転職の判断

転職先で適応障害になって休職中。辞めて次を探してもいい?

転職して数か月、適応障害などで休職している人に向けて、辞めるかを決める前に確かめておきたいお金と期限をまとめました。休職中と退職後の傷病手当金、退職日に出勤すると手当が止まること、失業手当の受給期間の延長、休職期間の上限の確かめ方と人事への連絡、次の面接での話し方を載せています。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・休職中の傷病手当金は勤続年数に関係なく出る。辞めた後も受け取るには、健康保険に続けて 1 年以上入っていることなどが条件で、退職日に出勤すると受けられなくなる
  • ・休職期間の上限は就業規則で決まる。人事には体調の返事と期間の質問を分けて送る
  • ・復職するか別の会社を探すかは体調が戻ってから考える。次の面接では、聞かれて事実と違うことを答えないことが分かれ目になる
目次開く
  1. 01辞めるかを決める順番
  2. 02休職中の傷病手当金の額
  3. 03辞めた後も傷病手当金を受け取る条件
  4. 04失業手当は働けるようになってから
  5. 05休職期間の上限と、人事への聞き方
  6. 06復職するか、別の会社を探すか
  7. 07次の面接で休職のことを話すか
  8. 08よくある質問
  9. 09この記事の前提と、扱っていない範囲

転職して 5 か月。新しい職場の仕事の進め方になじめず、夜中に何度も目が覚めるようになって、心療内科で適応障害と言われた。診断書を出して休職し、1 か月がたつ。もう戻れる気がしないけれど、入社半年足らずで辞めて次が見つかるのか、面接で休職のことを言わないといけないのかが分からない(例は架空です)。

辞めて次を探すことはできます。ただ、今すぐ決めなくてもいいと考えます。いつ辞めるかによって受け取れるお金や使える期間が変わるので、先にそれを確かめておきたいからです。

休職中は、健康保険から傷病手当金が出ます。勤続年数の条件は無く、支給が始まってから通算 1 年 6 か月までです。辞めた後も受け取り続けるには、退職日までに健康保険に続けて 1 年以上入っていることなどが条件になります。入社して半年でも、前の会社を辞めた翌日に今の会社の健康保険に入っていれば、前の会社の期間と合わせて数えられる場合があります。また、退職日に出勤すると、退職後の手当は受けられなくなります。

今週やることは 3 つです。人事に、休職期間の上限と、上限が来た時の扱いを聞く。加入している健康保険に、手当の額と、前の会社の加入期間を合わせて数えられるかを聞く。次の診察で、辞めるかを決めていい時期を主治医に聞く。面接のことは今は考えなくてかまいません。面接で気をつけたいのは、聞かれた時に事実と違うことを答えないことです。

辞めるかを決める順番

まず体調を戻すことに専念し、その間にお金と期限を確かめておく。辞めるかは体調が戻ってから決め、次の会社の選考を考えるのはその後にする。この順に進めるのが無理のない形です。厚生労働省のこころの耳は、うつ病の治療中に転職活動を始めた人の事例で、状態が悪い時期には人生の大きな決断を避け、転職を考える時は主治医や家族に相談するよう書いています(「うつ病の治療中に転職活動を始めてかえって不安が大きくなった事例:事例紹介|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」)。

お金と期限を先に確かめておくのは、知らないまま決めると、収入が減る不安から復職や退職を急ぎかねないからです。手当がいつまで、いくら出るかが分かれば、その不安に押されずに決められます。

家族と年末までには決めようと話しているなら、その目安は持っていてかまいません。ただ、主治医がまだ決めなくていいと言うなら、主治医の見立てを優先することを勧めます。会社の休職期間の上限が目安より早く来るなら、上限の日までに主治医と人事に相談しておく必要があります。

休職中の傷病手当金の額

傷病手当金の条件は 4 つです。業務外の病気やけがの療養のための休業であること、仕事に就けないこと、連続 3 日を含めて 4 日以上仕事に就けなかったこと、休んだ期間に給与が出ていないこと(原則)です。何年勤めたかの条件はありません(「傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ」)。

1 日あたりの額は、支給開始日以前 12 か月の標準報酬月額の平均を 30 で割り、3 分の 2 を掛けた額です。標準報酬月額は、毎月の給与をあらかじめ決められた等級の金額に当てはめたものです。手当はおおよそ月給の 3 分の 2 で、月給 45 万円なら月 30 万円前後になります。

入社して間もない人は、支給開始日以前の加入期間が 12 か月に満たないことがあります。協会けんぽでは、前の会社も協会けんぽなら、勤務先が変わっていても前の会社の期間を含めて 12 か月を数えます(「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|健康保険の給付について|よくあるご質問|協会けんぽ」)。それでも 12 か月に満たない時は、加入してからの各月の平均と、標準報酬月額の平均額(支給開始日が令和 7 年 4 月 1 日以降なら 32 万円)の低い方で計算します。32 万円で計算すると、手当は月 21 万円ほどです。健康保険組合に入っている場合は、この上限の額や前の会社の期間の扱いが組合ごとに違うので、組合に聞いてください。

たとえば、次のように聞けば額が分かります。

(例)加入して 12 か月たっていませんが、傷病手当金の 1 日あたりの額はいくらになりますか。前の会社の健康保険の期間は計算に入りますか。

額が分かれば、家計の見通しも立ちます。手当の月額と家族の手取りを足し、家賃などの固定費と社会保険料や住民税を引けば、毎月の収支が分かります。辞めた後も、国民健康保険か任意継続に入れば保険料がかかり、住民税は前の年の所得にかかるので、収入が減っても払うことになります。

辞めた後も傷病手当金を受け取る条件

退職した後も傷病手当金を受け取り続けるための主な条件は 2 つです。退職日までに健康保険の被保険者だった期間が継続して 1 年以上あること、退職日に手当を受けているか、受けられる状態であることです(「傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ」)。

入社半年の人は、この 1 年の数え方が分かれ目になります。東京都の資料によると、1 年以上とは、退職日までの 1 年間、1 日も空かずに健康保険に入っていたという意味です。今の会社の健康保険だけでなく、協会けんぽやほかの健康保険組合の期間も含みます。前の会社を辞めた翌日に今の会社に入っていれば、前の会社の期間と合わせて数えられます(「【資格喪失後の傷病手当金の詳細】(令和 6 年 3 月 1 日時点)」)。

ただし協会けんぽのページによると、国民健康保険、共済組合、任意継続に入っていた期間は数えません。前の会社を辞めてから入社までの間に国民健康保険に入っていた人や、前の会社で共済組合に入っていた人は、そこで期間が途切れます。東京都の資料は保険者が出したものではないので、自分の加入期間が 1 年に届くかは、加入している健康保険に確かめてください。

退職日に出勤すると、退職後の手当を受ける条件を満たさなくなり、退職日の翌日からの手当は支払われません(「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|健康保険の給付について|よくあるご質問|協会けんぽ」)。挨拶だけのつもりで会社に行っても出勤と見られるおそれがあるので、退職日は会社に行かず、私物や書類のやりとりは郵送などで済ませる方が安全だと考えます。1 年の数え方を健康保険に確かめる時に、退職日の扱いもあわせて聞いておけます。

また、退職後に一度働ける状態になって手当の対象から外れると、その後また働けなくなっても、手当は再び支給されません(「第8回 退職後、傷病手当金の仕組みはどうなっているの?:社会保険労務士に聞いてみよう-メンタルヘルスQ&A-|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」)。

失業手当は働けるようになってから

雇用保険の失業手当(基本手当)は、すぐに働ける状態の人が受け取るものなので、病気で働けない間は出ません。退職後の傷病手当金と同時に受け取ることもできません(「【資格喪失後の傷病手当金の詳細】(令和 6 年 3 月 1 日時点)」)。働けない間は傷病手当金を受け、働ける状態になって手当が終わったら、ハローワークで失業手当の手続きをします。

失業手当を受け取れる期間は、原則として辞めた翌日から 1 年です。病気で 30 日以上続けて働けない時は、その日数の分だけ延ばせます。延ばせるのは最長 3 年で、本来の 1 年と合わせると最長 4 年です(「ハローワークインターネットサービス - 基本手当について」)。申請が遅れると、給付日数を全部受け取れないことがあります(「第10回 メンタルヘルス不調で休職中の社員が退職する場合雇用保険はもらえるの?:社会保険労務士に聞いてみよう-メンタルヘルスQ&A-|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」)。

受け取る資格は、原則、辞める前の 2 年間に雇用保険に通算 12 か月以上入っていることです。前の会社の期間も、この 2 年に入っていれば数えます(過去に失業手当などの支給を受けたことがあれば、その後の期間だけ)。病気で 30 日以上続けて賃金が出なかった時は、2 年の枠をその日数の分だけ延ばして判断できます。延ばした後の枠は最長 4 年です(「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」)。

病気で辞めた人は、特定理由離職者に当たる場合があります(「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」)。ハローワークにそう判断されれば、辞める前の 1 年間に 6 か月の加入でも受け取れ、給付制限も掛かりません。そう判断されない自己都合の退職なら、給付制限は原則 1 か月です(令和 7 年 4 月 1 日以降の退職。「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」)。

休職期間の上限と、人事への聞き方

いつまで休めるかは、会社ごとに違います。労働政策研究・研修機構が 2012 年に常用 50 人以上の民間企業を対象に行った調査では、病気休職制度(慣行を含む)がある企業のうち、就業規則などに規定がある企業は 77.7% でした。制度がある企業で、休職期間の上限として最も多かったのは「6 ヵ月超から 1 年まで」で、22.3% でした。上限を過ぎても復帰の条件を満たさない時の扱いは、「ケースにより異なり一概にいえない」が 27.6% で最も多く、「休職期間満了をもって自動的に退職になる」が 22.2%、「上限期間経過の時点で復帰の条件が満たされないことを確認の上、退職させる」が 21.2% でした(「過去3年間で半数の企業に休職者が発生。復職率は約5割 治療と仕事との両立の課題、「休職者の復帰後の仕事の与え方、配置」がトップ 〜「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」調査結果〜」)。

自分の会社の就業規則では、上限の長さと上限が来た時の扱いに加えて、入社して間もない人も制度を使えるか、休める期間が勤続年数で変わるかを見ておきます。入社して間もない人への適用は調査に数字が無いので、就業規則に書かれていなければ人事に聞きます。

体調を聞かれたことへの返事と、休職期間の質問は、別々のメールにすると送りやすくなります。人事から体調を尋ねる連絡が来ているなら、まずは返事だけを送ります。

(例)ご連絡ありがとうございます。主治医の指示で療養を続けています。次の診察は〇日です。

休職期間は、返事とは別のメールで聞きます。

(例)今後の見通しを立てたいので、就業規則の休職期間と、その間の手続きを教えてください。

厚生労働省の職場復帰支援の手引きは、休業している人に会社が伝える情報として、傷病手当金などの経済的な保障や、休業できる最長の期間を挙げています(「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」)。

人事から退職の話を出されても、その場では決めないことを勧めます。主治医と家族に相談してから返事をすると伝えれば、話を持ち帰れます。会社とのやりとりで困った時は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。

復職するか、別の会社を探すか

手引きでは、主治医が復職できると判断した後、会社がその判断と産業医の意見をふまえて復職できるかを決め、復職の計画を作ります。戻る先は元の慣れた職場が原則ですが、異動や配置がきっかけで体調を崩した場合は、配置を変えた方が良い場合もあるとされています。部署や担当を変えてほしいという希望は伝えられます。

また手引きによると、主治医の復職の判断は日常生活の回復の程度をもとにしていることが多く、職場で求められる仕事の力まで回復したことを意味するとは限りません。会社によっては、試し出勤の制度もあります。

体調を崩したきっかけが特定の上司や配属、仕事の量なら、会社の中で変えられる可能性があります。復職する時に配置や業務を変えられるかを、人事や産業医に相談してみる価値があります。仕事そのものや、新しい環境に入ったこと自体がきっかけなら、別の会社を探すのも選択肢です。

ただ、別の会社に移れば、新しい環境に慣れる苦労をもう一度することになります。こころの耳の事例は、転職には新しい環境や人間関係に適応するための相当なエネルギーが要り、前向きな気力が必要だと説明しています。辞めるかを体調が戻ってから決める方がよいと考えるのは、この負担があるからです。

周りから、とりあえず一度戻ってみてはどうかと言われることもあるかもしれません。ただ、一度戻ってから辞めた方が次の会社に説明しやすくなるという根拠は、調べた資料の中にはありませんでした。説明のしやすさで戻る時期を決めることは勧めません。まだ休職していない段階で、慣れていないだけか本当に合わないかを見分けたい人は、転職先が合わないと感じた時の見分け方にまとめています。

次の面接で休職のことを話すか

自分から病名を言う義務を定めた決まりは見当たりません。退職理由を聞かれて、入社後に体調を崩して休職したと事実を言えば、嘘にはなりません。嘘になるのは、休職していた期間を別の理由で埋める時と、休職歴を聞かれて無いと答える時です。言い方の例と、既往歴の欄の書き方は、適応障害やうつで辞めたことを面接で言うかの記事にまとめています。

入社半年で休職した人は、在籍期間の短さと休職の両方を説明することになります。半年の在籍のうち一部は休職していたので、実際に働いた期間はさらに短くなります。退職理由では、入社後に体調を崩して休職したことと、今は回復して次の仕事を探していることを、一つの流れで話せます。

原因を話すなら、上司のせいにする形ではなく、自分に合わなかった働き方として話し、次の会社ではそこを入社前に確かめるつもりだとつなげると、前の会社の悪口には聞こえにくいと考えます。半年で辞めた職歴の職務経歴書への書き方は、短期離職の書き方と伝え方にあります。

よくある質問

転職して 3 か月で適応障害になったら、辞めてもいいですか?

辞めることはできます。ただ入社 3 か月だと、辞めた後も傷病手当金を受け取れるかは、前の会社の健康保険から 1 日も空かずに今の健康保険に移っているかどうかに大きく左右されます。辞める前に加入先の健康保険に確かめ、辞めるかを決める時期は主治医に相談することを勧めます。

傷病手当金は入社 1 年未満でももらえますか?

在職中に休職して受け取る分には、勤続年数の条件はありません。加入期間の 1 年が条件になるのは、辞めた後も受け取り続ける場合です。また、支給開始日以前の加入期間が 12 か月に満たないと、額が低くなることがあります。協会けんぽでは、前の会社も協会けんぽなら、その期間も含めて数えます。

入社してすぐでも休職できますか?

会社の就業規則によります。病気休職制度があるか、入社してどのくらいで使えるか、休める期間が勤続年数で変わるかを、就業規則と人事で確かめてください。

休職中や、退職後に傷病手当金を受け取りながら転職活動をしてもいいですか?

傷病手当金の条件は療養のため仕事に就けないことで、医師の意見などをもとに判断されます。求人を見たり面接を受けたりすることがこの条件とどう関わるかを書いた保険者の公式な資料は、見つかりませんでした。動き出す前に、主治医と加入先の健康保険に確かめてください。在職中は、会社の就業規則に決まりがないかも見ておいてください。

適応障害で休職したことは、次の会社に分かりますか?

源泉徴収票にも住民税の通知にも、休職の欄はありません。出るのは金額です。書類ごとの詳しい話は、休職が源泉徴収票や住民税で転職先に分かるかの記事にまとめています。

この記事の前提と、扱っていない範囲

  • 病名・症状・治療・回復の見込み、働けるかどうか、休職や復職をしてよいかは、主治医(会社に産業医がいれば産業医)が判断することです。この記事では扱っていません
  • 決める順番と転職の負担の根拠に使ったこころの耳の事例は、うつ病の治療中で休職していない人の事例です。適応障害で休職中の人に当てはめたのは、当サイトの判断です
  • 傷病手当金の額の上限(32 万円)と、勤務先が変わった時の 12 か月の数え方は協会けんぽの扱いです。健康保険組合の上限や付加給付は加入先で違います。前の会社と健康保険が 1 日も空かなければ合わせて数えられるという説明は東京都の資料によるもので、保険者の資料ではありません
  • 退職日に挨拶だけで会社に行くことの扱いは、保険者の資料に書かれていません。会社に行かない方が安全というのは当サイトの判断です
  • 退職後に手当を受けながら転職活動をすることの扱いは、保険者の公式な記述を確かめられていません
  • 一度戻ってから辞める方が次の会社に説明しやすいかは、この記事で使った資料(厚生労働省の職場復帰支援の手引き、こころの耳の事例と Q&A、労働政策研究・研修機構の調査)の範囲で確かめました。採用側の受け止め方を比べた資料は見ていません
  • 休職制度の数字は 2012 年の調査で、常用 50 人以上の民間企業が対象です。入社して間もない人に休職制度が適用されるかについての数字は見つかりませんでした。同じ調査は、メンタルヘルスで休職した人の復職・退職の割合を企業ごとの平均で示していますが、会社によって大きく割れているため、この記事では使っていません
  • 法律や制度が自分の場合にどう当てはまるかは、加入先の健康保険、ハローワーク、総合労働相談コーナーで確かめてください
  • 出典は 2026 年 11 月 4 日に確認しました
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