書に無いものを書き出します。その求人が求めていて自分に無いものが、そこで分かります。
書き出したものが妥当かどうかは、外の資料でも確かめられます。JHR の『転職賃金相場2025』は、経理財務で年収 1,000 万円〜の帯で採用が決まった人の特徴として、経理経験 10 年以上、公認会計士の資格や経験、上場支援などの高度な財務業務の経験、上場企業での決算経験、管理職経験、監査法人や会計コンサル企業での会計関連業務の経験を挙げています。年代は 40 代〜50 代です。これは人材紹介会社から集めた情報を基にした、首都圏での採用決定者の特徴です(同 PDF の 4〜5 ページ、2026 年 9 月 18 日確認)。
この数え方で分からないこと
10 件は、自分の手で確かめられる数として選んだ標本です。並び順を変えれば別の 10 件になります。件数が少ないほど並び順の影響を受けるので、1〜2 件の差は数え足してから読みます。
求人に書かれた下の端は、求人票の記載です。内定のときに提示される額そのものではありません。
職種によって金額の水準はかなり違います。同じ数え方を、勤務地に東京を含む求人で職種ごとにやりました。
| 職種 | 800 万円まで出る求人のうち、800 万円から始まる求人の割合 |
|---|---|
| 法人営業 | 約 20% |
| 採用 | 約 10% |
| 販促企画・営業企画 | 約 10% |
| 経理(財務会計) | 約 30% |
| 総務 | 約 20% |
条件は経理の表と同じで、割合は 5% 単位に丸め、掲載件数は公開していません(2026 年 9 月 18 日時点)。金額の水準は職種ごとに違いますが、上の端と下の端が開く向きは 5 職種とも同じでした。この数え方で言えるのはその向きまでで、水準は自分の職種で数えないと分かりません。
年収の記載が無い求人もあります。東京の経理(財務会計)では、下の端と上の端のどちらかが書かれていない求人が 2 割弱ありました。この記事の割合は、すべて当サイトが掲載している求人を数えたもので、日本の求人全体の構成ではありません。
応募要件を満たすかどうかも、この数え方では分かりません。金額の帯を絞った後に、求人を開いて要件と自分の経歴を突き合わせる作業が別に要ります。その突き合わせ方はAIの自己分析はどこまで使えるかで扱っています。
職務経歴書を送って確かめる
ここまでの数え方は、自分で開いた 10 件で止まります。掲載中の求人を全部見るわけではないし、応募要件を満たすかどうかも分かりません。その 2 つを引き受ける画面を、当サイトで出しています。「あなたの経歴、最高でいくら?」です。
職務経歴書のファイルを送ると、結果が返ってきます。職種と勤務地は、こちらで選ぶのではなく職務経歴書から読み取られます。会員登録は要らず、企業に公開されることもありません。登録しなければ、送った経歴は一定期間後に自動で削除されます。
返ってくるのは 3 つです。「まずいくら?」は、いまの経歴で候補になりやすい年収帯。この記事で言う下の端の側です。「最高でいくら?」は年収の上限で、年間休日・福利厚生・役職も件数つきで並びます。「どこまで行ける?」は、役割を上げる方向と職種を広げる方向の行き先です。画面の名前は「最高でいくら?」ですが、順番としては先に「まずいくら?」が出ます。上の端だけを受け取る作りにはなっていません。
数字の出どころは、この記事と同じ求人です。職種と勤務地で絞った掲載中の求人を全件数えたものが件数で、応募要件との突き合わせは、そのうち経歴に近い求人を選んでやっています。画面にも「年収は求人票に書かれた上限と下限を数えたもので、内定の見込みではありません」と出ますし、材料が足りない項目は無理に金額を出さず「出せませんでした」と表示します。予想した金額ではなく、いま出ている求人を数えた結果です。読み方はこの記事と同じで、下の端と上の端を分けて見ます。
よくある質問
自分の市場価値を調べる方法はありますか?
年収の面については、この記事の手順(職種と勤務地で絞る、10 件開く、年収の下の端を書き出す、基準の金額と比べる)が登録なしでできる調べ方です。採用されやすさや経験の希少性は、この数え方では分かりません。
市場価値診断は無料ですか。登録しないと使えませんか?
確認した 3 つでは、doda 年収査定とミイダスは会員登録が必要、転職ドラフトの年収診断は不要でした。料金は doda が「査定時間3分・完全無料」、ミイダスが「無料」と案内しています。転職ドラフトの診断ページには料金の表示がありませんでした(2026 年 9 月 18 日時点。転職ドラフトは IT エンジニア向けです)。求人の下の端を自分で数える方法は、求人を見られるサイトがあれば登録は要りません。
診断の金額は、いまの年収に引っ張られていませんか?
確認した 3 つの公表からは、現在の年収を入力させるかどうかまでは読み取れませんでした。引っ張られているかどうかは、この記事では測れていません。ただし求人に書かれた年収は、こちらの現在の年収とは関係なく決まっています。診断の金額を基準にして下の端を数えれば、現年収の影響を受けない側の数字で確かめられます。
開いた 10 件に「不明」が多くて数えられません。
同じ並びの続きから 10 件足して、20 件で数えます。それでも半分以上が不明なら、年収の記載がある求人が少ないサイトを見ている可能性があるので、別の求人サイトで同じ数え方をします。
職種と勤務地で絞ると、求人が 10 件もありません。
勤務地を隣の県まで広げるか、職種を隣の区分まで広げてから数えます。絞り込みで 10 件に届かないこと自体も、その条件で募集が少ないという答えの一部です。
診断で出た金額が今の年収より低かったら、転職はやめたほうがいいですか?
その金額は過去のデータからの推定で、幅があります。転職ドラフトが自社の IT エンジニア向けモデルについて公表している誤差は、平均 96 万円でした(出典、2026 年 9 月 18 日確認)。低く出た理由が経歴の書き方なのか、そのサービスの母集団に自分が入っていないのかは、金額だけからは分かりません。いまの年収を基準にして求人の下の端を数えると、いまの年収を割らない求人が自分の職種と勤務地にいくつあるかが分かります。