転職の判断

退職は何か月前に言えばいい?就業規則が1か月前なら非常識ではない

退職を何か月前に言うかを、法律の 2 週間・就業規則・「3 か月前が常識」の違いから説明します。就業規則の期限に引き継ぎと有給の残りを見込んで決める考え方、繁忙期の前に辞める人が早めに言う理由、言う前に決めておく入社日と引き継ぎの案も載せています。

公開 2026年11月4日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・法律の 2 週間・就業規則の期限・「3 か月前が常識」は、それぞれ決めていることが違う。就業規則どおりの 1 か月前は非常識とはいえない
  • ・何か月前に言うかは、就業規則の期限より遅くならないようにし、引き継ぎに要る期間と有給の残りを見込んで、入社日に間に合うかで決める
  • ・自分の担当が繁忙期に集中し、引き継ぐ仕事が多い人は、早めに言う方がよい。言う前に入社日を決め、引き継ぎの案を持って上司に伝える
目次開く
  1. 01法律の 2 週間・就業規則・「3 か月前が常識」は、決めていることが違う
  2. 02何か月前かは、引き継ぎと有給の残りを見込んで決める
  3. 03繁忙期の前に早めに言うのは、早すぎない
  4. 04言う前に入社日を決め、引き継ぎの案を持っていく
  5. 05賞与と有給は、言う時期とどう関わるか
  6. 06よくある質問
  7. 07出典と、分かっていないこと

内定を承諾し、次の会社からは 2 月か 3 月の入社を打診されている。今の会社の就業規則には「退職日の 1 か月前までに申し出ること」とある。ただ、職場は 3〜4 月がいちばん忙しく、その直前に抜けることになる。家族は「法律では 2 週間で辞められる」と言い、友人は「3 か月前に言うのが常識」と言う。何か月前に言えばいいのか、決められずにいる(例は架空です)。

何か月前に言うかは、就業規則の期限より短くはせず、引き継ぎに要る期間と有給の残りを見込んで、それより前にするかを決めるのがよいと考えます。 法律の 2 週間、就業規則の期限、「3 か月前が常識」は、どれか 1 つを選ぶものではなく、それぞれ決めていることが違います。

  • 就業規則どおりの 1 か月前は、非常識とはいえません。 就業規則は会社自身が決めた期限です。規則どおり 1 か月前に申し出たのに上司に認められず、労働局の助言を受けて希望した日に辞められた事例を、厚生労働省が公表しています
  • 自分の担当が繁忙期に集中し、引き継ぐ仕事が多い人は、早めに言う方がよいと考えます。 早く言えば、そのぶん会社は後任を決めて引き継ぐ時間を取れます
  • 先に入社日を決め、引き継ぎの案を持って上司に言います。 入社日が決まらないうちは、退職日を聞かれても答えられません

法律の 2 週間・就業規則・「3 か月前が常識」は、決めていることが違う

検索すると「法律は 2 週間、就業規則は 1 か月、常識は 1〜3 か月」と並べた説明が出てきて、どれに従えばいいのか分からなくなります。3 つは役割が違います。

物差し決めていることどう使うか
法律(民法の 2 週間)会社の承認がなくても辞められる原則の期間話がこじれた時のために知っておく。ふだんの申し出の目安にはしない
就業規則(例: 1 か月前)会社自身が決めた申し出の期限これより遅く言わないようにする
「3 か月前が常識」根拠になる資料は見当たらない従う必要はない。長さは自分の引き継ぎの量で決める

法律: 原則として申し入れから 2 週間

雇用契約が「期間の定めなし」なら、いつでも辞めると申し入れることができ、会社の承認がなくても申し入れから原則として 2 週間(14 日)で退職となる、とされています(「民法」 第 627 条第 1 項。「モデル就業規則 令和7年 12 月版」 第 52 条の解説も同じ説明です)。

就業規則に「退職の申し出は 1 か月前まで」などとある場合は、見解が分かれています。茨城労働局の「退職の申出があった際には」は、就業規則が優先するという見解がある一方、民法の 2 週間で退職の効力が生じるとした裁判例もある、と書いています。どちらの見解でも、新しい人が見つかるまでいつまでも辞めさせない、ということはできないとしています。

厚生労働省の「退職、解雇、雇止めなど|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件|厚生労働省」は、予告期間を置かずに辞めると会社の業務に支障が出かねないので、特別の事情がない限り一定の予告期間を見込んだ手続が求められる、と説明しています。そのうえで、法律では原則 2 週間前までに申し入れることになっていると説明し、トラブルを防ぐために就業規則などの退職の手続も確かめるよう書いています。

2 週間は、会社が「後任が見つかるまで待て」と言い続けた時に知っておくものだと考えます。ふだんの申し出の目安にはしない方がよいと考えます。2 週間で辞めると、引き継ぎが足りなくなり、有給も使い切れないまま、職場との話もこじれやすくなるためです。

就業規則: 会社自身が決めた期限

何日前に申し出るかは、会社ごとに就業規則で決めます(決めていない会社もあります)。厚生労働省のモデル就業規則も、日数を空欄にして会社が埋める形です。

茨城労働局の「やめたいのにダメと言われて困ってる」は、就業規則の申し出期間が社会通念上著しく長くない場合(例として 1 か月前までの申し出)は、トラブルを防ぐためにまず就業規則に沿って申し出た方がよい、と答えています。1 か月前という期限を守れば、会社と揉めずに辞めやすいということです。

就業規則に「3 か月前」「半年前」とあっても、そのまま従うしかないとは限りません。厚生労働省は、2 週間の期間を大幅に伸ばす規定や、2 週間を超える場合にも会社の許可を条件とする規定は無効とされる、と高野メリヤス事件の判決を引いて説明しています。大阪労働局の「よくあるご質問(退職・解雇・雇止め)」は、就業規則に定めがあれば原則としてその規定が適用されるとしたうえで、極端に長い申し入れ期間は公序良俗の見地から無効とされる場合もある、と書いています。ただ、何か月までなら有効か、という線を示した公的な資料は見当たりません。期限が入社日に間に合わない時は、まず会社と相談し、話がつかなければ労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。

「3 か月前が常識」: 根拠になる資料は見当たらない

「3 か月前に言うのが社会人の常識」という言い方を裏付ける公的な資料や調査は、見当たりませんでした。

実際の長さの参考になる数字はあります。マイナビの「転職動向調査2026年版(2025年実績)」では、2025 年に在職中に転職した正社員 1,075 人が、内定の通知を受けてから前の会社を辞めるまでにかけた期間は平均 38.5 日でした。1 か月未満が 32.7%、1〜2 か月が 56.7% で、3 か月以上は合わせて約 1 割です。この期間は内定の通知から数えたもので、退職を申し出た日から数えたものではありません。申し出てから辞めるまでは、多くの場合これより短くなります。

何か月前かは、引き継ぎと有給の残りを見込んで決める

就業規則の期限より遅く言うのは避けます。そのうえで、どれだけ前に言うかは、自分の仕事を後任に引き継ぎ終えるのに要る期間と、有給の残りで決まります。

たとえば、就業規則が 1 か月前、入社日が 3 月 1 日で、2 月末に辞めたい人を考えます。

  1. 就業規則の期限: 1 月末までに申し出れば、規則は満たします
  2. 引き継ぎに要る期間: 月 1 回の締めに自分しか扱えない作業がある、年 1 回の作業が繁忙期に来る、という仕事なら、後任が決まってから一緒に 1 回は作業をしておきたいところです。後任が決まるまでの日数も見込むと、1 か月では足りない場合があります
  3. 有給の残り: 残りが 10 日あれば、最後の出社日はそのぶん前に来ます。引き継ぎに使える日は、申し出から最後の出社日までです

規則の期限だけで言うと、1 月末に申し出て、有給を使えば 2 月の半ばには最後の出社日が来ます。引き継ぐ仕事が多い人は、この間に引き継ぎ終えられないおそれがあります。その場合は、規則の期限より前、たとえば 12 月中に言う方がよいと考えます。冬の賞与がある人は、下の賞与の節もあわせて見てください。

逆に、引き継ぐ作業が少なく、有給も残っていない人なら、規則どおりの 1 か月前で足ります。何か月前が正しい、という一つの答えはなく、人によって違うのはこのためです。

最後に、決めた退職日が入社日に間に合うかを確かめます。間に合わない時は、言う日を早めるか、入社日を内定先と相談します。入社日の相談の仕方は、内定から入社まで3か月は待ってもらえるかの記事で扱っています。

繁忙期の前に早めに言うのは、早すぎない

決算期や年度末のような繁忙期の直前に辞めることになる人は、「こんなに早く言ったら居づらくなるのでは」と「繁忙期の前に辞めるのは迷惑では」の両方で迷います。

繁忙期の前に早めに言うのは、早すぎではないと考えます。早く言えば、会社は後任を決めて引き継ぐ時間を取れます。繁忙期に入ってから言うと、後任を決めて教えるのが、いちばん忙しい時期に重なります。規則が 1 か月前でも、自分の担当する仕事が繁忙期に集中する人は、規則より前に言う意味があります。

「繁忙期だから辞めるのは認めない」と言われることを心配する人もいます。厚生労働省は、期間の定めのない雇用なら、会社が退職を認めない理由を述べたり条件を出したりしても、退職の申し入れから原則 2 週間で契約は終了する、と説明しています。繁忙期を理由に認めない場合も、この説明が当てはまると考えます。茨城労働局も、新しい人が見つかるまでいつまでも退職を許可しないということはできない、と書いています。

早く言いすぎた時に起きること

申し出てから辞めるまでが長いと、辞める人として過ごす期間も長くなります。半年前や 4 か月前に伝えるのは早すぎるか、という相談があり、言った後に気まずくならないかを心配する人もいます。実際にどのくらいの人が気まずさを感じるかを示す資料は見つかりませんでした。

申し出から退職までは、引き継ぎの予定を上司や周りと共有し、どの仕事を渡し終えたかが分かるようにしておくのがよいと考えます。何が終わり、何が残っているかが周りに見えていれば、その期間は「辞める人がいる期間」ではなく「引き継ぎの期間」として受け止められやすくなります。

言う前に入社日を決め、引き継ぎの案を持っていく

上司に言う前に決めておくのは、入社日と、引き継ぎの案の 2 つです。

入社日を先に決める

入社日が決まらないうちに退職を伝えると、上司から退職日を聞かれても答えられません。先に内定先と入社日を決め、そこから退職日を決めてから言います。

会社の承認を待つ形の退職願を出して承認された後や、退職届などで退職を申し入れた後に撤回したくなった場合は、会社の同意が要り、容易には撤回が認められない、と厚生労働省は説明しています(会社が承認する前の退職願なら撤回できる、ともしています)。内定を承諾する前や、入社日の条件が固まる前に言わないのはこのためです。

引き継ぎの案に書くこと

後任を誰にするかは、上司が決めることです。自分が用意するのは、後任が決まったらすぐ引き継げるようにするための案で、中身は次の 3 つです。

  • 作業の棚卸し: 自分の担当を、毎月・四半期ごと・年 1 回に分けて書き出す。年 1 回の作業は忘れやすく、繁忙期に来るものほど抜けると困ります
  • 引き継ぐ順番: 自分しかできない作業から先に引き継ぐ
  • 時期: 手順書を先に作り、後任が決まったら次の締めや月次の作業を一緒に 1 回やる

上司に「誰に渡すのか」と聞かれても、答えを用意しておく必要はありません。「後任を決めていただきたくて、今お伝えしています」と返せば話は進みます。

伝える時は、上司に時間をもらい、最初に退職日という結論を言って、続けて引き継ぎの案を出します。退職の理由に、会社への不満を並べる必要はありません。

言った後に「繁忙期が終わるまで延ばせないか、先方に聞いてみてほしい」と引き止められることもあります。入社日を延ばすかどうかは、自分と内定先が決めることです。引き止められた時にどう向き合うかは、退職の引き止めで残るべきかの記事で扱っています。

賞与と有給は、言う時期とどう関わるか

有給: 日付を並べた案で出す

言う時期を決める時は、有給の残りの日数も必ず数に入れます。繁忙期の前は「最後に全部休みます」とは言いにくいものです。一度にまとめて休むと言うより、締めの日や忙しい日は出社して、それ以外の日に休む、と日付を並べた案を出すのがよいと考えます。早めに言えば、有給を分けて使える期間も長くなります。

それでも話がつかない時は、労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。有給消化と入社日の重なり方や、使い切れなかった時の扱いは、有給消化中に次の会社で働いたらバレるかの記事にまとめています。

賞与: 支給の前に言うか、後に言うか

賞与の支給日の前に言うと、退職予定者には支給しない・減らすと定めた会社では、それを理由に出さない・減らすとされることがあり、そうした定めが無くても査定で低くされる余地が残ります。賞与を受け取ってから辞めたいなら、言うのは支給の後にするのが無難だと考えます。その分、引き継ぎに使える期間は短くなるので、入社日を後ろにずらせないかを内定先に相談します。就業規則で見る条文と日程の組み方は、ボーナスをもらってから辞める時の記事で扱っています。

よくある質問

退職を 1 か月前に言うのは非常識ですか

就業規則が 1 か月前なら、それは会社自身が決めた期限で、非常識とはいえないと考えます。茨城労働局も、1 か月前程度の定めならまず就業規則に沿って申し出た方がよい、と答えています。規則どおりに申し出たのに上司に「もっと前に言ってもらわないと困る」と認められず、労働局が民法の規定を説明して話し合いを助言し、希望した日に辞められた事例もあります(厚生労働省「「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します」、18 ページ)。ただし、引き継ぎが重い人は、規則の期限より前に言う方が辞めるまでの時間に余裕が出ます。

退職を 2 か月前や 3 か月前に言うのは早すぎますか

引き継ぐ仕事が重い人や、繁忙期の前に辞める人なら、早すぎではないと考えます。引き継ぎの時間を会社に渡すことになるためです。一方、辞める人として過ごす期間も長くなるので、引き継ぎの予定を共有して、何を渡し終えたかが分かるようにしておくのがよいと考えます。

3 月末で辞めたい時は、いつ言えばいいですか

就業規則が「退職日の 1 か月前まで」なら、2 月末ごろまでに申し出るのが規則の期限です。そこに、引き継ぎに要る期間と有給の残りを足すと、言う日はもっと前になります。3 月が繁忙期なら、年明けから 1 月中に言う方が、引き継ぎと有給の両方を収めやすくなります。

繁忙期に辞めると、損害賠償を請求されますか

期間の定めのない雇用で、通常の手続で辞めた場合に、どこからなら賠償が認められるかを示した公的な資料は、見つかりませんでした。労働契約で違約金や損害賠償の額を前もって決めることは、労働基準法 第 16 条で禁じられています(「労働基準法」)。契約社員など期間の定めがある契約を途中で辞める場合は事情が違い、やむを得ない事由が要り、損害賠償を請求されることもあり得る、と厚生労働省と大阪労働局は書いています。自分の場合が気になる時は、労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。

退職を伝えた後に撤回できますか

会社が退職願を承認した後や、退職を申し入れた後に撤回したい場合は会社の同意が要り、容易には撤回が認められない、と厚生労働省は説明しています。内定を承諾し、入社日が決まってから言うのはこのためです。

出典と、分かっていないこと

  • 出典はすべて 2026 年 11 月 4 日に確認しました。法令は e-Gov の条文、モデル就業規則は令和 7 年 12 月版(条番号は版で変わります)です
  • 就業規則の申し出期間がその会社で有効か、退職日をめぐって会社と話がつかない時にどうなるかは、個別の事情で決まります。労働局の総合労働相談コーナーで確かめてください
  • 1 か月前に申し出て希望日に辞められた例は、厚生労働省が公表した 1 件の事例です。自分の会社でも同じ結論になるとは限りません
  • マイナビの調査の期間は、内定の通知から前の会社を辞めるまでで、退職を申し出た日からではありません。対象は 2025 年に在職中に転職した 20〜50 代の正社員で、インターネット調査です
  • 何か月までの申し出期間なら有効か、就業規則の申し出期間を 1 か月前とする会社がどのくらいあるか、期間の定めのない雇用で繁忙期に辞めたことで賠償が認められたか、を示す公的な資料は見つかりませんでした
  • 「2 週間をふだんの目安にしない」「繁忙期の前は早めに言う」「繁忙期を理由に認めない場合にも 2 週間の説明が当てはまる」は、上の資料をもとにした書き手の判断です
  • 契約社員など期間の定めがある契約は、この記事の話とは別です。期間の途中で辞めるには、原則としてやむを得ない事由が要るとされています(民法 第 628 条)。1 年を超える契約は、原則として契約の初日から 1 年を過ぎれば、申し出ていつでも辞められます(労働基準法 第 137 条。一定の事業の完了に必要な期間を定める契約などは除きます)。自分の契約書の期間を確かめてください
  • 文中の例は架空のものです
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