転職の判断
役職がないと転職で不利? 後輩指導はマネジメント経験に入るのか
役職がないまま、または主任のまま転職を考える 30 代後半〜40 代の人向けに、マネジメント経験が無いと不利になるのはどの求人か、後輩指導・新人教育・仕事の割り振りはマネジメント経験として通るのかをまとめました。転職者の統計、当サイトの求人の集計、面接での答え方、管理職を狙うか担当者として移るかの決め方を載せています。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・35〜44 歳で転職した人の 7〜8 割は役職なしで入社していること。マネジメント経験が無いことがはっきり弱みになるのは管理職の求人で、担当者の求人では実務と経験年数が先に見られること
- ・後輩指導・新人教育は「人を育てた経験」、仕事の割り振りは「仕事を回した経験」として通ること。部下の評価や目標を負う経験とは分けて伝えること
- ・「マネジメント経験は?」と聞かれた時の答え方と、管理職を狙うか担当者として移るかを肩書と年収のどちらを優先するかで決める考え方
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後輩の指導も新人の教育も、仕事の割り振りもしてきた。ただ、部下の評価をつけたことはなく、肩書は主任か、そもそも役職がない。そこへ「35 歳(40 代)までにマネジメント経験がないと転職は厳しい」という記事を読み、エージェントに「マネジメント経験はありますか」と聞かれて言葉に詰まった。
役職なしの転職は、この年代でも普通の形です。厚生労働省の転職者実態調査(令和 7 年)では、転職して入った人のうち 35〜39 歳の約 8 割、40〜44 歳の約 4 分の 3 が役職なしで入社しています。マネジメント経験が無いことがはっきり弱みになるのは、係長・課長級の管理職の求人に応募する時です。担当者の求人では、その職種の実務経験と年数が先に見られます。
後輩指導や新人教育は「人を育てた経験」、仕事の割り振りや段取りは「仕事を回した経験」として通ります。ただ、管理職の求人が言うマネジメント経験は、部下の評価やチームの目標に責任を持つことを指す場合が多いと書き手は見ています。聞かれた時は、この 2 つを混ぜずに分けて伝えます。
「厳しい」は管理職の求人の話と読める。35〜44 歳の転職者の 7〜8 割は役職なしで入社
年齢別の数字は、厚生労働省の「第10表 性、産業・事業所規模・企業規模・年齢階級・最終学歴・直前の勤め先での役職、現在の勤め先での役職別転職者割合」(令和 7 年転職者実態調査)から取りました。転職先での役職が「役職無し」だった人は、35〜39 歳で 80.9%、40〜44 歳で 74.7% です。係長以上で入った人は、35〜39 歳で 1 割弱、40〜44 歳で 1 割強でした。残りは役職が不明の人で、1 割前後あります。
前の会社での役職と転職先での役職を並べた表もあります。同じ調査の「第36表 現在の勤め先での就業形態、直前の勤め先と現在の勤め先の役職間の移動状況」では、前の会社で役職なしだった転職者の 95.1% が、転職先でも役職なしで入っています。役職なしから役職なしへ移るのが、転職のいちばん多い形です。
「マネジメント経験がないと厳しい」は、肩書を上げて移ろうとする時、つまり管理職の求人に応募する時の話だと読めます。
担当者の求人で先に見られるのは、実務と経験年数
当サイト PREVIO の掲載求人(2026 年 11 月 4 日時点、5% 単位に丸めた割合)で、応募要件の必須の部分に「人を管理した経験」を書いている求人を数えました。法人営業・採用・経理・人事労務では約 1 割、物流事務では約 2 割(件数が少なく幅があります)です。「リーダー経験」「後輩の指導」「新人の教育」のような語を必須の部分に書く求人は、物流事務で約 5%、ほかの 4 職種は 5% 未満でした。
必須の部分によく書かれているのは、むしろその職種の経験年数です。法人営業・採用・経理・人事労務の 4 職種では、必須の部分に経験年数を書く求人が 5 割台半ば〜6 割台半ばありました(2026 年 9 月 27 日時点の当サイトの掲載求人。資格・英語・マネジメントのどれを足すかの記事の集計で、11 月 4 日に数え直しても同じ値でした。資格・英語・マネジメント経験のどれを足すかを比べた記事です)。担当者の求人で先に見られるのは、その仕事を何年、どう続けてきたかです。
ただ、必須の部分に書いていなくても選考で見ないとは限らず、面接で後輩の指導について聞かれることはありえます。
後輩指導・新人教育はマネジメント経験に入る? 「育てた経験」として通るが、評価・目標とは別
マネジメント経験に公的な定義はありません。求人や面接で「マネジメント経験」と言われる時の中身は、実際にしてきた仕事で 3 つに分けられます。
| 場面 | やったことの例 | どう通るか(書き手の判断) |
|---|---|---|
| 人を育てる | 新人に手順を教えて独り立ちさせた、後輩数人の OJT を受け持った、教えるための手順書を作った | 「育成・指導の経験」として通る |
| 仕事を回す | アルバイトやパートのシフトと作業を割り振った、遅れが出た時に人の配置を組み替えた、現場の改善を回した | 「チームをまとめた経験」として通る。人数・期間・結果で言えると伝わりやすい |
| 人の処遇に責任を持つ | 部下の評価をつけた、チームの目標を立てて達成に責任を持った、採用の面接をした、人の配置を決めた | 管理職の求人が言うマネジメント経験の中心になることが多い |
主任やリーダーとして上の 2 つをしてきた人は、それをそのまま経験として出せます。3 つ目は、評価や目標を任される立場になって初めて積める経験で、主任やリーダーではまだ無いことが多い部分です。
後輩指導を「マネジメント経験あり」とひとまとめに書くと、3 つ目の経験もあると受け取られます。後輩を育てた、仕事を割り振った、としたことのとおりに書くほうが、強みとして伝わります。
部下を持たない立場で何をマネジメント経験に数えられるかは、肩書が課長の人向けの部下のいない担当課長の記事にも、数えられる仕事と数えられない仕事の表があり、答えはこの節と重なります。
主任か係長かより、何をしたかで見られる
「主任」は、他社から見ると立場が伝わりにくい肩書です。国の賃金統計の役職区分(「賃金構造基本統計調査の調査の対象となる役職・職種解説」)には部長級・課長級・係長級などが並びますが、「主任」という名前はありません。係長級は「係員を指揮、監督する仕事」に就く人とされています。主任が係長のすぐ下の会社もあれば、担当者の上位の呼び名にすぎない会社もあります。
では係長なら有利かというと、肩書だけでは決まりません。第36表では、前の会社で係長だった転職者も 72.3% は転職先で役職なしで入っていて、係長以上で入ったのは 27.7% でした。同じ肩書で移れる人のほうが少数です(課長が課長のまま移れるかは管理職の転職の記事にまとめています。前の会社で課長だった人でも、課長以上で入ったのは約 3 割です)。
主任か係長かより、評価や目標を持ったのか、育成や割り振りをしてきたのか、という中身の違いのほうが選考での差になります。今の会社で係長になるのを待ってから動くか迷っている人も、係長になって変わるのは肩書そのものより、評価や目標の経験が加わるかどうかです。
「マネジメント経験は?」と聞かれたら、していないことと、してきたことを分けて答える
エージェントや面接で聞かれた時は、「ありません」で終えず、「していないこと」と「してきたこと」を分けて答えます。たとえば次のような形です。
「人事評価や目標管理はしていません。主任として、後輩 3 人の育成と、アルバイト約 20 人のシフトと作業の割り振りを 6 年やってきました。遅れが出た時の人の配置換えは、自分で判断していました」
誰が何を決めていたかを分けて言えば、経験の範囲が正確に伝わります。人数は「20 人をマネジメントした」ではなく「20 人の割り振り」のように、したことと組み合わせて言います。「マネジメントした」と言うと、評価もしていたと読まれかねないからです。
職務経歴書に書く時も考え方は同じで、肩書を作らず、人数・期間・何をしたか・どうなったかを書きます。
管理職を狙うか担当者として移るかは、肩書と年収のどちらを優先するかで決める
どちらの求人に応募するかは、肩書と年収のどちらを先に守りたいかで決まります。
- 年収と職場を変えることが優先なら、本命は担当者・実務リーダーの求人です。今の職種の実務と年数で勝負でき、後輩指導や割り振りの経験は「育成もできる」上乗せになります
- 肩書を取りたいなら、管理職の求人に応募することになり、評価や目標の経験が無い点を突かれる前提で臨みます。管理職の経験が無いまま応募する場合の見られ方は、管理職候補の求人の記事で扱っています
役職なしで入ると年収が下がる、とは決まっていません。同じ調査の「第16表 性、産業・事業所規模・年齢階級・最終学歴・直前の勤め先を離職した理由・現在の勤め先での職種・現在の勤め先での役職・現在の勤め先での就業形態・令和7年9月の賃金総額(税込)階級・企業規模、直前の勤め先と比較した現在の勤め先の1か月当たりの賃金総額の変化別転職者割合及び増減D.I.」では、転職先で役職なしだった人の 1 か月の賃金総額は、前の会社より増えた 41.3%、減った 36.3% でした。比べているのは 1 か月当たりの賃金総額で、年収ではありません。
年収を比べる時は、今の年収と求人の年収を残業代を除いた額どうしで比べると、転職して残業が減った時に年収が下がるかどうかが分かります(計算例は管理職になりたくない人向けの記事に載せています)。固定残業代が入っている求人は、何時間分が入っているかで見込みが変わります。
担当者で入った後にリーダーや係長に上がれるかは、面接でそこのリーダーや係長が今何人いて、直近で誰がどう上がったか(中途で入った人か、入社何年目か)を聞くと、今の会社のように上の役職が空きにくい職場かどうかの手がかりになります。
よくある質問
マネジメント経験は何人からですか?
公的な基準はありません。人数を条件に書く求人の傾向は、マネジメント経験の書き方の記事にまとめています(部下のいる課長向けに、チームの数字と自分の数字を分けて書く形も載せています)。役職がない人は、「◯人の割り振り」「後輩◯人の育成」のように、人数をしたことと組み合わせて書きます。
店長やアルバイトリーダーの経験はマネジメント経験になりますか?
任されていた仕事によります。シフトを組んで仕事を割り振っていたなら「仕事を回す」側の経験です。アルバイトの採用面接や評価、店の売上目標まで持っていた店長なら、「人の処遇に責任を持つ」経験にも当たると書き手は見ています。肩書の名前より、上の 3 つのうちどの仕事をしていたかを伝えます。
主任は職務経歴書にどう書けばいいですか? 役職なしの場合は?
会社で正式に「主任」という役職についているなら、主任と書きます。役職がない場合は、所属部署とその中での役割(後輩の育成担当、作業の割り振り担当など)を書くと、空欄より中身が伝わります。ハローワークの「職務経歴書の作り方(平成30年3月発行、厚生労働省職業安定局・都道府県労働局・ハローワーク)」も、振り返る項目に「役職(部下の人数)」「所属(所属部署の人数)」を挙げています。部下がいないなら、部下ではなく「後輩 3 人」「アルバイト約 20 人」と事実どおりに書きます。
リーダー経験や役職を盛ったらバレますか?
選考中の確認や入社後に食い違いが分かると、盛らなかった場合より立場が悪くなります。主任なら主任と書き、「係長相当」「管理職」とは書かずに、したことを人数・期間つきで書きます。
40 代で役職がない人はどのくらいいますか?
働いている 40 代全体の割合は、この記事で使った統計からは分かりません。転職した人に限ると、40〜44 歳で転職した人の 74.7% が転職先で役職なしでした(第10表)。役職なしで移る形は、40 代前半でも多数派です。
肩書は課長なのに部下がいない場合も同じですか?
肩書が管理職で部下がいない担当課長・専任課長は、職務経歴書に「課長」と書いてよいか、管理職の経験として見てもらえるか、という役職なしの人とは別の問題があります。上で触れた部下のいない担当課長の記事にまとめています。
この記事の数字と出典について
- 転職者実態調査(厚生労働省、令和 7 年)は、5 人以上の事業所の一般労働者で、2024 年 10 月 1 日〜2025 年 9 月 30 日に雇われた転職者を対象にした調査です(有効回答 7,310 人。「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」)。採用された人だけの統計なので、役職なしの人が応募でどれだけ落ちたかは分かりません。役職なしで入ったのが本人の希望か会社の判断かも分かりません
- 第10表は年齢別の転職先での役職で、前の会社での役職とは掛け合わせていません。「35〜39 歳で前の会社でも主任・役職なしだった人」に絞った割合はありません。第36表は全年齢の値です。年齢別の 8 割・4 分の 3 と第36表の 95.1% は、正社員以外の転職者も含む男女計の値で、男性に限ると 40〜44 歳で役職なしで入った人は 60.6% です
- 第16表は転職先での役職で分けた 1 か月当たりの賃金総額の、前の会社との比較です。前の会社での役職とは掛け合わせていません
- 当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日時点で当サイトに掲載中の求人を、先頭の職種で法人営業・採用・経理・人事労務・物流事務に分けて全件数え、5% 単位に丸めたものです(経験年数の割合だけは 2026 年 9 月 27 日時点の集計)。日本の求人全体の割合ではありません。「必須の部分」は応募要件の書き方から切り取った近似で、数え落としや誤判定が含まれます。管理職の求人かどうかでは分けていません。物流事務は件数が少なく、倉庫や物流センターの現場の求人とも同じではありません
- 職種・年齢別の役職なしの年収相場、採用側が後輩指導や新人教育をどこまでマネジメント経験とみなすか、面接で採用側が答え方をどう受け取るか、入社後に昇格する人の割合や経路は、測った調査が見つかりませんでした。3 つの場面の分け方とそれぞれの受け取られ方、管理職の求人が評価・目標の経験を指すことが多いという見方、答え方の例、面接で昇格の実態を聞くことは、書き手の判断です