転職の判断

退職理由が人間関係なら、面接で正直に言っていい?

本当の退職理由が上司との関係など人間関係にある人が、面接でどこまで正直に話すかをまとめました。言い換えと嘘の境目(事実と時期を変えたかどうか)、最初の答えの組み立てと長さ、深掘りされた時(数字の未達、社内で相談したか、パワハラだったか、同じ上司がいたら)の答え方、書類の退職理由欄の書き方を、例つきで載せています。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・人間関係が理由でも正直に言ってよいか、話すのは上司の評価か起きた事実か、最初の答えの例
  • ・言い換えと嘘の境目(事実と時期を変えたかどうか)と、最初の答えを組み立てる 3 つのこと
  • ・未達・社内で相談したか・パワハラか・同じ上司がいたらと深掘りされた時の答え方と、書類の退職理由欄
目次開く
  1. 01「上司が嫌だった」ではなく、何が起きたかを話す
  2. 02言い換えは嘘ではない。嘘になるのは事実と時期を変えた時
  3. 03最初の答えは、起きたこと・自分がどうしたか・次に求めることを数文で
  4. 04深掘りされた時はどう答える?
  5. 05書類の退職理由欄は、自己都合なら「一身上の都合により退職」で足りる
  6. 06よくある質問
  7. 07出典と、分かっていないこと

辞めたい本当の理由は、上司との関係。仕事そのものは嫌いではない。面接で正直に言えば落とされそうで、友人には「キャリアアップと言っておけ」と言われたが、それでは嘘になる気がするし、深掘りされたら話が崩れそうで怖い。

正直に言って構いません。ただし話すのは、上司への評価(高圧的だった、ひどかった)ではなく、起きた事実です。嘘になるのは、事実や時期を変えた時です。たとえば、起きていない理由を作ることや、前から別のことをやりたかったように時期をずらすことです。どの事実を前に出すか、どんな言葉で呼ぶか、次に何を求めるかを選ぶのは言い換えで、嘘ではありません。

最初の答えは、たとえばこのくらいで足ります。

(例:営業職の場合)営業の仕事は好きですが、上司の指導の仕方と自分の働き方が合わず、別の環境で続けたいと考えました。次は、数字の責任は持ちつつ、成果の振り返りを上司と具体的にできる環境で働きたいです。

令和7年の転職者実態調査で、自己都合で直前の勤め先を辞めた転職者に離職理由を 3 つまで選んでもらうと、「人間関係がうまくいかなかったから」は 22.2%、25〜29 歳では 19.8% でした(「令和7年転職者実態調査の概況」 表11)。人間関係を理由の 1 つに挙げて転職する人は、少なくありません。対象は、新しい勤め先に雇われる前の 1 年間に他の会社で雇われていた一般労働者(短時間労働者を除く)で、転職を終えた人に聞いた数字で、選考で有利か不利かを示すものではありません。

人間関係のストレスで体調を崩して辞めた場合は、別の記事「適応障害やうつで辞めたことは、面接で言うべき?」で扱っています。辞めるのを繰り返して転職回数が増え、書類で見られる時のまとめ方は、「転職回数が多いと書類で落ちる? 職種がばらばらな経歴のまとめ方」の記事で扱っています。

「上司が嫌だった」ではなく、何が起きたかを話す

「上司が高圧的でつらかった」は嘘ではありません。ただ、面接官に届くのは「上司が悪かった」という本人の評価だけで、何が起きたのかは見えません。前の職場で何があったかは面接の場では確かめにくいので、評価の言葉だけで答えると、何があったのかを次の質問で聞かれます。

面接官が気にするのは、同じことがうちでも起きるか、その時この人がどう動くか、だと考えて準備しておくとよいでしょう。どちらも、評価の言葉では答えられず、事実を話すしかありません。たとえば「数字が届かない月に、会議の場で長い時間の叱責が続き、夜遅くにも追加の指示が来る状態が続いた」のように、何が、どのくらい続いたかを短く言えるようにしておきます。

言い換えは嘘ではない。嘘になるのは事実と時期を変えた時

変えたもの例嘘か
評価の言葉のまま話す「上司が高圧的でつらかった」嘘ではない。ただ、何があったかを続けて聞かれる
呼び方・前に出す事実・次に求めること「指導の仕方と自分の働き方が合わなかった」「次は振り返りが具体的な環境で」嘘ではない(言い換え)
起きた事実(理由そのもの・時期・経緯)次が決まっていないのに「キャリアアップのため」、事情が無いのに「家庭の事情で」、きっかけより前から考えていたように「前から人事をやりたくて」嘘(作り替え)

「上司が嫌いだった」を「指導の仕方が合わなかった」と言い直すのは、呼び方を変えただけで、起きたことはそのままです。人間関係だけが理由でも、次の職場に求めること(指導の仕方、評価のされ方、チームの進め方)として言い直しても、事実は足していません。

やりたいことから話し始めるのも、それだけなら嘘ではありません。盛っているように感じる時に気にすべきなのは、話す順番ではなく時期です。上司のことがきっかけで次の仕事を考え始めたなら、その順に話せば、「いつから考えていましたか」と聞かれても崩れません。

作り替えた理由は、深掘りされると続きません。「いつから考えていましたか」「今の会社で異動などは試しましたか」「なぜうちなのですか」と聞かれても、起きていないことには、続けて話せる事実が無いからです。

最初の答えは、起きたこと・自分がどうしたか・次に求めることを数文で

最初の答えに入れるのは次の 3 つです。

  1. 起きたこと(指導の仕方が合わなかったことを、何があったかで)
  2. 自分がどうしたか(できなかったことも含めて)
  3. 次に何を求めるか(指導・評価・振り返りの仕組み)

長さは冒頭の例と同じ、数文で構いません。退職理由は深掘りされる質問なので、全部を最初に話さなくても、面接官は知りたいところを聞いてきます。細部(叱責がどう続いたか、未達の月があったか)はその時に出せば足ります。最初に全部を話すと、上司の話ばかりしているように聞こえやすくなります。

話す中身を AI と一緒に整えたい時は、「転職理由のAIプロンプト 話す内容は自分で選び、元のメモと照らして面接前に深掘りの答えを用意する」の記事に頼み方があります。

深掘りされた時はどう答える?

「数字が足りなかったのでは」と突かれたら

未達の月があるなら、隠さずに認めたほうが、その後の質問にも答えやすくなります。そのうえで、数字を求められることと詰められ方を分けて話します。

(例)未達の月もあり、厳しく言われるのは当然だと思っています。ただ、会議で長時間続く叱責や夜遅くの指示が続く中では、数字を立て直す方法を考える余裕がありませんでした。次は、数字の責任は持ちつつ、振り返りの仕方が具体的な環境で働きたいと考えています。

「社内で相談しましたか」と聞かれたら

相談していないなら、していないと答えます。ここで「人事に相談しました」と作るのが、上の表でいう作り替えです。そのうえで、社内で状況を変えるより転職を選んだ理由を話します。

(例)上司に直接は言えませんでした。社内で変えようとするより、この仕事を別の環境で続けたいと考えました。

面接の材料にするために、今から社内で何かをしておく必要はありません。会社に相談するかどうかは、面接の見え方ではなく、いまの職場でそれをしたいかどうかで決めてよいことです。

「パワハラだったんですか」と聞かれたら

自分で判断がついていないなら、はい・いいえで答えず、そのまま事実を返します。

(例)パワハラに当たるかは自分では判断がついていませんが、会議の場で長時間の叱責が繰り返され、夜遅くにも指示が来る状態でした。

職場のパワーハラスメントは、厚生労働省の説明では「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害される」の 3 つをすべて満たすものとされ、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は当たらないとされています(「パワーハラスメントとは | あかるい職場応援団」)。会社にパワハラを防ぐための措置を義務づけている法律の条文は、労働施策総合推進法の第 31 条です(「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)。厚生労働省の指針では、精神的な攻撃に当たると考えられる例に、必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返すことや、他の労働者の前で大声で威圧的に叱責を繰り返すことが挙がっています(「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和2年6月1日適用】」)。

パワハラに当たるかどうかは、本人の受け止めだけでは決まらず、事実を調べたうえで判断されます。前の職場で何があったかも、面接の場では確かめにくいことです。だから面接では、パワハラという呼び名より、何があったかを短く言えるかのほうが大事です。

「同じような上司がうちにもいたら?」と聞かれたら

耐える・辞めるの二択で答えなくてよい質問です。今回できなかったことを認め、次にどう動くかで答えます。

(例)今回は一人で抱え込んでしまい、上司にも周りにも言えませんでした。次は、合わないと感じた早い段階で、指導の仕方について直接相談したり、周りに話したりしたいと考えています。

できなかったことを認めているので、今辞める理由とも食い違いません。言うのは、本当にそうするつもりのことだけにします。

志望先によって話を変えていい?

話す事実は変えず、どの事実を前に出すかを志望先で変えるのは言い換えの範囲です。たとえば人事職を受けるなら、「指導や評価の仕方で、人が力を出せるかどうかが変わると身をもって知った」と、人事の仕事への関心につなげられます。

同じ業界の会社を受ける時は、上司の名前や、誰のことか分かる出来事は出さず、「指導の仕方が合わなかった」くらいの粒度にとどめておくと、話が前の職場の人に伝わっても困ることは少なくなります。

こちらから上司の指導について聞いていい?

聞いて構いません。上司の人柄を聞くより、仕組みとして聞くほうが、相手も答えやすく、他の会社とも比べやすくなります。

(例)配属先では、数字の振り返りをどんな形でしていますか。上司と 1 対 1 で話す機会はありますか。

書類の退職理由欄は、自己都合なら「一身上の都合により退職」で足りる

自己都合で辞める場合、履歴書や職務経歴書には「一身上の都合により退職」と書けば足ります。書類で理由まで書かなくても、面接では聞かれる前提で、話す中身を準備しておきます。

応募フォームなどで理由の記入を求められたら、面接と同じ事実を短くした形にしておくと、書類と面接で話がずれません。

(例)指導の仕方が合わず、営業の仕事を別の環境で続けたいため。

よくある質問

人間関係で辞めたことは、転職で不利になりますか

不利か有利かを示す数字はありません。転職者実態調査の 22.2% は、転職を終えた人が辞めた理由を選んだ割合で、選考の結果を比べたものではありません。それでも、自己都合で辞めて転職した人のおよそ 5 人に 1 人が理由の 1 つに人間関係を挙げており、面接官にとって初めて聞く理由ではありません。受け止め方を分けるのは理由の種類より、事実で話せているか、次の職場で求めることが言えているかだと考えます。

「キャリアアップのため」と言い換えたら嘘になりますか

次にやりたいことが実際に固まっていて、それが辞める理由の 1 つなら嘘ではありません。人間関係がきっかけで、次の仕事はまだ考え始めたところなのに「キャリアアップのため」と言うと、起きていない理由を作ることになります。上司のことをきっかけとして一言で言い、そこから次に求めることへ移る話し方なら、事実を変えずに前向きな話にできます。

退職理由の嘘が経歴詐称に当たるかを心配する人もいます。厚生労働省のモデル就業規則が懲戒解雇の事由に置くのは「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」です(「モデル就業規則 令和7年 12 月版」)。何が重要な経歴に当たるかの基準はひな形には書かれておらず、個別の判断になります。経歴を書かなかった時の考え方は、「短い職歴を書かなかったらバレる? 入社手続きで転職先に伝わること」の記事にまとめています。

面接で「パワハラを受けた」と言ってもいいですか

パワハラという言葉を使うなら、会社に相談したか、どうなったかを続けて聞かれることがあると考えておいたほうがよいでしょう。パワハラに当たるかどうかは面接官には確かめられませんが、何があったかを話せば、それはそのまま伝わります。

前の会社の悪口に聞こえない言い方はありますか

悪口に聞こえるのは、評価の言葉(ひどい、最悪、高圧的)と、相手の人柄の話です。上司の人柄ではなく指導の仕方として話し、自分の側の事実(未達の月があった、言えなかった)も一緒に出し、最後は次の職場で求めることで締めくくると、相手を責める話になりません。

出典と、分かっていないこと

  • 統計は厚生労働省の令和7年転職者実態調査(表11、2026 年 11 月 4 日に確認)です。自己都合で直前の勤め先を辞めた転職者が、離職理由を 3 つまで選んだ割合です。調査の対象は、5 人以上の常用労働者を雇う事業所で、雇用期間の定めが無いか 1 年以上の期間を定めて雇われた一般労働者のうち、雇われる前の 1 年間に他の会社で雇われていた人です。理由を 1 つだけ選ぶ設問の調査とは、数字を並べて比べられません。転職を終えた人に聞いたもので、面接で何と話したか、選考結果がどうだったかは含みません
  • 面接官が退職理由で何を気にするかを示す公的な調査は見つかっていません。「同じことがうちでも起きるか」などの記述は、転職支援側の解説と書き手の判断に基づきます。詰められると逃げる人に見えるかどうかなど、受け止め方は面接官によって違います
  • 退職理由の言い方や偽りが経歴詐称に当たるかを争った判決は、調べた範囲で見当たりません。経歴詐称の裁判例として紹介される炭研精工事件(最一小判平成 3 年 9 月 19 日)は、経歴詐称を含む複数の理由での懲戒解雇を有効とした事案で、真実を告げる義務の対象とされたのは最終学歴です。判決の原文ではなく「懲戒 – 労働契約の展開」の紹介で確かめています
  • 上司の言動がパワハラに当たるかは、この記事では判断していません。法律の条文は e-Gov で 2026 年 11 月 4 日に確かめました(2026 年 10 月 1 日施行の改正で、パワハラの措置の条文は第 31 条になっています)。指針は、厚生労働省の施策ページで今も令和 2 年厚生労働省告示第 5 号として載っています
  • 「一身上の都合により退職」と書くことが様式で決まっているかは確かめていません
  • 同じ業界の中で、面接で話したことが前の職場に伝わるかは確かめていません
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