市場価値と年収
家を買うのと転職、どっちが先? 住宅ローン審査で見られること
家を買う時期と転職したい時期が重なった時、どちらを先にするかを、住宅ローンの審査で見られることから答えます。転職後いつから申し込めるかは銀行で違い、転職 1 年目は賞与が入らず年収が低く見積もられることがあります。借りる額の決め方と、順番を決める 3 つの分かれ目もまとめました。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・転職して 1 年たたないとローンが通らない、は一律の決まりではない。転職直後から申し込める銀行、試用期間を除いて 3 か月とする銀行、1 年以上を目安にする機関がある
- ・転職 1 年目は年収を見込みで計算する銀行があり、賞与がまだ出ていないと書類上の年収が下がる。借りる額は、借りられる額ではなく転職後の年収で返せる額で決める
- ・どちらを先にするかは、年収が上がるか下がるか・家の時期をずらせるか・転職を引き渡しの後にずらせるかの 3 つで決まる。先に家なら、退職と入社は引き渡しの後に置く
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子どもが生まれて家を考え始めた時期に、転職もしたくなった。どちらを先にするかで迷っている人への答えです。
転職後の年収が今と同じか下がる見込みなら、今の会社のまま住宅ローンを借り、引き渡しが済んでから転職するほうが、審査は通りやすく、借りられる額も大きくなりやすくなります。ただし借りる額は、転職した後の年収でも返せる額で決めます。審査を今の会社で受けても、返済は転職後の年収で続くからです。
転職して 1 年たたないとローンは通らない、という話は一律の決まりではありません。転職直後から申し込める銀行もあれば、試用期間を除いて 3 か月とする銀行もあります。もう 1 つ、転職 1 年目は年収を見込みで計算する銀行があり、賞与がまだ出ていないとその分が入らず、書類上の年収が実際より低くなることがあります。
転職して 1 年は通らない? 申し込める時期は銀行で違う
転職した後いつから申し込めるかは、銀行ごとに違います。各行が FAQ で公表している内容は次のとおりです(2026 年 11 月 4 日確認)。
| 銀行 | 転職した後、いつから申し込めるか | 転職後 1 年未満で求められること |
|---|---|---|
| auじぶん銀行 | 転職直後でも申し込める | 本審査で職歴書(卒業後のすべての職歴と転職の理由)。審査の結果によっては利用できない |
| PayPay銀行 | 転職した後なら申し込める。転職予定の段階では申し込めない | 本審査で職務経歴書、雇用契約書か労働条件通知書、直近 3 か月の給与明細、賞与がある人は直近 1 年分の賞与明細 |
| みずほ銀行(ネット住宅ローン) | 原則、転職後 3 か月たてば申し込める | 試用期間を除いた転職後 3 か月分の給与明細 |
| 三井住友信託銀行 | FAQ の答えは、勤続年数だけでなく転職後の収入なども考えて審査する、というもの | まず新規受付の窓口に相談する |
出典は各行の FAQ です(「【住宅ローン】転職したばかりでも、住宅ローンは利用できますか。」、「【住宅ローン】転職した・転職予定の場合の申し込み(追加の必要書類や年収の記載方法)について教えてください。」、「【ネット住宅ローン】転職したばかりです。お申込に必要な書類を教えてください」、「転職したばかりですが、住宅ローンは申し込みできますか」)。みずほ銀行は試用期間を除いた 3 か月分の給与明細を求めるので、試用期間が 3 か月の会社なら、申し込めるのは入社から半年ほど後になります。
一方で、勤続年数を基準にする金融機関は多くあります。国土交通省の令和 7 年度の調査では、融資審査の項目に答えた 994 機関のうち 933 機関(93.9%)が勤続年数を審査項目にしていて、その基準として「1年以上」を選んだのは 994 機関中 661 機関でした(複数回答。数は金融機関の数です。「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書(令和8年6月5日 訂正)」、2026 年 11 月 4 日確認)。三菱UFJ銀行のコラムも、満 1 年以上の勤務を利用条件にする金融機関があり、転職後 1 年未満では申し込めない場合があると書いています(「住宅ローンは転職後でも組める?勤続年数が審査に与える影響を解説」、同日確認)。
1 年を目安にする金融機関はありますが、すべてではありません。先に転職する場合、申し込めるまでの期間は、どの銀行に申し込むかで変わります。
転職 1 年目は、年収が実際より低く見積もられることがある
申し込めても、希望の額に届かないことがあります。転職して 1 年たたないうちは、手元にある前年の源泉徴収票は前の会社のものなので、新しい勤め先の月収から 1 年分の年収を見積もって審査する、と三菱UFJ銀行のコラムは書いています(「住宅ローンは転職後でも組める?勤続年数が審査に与える影響を解説」)。
計算の仕方を公表している銀行もあります(2026 年 11 月 4 日確認)。
- PayPay銀行: 雇用契約書などに見込年収が書かれていればその額。無ければ、支給済みの給与 ÷ 支給月数 × 12 に、支給済みの賞与を足す
- みずほ銀行(ネット住宅ローン): 直近 3 か月の平均給与 × 12。賞与があれば直近 2 回分を足す
PayPay銀行の式では、雇用契約書などに見込年収が書かれていない場合、まだ出ていない賞与は入りません。たとえば月給 30 万円、賞与が年 2 回で合わせて 120 万円、年収 480 万円の人が同じ条件の会社に移ったとします(架空の数字です)。最初の賞与が出る前にこの式で計算すると、30 万円 × 12 で、書類上の年収は 360 万円です。年収は変わっていないのに、審査に使われる年収は 120 万円少なくなります。賞与の割合が大きい人ほど、この差は大きくなります。
年収が上がる転職でも同じことが起きます。上がった年収が審査に入るのは、雇用契約書などに書かれた見込年収で審査する銀行に申し込む場合か、賞与が出た後か、1 年たって新しい勤め先の源泉徴収票がそろった後です。
借りる額は、転職後の年収で返せる額で決める
審査では、年収に対する年間の返済額の割合(返済負担率)が見られます。国土交通省の同じ調査では、994 機関中 904 機関(90.9%)が返済負担率を審査項目にしていました。フラット35 は総返済負担率(フラット35 にほかの借入れの返済も合わせた年間の返済額が、年収に占める割合)を、年収 400 万円未満なら 30% 以下、400 万円以上なら 35% 以下と条件にしています(「【フラット35】ご利用条件」、2026 年 11 月 4 日確認)。
ほかに借入れが無いとしてフラット35 の基準を上の例に当てはめると、年収 480 万円なら年間の返済は 168 万円まで、書類上の年収が 360 万円なら 108 万円までです。審査に使われる年収が下がると、借りられる額の上限も下がります。
ただ、借りる額はこの上限で決めるものではありません。先に家を買えば、審査は今の会社の年収で受けられますが、返済は転職した後の年収で続きます。転職で年収が下がる見込みがあるなら、下がった後の手取りでも毎月返していける額を、借りる額の上限にしておくのが安全です。毎月の返済額は金利と期間で変わるので、候補の銀行のシミュレーションに、転職後の年収で数字を入れて決めます。
返済が始まってからの転職では、審査はもう終わっています。勤め先が変わった時に届け出が要るかどうかは、銀行と結んだ金銭消費貸借契約(ローン契約)の書面で確かめます。
どちらを先にするかは、3 つの分かれ目で決まる
- 転職で年収が上がる見込みか、同じか下がる見込みか
- 家を買う時期を半年〜1 年ずらせるか(子どもの入園・入学などで時期が決まっているか)
- 転職の時期を引き渡しの後までずらせるか(今の職場を急いで離れたい事情があるか)
| 状況 | 先にするほう | 理由 |
|---|---|---|
| 年収が同じか下がる見込みで、転職を引き渡しの後にずらせる | 家 | 今の会社の勤続年数と前の年の源泉徴収票で審査を受けられる。借りる額は転職後の年収で返せる額にする |
| 年収が上がる見込みで、家の時期をずらせる | 転職 | 上がった年収が書類で示せるようになってから申し込めば、その年収で審査を受けられる。見込年収で見る銀行なら早く申し込める |
| 年収が上がる見込みだが、家の時期をずらせない | 家 | 借りられる額は今の年収で決まるが、引き渡しの後に転職すれば審査の不利は避けられる |
| 家の時期も転職の時期もずらせない | 転職してから、転職直後でも申し込める銀行へ | 年収が見込みで計算され、額が減ることがある前提で、借りる額を決める |
迷いやすいのは 2 行目です。年収が上がるなら先に転職したほうが借りられる額は出る可能性がありますが、上がった年収で審査を受けられるまでには、試用期間や賞与の時期によって時間がかかることがあります。その間、家の購入を待てるかどうかです。
先に家を買うなら、退職日と入社日は引き渡しの後にする
先に家を買うと決めたら、動く順番は次のとおりです。
物件探し → 事前審査 → 売買契約 → 本審査 → 引き渡し(融資の実行)→ 転職
いちばん大事なのは、退職日と入社日をどちらも引き渡しより後の日にすることです。本審査に通った後でも、融資が実行される前に勤め先が変わると審査がやり直しになり、結果によっては融資が出ません。転職活動を引き渡しの後に始めれば、この心配はありません。
転職活動を先に始めていて、引き渡しの前に内定が出た場合にどうするかは、住宅ローンの本審査後に転職しても大丈夫?融資実行と入社日の順番に、入社日と退職日の組み方、銀行に伝えること、家の契約で確かめる所をまとめています。
転職の予定は、銀行に伝える前提で順番を組みます。PayPay銀行は転職予定の人の申し込みを受けず、転職した後に申し込むよう案内しています。三菱UFJ銀行のコラムは、近く転職の予定があるなら事前に金融機関に相談するよう勧めています。予定を伏せて進めた結果、引き渡しの直前に勤め先が変わって融資が出なくなるほうが、入居の時期が決まっている家庭には痛手です。申し込む前に、引き渡しの後に転職を考えていることを伝えて、その条件で受け付けるか、何が求められるかを聞き、それを見て申し込む銀行を決めるのが確実です。
よくある質問
フラット35 なら、転職直後でも借りられますか?
フラット35 の公表されている利用条件には、勤続年数の要件は書かれていません。年収は原則として、申込年の前年の収入を証明する公的な証明書の金額で見ます(「【フラット35】ご利用条件」、2026 年 11 月 4 日確認)。転職した年や翌年に年収をどう扱うかは、公式の説明では見つかりませんでした。勤続年数の要件が書かれていなくても、転職直後の審査に影響が無いとまでは言えません。
住宅ローンの審査で、勤続年数は関係ないって本当ですか?
ほとんどの民間の金融機関には当てはまりません。国土交通省の令和 7 年度の調査では、審査項目に答えた 994 機関のうち 933 機関が勤続年数を審査項目にしていました。勤続年数は関係ない、という話は、フラット35 の利用条件に勤続年数の要件が書かれていないことを指している場合があります。
年収が上がる転職なら、先に転職したほうがいいですか?
家の時期をずらせるなら、先に転職して、上がった年収が書類で示せるようになってから申し込むほうが、借りられる額は大きくなる可能性があります。ただ、転職 1 年目は賞与が入らない計算をする銀行があり、試用期間を数えない銀行もあるので、上がった年収が審査に入るまで時間がかかることがあります。家の時期が決まっているなら、今の年収で借りて引き渡しの後に転職するほうが確実です。
転職すると住宅ローン控除は使えなくなりますか?
住宅ローン控除の要件(新築などから 6 か月以内に住むこと、床面積 50㎡以上、合計所得金額 2,000 万円以下、10 年以上の分割返済の借入金など)に、勤続年数の要件はありません。勤め先に関わる条件は、勤務先からの借入金で無利子か利率 0.2% 未満のものは対象にならない、という点です。最初の年は確定申告で受け、給与所得者は 2 年目以降、年末調整で受けられます(「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」、2026 年 11 月 4 日確認)。家と転職の順番には関わりません。
団体信用生命保険(団信)は転職と関係ありますか?
団信で見られるのは健康状態で、勤め先とは別の話です。国土交通省の同じ調査では、994 機関中 866 機関が団信への加入を必要としていました(令和 8 年 6 月 5 日の訂正後の数)。フラット35 は団信に入らなくても利用できます。
この記事の出典と確かめた範囲
- 銀行の申込条件・必要書類・年収の計算の仕方は、各行の FAQ と三菱UFJ銀行のコラムを 2026 年 11 月 4 日に確認した内容です。条件は変わることがあり、ここに挙げていない銀行の基準は確かめていません。
- 国土交通省の調査の数は、住宅ローンを扱う金融機関のうち、その項目を審査項目にした機関の数です。借りる人の何割が通ったかではありません。機関の数で数えているので農協・信用金庫の比重が大きく、メガバンクやネット銀行の基準を表すものではありません。「1年以上」は基準の選択肢の 1 つで、1 年以上あれば通る、1 年未満は通らない、とは読めません。数は令和 8 年 6 月 5 日の訂正後の版から取りました(「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 正誤表」)。
- 賞与が入らず書類上の年収が下がる例は、PayPay銀行が公表している式(雇用契約書などに見込年収が書かれていない場合)に架空の数字を当てはめたものです。まだ出ていない賞与の見込み額を年収に含めるかどうかは、どの銀行にも確かめていません。
- みずほ銀行の式で足す直近 2 回分の賞与が、新しい勤め先で出た分に限られるかどうかは、FAQ からは分かりません。
- 転職の予定を銀行に伝えた場合に、審査や借りられる額が変わるかどうかは、どの銀行も公表していません。
- 物件探しから引き渡しまでにかかる期間、毎月の返済額、金利の目安は、この記事では扱っていません。
- 同業種で年収が上がる転職は評価されやすい一方、短い期間に転職を繰り返していると、年収が上がっていても安定性を疑われることがある、と三菱UFJ銀行のコラムは書いています。審査に通るかどうかを示すものではありません。
- 住宅ローン控除について、年の途中で転職した年の年末調整の手続きは確かめていません。