転職の判断
プレイングマネージャーはどこもきつい? 兼務の重さは会社でどう変わるか
上場企業の課長の 98.5% がプレイヤーとマネージャーを兼務していました(2019 年)。転職で兼務が消えるとは考えにくく、兼務の重さを決める個人目標の大きさ、人手と後任、自分で決められる範囲は会社で違います。マネジメント寄りとプレイヤー寄りのどちらを探すかの決め方、求人票と面接での見分け方、今の会社に相談できることをまとめました。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・上場企業では課長・部長のほぼ全員が兼務していて、転職で兼務が消えるとは考えにくいこと。会社で変わるのは、個人目標の大きさ・人手と後任・自分で決められる範囲の 3 つであること
- ・時間が足りないのがつらいならマネジメント寄り、部下を見ること自体がつらいならプレイヤー寄りを探すこと
- ・求人票には兼務の割合がほぼ書かれないので、面接で兼務の重さを確かめる質問と、転職の前に今の会社に相談できること
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自分の売上目標を持ったまま、部下を数人抱えている。月末は自分の案件の締めと部下の相談が重なって、1on1 を飛ばしてしまう。プレイヤーもマネージャーも中途半端で、これはどこの会社でも同じなのか、転職するならマネジメント寄りとプレイヤー寄りのどちらを探せばいいのか、分からなくなっている。
少なくとも上場企業では、兼務していない課長はほとんどいません。上場企業の課長を対象にした 2019 年の調査では 98.5% が兼務していて、業務に占めるプレイヤーの仕事の割合は平均で半分ほどでした。兼務している課長の 6 割は、プレイヤーの仕事がマネジメントの妨げになっていると答えています。1on1 を飛ばしてしまうのは、多くの課長に起きていることです。
会社で変わるのは、兼務の重さです。重さを決めるのは 3 つで、自分の数字(個人目標)がどれだけ大きいか、仕事を渡せる人手と後任がいるか、値引きや採用・評価をどこまで自分で決められるか。個人目標が小さく、人手があり、自分で決められる範囲が広い会社なら、同じ「リーダー」でも中身は別物です。転職先は、時間が足りなくてどちらも中途半端なのがつらいならマネジメント寄りを、部下を見ること自体がつらいならプレイヤー寄りを探します。求人票には兼務の割合がほとんど書かれないので、面接で聞いて確かめます。
プレイングマネージャーはどこもきつい? 上場企業では課長も部長もほぼ全員が兼務
産業能率大学の「第 5 回上場企業の課長に関する実態調査」(2019 年、従業員 100 人以上の上場企業の課長 714 人)では、プレイヤーの役割がまったく無い課長は 1.5% だけで、98.5% がプレイヤーとマネジャーを兼務していました。仕事に占めるプレイヤーの割合は平均 49.1%。兼務している課長の 59.0% が、プレイヤーとしての活動がマネジメントの支障になっていると答えています(「第5回上場企業の課長に関する実態調査」)。
別の調査では、数字の出方が少し違います。リクルートワークス研究所の調査では、課長クラスの 87.3% が部下と同じ仕事も持っていました(「「マネジメント行動に関する調査2019」基本報告書」、従業員 100 名以上の企業の課長クラス 2,183 人)。産業能率大学は「プレイヤーとしての役割」があるかを、ワークス研究所は「部下が担う業務と同様の業務」をしているかを聞いていて、聞き方が違います。どちらの調査でも、課長の大半が実務を持っています。
上に上がれば兼務が消える、ということもありません。同じ大学の部長調査(2021 年、上場企業の部長 385 人)では、部長の 96.9% がプレイングマネジャーでした(「上場企業の部長の96.9%がプレイングマネジャー」)。
上場企業でここまで兼務が当たり前なら、管理職として転職しても、自分の仕事とチームの仕事を両方持ち、ときにその 2 つがぶつかることは変わらないと考えておくほうがいいでしょう(書き手の見立てです)。転職で変えられるのは、その兼務がどれくらい重いかのほうです。
きつくなるのは、個人目標が大きく、任せる相手がいない時
いちばんきついのは、月末などの締めの時期です。自分の案件の締めと、部下の提案書のチェックと、部下からの相談が同じ日に重なり、どれかを後回しにするしかなくなります。後回しになりやすいのは、期限の無い 1on1 や育成のほうです。
抱えすぎてしまうのは、こういう月です。自分の数字が足りない月は、自分で売りに行くのがいちばん早い。そうすると部下に任せて育てる時間が取れず、結局また自分が抱えます。性格の問題というより、個人目標が大きいことから来ています。
「任せ方を変えよう」という対策がよく勧められますが、それが効くのは任せる相手がいる会社です。企業規模 50 人以上の第 1 階層の管理職 2,000 人に聞いた調査(2019 年)では、57.5% が人手不足、56.2% が後任者不足、52.5% が自分の業務量の増加を課題に挙げていました(「中間管理職の就業負担に関する定量調査 - パーソル総合研究所」)。部下が若手ばかりで渡せる仕事が少ないのは、任せ方の問題というより、チームの組み方の問題です。
同じ調査では、負担感の高い管理職の 64.7% が、時間が足りなくて付加価値を生む仕事に手を付けられないと答えています。新しい企画や部下の育成のような、先のための仕事が消えていく感覚は、多くの管理職に共通しています。
自分で決められる範囲が狭いと、さらにきつくなります。値引きや人の配置を自分で決められず、上に確認している間に案件も部下の仕事も止まります。先の課長調査では、37.4% が十分な権限を与えられていると思わないと答えていました。
兼務の重さを決めるのは、自分の数字・人手・決められる範囲の 3 つ
兼務の重さを決める次の 3 つは、会社とポジションで大きく違います。
| 会社で違う点 | 兼務が重い会社 | 兼務が軽い会社 |
|---|---|---|
| 自分の数字(個人目標) | チームの目標とは別に、大きな個人目標がある | 個人目標が無いか小さく、チームの数字で見られる |
| 人手と後任 | 部下の多くが経験の浅い人で、渡せる仕事が少ない。後任もいない | 中堅がいて、若手の相談の一部を任せられる |
| 決められる範囲 | 値引き・採用・評価のたびに上の確認が要る | 決められる範囲が決まっていて、自分の判断で進められる |
このうち、本人の工夫で軽くできる部分もあります。会議の減らし方や、中堅に若手の相談を一部受けてもらうような任せ方は、自分で変えられます。人の数と個人目標の大きさは、本人の工夫では変わりません。
マネジメント寄りかプレイヤー寄りかは、つらさの元で決める
どちらの求人を探すかは、何がいちばんつらいのかで分かれます(書き手の判断です)。
- 時間と人手が足りないのがつらい人は、マネジメント寄りを探します。部下を育てることは嫌ではなく、自分の数字に追われて何もできていないのがつらい、という人です。個人目標が軽いか無く、チームを見ることが主な仕事のポジションなら、「自分で取りに行く」理由そのものが小さくなります。マネジメント寄りの求人に課長のまま移れるかは、管理職の転職は難しいかにまとめています(前職が課長だった転職者のうち、課長以上で入ったのは約 3 割)
- 部下を見ること・評価すること自体がつらい人は、プレイヤー寄りです。量を減らしても、つらさの元は残るからです。管理職を降りる道(社内で降りるか、転職するか)は、管理職を降りたい人向けの記事にあります
- どちらもつらい人は、半年後にプレイヤーとマネジメントのどちらの仕事を増やしたいかで、探す側を決めます
マネジメント寄りに移ると数字から離れてしまう、と心配する人もいます。実際には、自分の数字がチームの数字に置き換わる、と考えるのが近いです。部下が初めて受注した時に自分のことのように嬉しかったなら、これから見られるのは、そういう部下たちの数字です。
兼務の度合いは、求人票にはほとんど書かれていない
当サイトの掲載求人(2026 年 11 月 4 日時点、公開中のもの)で、「プレイングマネージャー」と書いている会社のうち、実務とマネジメントの比率に触れている会社はごくわずか(100 社に 1〜2 社)でした。書いている会社は「開発 7 割・マネジメント 3 割」のような書き方です。チームや部下の人数に触れている会社は 4 割ほどでした。
求人票で見るのは、「プレイングマネージャー」と書いてあるかどうかより、比率や人数を書いているかどうかくらいです。「マネジメント専任」と書いてあっても、課長のほとんどが兼務している以上、兼務がゼロとは限らないと考えておくほうが安全です。IT のプロジェクトリーダー求人での書かれ方は、プロジェクトリーダーを降りたい人向けの記事で職種に絞って扱っています。
兼務の重さは面接で確かめます。今の会社といちばん差が出るのは、次の 2 つの答えです。
- チームの目標のうち、このポジションの方ご自身が持つ分はどれくらいですか
- 前任の方は、1 週間の時間をどんな配分で使っていましたか
人手と決められる範囲は、メンバーの人数と経験の浅い人の数、採用・評価をどこまで決められるか、このポジションが空いた経緯で分かります。これらは管理職の面接の逆質問として、管理職の面接の記事にまとめています(権限やチームの今を聞く質問)。
「個人目標はありますか」とだけ聞くと、やる気が無いように聞こえないか心配になります。仕事の中身を具体的に知りたい、という形で聞けば、普通の質問として受け取られます。上の人が「数字もチームも両方やれ」と言う会社かどうかは、面接で見抜けるとは限りませんが、この 2 つの答えに出やすいです。
転職の前に、今の会社に個人目標か人数の見直しを相談する手もある
今の会社で上の人に「両方やるのがリーダーだろ」と言われているなら、両方やるかどうかで話すのをやめ、変えてほしい所を具体的に伝えるのが筋だと考えます。たとえば「個人目標を下げるか、人を足すか、どちらかがないと 1on1 が回らない」という言い方です。
これで会社が動けば、転職しなくてもきつさは減ります。動かなければ、それがこの会社のやり方だと分かるので、転職を決める材料になります。
よくある質問
プレイングマネージャーは日本だけ?
海外との比較は、この記事では調べていません。言えるのは、日本では上場企業の課長の 98.5%(2019 年)、部長の 96.9%(2021 年)が兼務している、ということまでです。
プレイングマネージャーは管理職? 残業代は出ない?
残業代が付かない「管理監督者」に当たるかどうかは、肩書ではなく立場や権限の実態で決まり、当たらなければ残業手当を支払わなくてよいことにはなりません(「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」、厚生労働省)。何で判断されるかと確かめ方は、「管理職候補」の記事の残業代の節にまとめています。
部長に上がれば楽になる?
兼務はほぼ続きます。上場企業の部長の 96.9% がプレイングマネジャーでした(2021 年)。上がれば兼務が消える、とは考えないほうがいいです。
職務経歴書にはどう書く?
自分の数字とチームの数字を分けて書き、マネジメント寄りの求人を受けるならチームの側を先に置きます。行の分け方と書き方の例は、マネジメント経験の書き方の記事にあります(チームの数字と自分の数字を別の行にすれば、盛っているようには見えない)。
もう限界・辞めたい時は?
眠れない日が続く、体調が崩れているなら、転職先を選ぶより先に受診と相談をしてください。判断はその後で間に合います。働く人とその家族が使える電話相談に、「働く人の「こころの耳電話相談」」(0120-565-455。平日 17:00〜22:00、土日 10:00〜16:00。受付は平日 21:50、土日 15:50 まで。祝日・振替休日・年末年始を除く)があります。部下を見ること自体がもう無理だと感じるなら、管理職を降りる道もあります(上の節)。
但し書き
- 課長調査の数字(98.5%・49.1%・59.0%・37.4%)は、産業能率大学「第 5 回上場企業の課長に関する実態調査」(2019 年 3 月、従業員 100 人以上の上場企業で部下を 1 人以上持つ課長 714 人、ネット調査)から引きました。2023 年の第 7 回調査は公開ページに兼務の割合が載っておらず、確認できていません。中小企業の管理職や「チームリーダー」の肩書の人に、そのまま当てはまる数字ではありません
- 部長の数字は同大学「第 2 回上場企業の部長に関する実態調査」(2021 年 9 月、385 人)、人手不足などの数字はパーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査」(2019 年 3 月、企業規模 50 人以上の第 1 階層の管理職 2,000 人)です
- 当サイトの掲載求人の割合は、当サイトに載っている求人の中での割合で、求人市場全体の割合ではありません。人数に触れる会社の 4 割ほどには、配属先の人数ではなく応募条件の「◯名以上のマネジメント経験」も含まれます
- マネジメント寄りに移った人の年収がどう動くか、個人の数字を持たない管理職がどう評価されるかを測った数字は見当たりませんでした。本文で触れた所は書き手の判断です
- 管理監督者に当たるかは、個別の会社の実態で決まります。本文は一般的な仕組みの説明で、法的な判断ではありません
- 出典はいずれも 2026 年 11 月 4 日に確認しました