転職の判断
派遣が長いと正社員の書類選考で不利?派遣先が多い職歴のまとめ方
派遣で事務を長く続けてきた人が正社員を目指す時、派遣歴が書類で響く場面と、派遣先が複数ある職務経歴書のまとめ方を説明します。当サイトの掲載求人では、事務の正社員求人で応募要件に正社員の経験を書いている会社は約3%です。職種の見出しの下に派遣先を並べる職務経歴書の見本、正社員になりたい理由の組み立て、今の派遣先での直接雇用・紹介予定派遣・外の求人を並行して進める時に知っておく制度、年収の比べ方を載せています。
公開 2026年11月4日 · 集計 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・当サイトの掲載求人では、事務の正社員求人で応募要件に正社員の経験を書いている会社は約3%。要件に書いてあれば、応募の前に分かる。「派遣は職歴にならない」は誤り
- ・職務経歴書は、職種の見出しの下に派遣先ごとの行を並べ、派遣元は派遣先の横にカッコで添える。期間の上限で替わった派遣先には「派遣期間満了により終了」と1行
- ・今の派遣先の直接雇用・紹介予定派遣・外の正社員求人は並行して進める。無期転換は派遣会社との契約の期間が無くなるだけで、正社員になるわけではない
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派遣で事務を何年も続けてきて、そろそろ正社員になりたい。けれど「派遣歴が長いと正社員は厳しい」「派遣は職歴にならない」という書き込みを読むと、応募する前から気持ちがしぼむ。派遣先が何度か替わっていて、職務経歴書にどうまとめればいいのかも分からない。
派遣歴が長いことで書類選考が大きく不利になる場面は、思っているより狭いです。 当サイトの掲載求人(2026 年 11 月 4 日時点)では、事務の正社員求人のうち、応募要件に正社員の経験を書いている会社は約 3% でした。正社員の経験が条件だと応募要件に書いてあれば、応募の前に分かります。「派遣は職歴にならない」も誤りで、ハローワークの冊子は派遣の期間を職務経歴として書く例を載せています。書類で見られるのは、雇用形態よりも、これまでの事務が応募先の仕事とどれだけ重なるかだ、と私たちは考えています。
正社員の経験を応募の条件にしている求人は、ごく一部
当サイトの掲載求人で、正社員の事務(一般事務・営業事務・専門事務など)の求人の応募要件を読むと、正社員の経験を要件にしている会社は約 3% でした。会社ごとに該当する求人の割合を出し、それを会社の間で平均した値です。雇用形態を問わない・派遣の経験も含めると明記している会社は 2% 未満で、残りの大半はどちらも書いていません。派遣などの経験を外すと書いた会社は 1% 未満で、例えば「経理経験者1年以上必須(派遣のみ、アルバイトのみ不可)」という書き方がありました。
条件にしている求人は「正社員経験1年以上」のように応募要件に書いています。新卒で正社員として働いた期間があれば、それで満たせる場合もあります。ただ、「直近」と時期を限った求人もあり、その場合は昔の正社員の期間では満たせないことがあります。
要件に書かずに、書類で派遣歴を見て見送る会社がどれくらいあるかは測れません。だから「不利にならない」とまでは言い切りません。それでも、応募要件で正社員の経験を求めたり派遣の経験を外したりしている会社はごく一部で、ほかの求人の応募要件には、派遣だったかどうかで応募者を絞る書き方は見当たりませんでした。
「派遣は職歴にならない」は誤り。長い派遣歴も、派遣先が複数ある経歴も特別ではない
ハローワークの職務経歴書の冊子には、派遣で働いた期間を職務経歴として書く記載例があります。職種で見出しを立て、派遣先ごとに期間と「(派遣元より派遣)」を添えて、業務の内容を書く形です(「職務経歴書の作り方(令和2年5月発行、厚生労働省職業安定局・都道府県労働局・ハローワーク)」、2026 年 11 月 4 日に確認)。派遣の期間は、職歴欄から外すものではありません。
長い派遣歴や複数の派遣先は、派遣で働く人の経歴としては特別なものではありません。厚生労働省の令和 4 年の調査では、派遣で働いてきた期間が通算で 5 年以上の人は約半分(10 年以上 28.2%、5 年以上 10 年未満 19.6%)で、これまでの派遣先が 3 か所以上の人は約 3 割でした。今後は派遣以外の形で働きたい人が 37.0% で、そのうち 74.3% が正社員として働きたいと答えています(「令和4年派遣労働者実態調査の概況」、2026 年 11 月 4 日に確認)。
派遣先が 3 年ほどで替わってきたのは、法律の期間の上限のためかもしれません。派遣元は、派遣先の同じ課に同じ人を 3 年を超えて派遣できません(「派遣で働く皆様へ」、2026 年 11 月 4 日に確認)。派遣元に無期で雇われている人などは対象外です。この上限で派遣先が替わったのなら、職務経歴書のその派遣先の記載の最後に「派遣期間満了により終了」と 1 行添えておくと、自分の都合で転々としたのではないことを読み手に示せます。
書類で見られるのは、応募先の仕事とのつながり
自分の事務は誰にでもできる仕事だ、と感じていても、仕事の名前の後ろにある中身を書けば、応募先の仕事とのつながりは伝わります。受発注なら、取引先の種類と社数、扱う品目の数、1 日・1 か月の件数と締めの時刻、使っているシステム、ミスを防ぐために確かめていることです。数字には実際の値を入れます。事務の経験の書き方は「一般事務はやめとけって本当?電話と頼まれごとに追われる職場の見分け方」でも扱っています。
自分から始めた工夫は、困っていたこと・したこと・どうなったかの順に書き、効果を測っていなければ「上長から差し戻しが減ったと評価された」のように評価された事実で足ります。派遣の経歴で変わるのは、こうした中身を派遣先ごとにどう並べるかです。
派遣先が複数あるなら、職務経歴書は職種の見出しの下に派遣先を並べる
職種ごとに見出しを立て、その下に派遣先を 1 社ずつ並べ、派遣元は派遣先の名前の横にカッコで添えます。 ハローワークの冊子の記載例と同じ形です。派遣元が同じかどうかはカッコ書きで分かるので、派遣元ごとに別のまとまりを作らなくてかまいません。
派遣社員として 9 年、3 つの派遣先で事務をしてきた架空の人の場合の見本です(社名・期間・業務はすべて架空)。
■営業事務・受発注(計 6 年)
20XX年4月〜現在 株式会社◯◯(△△株式会社より派遣) 医療機器の卸売 業務: 病院・販売代理店からの受注入力、納期の回答、出荷の手配 取り組み: 取引先ごとの確認表を作り、請求書の宛名の取り違えを防いだ。上長から差し戻しが減ったと評価された
20XX年4月〜20XX年3月 株式会社◯◯(□□株式会社より派遣) 食品メーカー 業務: 量販店からの発注の受付、在庫の確認、営業担当の見積書の作成 派遣期間満了により終了
■総務・庶務(計 3 年)
20XX年4月〜20XX年3月 株式会社◯◯(□□株式会社より派遣) 不動産管理会社 業務: 備品・社用車の管理、来客対応、契約書類の整理と保管 派遣期間満了により終了
見出しの順番は、応募先の仕事に近いものを上にします。受発注の求人ならこの並びのまま、総務の求人なら「総務・庶務」を先にします。分量も、近い派遣先を厚くします(考え方は「職務経歴書に2社をどう書き分ける? 古い会社の経験を主役にしてもいい?」と同じです)。
途中で派遣元を替えた時は、新しい派遣元での最初の行の前に「次の就業先を探すため、〇〇株式会社に登録」と 1 行添えます。替えた事情を詳しく書く必要はありません。面接で聞かれたら、そのときの流れをそのまま話せば足ります。
冊子の例には、派遣で残業が認められていなかったことから「就業時間内に迅速かつ正確な事務処理ができる」と、派遣ならではの条件を活かせる力として書いたものもあります。
履歴書の職歴欄には、派遣元への登録と派遣先をすべて書く
履歴書の職歴欄には、派遣元への登録と、派遣先をすべて書きます。派遣元だけでは、どこで何をしていたかが伝わりません。期間は、派遣先で働き始めた日から最後に働いた日までを書くと、職務経歴書とそろいます。派遣の期間を経験年数に入れるかどうかや、職歴欄の行の並べ方は「派遣で働いた期間は経験年数に入る? 「経験3年以上」の求人に応募する時の数え方」にまとめています。
「なぜ正社員に?」は、派遣では任されなかった仕事から話す
「安定したいから」は本音として隠さなくてかまいません。ただ、それだけだと、入社して何をしたい人なのかが伝わりません。
派遣では、任される範囲が決まっていて、期間でも区切られます。その中で、もっと自分で担当したかった仕事を 1 つ挙げ、応募先の仕事に結びつけます。架空の例では、ミスが出た時に原因まで突き止めて対策したかったが、派遣の範囲外だと止められた。だから正社員として、そこまで任せてもらえる立場で働きたい。受発注の会社に応募するなら、受発注のミスを減らす仕組みづくりに結びつけて話します。
なぜ派遣で働いてきたかを聞かれたら、当時の事情を事実のまま 1 文で話します。同じ調査では、派遣で働いている理由(複数回答)として「自分の都合のよい時間に働きたいから」30.8% と「正規の職員・従業員の仕事がないから」30.4% がほぼ同じ割合で、どちらも隠すような理由ではありません。採用担当者の中にも、元派遣の応募者に派遣を選んだ理由を聞いてよいか迷う人がいる、という声があります。それでも、聞かれる前提で用意しておくと落ち着いて答えられます。
外の求人・今の派遣先・紹介予定派遣は、並行して進める
正社員になる方法には、外の正社員求人に応募するほかに、今の派遣先に直接雇ってもらう方法と紹介予定派遣があります。どの方法が正社員になりやすいかを比べた数字はありません。どれか 1 つに絞らずに同時に進め、職務経歴書はどれにも使えるものを先に作っておくのが確実です。
今の派遣先で直接雇用を目指すなら、契約の更新の話が出た時に、派遣元に「続けて働きたい。できれば今の派遣先での直接雇用を希望する」と伝えます。 派遣元と期間を決めた契約(有期雇用)で働く人のうち、同じ課で 3 年働く見込みの人が続けて働きたいと希望すれば、派遣元は派遣先に直接雇用を頼むなどの措置をとる義務があり、1 年以上 3 年未満の見込みなら努力義務です。この措置の対象になるには、本人が派遣元に希望を伝えることが前提で、どの措置を希望するかも伝えられます。派遣元に無期で雇われている人や 60 歳以上の人などは、この措置の対象外です(「派遣で働く皆様へ」)。ただし直接雇用は派遣先が同意した場合だけで、雇われる形が正社員とは限りません。自分の契約がどれに当たるかなど、分からないことは都道府県労働局の窓口で聞けます。
派遣先そのものにも決まりがあります。同じ事業所で 1 年以上働いていれば、その事業所が正社員を募集する時に、派遣先は募集の内容を知らせる義務があります。派遣元を介さない、派遣先の義務です(「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」 第 40 条の 5、2026 年 11 月 4 日に確認)。
もう 1 つは、派遣元が直接雇用を頼んだ後の決まりです。同じ業務で 1 年以上働いた有期雇用の人について、派遣元から直接雇用の依頼があった場合、派遣先は、派遣の期間が終わった後にその業務で人を雇い入れる時、その人を雇い入れるよう努めることになっています(努力義務、同法第 40 条の 4)。更新の話の場で派遣元に希望を伝えることが、ここにもつながります。
紹介予定派遣は、最長 6 か月派遣で働いた後、派遣先と本人の双方が合意すれば派遣先に直接雇われる仕組みです。採用されなかった時は、派遣元を通じて派遣先に理由を求めると、派遣先が理由を示し、派遣元から書面などで伝えられます(「紹介予定派遣について教えてください。」、2026 年 11 月 4 日に確認)。
無期転換は、正社員になることとは違います。派遣会社との有期契約が通算 5 年を超えた人が申し込むと、契約の期間の定めは無くなりますが、無期になるのは派遣会社との契約です。給与などの条件も、別に定めがある部分を除いて、期間のほかは今の契約と同じです。派遣先の社員になるわけでも、正社員になるわけでもありません(「労働契約法」 第 18 条、2026 年 11 月 4 日に確認)。
年収は、月給 × 12 に賞与を足して今の年収と比べる
求人票の数字を年収に直すと、今の年収と比べられます。
求人票の月給 × 12 に、賞与の欄(「年 2 回・計◯か月」「前年実績」など)の額を足すと、年収の目安になります。架空の例で、月給 20 万円で賞与が無ければ 240 万円、賞与が計 2 か月分なら 280 万円です。賞与の月数は基本給を基準にすることが多いので、月給に手当や固定残業代が入っている求人では、この計算は多めに出ます。この額を、今の時給から計算した年収と比べます。
あわせて、交通費が出るか、昇給の欄に何と書いてあるか、退職金があるかも見ます。時給だけを見ていると比べ落としやすい所です。
よくある質問
派遣から正社員は、30 代だと難しい?
年齢だけで決まるとは言えません。当サイトの掲載求人では、事務の正社員求人で正社員の経験を応募要件にしている会社は約 3% でした。書類で見られるのは派遣歴そのものより応募先の仕事とのつながりだ、と私たちは考えています。年齢による違いは「35歳転職限界説は今も本当? 35歳で実際に変わるのは何か」で扱っています。
派遣は職歴にならない?
なります。ハローワークの冊子は、派遣先ごとに期間と派遣元を添えて、派遣の期間を職務経歴として書く例を載せています。
派遣先が多いと、転職回数が多いと見られる?
派遣先が期間の上限で替わったのなら、各派遣先に「派遣期間満了により終了」と添えておくと、自分の都合で辞めたのではないことを示せます。派遣元が同じなら、雇い主が替わっていないこともカッコ書きで分かります。転職回数がどう見られるかは「転職回数が多いと書類で落ちる? 職種がばらばらな経歴のまとめ方」で扱っています。
契約社員から正社員への転職理由は、どう言えばいい?
組み立ては派遣と同じです。契約で仕事の範囲と期間が決まっていた中で、もっと担当したかった仕事を応募先の仕事に結びつけます。契約満了で離れた時は、その事実を短く添えます。
無期転換すれば正社員になれる?
なれません。無期転換は契約の期間の定めが無くなるだけで、それ以外の条件は、別に定めがある部分を除いて今と同じです。派遣の場合は、派遣会社との契約が無期になります。
何社くらい応募すれば、書類が通る?
派遣から正社員を目指す人に限って、何社出せば何社通るかを示した公的な統計はありません。まずはこれまでの仕事と近い求人に絞って応募します。書類が通らない時に、応募先と書類のどちらを見直すかの切り分けは、40 代向けの記事「40代で書類選考に落ち続けるのは年齢のせい?見直すのは応募先と書類」にまとめています。
事務の正社員求人は少ない?
一般事務は、ハローワークで求職者に対して求人が少ない職種です。詳しくは「一般事務はやめとけって本当?電話と頼まれごとに追われる職場の見分け方」にあります。
この記事の数字と出典について
- 当サイトの数字は、2026 年 11 月 4 日時点の当サイトの掲載求人のうち、掲載中の正社員の求人で、職種に事務(一般事務・営業事務・専門事務など)を含み、応募要件が書かれたものの応募要件の欄だけを数えています。割合は会社ごとに該当する求人の割合を出し、それを会社の間で平均した値で、対象の会社数が少ないため細かい差は比べず「約 3%」「2% 未満」「1% 未満」と丸めています。語の書き方で拾っているため、言い回しの違う書き方は拾えていない可能性があり、割合は下限として読んでください。正社員の経験に触れた求人には、歓迎の欄に書いたものも 1 件含みます。当サイトの掲載求人は取り込み元や掲載の多い会社で偏るため、事務の求人全体の傾向ではありません。応募要件に書かずに書類で派遣歴を見る会社がどれくらいあるかは、測っていません
- 派遣で働いてきた期間・派遣先の数・今後の働き方の希望・派遣で働く理由は、厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査」(令和 4 年 10 月 1 日現在、派遣労働者への調査)です。正社員を希望する 74.3% は、派遣以外の形で働きたいと答えた 37.0% の中の割合です
- 派遣の期間の上限・雇用安定措置・正社員募集の周知・派遣の期間の後の雇い入れの努力義務は労働者派遣法(第 30 条・第 35 条の 3・第 40 条の 4・第 40 条の 5)と厚生労働省の案内、無期転換は労働契約法第 18 条によります。自分の契約が有期か無期雇用派遣か、同じ課で何年になるかで当てはまるものが変わるので、派遣元に確かめてください
- 職務経歴書の形は、ハローワークの冊子「職務経歴書の作り方」(令和 2 年 5 月発行)の記載例に沿っています。この形で書類が通るかまでを確かめたものではありません
- 見本・工夫・年収の計算の例は、人物も社名も数字も架空です
- 採用担当の側の声は、人事向けの相談サイトにあった 1 件の相談で、採用担当全体の考えではありません
- 出典: 「令和4年派遣労働者実態調査の概況」、「派遣で働く皆様へ」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、「紹介予定派遣について教えてください。」、「労働契約法」、「職務経歴書の作り方(令和2年5月発行、厚生労働省職業安定局・都道府県労働局・ハローワーク)」(いずれも 2026 年 11 月 4 日に確認)