転職の判断
3か月の休職は、源泉徴収票や住民税で転職先に分かる?
休職していたことが、源泉徴収票や住民税の通知で転職先に分かるかをまとめました。どちらの書類にも休職の期間や理由を書く欄は無く、載るのは金額だけです。休職した年の給与額が入社する時期によってどの書類に出るか、休職が1か月か3か月かで違いはあるか、源泉徴収票の金額が面接で伝えた年収と合わない時の答え方、言わずに入社して後で分かった時の考え方を載せています。
公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・源泉徴収票にも住民税の通知にも休職の欄は無く、休職した年の給与額がどの書類に出るかは入社する時期で決まる
- ・休職が1か月か3か月かで分かれる決まりは無く、金額を左右するのは給与が出なかった月数。金額を聞かれた時の事実だけの答え方
- ・言わずに入社して後で分かった時、分かれ目になるのは「聞かれて事実と違うことを答えたか」
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休職から復職して転職活動を始めると、「源泉徴収票で休職がバレる」「3か月以上はバレる」という話が気になります。先に答えると、源泉徴収票にも住民税の通知にも「休職」と書く欄はありません。出るのは金額だけで、分かるのは「その年の給与が少ない」ことまでです。理由が休職なのか、残業や賞与が減ったのかは、書類からは分かりません。
金額が少なくなるのは、休職中に受け取る健康保険の傷病手当金に税がかからず、源泉徴収票の給与の額に含まれないからです。「健康保険法」の第62条は、保険給付として受けた金品を基準に税を課すことを認めていません。
休職が1か月か3か月かで分かれる決まりもありません。金額を左右するのは、給与が出なかった月数です。書類よりも気をつけたいのは、聞かれた時に事実と違うことを答える場面です。
まだ休職中で、休職中に転職先を決めるか、復職してから探すかで迷っている場合は、休職中に転職を決めるか、復職してから探すかの記事にまとめています。
源泉徴収票にも住民税の通知にも、休職の欄は無い
源泉徴収票に載るのは、その年に払われた給与の総額(支払金額)、給与から引いた社会保険料、年の途中で就職・退職した年月日などです。「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」の記載要領にある欄の中に、休職や欠勤の期間を書くところはありません。
住民税は、新しい会社に「会社用」と「本人用」の2種類の通知が届きます。京都市の手引(「給与所得等に係る市民税・府民税・森林環境税 特別徴収の手引 令和6年度」)の例では、会社用に載るのは各人の年間の税額と月ごとの金額で、給与収入の欄はありません。
本人用には前の年の給与収入の合計が載り、会社を通して本人に渡ります(「よくある質問:マイナンバー制度について(総論)|デジタル庁」)。京都市は本人用を圧着して、会社は剥がさずに配ります。本人用の通知を隠して配るかどうかは市町村の判断です。2016年の総務省の資料では、そうしている市町村の割合は県によって大きく違い、国は市町村に隠すよう求めることは考えていないと答えています(「総務省|報道資料|個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進 −行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん−」)。
人事が通知の金額や税額を面接で聞いた年収と見比べれば、少ないと気づくことはあります。それでも書類から分かるのは、前の年の収入が少なかったことまでです。
休職した年の給与額がどの書類に出るかは、入社する時期で決まる
源泉徴収票は、その年のうちに入社した会社が年末調整で使います。住民税は前の年の収入で決まり、6月から翌年5月まで毎月の給与から引かれます。この2つの決まりから、休職した年の金額がどの書類に出てくるかは、入社する時期で分かれます。表の住民税の欄は、新しい会社でも給与からの天引き(特別徴収)を続ける場合の話です。
| 入社する時期 | 前の会社の源泉徴収票 | 住民税 |
|---|---|---|
| 休職した年のうちに入社 | 休職した年の源泉徴収票を出す。給与が出なかった月の分だけ支払金額が少ない | 引き継ぐのは休職前の年の収入の分。休職の年の分は翌年5月に通知が来る |
| 翌年1〜5月に入社 | 出すのは翌年の源泉徴収票(1月から退職までの給与)。休職した年のものは出さない | 5月に、休職の年の収入にもとづく通知が新しい会社に来る |
| 翌年6月以降に入社 | 同上 | 前の会社から、休職の年の収入にもとづく月ごとの金額が引き継がれる |
たとえば今年休職して来年春に入社するなら、休職の年の源泉徴収票を新しい会社に出す場面はありません。出てくるのは住民税の税額だけで、その通知にも休職の欄はありません。
休職が年をまたいだ場合は、それぞれの年で、その年に給与が出なかった月の分だけ金額が少なくなります。10月中旬から翌年1月中旬まで休んだなら、1年目は約2か月半分、2年目は約半月分です。どちらの年の金額が新しい会社に届くかは、年ごとに上の表のとおりです。
住民税は、退職の時に残りの税額を最後の給与などからまとめて引くこともあります。京都市の手引では、1〜4月に辞める人は原則としてまとめて引かれ、6〜12月に辞める人も本人が申し出ればまとめて引けます。残りを本人が直接払う普通徴収にする手続きも案内されています。こうした場合は、前の会社から新しい会社へ月ごとの金額が引き継がれません。
1か月か3か月かで分かれる決まりは無い。金額を左右するのは給与が出なかった月数
「3か月以上はバレる」という決まりは、どの書類の仕組みにもありません。年の給与が減るのは給与が出なかった月の分だけで、休職の長さそのものは関係しません。
月給が同じで賞与が無いとして計算すると、給与が出なかった月が3か月なら年の給与は約4分の1減り、1か月なら約12分の1減ります。1か月分の差なら、年によって変わる賞与や残業代の増減に紛れることもある程度です。
有給休暇を使って休んだ日は給与が出ているので、金額は減りません。傷病手当金も、給与が出ている日には原則として支給されません(「傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ」)。休職中に会社が給与の一部を払っていた場合は、払われた分が源泉徴収票の金額に入ります。1か月の休職をすべて有給休暇で休んだなら、源泉徴収票の金額は変わりません。
源泉徴収票の金額を聞かれたら、事実だけで答える
内定の後に、年収の確認として前の年の源泉徴収票を求める会社があります。税の手続きとは別に、会社が求めるものです。出せば、面接で伝えた年収と金額が合わないことは分かります。
説明を求められた時に避けたいのは、事実と違う理由(「残業が減った」など、本当ではない理由)を作ることです。病名や体調の話をしなくても、事実だけで答えられます。
「昨年は数か月、給与の出ない期間があったため少なくなっています。〇〇万円は通常の年収です」
面接で伝える年収も、書類の数字と食い違わない形にしておくと、この場面で慌てずに済みます。休職の前の通常の年収を伝えるなら、「通常の年収で」と添えておけば、上の答えとそのままつながります。
言わずに入社して後で分かったら? 分かれ目は「聞かれて偽ったか」
前の会社が、休職や病気のことを黙って転職先に伝える形は、法令の上では想定されていません。病歴は個人情報保護法で「要配慮個人情報」とされ、法令に基づく場合などを除き、本人の同意なしに取ることも、第三者に渡すこともできないと定められています(「個人情報の保護に関する法律」)。前職調査やリファレンスチェックで同意を求められた時が、話すかどうかを決める時です。
入社した後に分かった場合、聞かれずに言わなかっただけのことを処分の理由にする根拠は見当たりません。
なお、メンタルの不調に関わる情報の扱いについては、最高裁が、神経科への通院や病名は労働者のプライバシーに属する情報だと述べた判決があります(東芝事件。在職中の過重労働で会社の責任が争われた事件で、採用の時の話ではありません。「メンタルヘルス|裁判例|確かめよう労働条件|厚生労働省」)。
重さが変わりうるのは、聞かれて事実と違うことを答えた場合です。厚生労働省のモデル就業規則は「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」を懲戒解雇の事由に挙げ、情状により軽い処分にできるとも書いています。一方で、懲戒は労働契約法15条により、合理性や相当性を欠けば無効になるとされ、処分の重さは事情しだいです(「モデル就業規則 令和7年 12 月版」)。
入社時の健康診断で既往歴を聞かれたら、事実を短く書く
入社する時の健康診断の項目には、1つ目に「既往歴及び業務歴の調査」が定められています(「労働安全衛生規則」の第43条)。問診票で過去の病気や休職を聞かれたら、「休職し、現在は復職して通常勤務」のように事実を短く書けます。ここで事実と違うことを書くと、聞かれて偽った場合と同じになります。
面接でも、「健康上、業務に支障はありますか」はいまの状態を聞く質問で、「休職したことはありますか」は過去を聞く別の質問です。面接で休職のことを自分から言うか、聞かれたらどう答えるかは、在籍したまま転職する人も辞めた人と変わらないので、適応障害やうつで辞めたことを面接で言うかの記事にまとめています。
よくある質問
1か月の休職でも転職先にバレますか?
給与が出なかった月が1か月なら、年の給与は約12分の1少なくなるだけで、賞与や残業代の増減に紛れることもある程度の差です。有給休暇で休んだなら金額は減りません。どちらの場合も、書類に休職と書かれることはありません。
休職中の源泉徴収票はどうなりますか?
給与が出なかった月の分だけ、支払金額が少なくなります。傷病手当金は給与ではなく税もかからないので、源泉徴収票には入りません。その年ずっと給与が出なかったなら、支払金額は0円か、ごく少ない額になります。
源泉徴収票を転職先に出したくない時はどうなりますか?
前の会社の源泉徴収票を出さないと、新しい会社は前の会社の分を含めた年末調整ができず、本人が確定申告で精算することになります(「No.2674 中途就職者の年末調整」)。上の表のとおり、翌年に入社するなら休職の年の分を出す場面はそもそもありません。
傷病手当金をもらっていたことは転職先に分かりますか?
傷病手当金は、休職していた期間の勤め先と本人と健康保険のあいだの手続きです。新しい会社の健康保険に入る手続きを通じて、過去の受給が転職先に伝わる経路は見当たりません。
離職票や退職証明書に休職のことは書かれますか?
退職証明書は、本人が請求した事項(使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由)について会社が出すもので、請求していない事項を書いてはならないと定められています(「労働基準法」の第22条)。離職票はハローワークから本人に交付される失業給付の書類です(「雇用保険法施行規則」の第17条)。どちらも、入社の手続きで転職先に出すことを定めた規定は見当たりません。
休職を隠して入社したら内定取り消しになりますか?
内定の取り消しが認められるのは、内定の時に知ることができず、知ることも期待できないような事実で、取り消すことが客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる場合に限られるとされています(「採用の内定・内々定について、取消や辞退する場合の注意点|Q&A|確かめよう労働条件|厚生労働省」)。休職していたこと自体が当てはまるかは事情しだいですが、聞かれずに言わなかったことと、聞かれて偽ったことでは扱いが分かれます。内定の後や入社の後に分かった時の考え方は、短い職歴を書かなかった時の記事でも扱っています。
入社時の健康診断の問診票は人事も見ますか?
問診票や結果を人事も見るのか、産業医や健診機関だけが見るのかは、会社ごとに違います。気になる時は、健診を受ける時に健診機関や産業医に聞くこともできます。
この記事の前提と、扱っていない範囲
- 源泉徴収票の欄は国税庁の令和8年分の手引で確かめました。住民税の通知の中身(会社用に税額と月ごとの金額だけが載る、本人用を圧着して配る)は京都市の手引の例で、すべての市町村が同じとは限りません。本人用を隠して配る市町村の割合は、2016年の総務省の資料でも県によって大きく違い、全国の今の割合は確かめていません
- 給与が出なかった月数による減り方(3か月で約4分の1、1か月で約12分の1)は、月給が同じで賞与が無いとして当サイトが計算した目安です。賞与の算定に休職が重なると賞与も減りうること、給与を翌月に払う会社では休んだ月と給与が減る月が1か月ずれ、どちらの年の金額に入るかも変わりうることなど、実際の金額は会社で変わります
- 休職中の社会保険料を本人が会社に払った場合、それが源泉徴収票の社会保険料の欄に載るかどうかは会社の処理で変わりうるため、この記事では扱っていません
- 傷病手当金の記録が転職先に伝わる経路は、調べた範囲では見つかりませんでしたが、伝わらないとまでは言えません
- 内定の後に前の年の源泉徴収票を求める会社がどれくらいあるか、面接で休職について直接聞かれることがどれくらいあるかは調べていません
- 採用の時に聞かれなかった休職歴を言わなかったことそのものが争われた判決は、確かめられませんでした。東芝事件は在職中に会社の責任が争われた事件で、「病歴を申告しなくてよい」という一般的な決まりを示したものではありません。個々の事情で法的にどう扱われるかは、この記事では扱っていません
- 働けるかどうかの医学的な判断は、この記事では扱っていません