転職の判断

コンサルから事業会社に移ると楽になる? 年収の変わり方とつまずく場面

ITコンサルや業務コンサルから事業会社のDX推進・情シス・経営企画に移りたい人向けに、移ると楽になるのか、移った人がどんな場面でつまずくのか、年収がどう決まるのかを答えます。繁忙期の聞き方、中途採用の賃金の決め方、応募資格にコンサル経験を書く求人の割合も載せています。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・楽になるかは会社しだいで、差は残業時間の平均ではなく繁忙期に出る。移った人がつまずく 3 つの場面と、入社前に見分ける聞き方
  • ・年収は今の額だけでは決まらず、目安になる平均年収は移る先での仕事の内容と会社の規模で大きく違う。等級の聞き方も
  • ・応募資格にコンサル経験を書く求人は DX・経営企画で約 2 割。いちばん近いのは DX 推進で、情シスと経営企画は経験の伝え方に工夫が要る
目次開く
  1. 01楽になるかは会社しだい。差は残業時間の平均ではなく繁忙期に出る
  2. 02移った人がつまずくのは、決まるまでの遅さ・実行の負担・同僚との調整
  3. 03年収は今の額だけでは決まらず、目安は仕事の内容と会社の規模で大きく違う
  4. 04応募資格にコンサル経験を書く求人は、DX・経営企画で約 2 割
  5. 05いちばん近いのは DX 推進。情シスと経営企画は経験の伝え方に工夫が要る
  6. 06よくある質問
  7. 07但し書き

コンサルから事業会社に移って楽になるかは、会社しだいです。1 か月の残業時間の平均は、システムの企画・導入の仕事と企画の仕事でほとんど変わりません。差が出るのは繁忙期の忙しさで、これは面接で去年の具体的な出来事を聞くとつかめます。

年収は、今の額がそのまま引き継がれるとは限りません。中途採用の賃金は前職の額より経験・能力で決める事業所が多く、目安になる平均年収も、移る先での仕事の内容と会社の規模で大きく違います。

この記事は、IT コンサルや業務コンサルで提案・導入をしてきて、事業会社の中で企画から運用までを自分で担う側(DX 推進・情シス・経営企画)に移りたい人に向けて書いています。

楽になるかは会社しだい。差は残業時間の平均ではなく繁忙期に出る

30〜34 歳の 1 か月の残業時間(超過実労働時間)の平均は、システムの企画・導入の仕事で 11 時間、企画の仕事で 13 時間です。平均で比べると、ほとんど差がありません。出典は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」です(2026 年 11 月 4 日確認)。

ファームの終電続きのような時期があっても、平均の数字には表れません。事業会社にも忙しい時期はあり、予算を組む時期、システムの切り替え、決算の前などに重なります。違うのは、その時期を社員として毎年迎えることです。プロジェクトが終われば抜けられる立場ではなくなります。

繁忙期の重さは、忙しいかどうかを尋ねるより、去年の出来事と今後の予定を聞くほうがつかめます。

  • 去年いちばん忙しかったのは何月で、何の仕事でしたか
  • その時期、このポジションの方は何時ごろまで残っていましたか
  • いま動いているシステムの切り替えや更新の予定はありますか。あればいつですか

切り替えの予定があれば、その前後は忙しくなります。面接の場で答えにくそうなら、内定の後に配属先の人と話す場を頼めます。

移った人がつまずくのは、決まるまでの遅さ・実行の負担・同僚との調整

移った人の何割がつまずいたかを示した調査は見つかりませんでした。人材会社の記事や体験談で挙がっているのは、次の 3 つの場面です。

場面どの事業会社でも起きるか入社前に見分ける聞き方
決まるのが遅い。プロジェクトの区切りで結論を出していたのが、関係部署の合意がそろうまで動けない起きる。程度は会社とポジションで変わるこのテーマを決めるのは誰か、自分はどこまで決めてよいか
提案ではなく実行を求められる。企画のつもりで入ったら、ベンダーとのやり取りや運用まで担当する会社とポジションで変わるこの部署が最近終えたプロジェクトで、企画から稼働後までのどこを担当したか
外部の立場なら言えたことを、何年も一緒に働く同僚に納得してもらう必要がある起きる。重さは入ってみないと分かりにくい入社前には確かめにくい

導入した後まで見届けたい、自分で運用まで担いたいという動機なら、2 つ目の実行の負担はむしろ望んでいたものです。1 つ目と 3 つ目は、どの事業会社に移っても無くなりはしません。

決まるまでの遅さがどれだけ負担になるかは、ポジションで大きく変わります。意思決定する人の近くで働く役なのか、決まったことを受けて動く役なのかで、待つ時間の長さは違ってくると考えます。客先で、誰の承認待ちで止まっていたか、どの部署が首を縦に振らなかったかを見てきたことは、面接で話す材料になります。

事業会社の側も、DX を進める人材が足りないと答えています。IPA の調査では、DX に取り組む日本企業のうち、DX を推進する人材の量が足りないと答えたのは 85.1% で、人材の類型のうち最も足りないとされたのは、目的の設定から導入・効果の検証までを関係者を調整しながら一気通貫で進める人材(ビジネスアーキテクト)でした。ただし、個々の求人がコンサルでの導入の経験をこの人材に当たると見るかどうかは会社しだいです。出典は IPA「「DX動向2025」本文」です(2026 年 11 月 4 日確認)。

年収は今の額だけでは決まらず、目安は仕事の内容と会社の規模で大きく違う

下がるかどうかは、今の年収だけでは決まりません。

中途採用の賃金を決める時に考慮した要素は、これまでの経験・能力・知識が 59.2% で最も多くなっています(複数回答)。最も重視した要素に絞っても経験・能力・知識が 38.4% で、前職の賃金を最も重視した事業所は 9.2% でした。ただし従業員 1,000 人以上の事業所では、前職の賃金を考慮に入れた割合が 48.1% あります。出典は厚生労働省の「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」です(2026 年 11 月 4 日確認)。提示額は、移る先の等級、つまり給与表のどこに入るかで決まると人材会社の記事では言われています。

目安になる平均年収は、仕事の内容と会社の規模で次のように違います。30〜34 歳の値です。

仕事従業員 1,000 人以上100〜999 人10〜99 人
システムの企画・導入の仕事約 913 万円約 789 万円約 563 万円
企画・立案の仕事約 671 万円約 540 万円約 465 万円

統計上の区分では、上がシステムコンサルタント・設計者、下が企画事務員です。規模をまとめた平均は、それぞれ約 820 万円と約 595 万円でした。同じ表から、6 月分の所定内給与(残業代などを除く)× 12 + 前年の賞与で計算し、1 万円単位に丸めています。

どちらの区分を目安にするかは、肩書きより仕事の中身で考えます。DX 推進でもシステムの企画・導入を担うなら上の区分に近く、経営企画・事業企画の企画・立案に寄るなら下の区分が目安になります。どちらの区分でも、大きい会社ほど平均は高くなります。

今の年収が、同年代・同じ規模の会社で働く人の平均と比べて高いか低いかは、同じ統計で確かめられます。手順はITコンサルの年収は高い?にまとめています。

DX 推進の人材は足りないと答える会社が多い一方で、獲得・確保の課題として魅力的な処遇を提示できないことを挙げる割合は、日本が米国・ドイツより目立って高くなっています(前掲の IPA の調査)。人材が足りないからといって、提示される年収が高くなるとは限りません。

コンサルから移ると 8 割が下がる、100 万〜200 万円下がる、といった記述を見かけますが、元になった調査は確かめられませんでした。

等級は、金額の前に決め方を聞く

条件の話が出る段階(最終面接の前後や、内定後の条件面談)で、次の順に聞きます。

  • このポジションは、社内のどの等級・役職を想定されていますか
  • 入社時の年収は、前職の年収と経験のどちらを基に決まりますか
  • 同じ等級で入った方は、何年くらいで次の等級に上がっていますか

3 つ目は、入社時の年収が今より下がった場合に、いつごろ今の水準に戻るかの見通しになります。入社した後では聞きにくくなります。

応募資格にコンサル経験を書く求人は、DX・経営企画で約 2 割

当サイトの掲載求人では、求人のタイトルが DX・デジタル推進・デジタル戦略の求人を出す会社の約 2 割が、応募資格にコンサル経験を書いていました。タイトルが経営企画・事業企画・経営戦略の求人でも、約 2 割の会社が書いています。社内 SE・情報システム・IT 企画では 5% 未満で、ほとんど書かれていません(2026 年 11 月 4 日時点で掲載中の求人の応募資格を、必須・歓迎の両方とも会社単位で数え、5% 単位に丸めました)。

一部を取り出して読んだ求人では、コンサルでの経験と、事業会社での事業企画などの経験を並べ、どちらかがあればよいとする書き方が中心でした。歓迎の欄に置く例もあります。DX のタイトルにはコンサル会社自身の DX 案件の求人も混ざるので、約 2 割は多めに出ている可能性があります。

専門的・技術的な仕事の中途採用では、採った理由に、経験を活かし即戦力になるからを挙げた事業所が 64.1% ありました(前掲の転職者実態調査)。

システムが稼働した時点で運用側に引き継ぐ立場だと、その後の定着まで自分で見届けた実績はありません。それでも話せることはあります。稼働までに現場と向き合った場面です。

  • 要件の段階で、部署どうしの言い分がぶつかった時にどう決めたか
  • データ移行や操作研修で、現場がどこでつまずいたか
  • 稼働の直後の問い合わせで、何が多かったか

そのうえで、引き継いだ後を見られないのが物足りなかった、だから稼働の後の定着まで担いたい、とつなげると、転職理由と入社後にやりたいことが一続きになります。

いちばん近いのは DX 推進。情シスと経営企画は経験の伝え方に工夫が要る

導入の後まで見届けたい、自分で運用まで担いたいという動機と、導入を進めてきた経験なら、いちばん近いのは DX 推進(システム企画を含む)です。応募資格でコンサル経験を挙げる求人があり、導入の経験をそのまま仕事の説明に使えます。

情シスは、稼働の後を担う点で動機に近い仕事です。ただ、応募資格でコンサル経験はほとんど挙げられていないので、肩書きではなく、導入で自分が何を進めたかを話します。情シスの職場の当たり外れは社内SEはやめとけって本当?にまとめています。

経営企画では、導入の経験を、その会社の事業で何をするかの言葉に置き換える必要があります。目安になる年収も、企画・立案の仕事の区分になります。入った後の仕事のつらさは経営企画の求人の記事で扱っています。

企画だけの部署か、運用まで担う部署かは求人票と面接で分かる

DX 推進の名前が付いていても、企画・提言で終わる部署もあります。求人票では次の 3 か所を見ます。

  • 仕事内容の範囲: 企画・立案・提言だけか、導入・運用・ベンダー管理・効果検証・定着まであるか
  • 予算と決裁: 予算を持つ、投資判断、経営への起案といった記述があるか。書いてあれば決める側に近い
  • 部署の人数と組織: 少人数なら、企画から運用までの分担を面接で聞く

面接では、この部署が最近終えたプロジェクトで、企画から稼働後までのどこを担当したかを聞きます。稼働後の利用状況や効果の数字まで答えが返ってくれば、運用まで担っている部署と考えられます。

よくある質問

コンサルから事業会社に移るのは何歳まで?

年齢の上限を示す根拠は見つかりませんでした。求人の応募資格は、年齢よりも経験年数や役職で書かれています。30〜34 歳と 35〜39 歳の平均年収(規模をまとめた値)は、システムの企画・導入の仕事で約 820 万円と約 935 万円、企画・立案の仕事で約 595 万円と約 665 万円です。どちらの区分でも、35〜39 歳のほうが高い値です。

コンサル出身は事業会社で使えないと言われる?

そう言われる時に心配されているのは、提案で止まって実行しない人ではないか、という点です。稼働までに現場と向き合った場面を具体的に話せれば、その心配に答えられます。話す内容の例は、上の「応募資格にコンサル経験を書く求人は、DX・経営企画で約 2 割」の節に挙げました。

事業会社とコンサル、どっちが良い?

何を求めて移るかで決まります。導入した後まで見届けたい、自分で運用まで担いたいなら、事業会社が合います。忙しさだけが理由なら、事業会社に移っても繁忙期は残ります。ファームを変えても忙しい時期はどこでも来て、程度は入る案件で変わります。詳しくはITコンサルはやめとけ?で切り分けています。

Big4 や総合コンサル出身でも同じ?

この記事で使った統計と当サイトの集計は、ファームの種類では分かれていません。応募資格にコンサル経験を書く求人の集計も、出身ファームの種類を分けずに数えています。

但し書き

  • 平均年収と残業時間は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和 7 年、一般労働者、産業計、男女計)の職種別の値です。年収は 6 月分の所定内給与 × 12 + 前年の賞与で、残業代を含みません。残業時間は 6 月分の超過実労働時間です
  • 統計の区分は職種で分かれ、勤め先がコンサルファームか事業会社かでは分かれません。システムコンサルタント・設計者の区分には、SIer のプロジェクトマネージャや事業会社のシステム企画の人も入ります。企画事務員は企画・立案や業務計画の策定などの仕事で、課長以上は含みません(「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 調査の説明 6 役職及び職種解説」、2026 年 11 月 4 日確認)
  • コンサルから事業会社に移った人のうち年収が下がった人の割合を、調査の主体・対象・時期を示して公表した調査は見つかりませんでした。転職全体で賃金が増えた人・減った人の割合は、転職の年収相場で扱っています
  • 転職者実態調査は、令和 7 年 10 月 1 日現在、常用 5 人以上の事業所が対象です。賃金決定の要素と採用の理由は、コンサル出身者に限った値ではありません
  • 当サイトの集計は、2026 年 11 月 4 日時点で当サイトに掲載中の求人が対象で、市場全体ではありません。職種は求人のタイトルで分け、応募資格の欄にコンサルティングファームでの経験・コンサル経験・コンサルティング業務の記述がある会社を数えました。書いていない会社がコンサル出身を不利に扱うか、選考で実際にどう見るかは分かりません
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