転職の判断
内定後に妻に転職を反対されたら、どう話せばいい?
内定が出た後に配偶者から転職を反対された時の考え方をまとめました。年収が下がるという不安は、年収の差ではなく、社宅・手当・固定残業代を含めた毎月の出入りで比べると、家計が回るかが分かります。会社の不安のうち公的な検索と書面で分かること、数字では消えない不安、回答期限の延ばし方、辞退か入社かの決め方、最初に何を言うかを載せています。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・年収が下がるという反対は、社宅・手当・固定残業代を含めた毎月の出入りで比べ、業績連動の賞与を入れずに固定費が回るかを見れば分かる。配偶者の心配のほうが当たっていることもある
- ・知らない会社への不安のうち、年金機構の検索・労働条件の書面・決算公告で分かることと、面談で聞くしかないこと。社名と転職そのものへの不安は数字では消えない
- ・回答期限は「家族と条件を確認したい」と伝えて延ばせるか聞いてよいこと、辞退か入社かを、家計と会社を確かめた後に何が残るかで決める分かれ目、話す時に最初に言うこと
目次開く閉じる
内定が出てから妻に話したら、「年収が下がるんでしょ」「聞いたこともない会社」「なんで相談してくれなかったの」と強く反対された。どう話せば納得してもらえるのか、辞退するしかないのかを決めかねている。
反対の理由のうち、お金の話は計算で答えが出ます。年収の差ではなく、社宅や手当が無くなる分を入れ、固定残業代をそろえて毎月の出入りを比べます。業績に応じて出る賞与は入れずに、月給だけで家計の固定費が回るかを見ます。計算してみると、配偶者の心配のほうが当たっていることもあります。会社への不安には、書面と公的な検索で確かめられる部分と、確かめられない部分があります。社名を知られていないことや「転職そのものが不安」という気持ちは、数字では消えません。だから、作った表は相手を説得するためではなく、2 人で決めるための材料として渡します。回答期限が迫っているなら、会社には「家族と条件を確認したい」と伝えて、延ばせるか聞いてかまいません。
35 歳以上の転職サイト利用者を対象にしたエン株式会社の 2025 年の調査では、家族から転職を反対された理由(複数回答)の 1 位は「転職自体に良くない印象がある」39% で、「年収が下がる」38% はわずかに 2 位でした(「ミドル世代の「転職の引きとめ・家族の反対」調査ー『ミドルの転職』ユーザーアンケートー「在籍企業からの引きとめ」に応じて転職を踏みとどまる方は5人に1人。 「家族からの反対」に応じて踏みとどまる方は4割を超える。」)。
反対の理由には、計算で確かめられるものと確かめられないものがある
配偶者が転職に反対する理由は、書面と数字で確かめられるものと、そうでないものに分かれます。
| 反対の理由 | 書面・数字で確かめられるか | 何で答えるか |
|---|---|---|
| 年収が下がる | 確かめられる | 労働条件の書面と今の給与明細を同じ並びにした、毎月の出入り |
| 会社が潰れないか | 一部は確かめられる | 年金機構の検索、書面の保険の欄、決算公告。この先の見通しは面談で聞く |
| 社名を知られていない | 確かめられない | 親や周りにどう見えるかは、数字では変わらない |
| 転職そのものが不安 | ほぼ確かめられない | なぜ今の会社を出たいのかと、うまくいかなかった時に貯金をどこまで使うか |
| 相談が遅かった | 確かめられない | 進めてしまったことは認め、返事の期限までの日数を一緒に考える時間にする |
確かめられるものは、先に確かめておきます。確かめられないものは、表をいくら整えても残るので、2 人で話して決めます。
年収が下がると言われたら、毎月の手取りで固定費が回るかを見る
年収の合計で比べると、何が効いているのかが見えません。見るのは「下がった後の月の手取りで、家賃・保険・教育費・ローンなどの固定費が回るか」です。比べる時は次の 3 つをそろえます。
- 固定残業代: 内定先の月給に「固定残業代◯時間分を含む」とあれば、残業代が別に付く今の月給とは同じ並びではありません。今の月給に普段の残業代を足した額と、内定先の月給を比べます
- 住まいと手当: 社宅、住宅手当、家族手当が無くなるなら、その分は毎月の出費が増えるのと同じです
- 賞与: 書面に「業績に応じて支給」とある賞与は約束された額ではありません。家計の見通しを立てる時は入れず、月給だけで回るかを見ます。賞与は出たら上乗せです
架空の例で並べると、次のようになります。
| 項目 | 今の会社 | 内定先 |
|---|---|---|
| 月給(額面) | 30 万円+残業代が月 2 万円ほど | 32 万円(固定残業代 20 時間分を含む) |
| 住まい | 社宅で家賃 3 万円 | 賃貸で家賃 9 万円 |
| 賞与 | 年 4 か月分の実績 | 年 2 回「業績に応じて支給」 |
今の月給に残業代を足すと内定先の月給と同じになり、家賃だけが毎月 6 万円増えます。年収の差は賞与の分だけに見えても、家賃を払った後に残るお金は、額面で毎月 6 万円減ります。あとは今の給与明細の手取りと、内定先の月給から見込んだ手取りを比べ、賞与なしで固定費に届くかを見ます。内定先の手取りは、会社に試算を頼むこともできます。転職した 1 年目は、住民税が前の年の所得で決まった額のまま引かれるので、手取りは年収の下がり幅から思うより少なくなることがあります(記事「転職した 1 年目は、年収の下がり幅から思うより手取りが苦しい」)。
計算して賞与なしでは毎月足りないと出たら、「家計はどうするの」という心配は当たっていたことになります。足りるなら、お金の心配には数字で答えられます。
下がる転職は珍しいものではありません。厚生労働省の雇用動向調査では、2025 年に転職して入職した人(前職で雇われていて、調査時点で在籍していた人)のうち、前の勤め先より賃金が減った人は約 3 割、1 割以上減った人は約 2 割でした(「令和7年雇用動向調査結果の概況」)。この「賃金」は残業代を含み、賞与など臨時のものを除いた税込みの額で、年収の比較ではありません(「記入要領(抜粋)」 の問 17)。下がっても家計が回るかどうかは、この割合では決まりません。
大手から移る時に年収の比較に出てこない差(退職金の数え直し、社宅で会社が払っていた家賃、賞与 0 の年)は、記事「大手から中小企業に転職すると何が変わる?年収・退職金・手当の差」にまとめています。労働条件の書面がまだ届いていない時の考え方は、記事「内定後に書類が届かない。取り消し? こちらから問い合わせていい?」にあります。
「聞いたこともない会社」でも、保険の加入や決算は確かめられる
社会保険に入っているかや決算は、公的な検索や公告で誰でも確かめられます。
- 厚生年金・健康保険に入っているか: 日本年金機構の適用事業所検索で、会社名や法人番号から、加入の有無、適用年月日、被保険者数(毎月 20 日ごろ時点)が出ます(「厚生年金保険・健康保険適用事業所情報を検索できます|日本年金機構」)。人数は事業所ごとの数で、会社全体の人数と同じとは限りません
- 雇用保険の適用: 健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用は、求人の段階で示す事項に入っています(「職業安定法施行規則」 第 4 条の 2 第 3 項第 6 号)。求人票で見られます。労働条件の書面に載っていれば、そこでも見られます
- 債務超過ではないか: 株式会社は、定時株主総会の後に貸借対照表(またはその要旨)を公告する決まりがあります(「会社法」 第 440 条)。官報や会社のサイトで見つかれば、純資産がマイナスかどうかくらいは読めます。見つからないことを、危ない会社の根拠にはしません
一方で、この先も会社が続くかは書面では分かりません。資金調達をしたことも、黒字かどうかとは別の話です。当サイトの掲載求人では、求人票に資金調達の実施を書く会社は約 2%、そのうち会社やサービスの黒字に触れるのは 1 割に満たない、という集計でした(2026 年 11 月 4 日時点で掲載中の求人がある会社単位。割合は丸めています)。売上や黒字かどうかは求人票ではまず分からないので、内定後の面談で聞きます。
聞くこと自体は失礼ではありません。条件を変えてほしいという話ではなく、書面の中身を確かめる質問だからです。たとえば「入社後の仕事を理解しておきたいので、差し支えない範囲で、直近の売上の推移と黒字化の見通し、手元資金の状況を伺えますか」「昨年度の賞与はどのくらい支給されましたか」と聞けます。月給を上げてほしいと頼むのは交渉になるので、これとは別の話です。全部に答えてもらえるとは限りませんが、どう答えたかも判断の材料になります。
社名や「転職そのものが不安」という気持ちは、数字では消えない
先ほどのエン株式会社の 2025 年の調査では、反対の理由に「社格へのこだわり」を挙げた人も 20% いました。会社の名前を親や周りに言った時にどう見えるかは、家計の表でも年金機構の検索でも変わりません。「転職自体に良くない印象がある」も同じです。
この不安には、次の 2 つを話します。
- なぜ今の会社を出たいのか: たとえば「今の仕事を続けた数年後の自分が思い描けない」といったことを、自分の言葉で話します
- うまくいかなかった時にどうするか: 賞与が出なかった時に貯金がどう減るかを計算し、「貯金がいくらを切ったら、もう一度転職を考える」という金額を 2 人で決めます。金額は、配偶者が安心できる額にするのがよいと考えます
出たい理由だけを話しても、相手の不安は残ります。うまくいかなかった時の決めごとがあると、2 人で考えられる話になります。上場やストックオプションへの期待を話すなら、家計の表とは混ぜず、「家計は賞与なしでこう回す」と「上場したらという期待が自分にはある」を別のものとして伝えます。書面に無い将来の話は、家計の心配に答えるものではないからです。
回答期限は「家族と条件を確認したい」と伝えて、延ばせるか聞いてよい
承諾の期限は会社が決めるもので、延ばしてもらえるかも会社次第です。頼むこと自体はできます。マイナビの中途採用状況調査では、会社が内定を伝えてから承諾をもらうまでにかかった日数は平均で約 9 日でした(1 次面接を Web で実施した企業の中途採用担当者の回答、「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」)。
伝える時は、事実をそのまま言えば足ります(「家族と条件を確認したいので、◯日まで待っていただけますか」)。反対されているとまで言う必要はありません。延ばしてほしい時は、日付を決めて頼みます。連絡はこれまでやり取りしてきた方法に合わせ、結果はメールで残しておくと、後で食い違いません。昨年の賞与の支給実績や資金の状況を聞くなら、同じ連絡で聞けます。
辞退か入社かは、家計と会社を確かめた後に何が残るかで決める
家計を計算し、会社のことを確かめた後の状況で、考え方が変わります。
- 賞与なしでは家計が回らない: 配偶者の心配が当たっています。辞退して、条件を変えて探し直すほうに傾きます。それでも入社するなら、貯金を崩す期間と、いくらを切ったら動くかを、配偶者と一緒に決めるのが前提です。配偶者がすぐ働けることを前提にした計算は、2 人でそう決めたのでなければ外しておきます
- 家計は回り、会社の確認も済んだが、社名と転職そのものへの不安が残った: ここから先は夫婦で決めることで、この記事はどちらも勧めません
辞退しても、転職をあきらめることにはなりません。条件を変えて探し直す道は残ります。先のエン株式会社の 2025 年の調査では、家族の反対を受けた人のうち、「一度はとどまったが、その後改めて転職した」と答えた人も 19% いました。
探し直す時の条件は、「住宅手当がある会社」「賞与が業績連動でない会社」のように制度の有無で決めると、選べる会社が狭くなります。今回の計算から出る条件は、「賞与なしで、家賃を払った後の月の手取りが今の生活費に届くこと」です。手当が無くても月給が高ければ満たせるので、ベンチャーでも満たす会社はありえます。次は応募を考える段階から配偶者に話し、この条件を先に 2 人で決めておくと、内定が出た時に、家計の話はもう済んでいます。
話す時は、相談しなかったことを認めてから「まだ決めていない」と伝える
内定の後に初めて話したのなら、「なんで今さら」と言われるのはもっともです。相談しなかったことは変えられません。最初に認めることは、次の 2 つです。
- 相談せずに進めたこと
- 相手の指摘のうち、計算して当たっていたもの(たとえば家賃のこと)
そのうえで、まだ決めていないこと、期限が何日か、それまでに一緒に見てほしいことを伝え、毎月の出入りの表と会社について分かったことを渡します(「まだ決めていない。◯日までに返事をするので、一緒に見てほしい」)。
近い場面を配偶者の側から書いた記事は「夫に転職したいと言われたら、何を確かめれば安心できる?」です。
よくある質問
「嫁ブロック」とは何ですか?
配偶者(多くは妻)の反対で転職を取りやめることを指す言い方として使われます。反対する側にも、家計や暮らしを守る理由があります。
回答期限は延ばしてもらえますか?
延ばすかどうかは会社が決めます。「家族と条件を確認したいので、◯日まで待っていただけますか」と、日付を決めて聞くことはできます。延ばせないと言われたら、その期限の中で、毎月の出入りの計算だけは先に済ませておくと、話す時間が足りなくても、お金の話だけは数字を見ながらできます。
内定を辞退しても大丈夫ですか?
厚生労働省の Q&A は、働く側からの内定の辞退は原則として問題ないとしたうえで、信義則に反するほど不誠実な辞退は損害賠償を求められる可能性がある、と書いています。働くことを強制されることはありません(「採用の内定・内々定について、取消や辞退する場合の注意点|Q&A|確かめよう労働条件|厚生労働省」)。
夫に転職を反対された時も同じですか?
反対の理由が年収や会社の安定なら、同じ比べ方で答えられます。毎月の出入りを並べ、賞与なしで固定費が回るかを見て、会社は公的な検索と書面で確かめます。反対の理由が家事や育児の分担に寄っている場合は、家計の表では答えられない別の話になります。
この記事の数字と出典について
- 法令、厚生労働省・日本年金機構のページ、各調査は 2026 年 11 月 4 日に確認した内容です
- エン株式会社の調査は、35 歳以上の同社の転職サイト利用者への調査です。2025 年の調査の設問は「転職を切り出した際」の反対で、内定の後の反対に限っていません。19% の分母は、家族の反対を受けた人です
- 雇用動向調査の「賃金」は、辞める直前と入社した時の賃金を比べた回答です。賃金の定義は令和 6 年調査の記入要領によるもので、問 17 の文言は令和 7 年の調査票と同じです
- マイナビの約 9 日は、1 次面接を Web で実施し内定者がいた企業の回答で、会社が決めた回答期限ではなく、実際にかかった日数です。回答期限について、法令上の決まりは見つかりませんでした
- 当サイトの掲載求人の集計は、2026 年 11 月 4 日時点で掲載中の求人がある会社を単位に、求人票の職種名・仕事内容・応募要件・会社の紹介などの本文から、資金調達を実施した記述と黒字の記述を数えたものです。求人票に書いていないことは、その会社が赤字という意味ではありません
- 年金機構の検索で分かるのは厚生年金・健康保険で、雇用保険の加入は検索できません。決算公告をしている会社がどれくらいあるかは調べていません
- 手取りの目安(税金・社会保険料でどれくらい動くか)、出産にかかる費用、内定後に条件を相談した時に取り消されることがあるか、ストックオプションの条件の見方は扱っていません
- 例の月給・家賃・賞与は架空の数字です