市場価値と年収

外資から日系に移ると年収は下がる? 基本給と歩合の伝え方

外資から日系に移った人に限った年収の統計は無く、何割下がるかは言えません。代わりに、大手が中途の年収を何で決めるか、IT営業の規模別の相場、基本給と歩合(インセンティブ)を分けて伝える方法、賞与・退職金まで含めた比べ方、レイオフの守りと入る前に聞くことをまとめました。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・「戻れない」は採用されないという意味ではなく、移った後に決め方や評価の違いに合わない人がいるという話。何割下がるかの統計は無いが、1,000 人以上の事業所では、中途の賃金を決める時に前職の賃金を考える所も、年齢を考える所も約半数ある
  • ・前職の年収は、基本給と歩合を分け、歩合込みの実績を年ごとに並べて伝える。比べる時は額面の総額でなく、固定・賞与・退職金・手当に分けて並べる
  • ・解雇のルールは日系でも同じで、人員削減が起きるかは入る前に分からない。合わなくなる 3 つの場面と、一次面接・内定前後に聞くこと、面接での転職理由の言い方
目次開く
  1. 01「戻れない」は、採用されないという意味ではない
  2. 02年収が何割下がるかの統計は無い。大手の約半数は前職の賃金を考える
  3. 03前職の年収は、基本給と、歩合込みの年ごとの実績に分けて伝える
  4. 04比べるのは額面の総額ではなく、固定・賞与・退職金・手当
  5. 05解雇のルールは日系でも同じ。人員削減が起きるかは入る前には分からない
  6. 06日系に移った後に合わなくなる場面は、決め方・仕事の範囲・評価の 3 つ
  7. 07面接では「レイオフが怖い」を「長く腰を据えたい」に言い換える
  8. 08よくある質問
  9. 09この記事の数字について

四半期ごとに数字を詰められ、同じフロアの人が翌週にはいなくなる。外資系企業の法人営業でそんなレイオフを見てきて、日系に戻ることを考え始めた。ただ「外資から日系には戻れない」と聞くし、家族や住宅ローンを考えると、年収がどれだけ下がるのかがいちばん怖い。

外資から日系に移った後、年収の組み立てや評価、稟議と根回しで物事を決める進め方に合わず、また外資に戻る人がいます。「戻れない」と言われるのはこのことで、日系に採ってもらえないという意味ではありません。当サイトの掲載求人では、応募資格に「外資系での経験」を書く会社はほとんどありません(5% 未満)。

年収が何割下がるかは、外資から日系に移った人に限った統計が無いので言えません。 ただ、提示額の決まり方は分かっています。中途の人の賃金を決める時、従業員 1,000 人以上の事業所では、前職の賃金を考える所も、年齢を考える所も、それぞれ約半数あります。だから前職の年収は、基本給と歩合(インセンティブ)を分け、歩合込みの実績を年ごとに並べて伝えると、相手が比べられる形になります。

「戻れない」は、採用されないという意味ではない

検索で上に出る記事や体験談が「戻れない」と言う時に指しているのは、日系に移った後に合わなくなることです。トップダウンで決まっていたことが稟議と根回しで決まるようになる、長い期間で評価され協調性も見られる、といった違いに合わず、外資に再び移る人がいる、という話で、書類で落とされるという話ではありません。

求人を見ても、外資での経験を応募の条件に挙げる会社はほぼありません。当サイトの掲載求人では、応募資格に「外資系での経験」と書く会社はほとんど無く(5% 未満)、営業職の求人を出す会社のうち、応募資格に「営業経験」と書くのが約 6 割、「法人営業」が約 3 分の 1 でした(2026 年 11 月 4 日時点、会社単位)。求人が条件に挙げるのは、法人向けに売ってきた経験のほうです。法人営業の経験を必須にする求人を、職種名ではなく応募要件から探す方法は「経験を活かせる仕事を応募要件で探す 当サイトの求人では法人営業経験が必須の求人の6〜7割が法人営業以外の職種名で出ていた」にあります。

年収が何割下がるかの統計は無い。大手の約半数は前職の賃金を考える

外資から日系に移った人の年収を追った公的な統計はありません。外資系企業を対象にした経済産業省の外資系企業動向調査は、令和 2 年度の調査で中止になっています。だから「何割下がる」も「1,000 万円前後で移れる人がどのくらいいるか」も、数字では答えられません。

中途で採った人の賃金を決める時に考えた要素(複数回答)は、事業所全体では「これまでの経験・能力・知識」が 59.2% で最も多く、「前職の賃金」は 27.0% です。1,000 人以上の事業所に限ると、最も多いのはやはり「これまでの経験・能力・知識」(85.2%)ですが、「前職の賃金」は 48.1%、「年齢」は 54.0% に上がります(「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」)。大手では、前職の年収をどう伝えるかが提示額に関わりやすいと言えます。年齢を考える会社には、年齢で決まる給与表があることもあります。

相場の目安は次のとおりです。IT 関連の営業(機械器具・通信・システム営業)の年収を、毎月の給与×12+年間賞与で概算しました。

会社の規模35〜39 歳40〜44 歳
1,000 人以上約 773 万円約 859 万円
100〜999 人約 645 万円約 715 万円
10〜99 人約 551 万円約 583 万円

出典は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(男女計)です。この統計は外資と日系を分けておらず、外資で働く人も中に入っています。日系だけの相場ではなく、IT 関連の営業職全体の平均として見てください。

表のとおり、同じ年代でも 1,000 人以上と 10〜99 人の会社では 200 万円以上の差があります。メーカーか IT 企業・SIer かといった会社の種類で比べた数字はありません。規模によって賞与・退職金・手当がどう違うかは「大手から中小企業に転職すると何が変わる?年収・退職金・手当の差」にまとめています。

転職全体で見ると、40〜44 歳で転職した人のうち賃金が増えた人は 44.9%、減った人は 27.4% でした(「令和7年雇用動向調査結果の概況」)。業界や資本を問わない全体の数字で、賞与を除いた月の額の比較です。ほかの年齢の割合は「転職の年収相場 金額ではなく、賃金が増えた人・減った人の割合を年齢別に比べる」に並べています。

前職の年収は、基本給と、歩合込みの年ごとの実績に分けて伝える

前職の年収を聞かれたら、合計だけを言わずに、基本給と、歩合込みの年ごとの実績を分けて伝えます。たとえば次のような形です(数字は架空の例です)。

基本給は 700 万円です。インセンティブを含めた年収は、直近 3 年で 950 万円、1,100 万円、1,050 万円でした。

合計だけを伝えると、相手には固定の額がいくらで、どれだけが年ごとに振れる分なのかが分かりません。日系の給与は月給と賞与で組み立てるので、固定の額が分からないと、相手は自社の給与表のどの位置に当てはめるかを決められません。分けて出せば、固定の額と実績の両方を見たうえで提示額を考えてもらえます。

それでも、年齢で決まる給与表がある会社では、実績を出しても等級の上限で止まることがあります。内定を受ける前に、どの等級での採用か、その等級の上限はいくらかを聞いておくと、交渉の余地があるかが見えます。

自分で比べる時は、同じ中身の額どうしで比べます。上の表の約 773 万円は賞与込みの年収なので、比べる相手は基本給ではなく、歩合込みの年収です。1,000 人以上の会社では、年収のうち賞与が約 4 分の 1 で(35〜39 歳の IT 営業。外資も含む平均)、毎月の給与だけなら約 586 万円です。基本給と比べたいなら、近いのはこちらの額です(残業代を含みます)。日系に移っても歩合の分がそのまま賞与で埋まる、という保証はありません。

内訳をそろえた後の、内定後の年収交渉の進め方は「内定後の年収交渉、希望額はChatGPTに聞いていい? 給与の内訳を今と比べるプロンプト」で扱っています。

比べるのは額面の総額ではなく、固定・賞与・退職金・手当

外資の基本給+歩合と、日系の提示額を総額だけで並べると、賞与・退職金・手当の違いが見えなくなります。次の 4 つに分けて並べてください。

総額が少し下がっても、退職金や手当まで足すと差が縮むこともあれば、逆に賞与が業績で減る年に広がることもあります。4 つを並べたうえで、まず固定の給与で暮らせるかを確かめます。

解雇のルールは日系でも同じ。人員削減が起きるかは入る前には分からない

日本で雇われている社員を解雇できる条件は、外資でも日系でも同じです。合理的な理由が無く、社会の常識から見て相当と言えない解雇は無効になります(労働契約法 16 条)。事業部門を閉じる時の解雇でも、配置転換の余地や対象者の選び方が裁判で問われてきました(「解雇|裁判例|確かめよう労働条件|厚生労働省」)。

外資の人員削減は、「辞めてほしい」という退職勧奨と退職条件の提示の形をとることがあります。勧奨は、理由を問わず断れます。本人が自由に決められないほど追い詰める勧奨や、人格を傷つけるような言い方の勧奨は、不法行為になる場合もあります(「退職勧奨|裁判例|確かめよう労働条件|厚生労働省」)。

日系に移っても、法律の守りは厚くなりません。人員削減をどう進めるかは会社ごとに違い、移る先で今後削減が起きるかは、入る前に確かめる手段がありません。「日系なら安泰」とまでは言えないのが正直なところです。一方で、退職金のように長く勤めるほど積み上がる部分や、住宅手当などの手当は、大きな会社ほど制度がある所が多くなっています(外資と日系を分けて比べた数字はありません)。

日系に移った後に合わなくなる場面は、決め方・仕事の範囲・評価の 3 つ

外資から日系に移った後に合わなくなる場面として、転職会社の記事でそろって挙がるのは次の 3 つです。

  1. 決め方: 上の一声で決まっていたことが、稟議と事前の根回しで決まるようになる
  2. 仕事の範囲: 社内資料や他部署との調整など、営業以外の仕事も受け持つようになる
  3. 評価: 長い期間で評価され、協調性も見られるので、成果がすぐ年収に跳ね返らない

移って 1 か月で意思決定の遅さや会議の多さに戸惑っている、という声もあります。稟議に時間がかかって案件を逃すほどかは会社によるので、一律には言えません。

評価については、外資でも成果だけを見ているとは限りません。人材紹介会社エンワールド・ジャパンの調査では、外資系企業で働く人の 62% が、成果が出なくてもプロセスや努力・協調性が評価されることに「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」と答えています(「「外資越境転職」調査 第二弾 -外資系企業に対するイメージギャップ調査-」)。今の会社で進め方も見られてきた人なら、3 つ目の違いは小さいかもしれません。

入る前に聞けること

一次面接でも、仕事の進め方についてなら聞きやすいはずです。

  • 配属先で営業が何を受け持つか(営業以外の社内の仕事がどれくらいあるか)
  • 評価の期間と、インセンティブや業績連動の賞与があるか
  • 直近の大きめの案件で、見積もりの承認まで何段階・何日かかったか

年収や等級の上限、賞与の算定期間、退職金の有無と勤続の要件、住宅手当の条件は、最終面接の後、内定の前後にある条件面談で聞きます。転職エージェント経由なら、その前にエージェントに確かめてもらえます。

稟議の重さは会社側の答えだけでは分かりにくいので、できれば現場の営業の人と話す機会をもらえないか頼んでみてください。

面接では「レイオフが怖い」を「長く腰を据えたい」に言い換える

転職理由で「レイオフが怖いから」だけを言うと、逃げてきた話に聞こえるかもしれません。「一つの会社で長く腰を据えて成果を出したい」のように、何をしたいかの形で言うほうが伝わると思います。「また外資に戻るのでは」と聞かれたら、外資で身につけたことを日系でどう生かしたいかを話します。

外資で身につけたことも、言い方で印象が変わります。「数字で詰められる中で押し込んできた」と言うとガツガツした人に聞こえますが、たとえば次のように言えば、同じ経験が段取りと調整の力として伝わります。

案件ごとに次に打つ手と受注の見込みを管理し、社内の技術担当や法務を巻き込んで、期日までにお客様の決裁をいただいてきました。

実際にそう進めた案件を 1 件、具体的に話せるようにしておいてください。

よくある質問

外資と日系、どちらに移るべきですか?

今の年収の額を優先するか、長く勤めて積み上がるもの(退職金・手当)を優先するかで決まると思います。エンワールド・ジャパンの調査では、年収 1,000 万円以上の人の割合は 30 代までは外資・日系で差が無く、40 代で外資系 30%、日系 15% と開いていました(「「外資越境転職」調査 第一弾 -外資系・日系企業のお仕事事情調査 -」)。ただ、移る先の外資が安定しているかは、日系と同じく入る前に分かりません。家計から、毎月の固定の収入でいくら要るかを先に出すと決めやすくなります。

日系に移って合わなかったら、外資に戻れますか?

外資に戻る人がいるという話はありますが、何人が戻っているかを示す統計は見つかりませんでした。戻ることを考えずに済むよう、上の 3 つの場面に当たるかを、入る前の面接や条件面談で聞いておくとよいと思います。

課長など管理職の待遇で入れますか?

入れるかどうかは、その会社の等級の決め方によります。応募の段階で、どの等級での採用かをエージェントか人事に確かめてください。管理職待遇で入る人がどのくらいいるかの数字はありません。

日系の求人はどこで探すのがいいですか?

転職エージェントを使うなら、最初に年収の内訳(基本給と、歩合込みの年ごとの実績)を渡し、等級や年収の上限を確かめてもらえます。日系の企業がどの探し方を中心に使っているかを示す数字は見つかりませんでした。応募先が外資か日系かは、求人票だけでは分からないことがあります。当サイトの掲載求人で自社を「外資系」と書く会社は 5% 未満なので、書いていないから日系とは言えません。資本や本社がどこかを会社の情報で確かめてください。

四半期の数字に疲れたのですが、日系の営業なら楽になりますか?

日系の営業にも目標はあります。疲れの元が営業という仕事そのものにあるなら、日系に移っても残ります。会社のやり方によるきつさか、営業という職種についてくるきつさかの見分け方は「法人営業がきついのは会社のせい?職種に残るきつさの見分け方」にあります。

企業型の確定拠出年金はどうなりますか?

今の会社で企業型確定拠出年金(企業型 DC)に入っているなら、辞めた後 6 か月以内に自分で移す手続きが要ります。手続きをしないと国民年金基金連合会に自動で移されます。詳しくは「大手から中小企業に転職すると何が変わる?年収・退職金・手当の差」の企業型 DC の節にあります。

この記事の数字について

  • 外資系企業を対象にした公的統計(経済産業省の外資系企業動向調査)は令和 2 年度の調査で中止されていて、外資から日系に移った人の年収の変化を示す公的な数字はありません
  • 中途の賃金を決める時に考えた要素は、厚生労働省の令和 7 年転職者実態調査の事業所調査(複数回答)です。外資出身の人に限った数字ではなく、会社が前職の賃金にインセンティブを含めて考えたかどうかも、この調査からは分かりません
  • IT 営業の年収は、厚生労働省の令和 7 年賃金構造基本統計調査の職種別の表(産業計、男女計)の「機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く)」の値から、毎月の給与(きまって支給する現金給与額。残業代を含む)×12+年間賞与で概算しました。平均で、中央値ではありません。外資と日系を分けていない統計です。規模ごとの値はそれぞれの規模で働く人の平均で、1 人が移った時の下がり幅ではありません
  • 40〜44 歳の賃金の増減は、厚生労働省の令和 7 年雇用動向調査の転職入職者(前職が雇用者)の値で、賞与を除いた月の額の比較です。業界・資本を問いません
  • 退職給付は令和 5 年、住宅手当は令和 7 年の厚生労働省の就労条件総合調査で、常用労働者 30 人以上の企業が対象です。住宅手当の割合は、諸手当を出した企業のうちの割合です
  • エンワールド・ジャパンの調査は、第一弾が 2024 年 9 月のインターネット調査(回答 746 名、外資系 346・日系 400)、第二弾が 2024 年 10〜11 月(回答 800 名、外資系 400・日系 400)です。人材紹介会社の調査で、会社員全体の割合ではありません。外資から日系に移った人を追った数字でもありません
  • 当サイトの数字は、当サイト PREVIO の掲載求人のうち 2026 年 11 月 4 日時点で掲載中の求人を、会社単位で数えたものです。応募資格は必須と歓迎の両方の全文から、営業職は求人の題名で数えました。割合は丸めています。日本の求人全体の数字ではありません。求人票に書かれていない条件は、その会社が求めていないことを意味しません。書類選考や面接で外資の経歴が実際にどう評価されるかは、求人票からは分かりません
  • 「合わなくなる 3 つの場面」は転職会社の記事の整理によるもので、どのくらいの人に起きるかの数字はありません。移って 1 か月で戸惑っているという声は、公開の相談 1 件によります
  • 年収の伝え方、面接や条件面談で聞くことと聞く時期、面接での言い換えは私の判断です。年収や基本給の例の数字は架空です。個別の退職勧奨や解雇が有効かどうかの判断はここではしません。迷う場合は、労働局の相談窓口や弁護士に確かめてください
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