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銀行員の経験は事業会社のどの求人で通じる? 営業・財務・経理の違い

「銀行員は転職で使えない」と言われますが、銀行出身かどうかを応募資格に書く求人は少なく、問われるのは仕事の中身です。法人営業の経験はそのまま、財務は行内の言葉を言い換えれば通じますが、経理の実務の経験は書き方では補えません。年収の決まり方と、職務経歴書の言い換え例も載せています。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・銀行出身という肩書きを応募資格に求める求人は少ない。法人営業の経験はそのまま通じ、財務は行内の言葉を言い換えれば通じるが、経理の実務の経験は書き方では補えない
  • ・年収の金額の幅は出せない。移る先は銀行の給与を引き継がず、経験・能力・知識を中心に自社の基準で決める
  • ・狙う順番は営業が先で、財務の求人は出ていれば並行で応募する。入る前に、評価される目標・管理部門へ移った実例・提示額の内訳を確かめる
目次開く
  1. 01銀行出身かどうかは、求人ではほとんど問われていない
  2. 02移った後の年収は、銀行の給与を引き継がず、移る先の基準で決まる
  3. 03法人営業と財務では、行内の言葉を言い換えれば経験が通じる
  4. 04経理の実務の経験は書き方では補えず、簿記もその代わりにならない
  5. 05狙う順番は営業が先。財務の求人は、出ていれば並行で応募する
  6. 06面接で確かめたいのは、目標・異動の実例・提示額の内訳
  7. 07よくある質問
  8. 08この記事の数字について

取引先の社長に会い、決算書を読み、稟議を書く。地方銀行や信用金庫での法人融資の営業に、ノルマと転勤、数年ごとの異動が重なって疲れ、事業会社に移りたい。けれど「銀行員は転職で使えない」と聞いて、自分の経験がどこで通じるのか分からない。

「使えない」は半分だけ本当です。 銀行出身かどうかは、求人ではほとんど問われていません。当サイトの掲載求人で、応募資格に銀行・金融機関での経験を求める会社は 5% 未満です。求人が書いているのは「営業経験」「法人営業」「経理の実務」のような仕事の中身で、銀行での仕事をその言葉で説明できるかで決まります。法人営業と財務の一部はそれで通じますが、経理の実務の経験は、どう書いても補えません。

移る先銀行の経験は通じるか当サイトの掲載求人で分かること
法人営業(業界を変える)そのまま通じる営業職の求人を出す会社の約 6 割が「営業経験」を、約 3 分の 1 が「法人営業」を応募資格に書く
財務言い換えれば通じるが、対象の求人は少ない題名に「財務」が入る求人を出す会社のうち、銀行折衝・資金調達・資金繰り・借入を書くのは 1 割強
経理書き方では補えない経理・財務の求人を出す会社の約 6 割が、経理の実務・決算の経験を求める
経営企画銀行出身を条件にする求人は少ない銀行・金融機関での経験を求める会社は 5% 未満

年収がいくらになるかの幅は、この記事では出せません。ただ、金融業は同じ年代の月給の平均が高い業界で、移る先は銀行の給与を引き継がず、自社の基準で決めます(年収の節)。

銀行出身かどうかは、求人ではほとんど問われていない

当サイトの掲載求人(2026 年 11 月 4 日時点)で、応募資格に銀行・金融機関での経験を求める会社は 5% 未満です。経理・財務、経営企画・M&A、営業のどの職種の求人に絞っても、5% 未満は変わりません。

求めている求人を抜き出して読むと、金融機関のアシスタント職、地域ファンドの投資担当、事業再生のコンサル、金融向けのシステム開発、大手金融の財務企画、内部監査などが中心でした。銀行出身が名指しで求められるのは、金融の周辺の仕事です。メーカーや IT、サービスの会社の求人で「銀行出身」を条件にする書き方は、ほとんど見当たりません。

そのため、銀行出身であることそのものを売りにしても、事業会社の求人とはかみ合いにくくなります。求人が書いているのは、営業の経験、法人相手か個人相手か、形のある商品か無い商品か、経理の実務を何年したか、といった仕事の中身です。銀行の仕事をこうした言葉で説明できるかが、「使える・使えない」の分かれ目です。

移った後の年収は、銀行の給与を引き継がず、移る先の基準で決まる

移った後の年収がいくらになるかは、地銀だけの平均も個人の値も取っていないので、金額では答えられません。その代わりに、金融業の給与の水準と、移る先が賃金を何で決めるかを示します。

金融業は、同じ年代の月給の平均が高い業界です。25〜29 歳の男性の月給の平均(残業代・賞与を除く)は、金融業,保険業が約 34 万円、情報通信業が約 31 万円、製造業が約 27 万円です(厚生労働省 令和 7 年賃金構造基本統計調査)。金融業,保険業はメガバンク・保険・証券を含み、地銀の値ではありません。平均どうしの差なので、あなたの年収がこれだけ下がるという意味でもありません。

移る先は、銀行の給与を引き継ぎません。転職者の賃金を決める時に前職の賃金を考慮した事業所は 27.0% で、経験・能力・知識(59.2%)を大きく下回ります。1,000 人以上の事業所に限ると 48.1% です(「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」、事業所の割合)。

営業に移るなら、銀行での年数は経験として賃金を決める材料になり、経理に移る場合は職種未経験として扱われるので材料になりにくい、と考えます。どちらがいくらになるかまでは分かりませんが、営業と経理の提示額に差が出た時は、この違いが理由の 1 つと考えられます。月給ではなく 1 年の総額で比べる方法は、公務員から民間への転職の記事で説明しています。

法人営業と財務では、行内の言葉を言い換えれば経験が通じる

法人営業の経験は、そのまま営業の求人の応募資格に当てはまる

取引先の社長を訪ね、資金の相談を受けて融資や手数料の商品を提案してきた経験は、営業職の求人が最も多く書く「営業経験」「法人営業」にそのまま当てはまります。当サイトの掲載求人では、営業職の求人を出す会社の約 6 割が「営業経験」を、約 3 分の 1 が「法人営業」を応募資格に書いていて、前の業界を名指す書き方よりずっと多くありました。融資は手に取れる商品ではないので、1 割強の会社が書く「無形商材」の営業経験としても説明できます。法人営業の経験を求める求人を職種名にとらわれずに探す方法は、応募要件で求人を探す記事にまとめています。

決算書を読み、相手が何に困っているかを確かめてから提案してきたことも、営業の力として書けます。

財務では、融資の審査で銀行側にいた経験が強みになる

融資の審査では、取引先に決算書と資金繰り表を出してもらい、返済の原資は何かを確かめ、稟議を書いてきました。事業会社の財務担当は、その問いに答える資料をつくり、金利や返済条件を銀行と詰める側です。立場は逆ですが、銀行が何を見て、どこで稟議が止まるかを知っていることは、財務の仕事でそのまま役に立ちます。

ただし、対象になる求人は多くありません。当サイトの掲載求人で、題名に「財務」が入る求人を出す会社のうち、銀行折衝・資金調達・資金繰り・借入を応募資格に書くのは 1 割強です。経理・財務の求人全体では、財務分析・決算書・与信を応募資格に書く会社は約 5% でした。

行内の言葉は、事業会社の面接官には伝わりにくい

稟議・与信・渉外・条件変更といった言葉は、そのままでは事業会社の面接官に伝わりにくいので、実際にした仕事の説明に置き換えます。

行内の言葉職務経歴書での書き方の例
稟議を書いた取引先の決算書を読んで返済できるかを判断し、社内の承認を得るための文書を書いた
渉外担当地域の中小企業 ◯ 社を訪問し、資金の相談を受けて提案した
条件変更取引先の返済条件を見直す交渉をした

成果は「融資実行額 ◯ 億円」と書くより、何社を担当し、どの段階を自分が受け持ったか(新規の開拓、審査の資料づくり、条件の交渉)で書く方が、自分の成果として伝わります。融資実行額は、銀行の看板があったから出せた数字と受け取られるおそれがあるからです。

経理の実務の経験は書き方では補えず、簿記もその代わりにならない

当サイトの掲載求人で、経理・財務の求人を出す会社の約 6 割が、経理の実務・決算・連結・仕訳の経験を応募資格に書いています。銀行員は決算書を外から読む側で、作る側の経験はありません。財務分析の経験をどう書いても、この条件は満たせません。

簿記は、同じ求人の約半分が書いています。簿記を取れば簿記の条件は満たせますが、同じ求人の約 6 割が書く経理の実務の経験の代わりになるわけではありません。

残りの約 4 割の求人は経理の実務を書いていませんが、それで未経験でも入れるとは限りません。簿記など別の書き方で経験を求める求人もあり、「未経験可」とあっても、職種と業界のどちらの未経験を指すかは求人ごとに違います。職種未経験で経理・財務に入る時の求人の見方は、「未経験可」の求人の記事にまとめています。

狙う順番は営業が先。財務の求人は、出ていれば並行で応募する

ノルマに疲れていると、経理・財務や経営企画に移りたくなります。ただ、銀行の経験がそのまま通じるのは営業です。財務は経験を生かしやすいものの求人が少なく、経理は経理の実務の経験を求める条件で止まります。そのため、営業の求人を中心に探し、財務の求人が出ていれば並行して応募する順番を勧めます。

営業はもうやりたくない場合は、ノルマが嫌なのか、提案が嫌なのかを分けて考えてみてください。銀行では、融資の提案とは別に、投資信託や保険の販売目標を課されることがあります。これは営業という職種の問題というより、本業とは別の商品の目標まで課される仕組みの問題に近いものです。事業会社の営業で同じことが起きるかは、扱う商品と目標の決め方で変わります。法人営業のきつさのうち会社によって違う部分は、法人営業はきついかを扱った記事で整理しています。

20 代後半から 30 代前半で遅いかどうかは、年齢で区切った数字を持っていないので答えられません。経理に移る時に壁になるのは、年齢より経理の実務の経験を求める条件の方だと考えます。製造業の事業所は転職者の賃金を決める時に年齢を考慮する所が 52.4% と多いですが、これは賃金の決め方の話で、採用するかどうかの話ではありません。

面接で確かめたいのは、目標・異動の実例・提示額の内訳

  • 評価される目標と、扱う商品は何か。 本業とは別の商品の目標まで課されるかは、ここで分かります
  • 営業から財務や経営企画へ異動した人は、実際にいるか。 異動の希望を出す制度があっても、実際に異動した人がいない会社があります。制度があるかより、異動した人がいるかを聞きます
  • 提示額の内訳。 月給・賞与・残業代の見込みと、入社した年の賞与がどう算定されるか。賞与・退職金・住宅手当が会社の規模でどう変わるかは、大手から中小への転職の記事にあります

よくある質問

銀行員から転職するのは難しい?

どの職種を狙うかで変わります。法人営業の経験は営業職の求人の応募資格にそのまま当てはまるので、営業の方が経験を生かしやすい。経理は、経理・財務の求人の約 6 割が経理の実務の経験を求め、銀行の経験ではその条件を満たせないので、難しくなります。

銀行員は辞める人が多い?

金融業,保険業の離職率は 6.6% で、産業計の 13.7% の半分以下です(「-令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況-」、保険などを含み銀行だけの値ではありません)。また、辞める人が多いかどうかと、移れる先が多いかどうかは別の話です。

銀行の経験は金融でしか通用しない?

そうとは限りません。2025 年に転職した正社員の調査で、前職が金融・保険だった 45 人のうち、金融・保険に残ったのは約半分で、残りは医療・福祉や IT、サービスなど多くの業種に移っていました(「転職動向調査2026年版(2025年実績)」、人数が少なく銀行に限らない値です)。

銀行を辞めて後悔しない? もったいない?

後悔するかは人によりますが、金融業に戻る道が広くないことは知っておいてよいでしょう。転職者を採る予定がある事業所のうち「新規学卒者を優先して採用したい」とするのは、金融業,保険業が 28.1% で産業の中で最も高い値でした(「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」、事業所の割合で銀行だけの値ではありません)。

簿記 2 級は取った方がいい?

経理を狙うなら、取れば簿記の条件は満たせます。経理・財務の求人の約半分が簿記を書いているためです。ただ、同じ求人の約 6 割が書く経理の実務の経験の代わりにはなりません。営業を中心に探すなら、急いで取る必要はありません。

地銀からメーカーに行ける?

主な入り方は、法人営業と経理・財務の 2 つです。法人営業なら、銀行での経験がそのまま通じます。経理・財務のうち財務の仕事は銀行の経験と重なる部分がありますが、経理の実務を求める求人では、その経験が足りません。

この記事の数字について

  • 当サイトの数字は、当サイト PREVIO の掲載求人(2026 年 11 月 4 日時点、掲載中)を会社単位で数えたものです。応募資格の欄の全文(必須と歓迎の両方)に語があるかを数え、必須と歓迎は分けていません。職種は求人の題名の語で分けました(経理・財務は題名に経理・財務・会計・資金・FP&A を含む求人、財務は題名に「財務」を含む求人)。割合は丸めています
  • 書いていない会社が銀行出身を評価しない、という意味ではありません。数えたのは応募資格の書き方です。銀行・金融機関での経験を求める求人の行き先の傾向は、抜き出して読んだ一部の求人から見たもので、割合ではありません
  • 当サイトの掲載求人は取り込み元や掲載の多い会社で偏るため、求人全体の傾向ではありません。事業会社だけに絞った集計ではなく、提示年収も数えていません
  • 月給は、厚生労働省 令和 7 年賃金構造基本統計調査の所定内給与額(残業代・賞与を含まない)で、男性・企業規模計の平均です。30〜34 歳では金融業,保険業が約 45 万円、情報通信業が約 37 万円、製造業が約 30 万円でした。地銀だけの平均とは比べていません
  • 転職者実態調査の割合は事業所の割合で、人数の割合ではありません
  • 出典: 「(5) 産業別にみた賃金」、「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」、「-令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況-」、マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」(いずれも 2026 年 11 月 4 日に確認)
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