AI と転職
AIの自己分析はどこまで使えるか 出てきた「向いている仕事」を求人の言葉で確かめる
転職の自己分析をAIに頼むと、強みと「向いている仕事」が順位つきで返ってきます。架空の職務経歴書1通を3回渡して返ってきたものを数え、挙がった職種の求人が実際にどんな言葉で募集されているかを突き合わせました。
公開 2026年9月18日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・架空の職務経歴書1通を1つのモデルに3回渡すと、3回とも強みが5つと「向いている仕事」の順位が返ってきた
- ・その順位に募集の量は入っていない。3回とも上位に挙がった職種の求人1,267件のうち、この経歴の職種名が応募要件に出るのは8件だった(当サイトの掲載求人、2026年9月18日時点)
- ・AIの出力は、求人を数件開いて「自分の職務経歴書に無い言葉」を書き出し、言い換えで埋まるものと埋まらないものに分けるところまで進めて使う
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自己分析を AI に頼む。職務経歴書を貼って「私の強みと、向いている仕事を教えてください」と打つと、強みがいくつかと、向いている仕事が順位つきで返ってきます。ここで手が止まります。この順位を信じて応募先を決めていいのか。
架空の職務経歴書を 1 通作って、1 つのモデルに 3 回渡してみました。ドラッグストアチェーンで店舗スタッフから店長まで 7 年半、いまは元の会社に再入社して本部のスーパーバイザー。希望は事業会社の企画職です。3 回とも、販促企画が 1 位か 2 位に挙がりました。その販促企画の求人 1,267 件を数えると、この経歴の職種名(店長、スーパーバイザー、SV)が応募要件に出てくるのは 8 件でした(当サイト PREVIO の掲載求人のうち、応募要件のテキストがあるもの。2026 年 9 月 18 日時点)。順位は経験の近さで付いていて、その仕事が今どんな言葉で募集されているかは入っていません。
だから、順位をそのまま応募先の優先度にはしません。この記事では、AI の出力を持ったまま求人を数件開いて、自分の職務経歴書に無い言葉を書き出し、言い換えで埋まるものと埋まらないものに分けるところまでを扱います。前提にしているのは、職務経歴のある転職者です。
AI に自己分析を頼むと、何が返ってくるか
いちばん打ちそうな頼み方を、そのまま送りました。
以下は私の職務経歴書です。これをもとに自己分析をしてください。
私の強みと、向いている仕事を教えてください。
(ここに職務経歴書を貼る)
貼った職務経歴書には、店舗スタッフ(3 年)、副店長(2 年)、郊外型店舗の店長(2 年半、スタッフ 23 名)、食品 EC ベンチャーのカスタマーサポート(10 か月、事業縮小にともなう部門の廃止で退職)、元の会社に再入社して本部スーパーバイザー(4 年)が並んでいます。実績の数字は、日用品カテゴリの売上が前年比 112%、店長時代にエリア 11 店舗のうち売上伸長率 1 位、そして直近の担当エリアが前年比 97% の 3 つ。担当店舗は 2025 年 4 月の組織再編で 8 から 4 に減っています。自己PR は「現場を見てきた経験を活かして、店舗と本部の橋渡しをしてきました」ではじまる 2 文だけです。
同じ職務経歴書を、別々の会話で 3 回送りました。返ってきたものは、長さも形もほとんど同じです。自分の出力と見比べるために、回ごとに変わったところと変わらなかったところを並べます。
| 見るところ | 1 回目 | 2 回目 | 3 回目 |
|---|---|---|---|
| 長さ | 3,502 字 | 3,013 字 | 3,338 字 |
| 強みの数 | 5 つ | 5 つ | 5 つ |
| 5 つ目の強みの見出し | 環境変化への適応力と信頼回復力 | 適応力と関係構築力がある | 環境変化への適応力がある |
| 「向いている仕事」の数 | 5 個 | 6 個 | 6 個 |
| その 1 位 | 販促企画・営業企画 | 店舗運営企画・営業企画 | 店舗運営企画・営業企画 |
回ごとに変わるのは職種の切り方と順番で、返ってくるものの骨格は変わりません。強みはどの回も 5 つで、5 つ目はどの回も適応力の話です。職種は、店舗運営の企画、販促、研修・人材育成、店舗開発、カスタマーサポート系の 5 系統が 3 回とも挙がりました。3 回とも、2026 年 9 月に架空の職務経歴書 1 通だけを渡した結果です(測定の条件は記事の末尾に書いています)。
1 回目の「向いている仕事」の見出しを抜き出すと、こう並びました。
- 販促企画・営業企画
- 店舗運営企画・業務改善
- 店長・SVの教育研修、人材開発
- カスタマーサクセス/サービス改善企画
- 店舗開発
読んでいて気持ちのいい並びです。どれも職務経歴書に書いた仕事から素直につながっていて、思いつかなかった方向も混じっています。ここで控えておくのは、順位ではなく、それぞれの職種の説明に並んでいる業務名のほうです。1 回目の 1 位なら「キャンペーンや売場施策の企画」「施策の店舗展開と実施状況の確認」「実施後の効果検証と改善」。あとで求人を探すときの手がかりになるのはこちらです。
出力のうち、自分の経歴に戻れるのはどこか
順位を使う前に、出力そのものを読み返します。3 回とも、職務経歴書に書いていないことが足されていました。足された先は 3 回とも同じ行です。
職務経歴書に書いてあるのは、元の会社に再入社したことと、その後の担当業務だけ。ここから 3 回とも、評価されて戻ったという話が作られます。
会社との関係性や過去の働きぶりが一定以上評価されていた可能性が高く、信頼を得る力の裏付けになります。
残りの 2 回も「過去の仕事ぶりや現場理解を評価された可能性が高い」「以前の勤務実績や信頼がなければ、再入社後すぐに複数店舗を担当する立場にはなりにくい」と書きます。どれも推測の形を取っていますが、最後は「裏付けになります」「なりにくいからです」と、根拠のように使われます。本人が事実として知っているなら書いていい話です。知らないなら、面接で聞かれたときに戻る先がありません。
弱点の扱いも見ておきます。
| 職務経歴書に入れた弱点 | 3 回の扱い |
|---|---|
| 2024 年度の担当エリアの売上が前年比 97% | 3 回とも独立した節で触れる。背景と対策を説明できるようにしておくよう書く |
| 担当店舗が 8 から 4 に減った | 3 回とも触れる(8 から 4 という数字を書いたのは 2 回)。評価低下と誤解されないよう組織再編だと伝えるよう書く |
| 10 か月での退職 | 3 回とも、指摘ではなく強みの見出しの下に置かれる |
| 自己PR が抽象語だけ | 3 回とも書き直し案を出す |
数字の悪化には、3 回とも正面から触れました。この指摘はそのまま使えます。短期間で辞めた事実のほうは、3 回とも「業務を仕組みに変える力」や「環境変化への適応力」の中に入りました。触れてはいるものの、弱点としては扱われません。
出力が褒める方向に寄るのではないか、という疑いは前からあり、提供元が認めた例もあります。OpenAI は 2025 年 4 月 29 日、ChatGPT に入れた GPT-4o の更新を撤回したと発表しました。「過度にお世辞を言う、または同意的」な回答に寄ったためです(Sycophancy in GPT-4o、2026 年 9 月 18 日確認)。撤回済みの、別のモデルでの 1 件なので、今回測ったものが同じだとは言えません。ただ、出力の中に「自分が書いた事実」と「AI が埋めた解釈」が混ざることは、今回の 3 回でも起きました。
読み返すときは、全文を 1 文ずつ照合しなくてかまいません。付け足しが出たのは、職務経歴書に理由が書いていない出来事を説明している箇所でした。今回なら再入社です。転職、離職期間、異動のように、事実だけ書いて理由を書いていない行が自分の職務経歴書にもあるはずなので、その行の説明だけ、職務経歴書のどこから来たかを探してください。行が見つからない文は、職務経歴書に書き足す前に、自分で事実を確かめます。
「向いている仕事」の順位に、募集の量は入っていない
3 回の出力では、1 位の理由はどれも経験の近さでした。「最も経験を直接活かしやすい仕事です」(1 回目)、「最も経歴とのつながりが強い仕事です」(2 回目)、「最も相性がよい仕事です」(3 回目)。一方、3 回を通して「件数」「募集」「応募要件」「求人票」「募集要項」はいずれも 0 回でした。求人の話をしていないわけではありません。「こういう求人のほうが経験に合う」という書き方は 3 回中 2 回に出てきます。出てこないのは、その職種がどれくらい募集されているかという量のほうです。
続けて判断そのものを聞いても、同じでした。同じ会話で次の 1 行を送ります。
この経歴で、事業会社の販促企画職に転職できますか。
3 回とも「はい」で始まります。そのあと「店舗を持つ事業会社」「多店舗展開する事業会社」と範囲を絞り、3 回とも、いまの職務経歴書では別の職種の人に見える、と続けました。3 回目はこう書いています。
ただし、現状の職務経歴書のままでは「店舗運営・SVの人」と判断されやすいため、販促企画につながる経験を明確に見せる必要があります。
ずれがあること自体は、3 回とも指摘しています。ただ、そのずれがどれくらいかは、募集側を見ないと分かりません。AI が挙げた職種のうち、当サイトの職種区分にそのまま対応する 4 つについて、掲載中の求人を数えました(2026 年 9 月 18 日時点。応募要件のテキストがあるものだけを対象に、職種は掲載時の職種区分で絞り、応募要件のテキストにその文字列が含まれるかで数えています。「スーパーバイザー」は略記の「SV」も含め、CSV などの誤検出は除きました)。
| 職種の区分 | 応募要件のある求人 | 「店長」「スーパーバイザー」「SV」のいずれかが出てくる求人 |
|---|---|---|
| 販促企画・営業企画 | 1,267 件 | 8 件 |
| 人材開発・人材育成・研修 | 628 件 | 9 件 |
| 店長・店舗管理・運営 | 502 件 | 92 件 |
| 店舗・FC開発 | 55 件 | 10 件 |
この経歴の職種名が応募要件に出てくるのは、いま居る場所に近い「店長・店舗管理・運営」では 502 件中 92 件、AI が 3 回とも 1 位か 2 位に挙げた「販促企画・営業企画」では 1,267 件中 8 件です。同じ 1,267 件で、応募要件のテキストにその語が含まれる求人の数を数えると、「マーケティング」が 681 件、「広告」438 件、「デジタル」255 件、「BtoB」または「B2B」185 件、「SaaS」105 件でした。どれもこの職務経歴書には出てきません。募集している側は、この経歴とは別の語で書いています。
数えたのは、採用側がその言葉を使って募集しているかどうかだけで、言葉ごとの評価の高さではありません。当サイトが掲載している求人の構成による数字でもあります。そのうえで言えるのは、職種名が合っていても、そのままの職務経歴書では読む側の言葉に乗らない場合がある、ということです。
募集側の語と自分の語のずれを見る
公的な就職支援でも、経歴の整理と募集側を見ることは 1 つの段に置かれています。ハローワークの「就職活動の進め方」では、ステップ 1 が「自己分析・労働市場分析」で、(1) 今までしてきたこと・今できること・これからやりたいことの整理と、(2) 求人の数が多いか少ないか、どのような求人がどのくらいの条件で出ているかを実際に調べること、の 2 つが並べて書かれています(就職活動の進め方、2026 年 9 月 18 日確認)。今回の 3 回で返ってきたのは、このうち (1) にあたる部分でした。
(2) は、AI が挙げた職種ごとに、求人を数件読んで進めます。同じ職種でも求人によって書き方が違うので、1 件だけ見ると偏ります。5 件くらいが目安です。
探すときは、職種名だけに頼らない。 AI が返す職種名(「店舗運営企画・業務改善」など)は、求人サイトの職種区分にそのまま無いことがあります。無ければ、その職種の説明に並んでいた業務名から名詞だけを取り出して、短くして検索してください。「キャンペーンや売場施策の企画」なら「販促」「キャンペーン」、「実施後の効果検証と改善」なら「効果検証」です。当たらなければ、もう一段短くします。AI が「求人ではこう呼ばれます」と別の名前を挙げてきたら、それも検索語に使えます。
開いた求人が、AI の言った仕事かを先に見る。 職種区分が AI の言う職種より広いと、件数が多くても中身が別物になります。開いた求人のタイトルが AI の言った仕事と違うなら、その求人は数に入れず、合っているものが 5 件になるまで開き足してください。5 件開いても合うものがほとんど無いなら、検索語のほうを変えます。件数が意味を持つのは「その職種に絞ったときに応募先が尽きないか」だけで、多いことは自分に合うことを意味しません。上の表のとおり、いちばん件数の多い職種が、いちばん自分の言葉が出てこない職種でした。
応募要件の欄から、自分の職務経歴書に無い言葉を書き出す。 応募要件は、求人票によって「応募資格」「必須要件」などの名前で書かれています。5 件分の欄を読んで、自分の職務経歴書に一度も出てこない言葉を並べてください。ここは「出てくる/出てこない」で職種を切るのではなく、出てこない言葉を集めるのが目的なので、5 件のうち何件に出たかは気にしなくてかまいません。
書き出した言葉から、先に条件の語をよけます。資格・免許・語学の点数・学歴のように、持っているか持っていないかで決まる条件は、別にまとめてください。これは言い換えでも経験でも埋まらず、取りにいくかどうかの話になります。建設、医療、金融のように応募要件の中心が資格の職種では、書き出した言葉の半分近くがここに入ります。
残った業務の言葉を分ける前に、1 つだけ見ておきます。書き出した言葉のなかには、作業の名前ではなく立場の名前が混じります。「発注者側」「監理」のように、やっている作業は近くても立っている側が違う語です。これを下の「別の言い方をしていた」に入れると、職務経歴書に書いた時点で事実と違ってしまいます。求人本文の前後を読んで、どちらの立場を指しているかを確かめてから振り分けてください。
残りは、次の 2 つに分かれます。
1 つは、やったことはあるが、別の言い方をしていた言葉です。今回の例なら、職務経歴書に書いた「売場づくり」「販促施策の店舗展開」は、募集側では「販促」「販売促進」「施策」「キャンペーン」「効果検証」という語で書かれています。上の 1,267 件の応募要件でいえば、「施策」が 249 件、「販促」または「販売促進」が 80 件、「キャンペーン」が 47 件、「効果検証」が 22 件。ここは職務経歴書の言葉を差し替えれば埋まります。
もう 1 つは、やったことがない言葉です。今回の例なら「デジタル」「BtoB」「SaaS」。これは書き換えでは埋まりません。この語が必須要件に入っている求人は後回しにして、入っていない求人から応募します。どうしてもその職種に行きたいなら、次の 1 年でどこを埋めるかの目標になります。
AI の順位に戻るのは、ここまで済ませたあとです。差し替えれば埋まる言葉しか無い職種は、職務経歴書を直せば応募できます。やったことがない言葉ばかりの職種は、順位が 1 位でも先に進みません。今回の例では、3 回とも上位に挙がった販促企画のうち、店舗を持つ会社の販促に寄った求人が先で、デジタル寄りの求人が後になります。
職務経歴書の言葉を求人票の言葉に置き換える手順そのものは、自己分析をAIでやる手順とプロンプト全文にまとめています。
よくある質問
AI の自己分析は意味がないと言われますが、本当ですか
今回の 3 回で言えるのは、渡した職務経歴書の整理としては機能した、というところまでです。経歴が仕事のまとまりに分かれ、それぞれに業務名が付いて返ってきました。意味が無いとすれば、返ってきた順位をそのまま応募先の優先度として使ったときです。順位には募集の量が入っていないので、そこは自分で求人を開いて足します。
AI が「向いている」と答えた職種なら、採用されやすいですか
今回の 3 回では、順位の理由はどれも経験の近さで説明されていて、募集側の情報は入っていませんでした。「向いている」は、渡した経歴とその職種の一般的な仕事内容が近い、という意味までです。採用されやすいかどうかは、応募要件に書かれた経験との重なりで決まります。
自己分析は AI に問いかけるべきですか
問いかける相手としては使えます。ただし返ってくるのは渡した文の読み替えが中心で、そこに AI の解釈が混ざります。今回は 3 回とも、職務経歴書に理由が書いていない行について、書いていない事実が足されました。性格や向き不向きの診断としてではなく、経歴の棚卸しと、求人票の言葉に置き換える下ごしらえとして使うのが、今回確かめられた範囲です。
ChatGPT でも同じことができますか
この記事で試したのは 1 つのモデルだけで、ChatGPT のアプリで同じ内容が返るかは確かめていません。ただ、確かめ方は同じです。自分の出力に「件数」や「応募要件」という言葉が出てくるか、職務経歴書に理由の書いていない行の説明に、書いていない事実が足されていないかを見てください。
この記事に載せた出力は、2026 年 9 月に OpenAI の Codex CLI から API 経由で、この記事のために作った架空の職務経歴書 1 通を渡して得たものです(自己分析の頼み方で 3 回、その続きの質問で 3 回)。モデルは CLI の設定の既定である gpt-5.6-sol で、reasoning effort は medium を指定しました(設定の既定は low です)。実在の人のものではありません。求人の件数は、当サイト PREVIO が掲載中の求人のうち応募要件のテキストがあるものを、2026 年 9 月 18 日に数えました。