転職の判断
退職日は月末がいい?1日ずれると社会保険料がどう変わるか
次の会社の入社日が翌月なら、退職日を月末にしておけば社会保険料は増えません。月末の前日に辞めて「浮く」のは会社の保険料で、その月は国民年金と国民健康保険を自分で払います。月給 30 万円前後(標準報酬月額 30 万円)の例での差、入社日まで空いた日の届、最後の給与の手取りにも答えます。
公開 2026年11月4日 · 集計 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・次の会社の入社日が翌月なら、月末付けで辞めれば社会保険料は増えない。入社日まで日が空いても、空いた月の末日に新しい会社にいれば、その月の国民年金の保険料はかからない。国保も月の末日の加入で決まる自治体ならかからないが、住む自治体で確かめる
- ・月末の前日に辞めて浮くのは会社の保険料だけで、その月は国民年金と国保を自分で払う。東京・標準報酬月額 30 万円の例で差は 24,650 円で、国保がそれより高ければ負担は増える
- ・空いた日があれば、保険料がかからなくても 14 日以内に国民年金と国保の届が要る。月末に辞めると、最後の給与から社会保険料 2 か月分と住民税の残りが引かれて手取りが減りやすい
目次開く閉じる
次の会社の入社日が翌月なら、月末付けで辞めれば社会保険料は増えません。 入社日まで何日か空く場合も、その月の末日に新しい会社にいれば、空いた月の国民年金の保険料はかかりません。国民健康保険(国保)も、月の末日に入っている保険で決まる自治体なら、その月の分はかかりません(扱いは住んでいる自治体で確かめてください)。空いた日のために要るのは、加入の届です。
「月末の前日に辞めると 1 か月分浮く」と書く記事もありますが、浮くのは会社の保険料です。その月は代わりに国民年金と国保を自分で払います。東京で月給 30 万円前後(標準報酬月額 30 万円)・40 歳未満なら、会社の保険の本人負担がひと月約 42,570 円、代わりの国民年金が 17,920 円で、差は 24,650 円です。国保のひと月分がこれより高ければ、前日に辞めたほうが負担は増えます。
空いた日があるなら、前の会社から資格喪失証明書をもらい、会社の保険から外れた日(退職日の翌日)から 14 日以内に市区町村で国民年金と国保の届を出し、入社したら国保をやめる届を出します。月末で辞めると、最後の給与からは社会保険料が 2 か月分と住民税の残りが引かれることがあり、手取りが普段より少なくなりやすい点も知っておくと慌てずに済みます。
1 日ずれると、会社の保険料が 1 か月分変わる
会社の健康保険と厚生年金から外れるのは、退職日の翌日です。保険料は、その外れた日が入る月の前月の分までかかります。10 月に辞める場合はこうなります。
| 退職日 | 会社の保険から外れる日 | 会社の保険料がかかる月 | 10 月の末日に入っている保険 |
|---|---|---|---|
| 10 月 31 日(月末) | 11 月 1 日 | 10 月分まで | 会社の健康保険・厚生年金 |
| 10 月 30 日(月末の前日) | 10 月 31 日 | 9 月分まで | 国民年金・国保 |
月末に辞めると、外れる日が翌月 1 日になるので、辞めた月の分まで会社の保険料がかかります。月末の前日に辞めると、外れる日がその月の中に入るので、その月の会社の保険料はかかりません(「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。|日本年金機構」)。保険料は本人と会社で半分ずつ負担しているので、会社の側の分もその月はかかりません。
月末の前日に辞めても、浮くのは差額だけ
月末の前日に辞めると、その月の最後の 1 日は会社の保険に入っていません。その日は国民年金と国保に入ることになり、その月は国民年金の月として数えられます。国民年金の種別が変わった月は、変わった後の種別の月とみなす決まりだからです(「国民年金法」 11 条の 2)。
国保は、月の末日に資格があればひと月分の保険料がかかる、と世田谷区は書いています(「保険料についての注意 | 世田谷区公式ホームページ」)。
東京・標準報酬月額 30 万円・40 歳未満で、ひと月分を比べます。
| 月末に辞める | 月末の前日に辞める | |
|---|---|---|
| 会社の健康保険(本人負担) | 14,775 円 | かからない |
| 子ども・子育て支援金(本人負担) | 345 円 | かからない |
| 厚生年金(本人負担) | 27,450 円 | かからない |
| 国民年金 | かからない | 17,920 円 |
| 国保 | かからない | ひと月分 |
| 合計 | 42,570 円 | 17,920 円+国保ひと月分 |
会社の保険の額は「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」(協会けんぽ東京支部)の 22 等級、国民年金は令和 8 年度の額です(「国民年金保険料|日本年金機構」)。
差は 42,570 − 17,920 = 24,650 円です。国保のひと月分が 24,650 円より高ければ、月末の前日に辞めたほうが負担は増えます。 低くても、浮くのは差額だけです。しかも前日に辞めたその月は、厚生年金の加入期間に数えられません。
国保の額は、住んでいる自治体の料率と前年の所得で決まるので、ここでは出しません。自治体のサイトにある保険料の試算で確かめられます。
前日に辞めて確実に浮くと言えるのは、会社が負担する分のほうです。健康保険と厚生年金などは本人と会社で半分ずつ負担しているので、会社の側もその月の分がまるごとかかりません。会社から月末の前日を勧められた場合も、仕組みとして分かるのはここまでです。
入社日まで空いても、月末に辞めれば保険料は増えない
入社日が翌月 1 日なら、月末に辞めると 1 日も空きません。前の会社は辞めた月の分まで、新しい会社は入社した月の分からなので、同じ月を 2 つの会社で払うこともありません(「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。|日本年金機構」)。
入社日が翌月の途中でも、月末に辞めていれば保険料は増えません。たとえば 10 月 31 日に辞めて 11 月 9 日に入社すると、11 月 1〜8 日はどの会社の保険にも入っていませんが、11 月の末日には新しい会社の保険に入っています。
日本年金機構は、3 月末に辞めて 4 月 16 日に再就職した例で、4 月 1 日からの国民年金の加入の手続きは要るものの、4 月 16 日から会社の厚生年金に入り 4 月の末日もそのままなら、4 月分の国民年金の保険料は納めなくてよいと書いています(「会社を退職したときの国民年金の手続き|日本年金機構」)。国保も、世田谷区の「月の末日に資格があればひと月分」の決まりなら、空いた月の末日に国保に入っていないので、その月の分はかかりません。国保の扱いは自治体の決まりなので、住んでいる市区町村でも確かめてください。
入社日そのものの決め方は、[入社したい日から最終出社日を逆算する手順](/guide/tenshoku-3kagetsu-ai-junban#2. 入社したい日から逆算して、応募を始める日と最終出社日を決める)で説明しています。有給を使い切ってから辞めたい人も、入社日の前日を退職日にして、有給はそれより前に使う形にすれば、間は空きません。
空いた日があれば、国民年金と国保の届は要る
保険料がかからない月でも、会社の保険に入っていない日があれば、その日は国民年金と国保に入っている扱いになるので、加入の届を出します。
届を出さずにいると困るのは、空いた日に病院へ行く時です。国保の届が遅れると、保険証の代わりになる資格確認書(または資格情報のお知らせ)は交付された日からしか使えず、それまでの保険診療は受けられません。保険料も、国保の資格ができた月までさかのぼって納めることになります(「国民健康保険の届出について:新宿区」)。
空いた日があれば、次の 3 つを済ませます。
- 前の会社から、会社の保険から外れた日が分かる書類(資格喪失証明書など)をもらう。 離職票より先に出してもらえるよう、早めに頼んでおくと安心です
- 会社の保険から外れた日(退職日の翌日)から 14 日以内に、住んでいる市区町村で国民年金と国保の加入の届を出す。 国民年金の届け先も市区町村なので、同じ日に出せます。持ち物は上の書類と、基礎年金番号かマイナンバーが分かるものです(「国民年金に加入するための手続き|日本年金機構」)
- 入社して新しい会社の健康保険に入ったら、14 日以内に国保をやめる届を出す。 その時に国保の資格確認書を返します(「国民健康保険の届出について:新宿区」)
月末に辞めて翌月の途中に入社するなら、入社までの平日に役所の窓口へ行けます。
前の会社の書類が間に合わない時に何で代わりになるか、届を郵送で出せるかは、自治体で扱いが違います。たとえば横浜市は、国保の加入に使う資格喪失証明書について形式は問わないとしています(「会社を退職して(又は被扶養者ではなくなったので)国民健康保険に加入したいのですが。 横浜市」)。行く前に国保の窓口へ電話して、手元にある書類で受けてもらえるか、やめる届は郵送でいいかを一緒に確かめておくと、入社後にまた平日に休む必要があるかが分かります。
国保の代わりに、前の会社の健康保険を任意継続で続ける方法もあります。会社の保険から外れる日の前日まで続けて 2 か月以上入っていたことが条件で、外れた日から 20 日以内に申し出が要ります。会社が負担していた分も自分で払うので、保険料は辞めた時の健康保険料の 2 倍になります(協会けんぽの場合。上限あり)(「任意継続の加入条件について」、「任意継続|給付と手続き|協会けんぽ」)。1 週間ほど使うだけの時に保険料の月がどう数えられるかは確かめられなかったので、ここでは比べません。
月末が土日でも、退職日を出勤日にする決まりは見当たらない
月末が土日だと、会社から「前の金曜日で辞めていい」と言われることがあります。調べた資料の中に、退職日は出勤日でなければいけないという決まりは見当たりませんでした。月末付けにできるかは会社の扱いによるので、総務に聞くのが確実です。たとえばこう頼めます。
退職日は○月末日付けでお願いできますか。保険の切り替えを月末にそろえたいので。
同じ時に「資格喪失証明書だけ先にいただけますか」と頼んでおくと、届に間に合わせやすくなります。
最後の給与の手取りは減りやすい
社会保険料が 2 か月分引かれることがあります。 会社は毎月の給与から前の月の分を引くことができ、月末に辞めると、前の月の分と辞めた月の分の 2 か月分を最後の給与からまとめて引ける、と日本年金機構が書いています(「退職した従業員の保険料の徴収」)。払う月の数が増えるわけではなく、引かれる時期が重なるだけです。
住民税は、辞める月で扱いが分かれます。 1 月 1 日〜4 月 30 日に辞めると、5 月分までの残りの税額が、最後の給与や退職金から本人の申し出がなくても一括で引かれます(5 月 31 日までに出る給与などが残りの税額より多い場合。「市民税・府民税・森林環境税(給与所得に係る特別徴収)に関するQ&A」)。6 月 1 日〜12 月 31 日に辞めると、自分で納める普通徴収に切り替わり、希望すれば一括で引いてもらうこともできます(「特別徴収にかかる手続きについて|個人住民税の特別徴収推進ステーション」)。
一括で引かれる時に何か月分になるかは、今の会社が毎月の給与でどの月の分を引いているかで決まります。
新しい会社の給与からそのまま住民税を引いてもらう手続きもありますが、新しい会社と前の会社が年税額や引いた月をやり取りしたうえで届を出すものです(「市民税・県民税・森林環境税の特別徴収に関するよくある質問」)。自分の場合に続けられるかは、今の会社と新しい会社に聞けば分かります。一括で引かれる形なら自分で手続きをしなくて済みますが、その分最後の給与の手取りが減ります。
最後の給与で何が何か月分引かれるかは、総務に一度に聞けば分かります。
最後の給与で、社会保険料は何月分、住民税は何か月分引かれますか。
よくある質問
31 日に辞めて翌月 1 日に入社すると、保険料が二重になりませんか?
なりません。前の会社の保険料は辞めた月の分まで、新しい会社の保険料は入社した月の分からです(「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。|日本年金機構」)。
会社から月末の前日に辞めてほしいと言われました。断ってもいいですか?
月末の前日に辞めると、その月は本人の分も会社の分も会社の保険料がかからない、というのが仕組みです。本人のほうは代わりに国民年金と国保を払うので、月末付けにしたいなら、保険の切り替えを月末にそろえたいという理由で頼めます。会社がどう扱うかは会社の決まりによります。
入社してすぐ、新しい保険証などが届く前に病院に行くことになったら、何を出せばいいですか?
入社日からは新しい会社の健康保険に入っています。届く前に何を出せばよいかは、調べた資料には書いてありませんでした。入社の手続きの時に新しい会社の担当者に聞いておくのが確実です。国保の資格確認書は、やめる届の時に返すものなので、入社後は使わずに持っておきます(「国民健康保険の届出について:新宿区」)。
何月に辞めるのがいちばんいいですか?
保険料は、何月に辞めるかより、月末か前日かで変わります。住民税は、1〜4 月に辞めると残りが最後の給与から一括で引かれます。賞与がある会社なら、賞与の支給日と退職日の決め方も合わせて見ると決めやすくなります。
この記事の数字と出典について
会社の保険料は、協会けんぽ東京支部の令和 8 年 3 月分(4 月納付分)からの保険料額表で、標準報酬月額 30 万円(22 等級)・40 歳未満(介護保険料なし)の本人負担を足したものです。40 歳以上は介護保険料が乗り、勤め先の健康保険が協会けんぽでない場合や、東京以外の支部では料率が変わります。国民年金は令和 8 年度の月額です。
国保の保険料は、自治体の料率と前年の所得で決まるので計算していません。月の末日に資格があればひと月分、という扱いは世田谷区の規定で確かめたもので、同じ月に国保に入って抜けた時の扱いを直接書いた自治体のページは見つけられませんでした。住んでいる市区町村で確かめてください。
国保の届の期限・遅れた時の扱い・資格確認書の返却は新宿区と横浜市、住民税は東京都・大阪市・川崎市のページで確かめました。書類が間に合わない時の代わりや郵送の可否は自治体で違い、調べたのは横浜市の一例だけです。任意継続を短い期間だけ使った時の保険料の数え方、退職日を土日にできるかの決まり、新しい保険の書類が届く前の受診で何を出すかは、確認した資料には書かれていませんでした。
最後の給与で社会保険料が何か月分引かれるかは、給与の締め日と会社の控除の仕方で変わります。住民税の残りが何か月分かも、会社がどの月の分を引いているかで変わります。
入社日まで空く期間が短い場合を前提にしていて、失業保険(雇用保険の基本手当)は扱っていません。社会保険は年金事務所、国保と住民税は住んでいる市区町村の窓口が相談先です。
出典は 2026 年 11 月 4 日に確認しました。