AI と転職

内定後の年収交渉をChatGPTで準備する 給与の内訳を確かめ、企業へ送るメールを書く

転職の内定後に年収交渉をする人向けに、内定先と現在の給与を同じ項目で確かめ、交渉理由と企業向けメールを作るプロンプトを載せます。希望額をChatGPTに決めさせず、出力を自分で点検する手順も説明します。

公開 2026年9月23日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • 内定先の書面と現在の給与から、交渉理由を探すプロンプト
  • 給与を同じ項目で比べてから、希望額を自分で決める
  • 確かめた理由だけで、企業へ送るメールを書く
目次開く
  1. 01年収交渉の準備に使うプロンプト
  2. 02希望額を書く前に、給与を同じ項目で比べる
  3. 03希望額を ChatGPT に決めさせない
  4. 04確かめた理由だけで企業へ送るメールを書く
  5. 05希望額が通らない場合に確かめること
  6. 06確かめた範囲
  7. 07よくある質問

転職の内定後、企業から示された年収が希望より低く、年収交渉を考える。そんなとき、ChatGPT に「いくらを希望すればいいか」と聞きたくなります。ChatGPT に頼むのは、給与の比較、交渉理由の候補、確認する質問、メールの下書きまでです。出力は元の書類と照らし、希望額は自分で決めます。 この記事の出力例では、ChatGPT の画面ではなく gpt-5.6-sol を使い、同じ架空の経歴と質問でも希望額は 460 万円、470 万円、480 万円に分かれ、3 回とも内定先の給与の内訳を知らないまま金額を出しました。

例に使うのは、アパレル販売を 2 年、SaaS のカスタマーサポートを 3 年半経験した架空の人物です。現在の年収は 400 万円、内定先から示された年収は 420 万円です。

年収交渉の準備に使うプロンプト

最初に集めるのは、次の 5 つです。全部そろわなくても構いません。

プロンプトの「相談の根拠」は、この記事で「交渉理由」と呼んでいるものです。

  1. 内定先から届いた給与に関する書面
  2. 応募した求人票の給与欄
  3. 源泉徴収票や給与明細で分かる現在の給与の内訳
  4. 職務経歴書
  5. 同じ職種で見つけた、仕事内容の近い求人の給与欄

社名、氏名、住所、担当者名、取引先名などは消します。現在の勤務先の規程や守秘義務で、外部の AI に入れてよい情報かも先に確かめてください。

手元にある文書の先頭へ①〜⑤の番号を付け、プロンプトの末尾へ貼ります。無い番号は飛ばして構いません。番号を残すと、返答に「①・③」のような出どころが付きます。

内定先から年収の提示を受けました。提示額を上げてもらえないか相談するための準備を手伝ってください。

下に、次の 5 つを貼ります。
① 内定先から届いた条件(書面の写し)
② 応募した求人票の給与欄
③ いまの年収の内訳(源泉徴収票や給与明細から)
④ 職務経歴書
⑤ 同じ職種で見つけた他の求人の給与欄
手元に無いものは貼っていません。

次の 4 つを、この順で答えてください。

1. 提示額の内訳
①の年収が何(基本給、固定残業代、賞与、手当)でできているかを整理し、③と項目ごとに比べてください。①と③のどちらかに書いていない項目は、比べずに「書いていない」と書いてください。

2. 相談の根拠
相談の根拠になることを、①〜⑤のどこに書いてあるかを添えて並べてください。①〜⑤に書いていない数字(世の中の相場、平均年収、業界の水準など)は使わないでください。確かめないと根拠にできないことは「【確認:〜】」として、私が内定先か手元の書類で確かめる質問の形にしてください。

3. 相談のメールの下書き
希望額は私が決めるので、「【希望額: 万円】」の空欄のままにしてください。根拠は 2 で挙げたものだけを使い、内定のお礼と入社を前向きに考えていることを先に書いて、全体を 300 字以内にしてください。

4. 聞き返されそうなこと
人事の担当者から聞き返されそうな質問を 3 つ挙げ、それぞれ、答える前に私が手元で確かめておくことを書いてください。

(ここに①〜⑤を貼る)

例の①には、月給 30 万円(固定残業代 20 時間分の 3 万 8,000 円を含む)、賞与は前年度実績 2 か月分、想定年収 420 万円とあります。③は現在の年収 400 万円、月給 27 万円、賞与実績約 72 万円です。返ってきた内訳の一部は、次のようになりました。

| 項目 | ① 内定先 | ③ 現職 | 比較 |
|---|---:|---:|---|
| 年収 | 想定420万円 | 2025年実績400万円 | 内定先が20万円高い。ただし内定先の賞与は業績連動 |
| 月給 | 30万円 | 27万円 | 内定先が月3万円高い |
| 基本給 | 書いていない | 月25万円 | 比較できない。内定先の「30万円-固定残業代3.8万円=26.2万円」が基本給とは限らない |
| 固定残業代 | 月3.8万円(20時間分) | なし | 内定先のみ。20時間超は追加支給 |
| 賞与 | 年2回、前年度実績計2.0か月分。想定年収上は年60万円 | 年2回、2025年実績約72万円 | 実績ベースでは現職が約12万円高い。内定先は業績連動 |

相談の理由には、出どころの番号も付きました。次は別の回からの抜粋です。

- 現職年収400万円に対し提示は420万円で、増額は20万円にとどまる(①・③)。
- 提示年収420万円には、年45万6,000円の固定残業代が含まれる。一方、現職は固定残業代がなく、残業代が別途支給される(①・③)。

どちらも出力からの抜粋で、文言は変えていません。同じ架空の経歴から 3 回出し、3 回とも希望額は空欄のままでした。

職務経歴書を外部の AI に渡す前に消す範囲は、職務経歴書をAIに渡す前に消す個人情報でも確認できます。

希望額を書く前に、給与を同じ項目で比べる

出力が返っても、すぐにメールの空欄を埋めません。挙がった交渉理由を、次の順で点検します。

1. ①〜⑤のどこにあるかを元の書類で探す

出力には「①・③」「②」「④」のように出どころが付きます。その番号だけを信じず、元の行まで戻ります。書類に見つからない数字や実績は、交渉理由から外します。

2. 同じ項目どうしになっているかを見る

年収の総額どうしでも、含まれる項目が違えば、差額をそのまま交渉理由にはできません。たとえば、現在の年収が実際に得たインセンティブ込みで、内定先の年収が目標達成を前提にした見込みなら、実績と見込みの比較です。転職後に無くなる手当も含め、次のように分けます。

比べる項目現在内定先点検すること
基本給基本給基本給どちらも手当を含まないか
時間外の給与実際に支給された残業代固定残業代と超過分時間数と金額が同じ考え方か
賞与実績見込み初年度も満額か、何を基準に計算するか
変動給実際のインセンティブ・歩合想定するインセンティブ・歩合何%の目標達成を前提にした金額か
手当毎月・回数ごとの手当同じ役割の手当転職後に無くなる手当はどれか

同じ項目に直せない差は、メールの理由にせず、先に質問します。

3. 比較や交渉理由に効く空欄だけを質問にする

書いていない項目が、すべて「【確認:〜】」になるわけではありません。プロンプトは、内訳の表では「書いていない」と表示し、そのうち交渉理由を決めるために必要なものを質問にします。

3 回の出力では、内定先の基本給、賞与 2 か月分の計算に使う金額、現在の年収 400 万円と月給・賞与の合計 396 万円の差が、確認の必要な項目として挙がりました。初年度の賞与を「【確認:〜】」に挙げたのは 3 回のうち 2 回で、1 回目にはありませんでした。出力によって拾う項目が変わるため、「【確認:〜】」と内訳の注記の両方から質問を拾い、確かめるまでは推定した数字をメールに入れません。

4. 書面①が薄ければ、問い合わせた後に入れ替える

①は、内定先から届いた労働条件通知書や給与を示すメールです。年収総額しか分からない場合は、出力の「【確認:〜】」と内訳の注記から、基本給、固定残業代、賞与、変動給、手当など比較に必要な質問を選びます。「条件のご提示をありがとうございます。承諾前の確認として、次の項目を教えていただけますでしょうか」と置き、その下に質問を並べて、採用担当者か人材紹介会社へ送ります。

返事が来たら、その内訳を①として入れ直し、同じプロンプトをもう一度使います。「労働条件通知書は承諾後に送る」と言われた場合は、通知書に先立って給与の内訳だけでもメールで確認できるか、回答期限を延ばせるかを尋ねます。開示されない項目は 0 円とみなさず、「分からない」と残したまま、承諾するかを判断します。通知書を出す時期の法的な判断は、この記事では扱いません。

厚生労働省の「採用時にはどのような労働条件が明示されるのでしょうか?」は、労働契約を結ぶ際、賃金の決め方・計算方法・支払い方法などを書面で示すと説明しています。賞与は、制度がある場合には説明される項目ですが、必ず書面で渡される項目とはされていません。「労働関係法令の解説(令和7年 10 月版)」には、就業規則を示して説明する方法や、口頭で労働契約が成立する場合も書かれています(いずれも 2026 年 9 月 23 日確認)。①に賞与がなければ 0 円とは扱わず、支給の有無、計算方法、初年度の見込みを質問に回します。

求人票の年収幅と内定後の金額の違いは、求人票の年収上限をもらえる人は分からないでも説明しています。

希望額を ChatGPT に決めさせない

希望額を ChatGPT に決めさせないとする理由は、この記事で使った gpt-5.6-sol が、内訳を知らなくても金額を出し、同じ質問でも金額を変えたことです。利用者の属性や尋ねる立場を変えた研究でも推奨額が動いており、どの金額が正しいかを判定する基準も AI の返答にはありません。

比較のため、職務経歴書だけを添えて、次のようにも尋ねました。

内定をもらいました。提示された年収は420万円です。年収を上げる交渉をしたいので、いくらを希望すればいいか教えてください。交渉のメールも書いてください。

(ここに職務経歴書を貼る)

ChatGPT の画面ではなく gpt-5.6-sol に、同じ文面と同じ架空の経歴を 3 回渡すと、金額は次のように分かれました。

返答最初に伝える希望額着地点の目安
1480 万円450〜470 万円
2470 万円450〜460 万円
3460 万円440〜450 万円

3 回とも、内定先の基本給、固定残業代、賞与を知らないまま金額を出し、メールにもその希望額を書き込みました。内訳を確認するようには添えていましたが、確認前に希望額を決めています。

同じ質問の繰り返しとは別に、質問へ入れる情報を変えた研究でも金額が動いています。Sorokovikova ほかは、利用者の性別・民族・移民に関する記述だけを変えると、4 つの LLM が異なる希望額を示す組があったと報告しています(「Surface Fairness, Deep Bias: A Comparative Study of Bias in Language Models」、2026 年 9 月 23 日確認)。Geiger ほかの API 実験では、ChatGPT の基盤モデルの版や、従業員側と雇う側のどちらとして尋ねるかでも初回提示額が変わりました(「Asking an AI for salary negotiation advice is a matter of concern: Controlled experimental perturbation of ChatGPT for protected and non-protected group discrimination on a contextual task with no clear ground truth answers」、2026 年 9 月 23 日確認)。どちらも英語・米国の設定で、いまの日本の転職で出すべき金額を示す研究ではありません。読者の属性や尋ねる立場で動く提案額を、自分の正解にはしないという判断に使います。

希望額は、次の順で考えます。

  1. 内定先と現在の給与を同じ項目に分け、差を出す
  2. 求人票の年収幅と、「経験・能力を考慮」「目標達成率 100% で算出」など金額の決め方を読む
  3. 職務経歴書から、応募先で生かせる経験と実績を選ぶ

この 3 段で説明できる金額を、自分の希望額にします。ほかの求人は役割と求める経験が近いものだけを参考にし、AI が作った平均年収や一律の上乗せ率は使いません。

希望額と、希望額に届かなかったときに受け入れられる最低額は別です。希望額は最初に企業へ相談する金額、最低額は「その金額が難しくても入社するか」と聞かれたときの自分の判断です。最低額をメールの空欄に入れる必要はありません。

確かめた理由だけで企業へ送るメールを書く

希望額を決めたら、メールの空欄へ入れます。残す理由は、元の書類で場所を確認し、同じ項目で比較できたものだけです。未確認の数字は削り、先に採用担当者へ質問します。

上のプロンプトから返ったメールの一例は、次のとおりです。原文のまま載せます。

このたびは内定ならびに条件のご提示をいただき、誠にありがとうございます。入社を前向きに検討しております。現職年収が400万円であることに加え、約3年半のSaaSカスタマーサポート経験、月400件の対応実績、一次解決率を58%から72%へ改善した経験がございます。また、求人票では経験・能力を考慮し年収380万〜520万円と伺っております。年収【希望額: 万円】で再度ご検討いただくことは可能でしょうか。

この例でも、送る前に一文ずつ確かめます。メールの 3 文目にある「現職年収が400万円」は、内定先の 420 万円より低いため、総額だけを見れば増額を求める理由と逆向きです。固定残業代や賞与を同じ項目に直して不利な差を説明できなければ、この句は削ります。一次解決率の改善は、自分の担当範囲と集計期間を説明できるか、求人票の「経験・能力を考慮」は掲載内容と同じかも確認します。

企業へ直接応募した場合は採用担当者へ、人材紹介会社を通した場合は担当者へ相談文を送ります。相手の呼び方と、選考中に聞いた仕事内容に合わせて文面を直します。

希望額が通らない場合に確かめること

転職サービス doda の解説記事は、内定時の金額は多くの場合、応募先の社員の給与テーブルに当てはめて算出され、交渉してもテーブル内の調整にとどまり、上がらないことのほうが多いと説明しています。また、提示額が給与テーブルのどの位置に当たるかを確認するよう勧めています(「転職の給与交渉に失敗…後悔しないために知っておきたい給与交渉の注意点は?」、2023 年 8 月 7 日更新、2026 年 9 月 23 日確認)。交渉理由がそろっても、希望額が通るとは限りません。質問するなら「今回の金額は、給与テーブルや等級のどこに当たりますか」と具体化できます。

確かめた範囲

この記事の出力例は、SaaS のカスタマーサポートへ転職する 1 人の架空の経歴で 3 回、別の架空の経歴 2 件で 1 回ずつ、2026 年 9 月 23 日に確認したものです。使ったのは OpenAI の gpt-5.6-sol と、コマンドラインから使う開発者向けツールの Codex CLI で、ChatGPT の画面とは別の経路にあたり、Web 検索は使っておらず、ChatGPT の画面やほかのモデルで同じ形になるかは確認していません。

分かったのは、提示された書類から内訳、交渉理由の候補、確認事項、希望額を空欄にしたメールを作れることと、書面にない項目の推定や、含む項目が違う総額の比較を人が取り除く必要があることです。妥当な希望額、交渉が成功する確率、会社が実際に使った給与テーブル、交渉後に入社した人の結果は分かりません。

個別の交渉で内定が取り消されるかどうかは、この記事では法的に判断しません。

よくある質問

内定後の年収交渉では、何%上乗せすればよいですか?

この記事では一律の割合を出せません。内定先と現在の給与を同じ項目で比べ、求人票の年収幅と決め方、応募先で生かせる経験の順に見て、説明できる金額を自分で決めます。

年収交渉は、いつ切り出せばよいですか?

この記事は、内定後・承諾前を対象にしています。転職サービス doda の解説記事も、交渉は内定後から内定承諾までの間に行い、承諾後は避けるよう勧めています(「転職の給与交渉に失敗…後悔しないために知っておきたい給与交渉の注意点は?」、2023 年 8 月 7 日更新、2026 年 9 月 23 日確認)。回答期限の前に、足りない内訳の確認と相談を進めます。

年収交渉をすると、内定を取り消されますか?

この記事の資料からは、「取り消される」「取り消されない」のどちらも言えず、個別の法的な判断もできません。転職サービス doda の解説記事は、年収の相談を内定後から内定承諾までの間に行い、承諾後は避けるよう勧めています(「転職の給与交渉に失敗…後悔しないために知っておきたい給与交渉の注意点は?」、2023 年 8 月 7 日更新、2026 年 9 月 23 日確認)。これは内定取り消しがないという保証ではありません。承諾前に給与の内訳を書面で確かめ、確認できた理由で相談します。

内定先から給与の書面が届いていない場合は、どうすればよいですか?

希望額を先に決めず、出力の「【確認:〜】」から必要な質問を選んで採用担当者か人材紹介会社へ送ります。返事の内訳を①に入れ、プロンプトをもう一度使います。通知書が承諾後になると言われた場合も、給与の内訳だけ先にメールで確認できるかを尋ねます。

希望額を断られたら、どうすればよいですか?

希望額とは別に決めておいた最低額で、入社するか辞退するかを判断します。金額が動かない場合に、基本給と賞与の配分、入社後の評価時期などを相談するなら、企業から希望額への返事が来る前に優先順位を決めておきます。最初に戻る場所は、メールの文面ではなく、同じ項目で比べた給与の表です。

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