転職の判断

休職中に転職を決めるか、復職してから探すか

休職中に転職活動をしていいのか、復職してから探すほうがいいのかをまとめました。休職中の転職活動を禁じる法律は見当たらず、関係するのは会社の就業規則です。2つの道で違うのは、お金と、辞めた後に体調を崩した時の受け皿です。退職後も傷病手当金を受け続ける条件、辞めるのを内定の後にする理由、休職中に転職先を決めるまでの時間が何で決まるか、復職しても同じ現場に戻るとは限らないこと、面接で今の状況を聞かれた時の考え方を載せています。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・休職中の転職活動を禁じる法律は見当たらず、関係するのは会社の就業規則。2つの道で違うのは、お金と、辞めた後に体調を崩した時の受け皿
  • ・どちらの道でも、辞めるのは内定が出てから。休職中に辞めるなら、退職後の傷病手当金の条件に関わるので退職日は出社しない
  • ・休職中に転職先を決めるまでの時間が何で決まるか、復職しても同じ現場に戻るとは限らないこと、面接で今の状況を聞かれた時の考え方
目次開く
  1. 01休職中の転職活動を禁じる法律は見当たらない。関係するのは会社の就業規則
  2. 022つの道で違うのは、お金と、辞めた後に体調を崩した時の受け皿
  3. 03どちらの道でも、辞めるのは内定が出てから。休職中に辞めるなら退職日は出社しない
  4. 04休職中に転職先を決めるまでの時間は、休職期間の上限より主治医の見通しで決まる
  5. 05傷病手当金を受けながら面接に行くと、手当はどうなる?
  6. 06復職しても、同じ現場に戻るとは限らない
  7. 07面接で「今どうしているか」と聞かれたら
  8. 08よくある質問
  9. 09この記事の前提と、扱っていない範囲

休職していて、復職するより辞めて移りたいと考え始めると、「休職中に転職活動をしていいのか」「復職してから探すほうがいいのか」で迷います。先に答えると、休職中の転職活動を禁じる法律は見当たらず、関係するのは自分の会社の就業規則です。2つの道で違うのは、お金と、辞めた後に体調を崩した時の受け皿です。休職中に辞めれば、条件を満たす限り退職後も健康保険の傷病手当金を受け続けられます。復職して働いてから辞めると、退職日に傷病手当金を受けていないので、退職後の傷病手当金は出ません。

どちらの道でも、辞めるのは内定が出てからです。休職中に辞めるなら、退職日は出社しないでおきます。どちらにするかを左右するのは、就業規則の「休職」と「服務」の章、保険証の発行元(協会けんぽか健康保険組合か)、主治医の見通しの3つです。

休職中の転職活動を禁じる法律は見当たらない。関係するのは会社の就業規則

厚生労働省の「モデル就業規則 令和7年 12 月版」の解説は、「休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません」としています。休職の中身は、会社ごとの就業規則で決まります。

モデル就業規則では、休職は「労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱い」です。職務に専念する決まり(第11条)は「勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと」と、勤務している時間についての決まりとして書かれています。副業・兼業の条(第70条)は他の会社の業務に従事する話で、他社の選考を受けることを書いた条はありません。

ただし、モデル就業規則は国が示す見本で、会社は自分で規則を作ります。服務の決まりは必ず置かなければならない項目ではなく、中身は会社ごとに違います。問題になりうるかは、自分の会社の「休職」と「服務」の章に、休職中は療養に専念する、在籍中に他社へ求職しない、といった書き方があるかどうかで変わります。書かれていた場合に、転職活動がその定めに当たるかどうかは個別の判断になります。

2つの道で違うのは、お金と、辞めた後に体調を崩した時の受け皿

休職中に内定を取って休職のまま辞める道と、いったん復職して働きながら探す道を並べると、次のようになります。

休職中に決めて辞める復職してから探す
決まるまでの収入傷病手当金(仕事に就けない状態が続いている間)給与に戻り、傷病手当金は受けなくなる
辞めてから入社まで空いた時条件を満たせば、退職後も傷病手当金を受け続けられる働いてから辞めれば、退職後の傷病手当金は出ない。働ける状態なら、条件を満たせば失業手当(雇用保険の基本手当)の対象
選考を受ける時の立場休職中(籍はある)復職して勤務中
同じ現場に戻るか戻らない原則は元の職場。配置を変えてもらう相談の余地がある

いちばん違うのは、辞めてから入社まで間が空いた時です。協会けんぽの「傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ」によると、退職日までに続けて1年以上加入していて、退職日に傷病手当金を受けているか受けられる状態なら、退職後も引き続き受けられます(資格喪失後の継続給付)。復職して働いてから辞めれば、退職日に傷病手当金を受けていないので、辞めた後に体調を崩しても退職後の傷病手当金は出ません。同じページには、退職後に一度仕事に就ける状態になった後で再び就けなくなった場合も支給されない、とあります。復職した後にまた休み、傷病手当金を受けている間に辞めるなら、退職日の条件を満たすことがあります。

失業手当は、いつでも就職できる能力があることが条件です(「ハローワークインターネットサービス - 基本手当について」)。休職中に辞めて、まだ働けない状態なら受けられません。病気で30日以上続けて働けない時は、受け取れる期間(原則は辞めた翌日から1年)をその日数だけ延ばしておけます。延ばせるのは最長3年です。2つの関係について、協会けんぽ山梨支部の案内(「山梨支部によくお電話いただく内容を解決!」)は、退職後の傷病手当金を受ける条件の1つに失業給付を受けていないことを挙げ、失業給付は働くことができる人に対する給付だと説明しています。

選ぶ時の目安は次のとおりです。辞めてから入社までが空きそうな時や、体調が戻りきるか分からない時は、休職中に決めるほうが、辞めた後の傷病手当金が残ります。休職がもうすぐ終わりそうで、まだ1社も受けていない時は、復職してから探すほうが現実的です。その場合は、働いてから辞めた後の傷病手当金は見込めなくなります。戻りたくないのが会社ではなく今の現場なら、復職して配置を変えてもらう道もあります(下の「復職しても、同じ現場に戻るとは限らない」)。

どちらの道でも、辞めるのは内定が出てから。休職中に辞めるなら退職日は出社しない

どちらの道でも、退職は内定が出て入社日が決まってからにします。辞めてから探すと、休職中なら辞めた時点で今の会社の籍がなくなり、復職後なら給与が止まります。内定が出てから辞めれば、無職の期間を作らずに済みます。家族に説明する時は「内定が出るまでは辞めない」と言えば足ります。

退職は、期間の定めのない雇用なら、会社の承認がなくても申し出から原則14日で成立する、とモデル就業規則の解説にあります(民法627条1項)。会社の規則に「1か月前までに申し出る」とあっても、入社日が1〜2か月先なら日程の上では収まります。

休職中に辞める時は、退職日に出社しないことが大事です。協会けんぽの「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|健康保険の給付について|よくあるご質問|協会けんぽ」には、「退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金はお支払いできません」とあります。最終日に引き継ぎや挨拶のために出社すると、この条件から外れます。山梨支部の案内では、公休や有給休暇は出勤の扱いになりません。

休職中に転職先を決めるまでの時間は、休職期間の上限より主治医の見通しで決まる

傷病手当金は、仕事に就けないことが支給の条件です。働ける状態になれば、この条件から外れます。いつ働けるかは、主治医の意見をもとに保険者と会社が判断します。

そのため、休職中に転職先を決めるまでの時間は、就業規則にある休職期間の上限より、主治医の見通しのほうで決まります。主治医が近いうちの復職を口にしているなら、休職中に動ける時間もその時期までです。まだ応募していない状態からなら、その時期までに内定を取って退職まで進められるかは、残りの期間しだいです。

休職期間の上限も締め切りになります。モデル就業規則の第9条では、休職期間が満了してもなお傷病が治らず就業が難しい時は、満了をもって退職としています。上限が近い時は、転職先が決まらないまま満了で退職になることもありえます。

傷病手当金を受けながら面接に行くと、手当はどうなる?

判断するのは、加入している健康保険(保険者)です。協会けんぽは、「仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます」としています。よくある質問では、「労務不能とは、被保険者が今まで従事している業務ができない状態のこと」と説明しています。判断の基準は、休職前の仕事ができるかどうかです。

面接に行ったことがこの判断にどう影響するかを書いた公式の案内は見当たりません。そのため、この記事では、面接に行けば止まるとも止まらないとも書きません。

ここで挙げた条件は協会けんぽのものです。保険証の発行元が健康保険組合なら、問い合わせ先も、条件が書かれた案内も、その組合のものです。

復職しても、同じ現場に戻るとは限らない

復職は、本人が復職したいと伝えた後、会社が主治医の診断書を求めて判断します。厚生労働省の「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、「職場復帰は元の慣れた職場へ復帰させることが原則です。」としたうえで、異動などがきっかけで発症した場合などは、配置転換や異動をしたほうが良い場合もある、と書いています。復帰した後は、仕事の負荷を軽くして段階的に戻す配慮が大事だともしています。

モデル就業規則の第9条も、復職は原則として元の職務だが、元の職務に戻すことが困難または不適当な場合は他の職務に就かせることがある、という形です。

今の現場がつらさのきっかけなら、復職の面談で「同じ現場は避けたい」と話す余地があります。応じてもらえるかは会社によりますが、配置が変われば、つらさの元から離れて働きながら転職先を探せます。

面接で「今どうしているか」と聞かれたら

休職中も籍は残っているので、在職中であることは変わりません。ただ休職中に動くと、この質問で、勤務しておらず休職中だと伝えるかどうかを自分で決めることになります。復職してから動けば、勤務していると答えられます。

病名や病歴は、会社が取るには原則として本人の同意が要る情報です(「個人情報の保護に関する法律」 第2条第3項・第20条第2項)。弁護士ドットコムの弁護士の回答では、自分から言う義務は無く、聞かれて偽ると別の問題になりうる、とされています。たとえば、休職中なのに「休職したことはありません」と答えるのが、ここで言う偽る答えです。

病気や休職のことをどこまで話すかの考え方(聞かれたか、答えが事実かで分かれる)は、適応障害やうつで辞めたことは、面接で言うべき?の記事で扱っています。転職先が受け取る源泉徴収票や住民税の通知には、どちらの道でも休職と書く欄はありません。休職した年の給与額が書類にどう出るかは、3か月の休職は、源泉徴収票や住民税で転職先に分かる?の記事にまとめています。

よくある質問

休職中の転職活動は、会社にバレますか?

今の会社に伝わるかは、社内の誰に話すか、SNS に何を書くかで変わります。転職先が今の会社に問い合わせれば、その時点で今の会社は転職活動を知ります。国の指針では、求人をする会社が応募者の情報を本人以外から集めるのは、本人の同意の下で行う形です(「職業安定法」 第5条の5、「指針(平成11年労働省告示第141号)(抄)」)。問い合わせを受けた今の会社の側も、法令に基づく場合などを除き、本人の同意なく個人データを第三者に渡してはならない、と個人情報保護法の第27条は定めています。転職先に出す書類で休職が分かるかは、3か月の休職は、源泉徴収票や住民税で転職先に分かる?の記事にまとめています。

休職中に内定が出たら、すぐ辞めていいですか?

先に新しい会社と入社日を決め、そこから退職日を逆算します。期間の定めのない雇用なら、退職は申し出から原則14日で成立するので、入社日が1〜2か月先なら日程は組めます。退職日には出社しないでおくと、入社まで間が空いた時も、条件を満たす限り退職後の傷病手当金が残ります。

傷病手当金をもらいながら転職活動をしていいですか?

傷病手当金を受けているかどうかで、転職活動そのものを止める決まりは見当たりません。手当が続くかは、休職前の仕事ができない状態かどうかで保険者が判断します(上の「傷病手当金を受けながら面接に行くと、手当はどうなる?」)。

休職中に辞めたら、失業手当はもらえますか?

働けない状態のままなら受けられません。病気で30日以上働けない間は、受け取れる期間を延ばしておけます(延ばせるのは最長3年)。その間の収入は、条件を満たせば退職後の傷病手当金です。厚生労働省のポータルの社労士の解説(「第10回 メンタルヘルス不調で休職中の社員が退職する場合雇用保険はもらえるの?:社会保険労務士に聞いてみよう-メンタルヘルスQ&A-|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」)によると、失業手当の加入期間の条件(原則は、辞めた日からさかのぼって2年の間に加入期間が12か月以上)を数える時、休職中に賃金が出なかった日(30日以上続いた場合)があれば、さかのぼる期間がその日数だけ延びます。休職が長くても、加入期間の条件を満たしやすくなります。

この記事の前提と、扱っていない範囲

  • 法令・制度の案内は2026年11月4日に確かめました。モデル就業規則は令和7年12月版です。休職中の転職活動を禁じる法律は確かめた範囲で見当たらず、休職中の転職活動そのものを理由とする懲戒が争われた判決も見つけていません。自分の会社の就業規則に当たるかどうかは判断していません
  • 傷病手当金の条件は協会けんぽの案内に基づきます。健康保険組合の独自の扱いは確かめていません。山梨支部の案内は1支部の資料です
  • 面接に行くこと、内定が出ることが、傷病手当金の「労務不能」の判断にどう影響するかは、保険者・厚生労働省の公式の説明が見つかりませんでした
  • 転職した後に同じ病気で傷病手当金を受ける時、通算1年6か月の数え方が保険者をまたいでどうなるかは確かめていません。休職中に辞めた人が雇用保険の特定理由離職者に当たるかも扱っていません
  • 面接で「在職中です」とだけ答えることがどう評価されるか、後で休職が分かった時に内定取り消しの理由になりうるかは、個別の事情で分かれるため言い切っていません。面接の節の弁護士の回答は、弁護士ドットコムの相談 3 件への 5 人の回答に基づくもので、裁判所の判断ではありません
  • 公務員は国家公務員法・地方公務員法の定めがあり、この記事の対象外です
  • いつ働けるか、復職できるかは主治医と会社が判断します。この記事では病状について判断していません
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