職種の求人市場
広告代理店から事業会社のマーケへ、経験は評価される? 年収は下がる?
広告代理店で運用や提案をしてきた人が事業会社のマーケに移る時、代理店の経験はどう見られるのか、年収は下がるのかをまとめました。応募資格の集計、広告業と事業会社のマーケを含む区分の年収(会社の規模別)、運用だけで終わらないかを面接で確かめる質問、経歴書の書き方の例を載せています。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・代理店にいたことより、そこで何をしてきたかを話せばよく、数字を見ていた・提案して通らなかった経験も話せる
- ・年収は業界の違いより移る先の会社の規模と賞与で変わるので、月給でなく年額で比べる
- ・移っても運用だけで終わるかは職種名では分からないので、面接でこれまでに実際にあった例を聞いて確かめる
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CPA も予算も毎日見ているのに、商品や売り方には口を出せない。ネット広告代理店で運用とクライアントへの報告・提案を担当していると、そこがもどかしくなる。事業会社のマーケに移りたいけれど、代理店の経験は評価されるのか、年収は下がるのか、移ってもまた運用だけで終わらないか。
先に答えると、応募資格を見る限り、「代理店にいたこと」で線を引く求人はほとんどありません。当サイトの掲載求人では、マーケ職の求人を出す会社のうち、応募資格に代理店での経験を書く会社も、事業会社での経験を書く会社も 5% 未満でした(2026 年 11 月 4 日時点)。応募資格に代理店や事業会社での経験を書く求人がこれだけ少ないので、代理店にいたことを気にするより、何をしてきたかを話す方に力を使えばよいと考えます。年収は、業界の違いより移る先の会社の規模と賞与で変わります。運用だけで終わるかは職種名では分からないので、面接で過去の例を聞いて確かめます。
代理店にいたことより、そこで何をしてきたかを話せばいい
当サイトの掲載求人で、題名にマーケ・広告運用・プロモーション・CRM などが入る求人を出す会社の応募資格を読むと、「広告代理店での経験」と名指しする会社も、「事業会社でのマーケティング経験」を条件にする会社も、どちらも 5% 未満でした(2026 年 11 月 4 日時点、会社単位)。代理店出身だから有利、事業会社の経験が無いから門前払い、という書き方の求人は少数です。気にするべきは、代理店にいたこと自体より、そこで何をしてきたかです。
「運用しかやっていない」と思っていても、クライアントに毎月数字を報告し、改善を提案してきたなら、それだけではありません。課題を聞いて提案し、結果を報告するまでを一通りやっています。これは運用の腕とは別に、面接で話せる経験です。
施策を自分で動かしていなくても、数字を見て考えていたことは話せます。盛っていると思われるのは、やっていないことをやったように言う時です。たとえば次のような場面です(架空の例です)。
- 健康食品の通販で、初回割引の定期購入の新規獲得は CPA の目標内なのに、2 回目のお届けまでに半分近くが解約していることに数字で気づいていた
- 直すべきは広告より、同梱物やステップメールだと考えた
- 月次報告で「同梱物の見直しも効果があるかもしれません」と書いたが、先方の担当に管轄外だと言われて見送られた
この場合、面接では「施策は回していません。ただ、獲得と継続の数字を並べて見ていて、CPA を下げるより 2 回目の離脱を止める方が売上に効くと考えていました。それを自分で動かせる側に行きたいです」と言えます。施策を自分で動かしていないことも正直に伝わり、そのまま転職したい理由の説明にもなります。
提案が採用されなくても、月次報告で一度でも出していれば「提案した」と言えます。通らなかったことまで話せば、事業会社に移りたい理由の裏付けになります。一方、思っただけで出していない気づきは、経歴書には書かず、面接で数字の見方を聞かれた時に「提案まではしていませんが」と断って話すまでにします。
年収は、業界の違いより移る先の会社の規模と賞与で変わる
同じ 25〜29 歳で比べると、広告業で働く人と、事業会社のマーケ・企画を含む区分(企画事務員)の平均の年収は、ほぼ同じです。差が大きいのは、会社の規模による違いです。
| 会社の規模 | 広告業 | 企画事務員(全産業) |
|---|---|---|
| 規模計 | 約 543 万円 | 約 530 万円 |
| 1,000 人以上 | 約 698 万円 | 約 620 万円 |
| 100〜999 人 | 約 549 万円 | 約 496 万円 |
| 10〜99 人 | 約 404 万円 | 約 386 万円 |
| うち賞与(規模計) | 約 46 万円 | 約 101 万円 |
25〜29 歳、男女計。6 月分の毎月の給与(きまって支給する現金給与額。残業代を含む)× 12 + 前年 1 年間の賞与で概算した平均です。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 L 学術研究,専門・技術サービス業(L71~L74)」の広告業の表と、「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」の企画事務員の値から計算しました(令和 7 年、2026 年 11 月 4 日確認)。
同じ規模の帯どうしでは、どの帯でも企画事務員の方が低く、100〜999 人どうしでは 50 万円ほどの差です。ただ、規模による差(企画事務員で約 386 万円〜約 620 万円)の方がずっと大きく、下がるか上がるかは、今いる会社と移る先の会社の規模の組み合わせで決まる部分が大きいと言えます。小さい会社ほど平均の年収は低く、賞与や退職金の有無も会社ごとに違うので、内定の段階で内訳を聞いておきます。規模が下がる転職での賞与・退職金の確かめ方は大手から中小に移る時の記事にまとめています。
比べ方にも注意が要ります。広告業は賞与が少なく、月給の比重が大きい業界です。25〜29 歳の平均で、賞与は広告業が年約 46 万円、企画事務員が約 101 万円でした。内定時に示された額を月給だけで今の給与と比べると下がって見えても、賞与を足すと差が縮みます(人によっては逆になります)。月給・賞与・残業代を分けて、年額で並べてください。
提示額の決まり方では、「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」で、転職者がいる事業所のうち、転職者の賃金を決める時に「これまでの経験・能力・知識」を考えた事業所は 59.2%、「前職の賃金」を考えた事業所は 27.0% でした(複数回答)。1,000 人以上の事業所では「前職の賃金」が 48.1% に上がります。
規模と、やりたい仕事のどちらを優先するか迷うなら、先に「これを下回ったら生活が苦しい」という年額の下限を決め、それを超える会社の中で担当範囲で選ぶ順にすると決めやすくなります。会社の規模と担当範囲の関係を示す数字は無いので、規模で担当範囲を決めつけないでください。下限を超えそうな会社は大きさを問わず受けて、面接で比べると、年収とやりたい仕事の両方を見ながら選べます。
移っても運用だけで終わるかは、面接で過去の例を聞いて確かめる
事業会社のマーケにも、自社の広告を運用し、社内に報告する仕事があります。求人票の職種名だけでは、商品や売り方にどこまで関われるかは分かりません。CRM の職種でも、同梱物やステップメールまで触れるのかは名前だけでは分からないので、確かめるのは面接です。
「入ってから広げられますよ」と言われた時は、これからの話より、これまでに実際にあった例を聞きます。
- 最近、マーケからの提案で、同梱物や定期の設計が変わった例はありますか
- いま CRM やステップメールは誰が担当していますか。マーケの部署ですか、別の部署ですか
- 運用担当で入った人が、企画や CRM に移った例はありますか
具体的な例や担当者がすぐに出てくれば、入ってから広げられる見込みは高いと見てよいでしょう。「意欲次第で」「これから」のように例が出てこなければ、今のところマーケの仕事は運用までと見る方が安全です。面接官がマーケの現場の人でなければ、現場の人と話す場をお願いしても構いません。
担当範囲を聞くのは失礼ではありません。選り好みに聞こえるのは、理由を付けずに条件だけ聞いた時です。「代理店では継続の側に手が出せなかったので、御社でマーケがどこまで関われるかを知りたい」のように、代理店で手が出せなかった経験を先に話してから聞けば、志望の理由を確かめる質問として受け取られます。
予算を誰が決め、変更に誰の承認が要るかも聞いておく価値があります。代理店から事業会社に移った人が、少額の予算変更でも上司の承認が要ったと書いている例があります。クライアントから預かった予算を動かす立場から、社内で予算を取って説明する立場に変わることがあるからです。
経歴書が運用の経歴だけに見えないか?
運用の事実(媒体や予算の規模)は消さなくて構いません。自社の広告を見る立場でも役に立つ情報です。そのうえで、担当ごとに、どんな売り方の商材か、CPA のほかに何の数字を見ていたか、その数字から何を考えて誰に何を出し、どうなったか、の 3 つを書き足すと、獲得だけでなく継続の数字まで見ていたことが伝わりやすくなります。
書いた例です(架空の例です)。
健康食品通販(初回割引の定期購入)の検索・SNS 広告運用、月次報告と改善提案を担当 ・CPA に加え、2 回目の継続率と LTV を追っていた ・獲得は CPA 目標内だったが 2 回目で約半数が解約していたため、月次報告で同梱物の見直しを提案。先方の管轄外のため見送り
いちばん伝わるのは、提案して見送られた経緯を書いた 3 行目です。数字は社外秘に触れない範囲で、割合や「約半数」の言い方で十分です。ただ、書類を読む人がどう受け取るかは会社ごとに違い、こう書けば必ず CRM の担当候補として見てもらえる、とまでは言えません。仕事内容に「CRM」「継続」「LTV」のような語がある求人を選び、その語に合う担当の経験を経歴書の上の方に書くと、伝わりやすくなります。
よくある質問
広告代理店から事業会社への転職理由は、どう言えばいい?
「商品に関わりたい」だけだと、どこの会社にも言える理由になります。代理店の立場で手が出せなかった場面(継続の数字を見ていたのに、同梱物や CRM は管轄外だった、など)を先に置き、応募先のマーケがそこに関われることと結び付けて言うと、その会社を選ぶ理由になります。
代理店と事業会社では、マーケの仕事の何が違う?
担当が自社の商品だけになり、報告や調整の相手がクライアントから社内に移ります。予算は預かって動かすものから、社内で取って説明するものに変わることがあります。BtoB の会社でマーケが営業や経営に説明する立場になる話は、マーケ責任者の求人の記事にあります。
インハウスに移れば、運用は楽になる?
数字で見られることと、広告費を預かる重さは、代理店でもインハウスでも付いてきます。担当する会社の数、月初のレポート、目標の決まり方は、会社によって違います。インハウスに移って楽になる所と変わらない所は、Web 広告運用の求人の記事に書いています。
運用の経験しかなくても、CRM の職種に応募していい?
マーケ職で、応募資格に代理店や事業会社での経験を書く求人は少ないので、応募すること自体はためらわなくて構いません。面接では、見ていた数字と出した提案を具体的に話します。ただ、CRM の職種が応募資格で何の経験を求めるかは求人ごとに違い、書類が通るかは会社次第です。応募資格の欄は一件ずつ読んでください。
この記事の数字について
当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日時点で当サイトに掲載中の求人を会社単位で数えたものです。題名にマーケ・広告運用・プロモーション・ブランドマネジメント・デジタルマーケ・CRM・グロースのいずれかが入る求人を出す会社を分母にし、応募資格の欄(必須・歓迎)に代理店での経験、または事業会社での経験を書いているかを見ました。割合は丸めています。「代理店」の語は保険や販売の代理店も拾うので、5% 未満は上限の目安です。分母には代理店や支援会社自身の求人も入っています。応募資格に書いていない会社が代理店の経験をどう評価するか、書類や面接が実際に通るかは、この集計では分かりません。CRM の職種と運用の職種の求人がどれくらいの割合あるかも数えていません。
年収の表は、別々の人たちの平均どうしの比較です。代理店から事業会社に移った同じ人の年収が上がったか下がったかを追った統計は見当たりませんでした。転職全般で賃金が増えた・減った人の割合は転職で年収が上がる割合の記事にあります。統計では総合代理店とネット代理店を分けられず、ネット広告の会社の一部は広告業ではなく情報通信業に分類されている可能性があります。企画事務員の区分には、事業会社のマーケのほか、代理店の企画職なども含まれます。6 月分の給与を 12 倍しているので、残業代の多い月・少ない月がある人の年額は正確ではありません。また、表の値は平均で、中央値ではありません。