市場価値と年収
移住支援金は転職先によってはもらえない?対象になる求人と申請の期限
移住支援金は、転職先によっては出ません。例えば宮崎県の要領では、一般の転職なら、県のマッチングサイトで「移住支援金対象」と表示された求人に、表示が出た後に応募している必要があります。東京圏に本社がある会社、資本金 10 億円以上の会社、有期の契約、今の会社からの転勤は原則外れます。夫婦の一方がリモートで今の仕事を続けて申請する方法、転職と引っ越しの順番より大事な 3 つの条件、1 年以内に辞めた時の返還までまとめました。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・一般の転職なら、県のマッチングサイトで対象と表示された求人に、表示が出た後に応募している必要がある。東京圏本社の会社、資本金 10 億円以上、有期の契約、転勤は原則外れる
- ・転職と引っ越しの順番は要領に決まりが無い。大事なのは「応募日」「転入から 1 年以内の申請と年度の受付期間」「予算は先着」の 3 つ
- ・就職で受けた人は、申請日から 1 年以内に辞めると全額返す。支援金のために合わない会社を選ぶと、1 年は辞めにくくなる
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東京 23 区に住んで働いていて、地方に移って転職することを考えている。調べると「移住支援金 世帯 100 万円」と出てきて、引っ越しの費用はそれで賄えそうだと考えた。ところが、転職先によってはもらえないと書いてある記事もあり、どんな会社に決めれば対象になるのかが分からない(例は架空です)。
移住支援金は、転職先によっては出ません。 制度の骨組みは国が決めていますが、細かい要件は都道府県と市町村の要領・要綱で決まります(「起業支援金・移住支援金 - 地方創生」)。例えば宮崎県の要領では、一般の転職でもらうには、県のマッチングサイト(ふるさと宮崎人材バンク)で「移住支援金対象」と表示された求人に、その表示が出た後に応募している必要があります。同じ地元の会社でも、ハローワークや一般の求人サイトで見つけた求人のままでは、対象にならないことがあります。
会社の種類や雇い方によっても、対象から外れます。宮崎県の要領では、東京圏に本社がある会社(地方の勤務地に限った採用を除く)、資本金 10 億円以上の会社、有期の契約、今の会社からの転勤は原則として対象外です(「宮崎県移住支援事業・マッチング支援事業実施要領」、令和 8 年 4 月 1 日施行)。転職と引っ越しのどちらを先にするかは決まっておらず、大事なのは応募日、転入から 1 年以内の申請、予算が先着順であることの 3 つです。
以下では、宮崎県の要領と宮崎市の要綱を例に説明します。移る先が別の県・市町村なら、金額・対象・受付期間は違いうるので、その自治体の要綱で確かめてください。
求人・会社・雇い方のどれかが要件に合わないと、対象から外れる
宮崎県の要領で、一般の転職で支援金を受ける時に対象から外れる場面は次のとおりです。どれも内定より前、多くは応募より前に確かめておかないと、後からは直せません。
| 外れる場面 | 要領に書かれていること | 例外 |
|---|---|---|
| 求人が対象として掲載されていない | マッチングサイトに、移住支援金の対象として掲載されている求人であること | 専門人材の事業を使った就業、市町村が認める関係人口の経路は別 |
| 応募が掲載より前 | 応募日が、その求人が対象として掲載された日以降であること | なし |
| 東京圏に本社がある会社 | 本社が東京圏(条件不利地域を除く)にある法人は対象事業所にならない | 東京圏の外を勤務地とする勤務地限定型の社員を採る場合は除く |
| 大きな会社 | 資本金 10 億円以上の営利企業、みなし大企業、官公庁等は対象外 | 資本金が概ね 50 億円未満で、市町村長の推薦に基づき知事が認める法人は除く。官公庁等のうち、第三セクターで出資金が 10 億円未満の法人や、地方公共団体から補助を受けている法人は除く |
| 雇用の形が要件に合わない | 週 20 時間以上の無期雇用であること。転勤・出向・出張・研修ではない新規の雇用であること | なし |
| 親族が経営する会社 | 3 親等以内の親族が経営を担う事業所でないこと | 県と市町村の判断で対象にできる |
いちばん見落としやすいのは、上の 2 行です。気になる会社をハローワークや一般の求人サイトで見つけたら、応募する前に、人材バンクで同じ求人が「移住支援金対象」と表示されているかを見てください。応募が表示より前だと、内定の後で「対象の求人だった」と分かっても外れます。申請の時には、雇用形態と応募日が分かる就業証明書を会社に書いてもらって出します(同要領 ⑧)。
要領が定めているのは応募日で、応募の経路は書かれていません。人材バンク以外の経路(転職エージェントや会社の採用ページ)で応募するなら、応募の前に市町村の窓口で扱いを聞いておくと確実です。
東京の会社の地方支社で働きたい人は、3 行目に当たりやすくなります。東京圏に本社がある会社は原則対象外で、例外は、その地方を勤務地に限った社員として採る場合だけです。求人票の勤務地や転勤の欄を見て、書いていなければ面接で聞いて構いません。ただ、その求人が支援金の対象かどうかは、マッチングサイトで対象と表示されているかで見る方が確実です。
雇い方では、正社員かどうかではなく、無期雇用かどうかが問われます。期間の定めのある契約社員は外れます。今の会社の地方拠点に異動して移る場合も、新規の雇用ではないので、就職の類型には当たりません。
夫婦で移るなら、リモートで今の仕事を続ける人が申請する方法もある
転職して受ける方法のほかに、今の会社の仕事をリモートで続けて移る「テレワーク」の類型があります。宮崎県の要領では、会社の命令ではなく自分の意思で移ること、移住前の業務を引き続き行うこと、原則として通勤せず週 20 時間以上テレワークで働くことが要件です。宮崎市の要綱は、それに加えて、所属先と週 20 時間以上の無期雇用の契約を結んでいること、所属する部署の所在地が移住前と同じことを求めています(「宮崎市移住支援給付金交付要綱」)。
夫婦で一緒に移り、どちらか一方が今の会社にリモートで残るなら、その人が申請者になる方法があります。宮崎県の要領の世帯向けの要件は、申請者を含む 2 人以上が移住元で同じ世帯だったこと、申請の時も同じ世帯であること、どちらも県の公表後に転入し、申請時に転入から 1 年以内であることです(同要領 ⑥)。この世帯の要件に、申請者でない人の勤め先についての定めは書かれていません(宮崎市の要綱・ページにも見当たりません)。ただ、その他の要件は市町村が別に定められるので、転職する側の会社選びに縛りが無いかは、移る先の窓口で確かめてください。
ただし、テレワークの類型を対象にしているかは、移る先の市町村しだいです。札幌市は令和 8 年度にテレワークの要件をやめました(「令和8年4月1日以降に転入された方へ(UIJターン就職移住支援事業(移住支援金))」)。同じ制度でも、年度や自治体によって要件が変わります。テレワークで申請する時は、所属先の会社に就業証明書(自分の意思で移ったことなどを確かめる書類)を書いてもらいます(同要領 ⑧。宮崎市は要綱の様式第 3 号の 2)。会社に頼む前に、移る先の市町村の様式を確かめておくと話が早く進みます。
金額は、宮崎市の場合、世帯で 100 万円、18 歳未満の世帯員を連れて移ると 200 万円、単身なら 60 万円です(「【宮崎市に移住される方へ】令和8年度宮崎市移住支援給付金制度について」)。申請は 1 世帯 1 回までで、夫婦それぞれが受けることはできません。宮崎県の要領では、世帯向けの金額で申請する時は、世帯員の誰かが過去 10 年以内に移住支援金を受けていれば原則対象外です(例外あり)。
転職と引っ越しの順番は決まっていない。大事なのは応募日・申請の期限・予算
宮崎県の要領には、転職と転入のどちらを先にするかの決まりはありません。東京にいるうちに対象の求人に応募して内定をもらってから移っても、先に移ってから宮崎で探しても、要領の上ではどちらでも構いません。順番より大事なのは次の 3 つです。
1つ目は応募日です。前の節のとおり、対象として表示された後に応募していることが要ります。引っ越しの前か後かは問われません。ただ、ふるさと宮崎人材バンクは、県の案内で「県外在住で宮崎への移住を希望されている方」と県内の事業所をつなぐサイトとして紹介されています(「若者・女性が活躍できる宮崎に向けて ~企業向け支援策のご案内~」)。転入した後も使えるかは、移住の窓口に確かめてください。
2つ目は転入から 1 年以内の申請と、年度の受付期間です。宮崎県の要領では、申請できるのは転入から 1 年以内で、その時点で対象の仕事に就いている必要があります。先に移って現地で探す場合は、1 年のうちに対象の求人で就職し、申請まで済ませる必要があります。さらに宮崎市の受付は、各年度の 2 月 20 日までです(宮崎市の要綱 第 4 条)。3 月に転入すると、その年度の受付はもう終わっていて、翌年度の受付を待つことになります。年度の初めは国の交付の決定の前で受け付けない期間がありえて、そのために 1 年以内に申請できなかった人には、決定の日から一定の日数を受け付ける特例が要領にあります。翌年度は要件が変わることもあるので、年度をまたぐ日程なら、その年度の要綱でも確かめてください。
3つ目は予算です。宮崎市は、予算に限りがあり先着順で、予算の枠に達し次第終了と案内しています。いつ締まるかは書かれていないので、移る前に窓口で今の残りを聞いておくと安心です。
なお、「転入から 3 か月たってから申請する」と書いた古い案内や記事があります。宮崎県の要領では、この 3 か月の要件は令和 5 年 6 月 22 日までに転入した人に限られていて、それ以降の転入には掛かりません(同要領 附則)。
申請日から 1 年以内に辞めると全額返す。会社は続けられるかで選ぶ
宮崎県の要領では、就職の類型で受けた人が申請日から 1 年以内にその仕事を辞めると、支援金を全額返します。住まいの方は、支給した市町村から申請日より 3 年たたずに転出すると全額、3 年以上 5 年以内なら半額です。同じ県内でも、支給した市町村を出れば当てはまります。会社の倒産や災害、病気など、やむを得ない事情を県と市町村が認めた場合は除かれます(同要領 第 5 の 1(2))。
1 年たってから転職する場合は、宮崎県の要領の返還の区分には入っていません。ただ、返還の区分は自治体の要綱で違う例があるので、宮崎県以外に移るなら、その要綱で確かめてください。テレワークの類型で受けた後に転職した場合や、リモート勤務がなくなった場合については、県の要領は退職による返還を就職の類型に限って書いていますが、宮崎市のページは類型を分けずに 1 年以内の離職で全額と書いていて、書き方がそろっていません。テレワークで申請する前に、市町村の窓口で扱いを聞いて控えておいてください。
この決まりがあるため、支援金の対象かどうかを先に置いて会社を選ぶと、合わなかった時に 1 年は辞めにくくなります。支援金は 1 回きりで、年収の差は毎年続きます。年収が 100 万円下がる転職なら、1 年で支援金と同じ額が消えます。支援金は引っ越しの費用の足しと考えて、転職先は年収と、続けられるかで選ぶ方が後悔が少ないと考えています。移る先での年収の見込みは、地方に移った時の年収の下がり方の記事で扱っています。
最初に確かめる相手は、住む予定の市町村の窓口
申請先は移る先の市町村なので、確かめる相手も市町村の移住の窓口です。宮崎市は、移住センターでの事前の予約を案内しています。聞くことは、テレワークの類型が対象か、必要な書類、今年度の予算の残り、受付期間の 4 つです。県の要領が同じでも、金額、受付の締め切り、予算の枠、テレワークの細かい条件は市町村で違いうるので、住む予定の町が決まっていれば、その町の窓口に聞いてください。
転職して受けるなら、県のマッチングサイトで、自分の職種の対象求人があるかも見ておくと、転職で受けられる見込みがあるかが早く分かります。
よくある質問
移住支援金の条件は何ですか?
国の枠では、東京 23 区に住んでいた人、または東京圏(条件不利地域を除く)に住んで 23 区へ通勤していた人が、東京圏の外(東京圏の条件不利地域を含む)で移住支援事業を実施している都道府県・市町村に移り、対象の求人への就職、テレワークで移住前の仕事を続ける、関係人口、起業のいずれかに当てはまる場合に支給されます。移住元は、直前の 10 年で通算 5 年以上、かつ直近 1 年以上が要件です。転入から 1 年以内に申請し、申請後 5 年以上住む意思があることも求められます(「起業支援金・移住支援金 - 地方創生」)。細かい要件は自治体の要綱で決まります。
23 区から移住すれば 100 万円は必ずもらえますか?
移住元の要件を満たしていても、それだけでは決まりません。移る先の市町村が移住支援事業を実施していない、転職先が対象の求人でない、応募が対象の表示より前、先着の予算枠が埋まった、のどれかに当たると出ません。金額も自治体で違い、国の枠では世帯 100 万円以内です。
単身でももらえますか?
もらえます。国の枠では単身は 60 万円以内で、宮崎市の場合は 60 万円です。
今の会社を先に辞めても大丈夫ですか?
宮崎県の要領では、移住元の要件は 23 区に住んでいた期間(または 23 区への通勤)で見ます。23 区に住んで要件を満たしているなら、退職の日そのものは要件に入っていません。23 区への通勤で満たす人は、雇用者としての通勤なら雇用保険の被保険者であることが必要です。また、23 区への通勤の期間は、住民票を移す 3 か月前までを直近 1 年の起点にできます。
移住と転職、どっちを先にすればいいですか?
要領の上ではどちらでも構いません。大事なのは、対象の表示が出た後に応募すること、転入から 1 年以内に申請すること(宮崎市の受付は各年度 2 月 20 日まで)、予算が先着順であることの 3 つです。
東京の会社に勤めたまま移住したらもらえますか?
テレワークの類型を対象にしている市町村なら、その道があります。宮崎県の要領では、自分の意思で移り、移住前の仕事を続け、原則として通勤しないことなどが要件です。テレワークの要件をやめた自治体もあるので、移る先の要綱で確かめてください。
地方に移住して後悔するのはどんな時ですか?
支援金とは別の話なので、この記事では扱いません。出身地に戻るか迷っている人向けには、地元(出身地)に戻るか迷う人向けの決め方の記事で決め方をまとめています。
この記事の制度の範囲について
- 本文の要件は、宮崎県の「宮崎県移住支援事業・マッチング支援事業実施要領」(令和 8 年 4 月 1 日施行)と、宮崎市の要綱・ページ(令和 8 年度)を、2026 年 11 月 4 日に読んで確かめたものです。他の都道府県・市町村では、金額、対象、受付期間、返還の区分が違いうるので、移る先の要綱で確かめてください。宮崎県内でも、宮崎市以外の市町村の要綱は確かめていません
- 国の令和 8 年度の交付要綱の本文は確かめていません。国の制度の説明は、内閣府の地方創生のページによるものです
- ふるさと宮崎人材バンクでの対象の求人の表示の仕方や、どんな職種の求人が何件あるかは確かめていません
- 対象として表示された後に、マッチングサイト以外の経路で応募した場合の扱いは確かめていません
- テレワークの類型で受けた後の転職やリモート終了の扱いは確かめていません。窓口で確かめてください
- 「転入後 3 か月」の要件は、国の古いリーフレット(「人手不足に悩む地方の中小企業の皆様へ」、R3.4 月版)に書かれていた当時の要件です
- 移住支援金の税の扱い(確定申告が要るか)は調べていません
- 転職先は年収と続けられるかで選ぶ方がよい、というのは私の判断です