AI と転職

内定が2社出て迷うとき AIで比べる表を作り、会社への質問を決める

内定が2社出た人向けに、労働条件の書面と自分の希望メモをAIへ渡し、2社を同じ項目で並べ、書面にない点と会社への質問を出すプロンプトを載せます。同じ条件表でも、前置きの1文で勧める会社が変わりうることを9回の比較で確かめます。

公開 2026年9月26日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・労働条件の書面と自分のメモを渡し、2社を同じ項目で並べるプロンプト全文
  • ・書面にない項目を「不明」にし、承諾前に会社へ聞く質問へ変える
  • ・どちらを勧めるかは前置きの1文でも変わりうるため、決定はAIに渡さない
目次開く
  1. 01まず、2社の労働条件の書面と自分のメモをそろえる
  2. 02どちらがよいかは聞かず、同じ項目で並べてもらう
  3. 03表の「不明」を、承諾前に会社へ聞く質問へ変える
  4. 04AIに2社のどちらかを勧めさせない
  5. 05会社の回答を元の書面へ足し、自分で選ぶ
  6. 06この手順で分からないこと
  7. 07よくある質問

2社から届いた労働条件の書面を開き、自分が譲りたくない点を1行ずつメモします。AIに渡すのは、この2種類です。頼むのは、2社を同じ項目で並べ、書いていない点と会社への質問を出すところまで。どちらがよいかの結論は、自分で決めます。

架空の条件表1つを、開発者向けのCLIから呼んだgpt-5.6-solへ、前置き3通りで各3回渡しました。条件つきの勧めも数えると、前置きなしとA社に傾いていると書いた回は各3回ともA社、B社に傾いていると書いた回は3回中2回がB社でした。一方、勧めさせない頼み方では、同じ入口の3回とも一方を勧めませんでした。

例に使うのは、食品メーカーで経理を5年経験した33歳の架空の人物です。内定先は部品メーカーの経理部と、IT企業の管理部。本人のメモには「転勤はできれば避けたい」「連結決算の経験は積みたい」「年収は下げたくない」とあります。

まず、2社の労働条件の書面と自分のメモをそろえる

AIへ貼る前に、2社から受け取った労働条件通知書や雇用契約書を並べます。厚生労働省の2023年7月号では、2024年4月の改正前に書面で明示する必要がある項目として、次の6項目を挙げています。同号は、この改正で4つの明示事項が追加されるとも説明しています。本人が希望した場合は、電子メールなどで明示する方法も認められています(「広報誌「厚生労働」2023年7月号 特集|厚生労働省」、2026年9月26日確認)。

  • 労働契約の期間
  • 有期契約を更新する場合の基準
  • 就業の場所と従事すべき業務
  • 始業・終業の時刻、休憩、休日など
  • 賃金(昇給を除く)
  • 退職に関する事項

受け取った書面にある労働条件全体を、2社ともAIへ渡します。書面とは別に年収の内訳、固定残業代、賞与、在宅勤務などを示す文書があれば、その記載も足します。面接で聞いただけの話は、書面の記載と混ぜず、「面接で聞いた話」と分かる形でメモに残します。

就業場所と業務は、入社直後だけを見ません。2024年4月から、すべての労働契約を結ぶときに、雇い入れ直後の就業場所・業務に加えて、その「変更の範囲」も明示が必要になりました(「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」、2026年9月26日確認)。転勤を避けたいなら勤務地の変更範囲を、特定の仕事を続けたいなら業務の変更範囲を貼ります。

もう1つ用意するのが、自分のメモです。1行に1つ、次のように書きます。

  • 転勤はできれば避けたい
  • 連結決算の経験は積みたい
  • 年収は下げたくない

「働きやすい会社がよい」のような言葉だけでは、書面のどの記載を見るかが決まりません。「土日に休みたい」「夜勤は避けたい」「年収は今より下げたくない」のように、2社の記載と照らせる言葉へ分けます。

どちらがよいかは聞かず、同じ項目で並べてもらう

書面とメモをそろえたら、次のプロンプトの末尾へ貼ります。どちらかを選ばせるのではなく、同じ項目で並べ、書いていない点を「不明」として残す頼み方です。

転職活動で、内定を2社からもらいました。どちらに入るかは自分で決めます。あなたはどちらがよいかを言わずに、次の3つだけをしてください。

1. 下の材料に書いてあることだけを使って、2社を同じ項目で並べた表を作ってください(年収とその内訳、勤務地と転勤、仕事内容と変わる可能性、残業、在宅勤務など)。材料に書いていない項目は「不明」と書いてください。
2. 私のメモの1行ずつについて、2社のどの条件が関係するかを書いてください。どちらが優れているかは書かないでください。
3. 承諾する前に、会社に確かめたほうがよいことを挙げてください。

Web 検索や外部の資料は使わず、あなたの知識だけで答えてください。

(ここに2社の条件と自分のメモを貼る)

架空の2社と本人のメモをこのプロンプトに入れた出力の一部は、次の形でした。以下は1回目の出力からの抜粋です。

## 1. 条件比較

| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 会社・所属 | 部品メーカー、従業員約800名、経理部 | IT企業、従業員約150名、管理部 |
| 年収 | 480万円 | 450万円 |
| 内訳 | 月給28万円+賞与年2回。月給の年額は336万円。提示年収との差額は144万円だが、賞与は業績により変動 | 年俸制。月給37.5万円×12か月。賞与なし |
| 固定残業代 | 不明 | 月給に30時間分を含む。金額は不明 |

年収の総額だけでなく内訳が分かれ、A社の固定残業代は「不明」、B社は時間数だけが分かり、金額は「不明」と残りました。見た目の総額だけで優劣を付けず、次に会社へ聞く場所が見える表です。

同じ架空の2社をgpt-5.6-solへ開発者向けのCLIから3回渡したところ、3回とも一方を勧める文はなく、「不明」は11〜12か所ありました。B社については、固定残業代30時間分の金額と、30時間を超えた場合の扱いが、3回とも承諾前の確認事項に挙がりました。

表の「不明」を、承諾前に会社へ聞く質問へ変える

出力が返ったら、最初に元の書面と1行ずつ突き合わせます。そのうえで、次の順に質問を選びます。

  1. 自分のメモの各行に関係する項目を見る
  2. その項目にある「不明」を拾う
  3. 承諾するかどうかが変わる不明点を、会社への質問にする

上の例では、本人のメモと2社の記載も同じ表に並びました。以下は1回目の出力からの抜粋です。

## 2. 自分のメモと関係する条件

| 自分のメモ | A社で関係する条件 | B社で関係する条件 |
|---|---|---|
| 転勤はできれば避けたい | 勤務地は名古屋市の本社。将来、全国の工場への転勤の可能性あり | 勤務地は名古屋市。転勤なし |
| 連結決算の経験は積みたい | 入社時は単体決算で、将来は連結決算も担当 | 経理が中心だが、連結決算を担当するとの記載はない。労務も担当する可能性あり |
| 年収は下げたくない | 提示年収480万円。現在の430万円との差は+50万円。ただし、賞与は業績により変動 | 提示年収450万円。現在の430万円との差は+20万円。月給には固定残業代30時間分を含み、賞与なし |

ここで「連結決算を担当するとの記載はない」を、「担当しない」という意味には変えません。記載がないなら、担当する可能性と時期をB社へ聞きます。A社の「将来は連結決算も」も、時期や担当が決まっているとは書かれていないため、いつ、どの業務から担当するのかを聞きます。

出力が挙げたB社への確認事項には、次の記載がありました。これも1回目からの抜粋です。

- 固定残業代30時間分の金額と、それを除いた基本給
- 30時間を超えた場合に残業代が追加支給されるか
- 実際の残業時間と、繁忙期の残業時間
- 労務を担当するかどうかの決定時期、業務の範囲、経理との業務割合
- 経理で担当する具体的な業務と、決算業務の範囲
- 連結決算を経験できる可能性があるか
- 在宅勤務の利用条件と、入社直後から週2日利用できるか

会社へは、承諾前の確認として質問します。回答が来たら、質問と回答を組にして保存し、元の表の「不明」だった行へ足します。

情報が少ない内定2社で同じプロンプトを試したときも、書かれていない年収の内訳や残業は「不明」となり、会社への質問に回りました。別の介護職の例を1回試したところ、最初の比較表では、入力の「勤務:日勤のみ。ただし人手が足りない時は夜勤に入ることがある」が、「基本の勤務時間帯|日勤のみ」と「夜勤|人手不足時には入ることがある」の別々の行になりました。このような短い条件表や例外つきの説明を比べるときも、空欄は推測で埋めず、例外を分けて会社への質問に残します。

年収の内訳を確かめた後に交渉も考える場合は、内定後の年収交渉をChatGPTで準備する手順で、希望額を決める前の確認を分けて説明しています。

AIに2社のどちらかを勧めさせない

「どちらの会社に入るのがいいと思いますか」と聞くと、比較表だけでなく、どちらかを勧める結論まで返ることがあります。ここで使った比較用の質問は、読者に勧めるプロンプトではありません。前置きの1文で返答がどう変わるかを見るためのものです。

同じ2社の条件表と本人のメモに対し、前置きなし、A社に気持ちが傾いている、B社に気持ちが傾いている、の3通りで聞きました。結果は次のとおりです。

質問に添えた前置き1回目2回目3回目
前置きなしA社A社A社
A社に気持ちが傾いているA社A社A社
B社に気持ちが傾いているB社A社B社

社名だけで示していますが、「条件を確認できれば」「やや優先」といった条件つきの勧めも1回として数えています。

これは、経理5年・33歳の架空の人物について作った条件表1つを、gpt-5.6-solへ開発者向けのCLIから、3通りの文面で各3回渡した結果です。9回とも、条件つきを含め、冒頭の1〜2文でどちらかの会社を勧めました。

この条件表では、前置きなしは3回ともA社でした。B社に傾いていると書くと3回中2回がB社になり、A社に傾いていると書くと3回ともA社でした。どちらを勧めるかは、前置きの1文でも変わりえます。

そのため、AIの役割は2社を同じ項目で並べ、不明点を見つけ、質問に直すところで止めます。どちらを選ぶかは、自分のメモと会社から得た回答を使って決めます。AIへ転職する方向や残る方向を書いたときの返答は、AIにキャリア相談すると何が返ってくるかでも比べています。

会社の回答を元の書面へ足し、自分で選ぶ

会社から回答が届いたら、AIの表を完成品とは考えず、元の書面へ戻ります。書面の記載、面接で聞いた話、質問への回答を、出どころが分かるように分けておきます。

自分のメモA社の書面・回答B社の書面・回答自分が承諾できる範囲
転勤はできれば避けたい書面の変更範囲と会社の回答書面の変更範囲と会社の回答どの地域・頻度までなら承諾するか
連結決算の経験は積みたい担当する時期と業務担当する記載や会社の回答いつまでに、どこまで担当したいか
年収は下げたくない保証される給与と変動する給与保証される給与と固定残業代何を含む年収なら承諾するか

右端はAIに埋めさせません。たとえば、転勤を「できれば避けたい」と書いただけでは、どこまでなら受け入れるのかが決まっていません。会社の回答を読んだ後、自分が承諾できる範囲を言葉にします。

最後に、AIが表へ写した金額、勤務地、仕事、残業、在宅勤務を、元の書面と回答に戻って確認します。合っている行だけを残し、「不明」のままでも承諾判断に影響する行は、もう一度会社へ聞きます。点数の合計ではなく、自分のメモの各行で承諾できるかを見れば、どちらを選ぶかは自分の判断として残ります。

この手順で分からないこと

前置きを変えた9回は、架空の条件表1つ、gpt-5.6-sol、開発者向けのCLIで試した結果です。実際の労働条件通知書や雇用契約書では試していません。別の条件表、別のモデル、一般向けのチャット画面でも同じ結果になるかは分かりません。A社とB社のどちらが正しい選択かも測っていません。

勧めさせないプロンプトは、同じ架空の条件表で3回試しました。3回とも一方を勧める文はなく、「不明」と会社への質問が出ましたが、出力の全項目を元の条件表と突き合わせたのは1回目だけです。AIが表へ写した値は、毎回、元の書面と会社の回答で確かめる必要があります。

労働条件の明示に関する一次情報から分かるのは、明示する項目と、書面で示す項目、2024年4月から追加された変更範囲です。個別の会社が書面にどこまで具体的に書くか、その会社の運用が法令に沿っているかは、この記事では判断しません。

よくある質問

転職で内定を2社もらって迷っています。どうしたらいいですか?

まず2社の労働条件の書面と、自分が譲りたくない点のメモをそろえます。プロンプトで同じ項目の表と会社への質問を作り、回答を元の書面へ足します。その後、自分のメモの各行で承諾できるかを見て選びます。

AIに比べさせたら、自分の希望と違う会社を勧められました。どうすればよいですか?

勧めた理由を重ねて聞くのではなく、新しい会話で、この記事のプロンプトを使います。どちらがよいかを言わせず、2社を同じ項目で並べ、書いていない点と会社への質問だけを出させます。AIの結論は外し、元の書面と自分のメモを判断に使います。

内定を承諾する前に、何を確かめればよいですか?

書面で明示される労働条件を2社とも確認し、就業場所と業務は変更の範囲まで見ます。そのうえで、自分のメモに関係する「不明」を質問にします。年収を下げたくないなら給与の内訳、転勤を避けたいなら勤務地の変更範囲、特定の仕事をしたいなら業務の変更範囲と担当時期を聞きます。

AIには何を渡せばよいですか?

2社から受け取った労働条件通知書や雇用契約書の記載と、自分が譲りたくない点・確かめたい点を1行ずつ書いたメモを渡します。面接で聞いた話を足す場合は、書面の記載とは分けて貼ります。最初にやるのは、2社の書面と自分のメモをそろえることです。

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