職種の求人市場
SIerから自社開発に転職できる?評価される経験と年収の決まり方
SIerから自社開発の会社には行けます。応募資格で問われるのは業界ではなく、自分でコードを書いた年数と、その言語です。年数を書く求人の多くはSEとして在籍した年数ではなく開発経験の年数を書き、設計書とテストが中心だった期間をそこに入れられるかは会社しだいです。上流や調整の経験をどう書けば伝わるか、年収の提示額は何で変わるか、年数が足りない時に何を足せばよいかを、当サイトの掲載求人の集計でまとめました。
公開 2026年11月4日 · 集計 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・応募資格で問われるのは業界ではなく、自分でコードを書いた年数。必須欄に開発の年数を書く会社は約6割で、多いのは3〜4年。年数を書く求人の多くは、SEの在籍年数ではなく開発経験の年数を書く
- ・上流や調整の経験は、要件定義から実装・テストまで自分で担当した案件として、社内の企画や営業と仕様を詰める形で書けると伝わりやすい。SIer出身を不可・不利と書く求人は見当たらなかった
- ・年収の提示額は幅が広く(上限と下限の差が300万円以上の求人が約7割)、求める開発の年数が長い求人ほど下限が高い。何年分の開発経験と見てもらえるかで、応募資格を満たせる求人が変わる
目次開く閉じる
たとえば、SIer で SE を 5 年続けてきた人がいるとします(架空の例です)。担当は製造業向けの販売管理システムで、1〜2 年目は Java を書いていたものの、ここ数年は詳細設計書とテスト仕様書を書き、結合テストを回し、お客さんと仕様を詰めるのが仕事の中心です。コードは協力会社のプログラマーが書き、自分はそれを確認しています。自社サービスを作る会社に移りたいけれど、「SIer から自社開発は難しい」「年収が下がる」という話も目に入る。
SIer から自社開発の会社には行けます。 応募資格で問われるのは業界ではなく、何年、自分でコードを書いたかです。当サイト PREVIO の掲載求人(自社サービスの会社のエンジニア求人、2026 年 11 月 4 日時点、会社単位)では、約 6 割の会社が必須欄に開発の年数を書き、多いのは 3〜4 年で、言語の指定も付きます。年数を書く求人の多くは SE として在籍した年数ではなく開発経験の年数を書き、実装として書けるのは自分で書いた分です。
年収の提示額は幅が広く、求める開発の年数が長い求人ほど下限が高くなります。上流や調整の経験は、要件定義から実装まで自分で担当した経験として書ける時に伝わりやすくなります。
年数を書く求人の多くは、SE の在籍年数ではなく開発経験の年数を書く
当サイトの掲載求人で、自社サービスの会社のエンジニア求人の応募資格の欄を 2026 年 11 月 4 日に数えると、必須の部分に開発・実装の年数を書く会社は約 60% でした。開発の年数を書く求人のうち、約半分が「3〜4 年以上」、約 25% が「1〜2 年以上」、約 20% が「5 年以上」です。割合は 5% 単位に丸めています(会社の割合は会社単位、年数の分布は求人単位で、数え方の細部は記事の最後に書きました)。
業界の経験を求める会社はわずかです。同じ集計で、必須の部分に業務知識・業界知識を求める会社は 5% 未満でした。問われるのは、担当してきた業界ではなく開発の経験です。
「SE 5 年」は「開発経験 5 年」とは限らない
開発の年数を書く求人が求めているのは、SE として会社にいた年数ではなく「開発経験」の年数です。設計とテストが中心で、実装を協力会社に出していた期間をその年数に入れられるかは会社しだいで、実装した期間として書けるのは自分で書いた分になります。冒頭の例の人なら、SE としては 5 年でも、実装として書けるのは Java の 1〜2 年分です。
迷いやすいのは、協力会社が書いたコードを確認してきた経験です。これは実装の年数に足さない方がいいと思います。面接で詳しく聞かれた時に、自分で書いたかどうかで話がずれるからです。やったことを事実のまま書けば、盛ったことにはなりません。「協力会社が書いた Java のコードをレビューし、設計とのずれを指摘して直させた」のように、何をどれくらい見たかまで書きます。
年数の次に問われるのは、言語とチーム開発の道具
年数の次に問われるのは言語です。当サイトの掲載求人(自社サービスの会社のエンジニア求人、2026 年 11 月 4 日時点、会社単位)では、必須の部分に言語・フレームワークの名前を書く会社が約 65%、言語の名前に年数まで付けて求める会社が約 25%、言語不問と書く会社が約 15% でした。
この約 65% は自社サービスの会社の必須の部分だけを数えた値で、SIer と自社開発をまとめた IT 業界の会社の SE・開発の求人を、必須と歓迎を同じ欄として数えたメーカー系 IT 子会社から転職する時の記事の約 70% とは数えた範囲が違います。発注側としてベンダー管理や要件定義が中心だった人の経歴の書き方も、そちらの記事で扱っています。
言語ごとの年数まで求める会社は一部です。「何らかの言語で開発経験 N 年」と書く求人なら、Java で書いてきた年数がそのまま応募資格の年数になります。Java を書いてきた人が TypeScript や Go の求人で応募をためらっているなら、足りないのは年数ではなく、その言語の経験です。まず Java の求人と言語不問の求人に応募し、TypeScript や Go は並行して覚える順番が無理がありません。
チーム開発の道具も、応募資格に並びます。同じ集計で、Git・GitHub・コードレビューを書く会社は約 30%、テストコード・CI は約 20%、クラウドは約 50% です。SIer の現場でこれらを使っていたなら、職務経歴書に必ず入れてください。使っていなかった場合は、職務経歴書のこの部分が空になります。
SIer の経験は、要件定義から実装まで自分で担当した案件があると伝わりやすい
上流の経験が評価されるかどうかは、実装までつながっているかで変わります。当サイトの掲載求人(自社サービスの会社のエンジニア求人、2026 年 11 月 4 日時点、会社単位)では、要件定義・基本設計・仕様検討といった上流の語を応募資格に書く会社は約 30%、必須の部分に限ると約 15% でした。「要件定義〜設計〜リリースまでの一連の開発経験」のように、上流から実装・リリースまでをまとめて担当した経験を求める会社も、自社サービスの会社の約 5% あります。
5 年のうち、要件定義から関わり、自分で作ってテストまで終えた案件が 1 つでもあれば、職務経歴書の先頭にはそれを置くのがいいと思います。案件名より先に、どの工程からどの工程までを自分で担当したかを書きます。たとえば「販売管理システム(Java・Spring、ブラウザ画面)の機能追加を、要件定義の補助から設計・実装・テスト・リリースまで担当」(架空の例です)。案件の規模は人月だけで表さず、次の 3 つを添えると、人月を見慣れない読み手にも伝わります。
| 書くこと | 書き方の例(架空) |
|---|---|
| 自分が作った範囲 | 入力画面 3 本と、対応するテーブル 2 つ・バッチ 1 本を設計から実装まで |
| 期間と体制 | 3 か月、自分を含む 3 人で、うち自分は画面と DB 側 |
| 何のためのものか | 営業部門が受注内容の変更を入力する画面 |
調整の経験は「要望を仕様に落とした」経験として書く
調整・ステークホルダーの語を応募資格に書く会社は約 20% でした(同じ集計)。見た範囲では、ほとんどが社内の企画・営業・デザイナーと仕様を詰める書き方で、顧客との折衝として書く求人は一部でした。
そのため、SIer でお客さんと要件を詰めてきた経験は、「顧客折衝」とまとめるより、「相手の要望を聞いて仕様に落とし、実装できる形にした」と書く方が、求人の応募資格と同じ言葉になります。
SIer 出身を不可・不利と書く求人は見当たらなかった
当サイトの掲載求人(同じ母集団、2026 年 11 月 4 日時点)で、応募資格で SIer・受託を名指すか、本文で SIer・SES の出身者や転職の話を書く会社は約 5% でした。書き方は「SES・SIer経験者歓迎」「SIer出身などtoB経験者も活躍中」のような歓迎や活躍の話、立場を問わない書き方、SIer での PM 経験を求める書き方で、不可・不利と書く求人はありませんでした。
ただ、大半の会社は SIer に触れていません。そうした会社では、SIer 出身かどうかより、応募資格の年数と言語を満たしているかで判断されると考えるのが自然です。SIer 出身を歓迎すると書いている会社なら、今の経歴のままでも応募を考えられます。
年収は、何年分の開発経験と見てもらえるかで変わる
自社開発に移ると年収が上がるか下がるかは、求人からは分かりません。分かるのは、提示額の幅が広いことと、求める開発の年数が長い求人ほど下限が高いことです。
当サイトの掲載求人(自社サービスの会社のエンジニア求人のうち年収の書かれたもの、2026 年 11 月 4 日時点、求人単位)では、上限と下限の差が 300 万円以上ある求人が約 70% でした。題名にリーダーなどの役割の語が無い求人で、必須に書かれた開発の年数ごとに年収の下限の平均を出すと、次のとおりです。
| 必須の開発の年数 | 年収の下限の平均 |
|---|---|
| 1〜2 年以上 | 約 490 万円 |
| 3〜4 年以上 | 約 535 万円 |
| 5 年以上 | 約 620 万円 |
幅の中のどこで提示されるかは、求人の文面には書かれていません。ただ、何年分の開発経験と見てもらえるかで、応募資格を満たせる求人が変わり、その求人の下限も変わります。補足欄に、経験や能力に応じて決めると書く会社も約 25% ありました。
提示額が今の年収を下回った時は、自分のどの経験を何年と数えたのかを聞いてみるのがいいと思います。レビューやテストの自動化の経験が数えられていないなら、そこが話し合える所です。
公的な統計の年収も参考に挙げます。令和 7 年の賃金構造基本統計調査で「ソフトウェア作成者」(プログラマーや社内システムエンジニアなどを含む区分)の年収を、所定内給与の 12 か月分と年間賞与の合計で概算すると、25〜29 歳の計で約 446 万円、同じ年齢で経験 1〜4 年が約 447 万円、経験 5〜9 年が約 466 万円です(「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 10 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」、2026 年 11 月 4 日確認)。この統計の経験年数は、その職種の仕事に従事した年数です(「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 調査の説明 2 調査の概要」)。勤め先が SIer か自社サービスの会社かでは分かれていないので、移って年収が上がるか下がるかの根拠にはなりません。
開発の年数が足りない時は、今の仕事の中でコードを書く
設計とテストが中心で、自分で書いた年数が求人の必須に届いていない人にできることは、3 つあります。
1 つ目は、今の仕事の中でコードを書く機会を作ることです。結合テストの自動化スクリプトや、テストデータを作る小さなツールのように、仕事の中で書いたコードは実務の経験として書けます。応募資格で見られる「自分で書いた年数」に直接つながるのは、この形です。上司に話す時は、新しい工数がほしいと言うより、今の手作業にかかっている時間を先に数えて、自動にすると減る分を見せ、1 画面・1 機能くらいの小ささで始めると、断られにくくなります。案件のコードやデータを社外のサービスや個人の環境に持ち出さないこと、使ってよいツールかは、先に社内で確かめてください。職務経歴書には「結合テストの自動化スクリプトを Java で書き、毎回の手作業を何時間減らした」のように、言語と中身をそのまま書きます。ただ、これを「Java での開発経験」の年数として数えてくれるかは会社によります。
2 つ目は、週末に作るアプリです。実務の代わりにはなりませんが、作りかけのものより、動く状態で誰でも開けるところに公開してあるものの方が、職務経歴書に書けます。Git の履歴を残し、テストコードと CI を用意し、クラウドに公開しておけば、応募資格に並ぶ Git・テスト・クラウドの経験として書けます。
3 つ目は、準備が終わる前から応募することです。SIer 出身を歓迎すると書く会社や、言語不問の会社(約 15%)には、今の経歴のままでも応募できます。半年か 1 年かという準備の期間に決まった目安はありません。行きたい会社の求人の必須欄に並ぶ言語・年数・Git・クラウドのうち、足りないものが埋まったら応募を広げる、と決めておくと迷わずに済みます。
社内に自社製品や SaaS の部署があるなら、異動も 1 つの道です。当サイトの掲載求人でも、TIS・電通総研・野村総合研究所のような SIer の会社の自社製品・SaaS の部署の求人は自社サービスの求人に入っています。ただ、異動先でも自分でコードを書かないなら、次に転職する時にまた開発の年数が足りないかもしれません。異動を考えるなら、その部署で自分がコードを書くのかを先に聞いておくのが安全です。
今の SIer の仕事で辛いことのうち、会社を変えれば無くなるものがどれかは、SE を辞めたい理由を会社で解けるものとそうでないものに分けた記事にまとめています。
よくある質問
SIer と自社開発は何が違いますか?
SIer は顧客から依頼を受けてシステムを作る受託の会社で、自社開発の会社は自分たちのサービスや製品を作って提供する会社です。仕様を決める相手が、SIer では顧客、自社開発の会社では社内の企画や営業になります。自社開発の会社の求人は、応募資格に SE として在籍した年数ではなく、開発経験の年数と言語を書くものが多くあります(当サイトの掲載求人では、必須欄に開発の年数を書く会社が約 6 割、言語を書く会社が約 65%)。
SIer から自社開発への転職は早い方がいいですか?
年齢の上限は求人からは読めないので、何歳までなら有利かは分かりません。応募資格に書かれる年数は、年齢ではなく開発の年数です。1 年待つかどうかより、その 1 年で自分で書いたコードの年数が増えるかどうかの方が大事です。設計とテストが中心のまま年数だけが過ぎるなら、早く動く方が筋が通ります。
自社開発の年収は SIer より高いですか?
勤め先の種類で年収を比べた一次情報が無く、高いとも低いとも言えません。当サイトの掲載求人では、自社サービスの会社の求人の提示額は幅が広く、求める開発の年数が長い求人ほど下限の平均が高くなっています(必須 1〜2 年以上で約 490 万円、5 年以上で約 620 万円)。
SES から自社開発に移る場合も同じですか?
応募資格の書き方は同じで、開発経験の年数と言語を書く求人が多くあります。当サイトの掲載求人では「SES・SIer経験者歓迎」のように、SES と SIer を並べて歓迎する求人もありました。客先で自分が実装してきたなら、その期間は開発の年数として書けます。
この記事で分からないこと
- 当サイトの数字はすべて、当サイトの掲載求人を 2026 年 11 月 4 日に数えたもので、市場全体の求人ではありません。対象は、Web・フロントエンド・バックエンド・スマホアプリの職種のうち、求人に自社サービスを示す言葉があり、受託・常駐を示す言葉が無いものです。SIer の会社の自社製品・SaaS の部署の求人も含みます。割合は 5% 単位に丸めています
- 応募資格の割合は会社単位(その会社の求人のどれかに語があれば 1 社)です。開発の年数の分布と年収は求人単位です。年収の平均は、年収の書かれた求人だけで出しています
- 「開発の年数を書く会社 約 60%」は、開発・実装の年数とはっきり読めるものだけを数えたので、実際より少なめに出ています。社会人経験やマネジメントの年数は除きました
- 数えたのは、求人の応募資格や年収欄に何が書かれているかです。選考で実際に何を見るか、年数を書いていない求人が何を見ているか、入社した人の年収、移って年収が上がるか下がるかは調べていません。PdM・PM の求人、地域ごとの求人の数、リモートの有無も数えていません
- 賃金構造基本統計調査の数字は職種別で、勤め先が SIer か自社サービスの会社かでは分かれていません。年収の概算は所定内給与の 12 か月分と年間賞与の合計で、残業代などは含みません
- 職務経歴書の書き方、上司への話し方、準備の期間の決め方は、求人の書き方から考えた書き手の判断で、選考の結果を測ったものではありません