AI と転職

AIで今の仕事が変わるのが心配なら 転職先候補の求人が増えたか・求職者より多いかを4年分で比べる

AIで今の仕事が変わるのが心配で、どこへ転職するか迷う人向けです。厚生労働省が公表するハローワークの職業別の数字を使い、転職先候補の求人が4年分の同じ月で増えたか、求職者に比べて多いかを別々に調べる手順と4職業の実例を示します。

公開 2026年9月27日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・求人が増えても、求職者がそれ以上に増えると求人倍率は下がる
  • ・その月の新しい求人と求職、前月からの繰り越し分に当月の新規を加えた求人と求職を、それぞれ同じ組で見る
  • ・今の仕事と転職先候補について、同じ月の4年分を拾って比べる
目次開く
  1. 01転職先候補は、求人が増えたかと求職者より多いかを分けて見る
  2. 02自分の仕事と転職先候補がどの職業に入るかを確かめる
  3. 03自分の仕事と転職先候補の数字を4年分拾う
  4. 04転職先候補を1年分の前年比だけで判断しない
  5. 05古い年を足す前に職業分類を確かめる
  6. 06地元の転職先候補は労働局の表で確かめる
  7. 07転職先候補を比べても分からないこと
  8. 08よくある質問

AI で今の仕事が変わるのが心配で、看護師から IT への転職を考えている。そんなときに目にするランキングは将来の予測で、いまの求人の動きは別に確かめられます。この記事は移り先を挙げるのではなく、候補を自分で確かめる方法と 4 職業の実例を示します。情報処理・通信技術者は、2023 年から 2026 年の各 7 月で新規求人が 8.9% 増えましたが、新規求職は 28.0% 増え、新規求人倍率は 3.50 倍から 2.98 倍に下がりました。それでも 1 倍を上回り、求職者より求人が多い側です(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年7月分)について」、「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」、2026 年 9 月 27 日確認)。

この数字は、ハローワークに出た常用(パートを含む)の求人と求職を比べたものです。月によって求人の数が変わるため、季節調整されていない職業別の数字は同じ 7 月どうしで比べています。民間の求人サイトや人材紹介の求人は入っていません。求人が増減した理由や AI の影響、これから先の増減も表していません。

転職先候補は、求人が増えたかと求職者より多いかを分けて見る

転職先候補を見るときは、求人が増えたかと、求職者に比べて求人が多いかを別々に確かめます。看護師から IT への転職を考える例では、現在の仕事に当たる「保健師,助産師,看護師」と、候補に当たる「情報処理・通信技術者」は、どちらも 2023 年 7 月と 2026 年 7 月を比べると新規求人が増えました。ただし、情報処理・通信技術者は新規求職の増え方が大きく、新規求人倍率は下がっています。それでも倍率は 1 を上回るため、ハローワークでは求職者より新規求人が多い側にあります。

2 つを組み合わせると、「求人が増え、倍率も 1 を上回る」「求人は増えたが、求職者がそれ以上に増えて倍率は下がる」のように候補の違いを言えます。前者を「有望」、後者を「避けるべき」と決める数字ではありません。応募が通りやすいか、これから求人が増えるかは別に確かめる必要があります。

根拠になる求人倍率には、新規と有効の 2 種類があります。新規求人倍率は、その月の新規求人を新規求職申込で割った数字です。有効求人倍率は、前月から繰り越した未充足の求人を含む月間有効求人を、月間有効求職者で割った数字です。どちらも 1 倍を上回れば求職者より求人が多く、1 倍を下回れば求人が少ないことを表します。「常用」は、雇用期間の定めがないか、4 か月以上の雇用期間が定められた仕事を指し、季節労働は除きます。正社員だけという意味ではありません(厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計):集計結果(用語の解説)」、2026 年 9 月 27 日確認)。

下の 4 職業は、看護師から IT への転職を考える場合の現在の仕事として「保健師,助産師,看護師」、転職先候補として「情報処理・通信技術者」を選びました。ほかに、求人が減った例として「一般事務従事者」、1 年だけでは判断しにくい例として「その他の技術者」を載せます。増えた順や、転職先のおすすめ順ではありません。

まず、新規の数字は新規どうしで見ます。すべて各年 7 月の実数です。

職業新規求人 2023→2024→2025→2026新規求職 2023→2024→2025→2026新規求人倍率 2023→2024→2025→2026
保健師,助産師,看護師33,802 → 35,709 → 36,173 → 36,753(+8.7%)11,373 → 11,124 → 11,281 → 11,594(+1.9%)2.97 → 3.21 → 3.21 → 3.17
情報処理・通信技術者17,424 → 18,706 → 18,599 → 18,977(+8.9%)4,973 → 5,576 → 5,967 → 6,365(+28.0%)3.50 → 3.35 → 3.12 → 2.98
一般事務従事者51,569 → 51,997 → 49,430 → 46,823(−9.2%)69,251 → 70,768 → 69,905 → 73,356(+5.9%)0.74 → 0.73 → 0.71 → 0.64
その他の技術者1,234 → 2,581 → 2,414 → 1,246(+1.0%)404 → 402 → 472 → 453(+12.1%)3.05 → 6.42 → 5.11 → 2.75

次に、有効の数字は有効どうしで見ます。有効求人と有効求職は 2023 年と 2026 年の両端、有効求人倍率は 4 年分です。

職業有効求人 2023→2026有効求職 2023→2026有効求人倍率 2023→2024→2025→2026
保健師,助産師,看護師99,921 → 98,983(−0.9%)53,814 → 50,936(−5.3%)1.86 → 1.94 → 1.95 → 1.94
情報処理・通信技術者51,448 → 52,623(+2.3%)33,462 → 39,193(+17.1%)1.54 → 1.49 → 1.47 → 1.34
一般事務従事者139,420 → 120,593(−13.5%)414,124 → 415,773(+0.4%)0.34 → 0.33 → 0.32 → 0.29
その他の技術者3,636 → 5,731(+57.6%)1,977 → 2,161(+9.3%)1.84 → 13.72 → 5.04 → 2.65

4 年分の出典は、厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年7月分)について」、「一般職業紹介状況(令和6年7月分)について」、「一般職業紹介状況(令和7年7月分)について」、「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」にある各年の参考統計表です(2026 年 9 月 27 日確認)。

情報処理・通信技術者では、新規求人は 8.9% 増えましたが、新規求職は 28.0% 増え、新規求人倍率は下がりました。有効の側でも、有効求人より有効求職の増え方が大きく、有効求人倍率は下がっています。新規求人倍率は 2.98、有効求人倍率は 1.34 と、ともに 1 を上回っています。候補から外す数字ではなく、求人は求職者より多い一方で、求職者に対する求人の割合は小さくなったと読む数字です。

今の仕事に当たる保健師,助産師,看護師では、新規求人が 8.7% 増え、新規求職は 1.9% 増え、新規求人倍率は 2.97 から 3.17 になりました。一方、有効求人は 0.9% 減り、有効求職は 5.3% 減ったため、有効求人倍率は 1.86 から 1.94 になりました。新規を読むときは新規求人・新規求職・新規求人倍率、有効を読むときは有効求人・有効求職・有効求人倍率をそろえると、数えている範囲が混ざりません。

一般事務従事者では、新規求人が 9.2% 減り、新規求職は 5.9% 増えました。新規求人倍率は 0.74 から 0.64 へ、有効求人倍率は 0.34 から 0.29 へ下がり、どちらも 1 を下回ったままです。ハローワークでは求職者より求人が少ない側で、その差が広がったと読めます。

自分の仕事と転職先候補がどの職業に入るかを確かめる

参考統計表には、求人サイトで見慣れた職種名がそのまま並んでいるとは限りません。先に総務省の職業分類で、自分の仕事が入る行を確かめます。

  1. 総務省「総務省|統計基準等|分類項目名」を開く(2026 年 9 月 27 日確認)
  2. ページ内検索で、自分の仕事に近い名前を探す
  3. 名前が出なければ、一部の語で探し直す。たとえば「営業事務」は正式名が「営業・販売事務員」なので、「事務」や「営業」で探す
  4. 見つかった小分類の一つ上にある中分類を控える
  5. 参考統計表7-1で、その中分類と同じ名前の行を探す

たとえば、庶務事務員、人事事務員、秘書は、いずれも中分類 25 の「一般事務従事者」に入ります。経理事務員は中分類 26 の「会計事務従事者」です。人事、秘書、庶務を別々に比べたいと思っても、参考統計表7-1では同じ行になります。

自分の仕事と転職先候補の数字を4年分拾う

表の入口は、月別の発表ページではなく、厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」です。次の順で進みます(2026 年 9 月 27 日確認)。

  1. 「過去の報道発表資料」から厚生労働省「職業安定業務統計」を開く
  2. 見たい年の行で月を選ぶ。一覧は和暦なので、2023 年は令和5年、2024 年は令和6年、2025 年は令和7年、2026 年は令和8年に対応する。年をまたいで比べるときは、すべて同じ月にする
  3. 月別の公表ページで「報道発表資料」ではなく「参考統計表」の PDF を開く
  4. PDF の 7 ページ目にある参考統計表7-1を開く。表番号はページの上ではなく下に印字されている。6 ページ目の参考統計表6は季節調整値・パートの表で、職業別ではない
  5. 参考統計表7-1の見出しを確認する。「全国計」と月に加え、年によって「常用(含パート)」または「常用(パート含む)」と書かれている。「職業別」とは書かれていない
  6. 自分の職業の行で、左から新規求人 / 有効求人 / 新規求職 / 有効求職 / 紹介件数 / 就職件数 / 新規求人倍率 / 有効求人倍率の順に数字を拾う
  7. 前年同月との比較を見るときは、PDF の 8 ページ目にある参考統計表7-2を開く。表番号はこのページも下にあり、見出しは「常用(含パート)」と書かれている。新規求人などは前年同月比、右端の新規求人倍率と有効求人倍率は前年同月からの「差」として読む

2023 年から 2026 年まで比べるなら、各年の 7 月について同じ作業を 4 回行います。新規求人が増えたかを見るときは 4 年分の新規求人を並べます。求職者に比べて求人が多いかを見るときは、新規なら新規求人・新規求職・新規求人倍率、有効なら有効求人・有効求職・有効求人倍率を同じ組で並べます。

転職先候補を1年分の前年比だけで判断しない

「その他の技術者」の新規求人は、2023 年から 1,234 → 2,581 → 2,414 → 1,246 と動きました。厚生労働省が参考統計表7-2に載せた前年同月比は、+109.3% → −6.5% → −48.4% です。2023 年と 2026 年を比べた 3 年の増減は +1.0% でした。出典は厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年7月分)について」、「一般職業紹介状況(令和6年7月分)について」、「一般職業紹介状況(令和7年7月分)について」、「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」にある参考統計表です(2026 年 9 月 27 日確認)。

同じ職業の 2024 年の有効求人倍率 13.72 も、参考統計表7-1に載る値です。その年の有効求人は 27,635 人でした。こうした不自然に見える値が出る職業もあるため、1 年の数字だけを切り出さず、前後の年と求人・求職の実数を一緒に見ます。

2024 年だけを見れば「大きく増えた仕事」、2026 年だけを見れば「大きく減った仕事」と読めます。どちらも 1 年の動きとしては正しくても、転職先候補の数年の動きにはなりません。1 年分の前年比で決めず、同じ月を 3〜4 年分並べます。

古い年を足す前に職業分類を確かめる

比較する年を増やせばよいとは限りません。2023〜2026 年 7 月の参考統計表は、平成 21 年 12 月改定の日本標準職業分類に基づく区分です。一方、2019 年 12 月分は平成 23 年改定の厚生労働省編職業分類に基づき、「一般事務の職業」のように職業名も区切りも違います(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和元年12月分及び令和元年分)について」、2026 年 9 月 27 日確認)。分類は、各表の下にある「(注)上記の数値は、…に基づく区分である。」の文で確認します。注記が違う年は比較対象から外します。

月もそろえます。7 月と 12 月を並べると、年の違いだけでなく月の違いも入ります。また、2021 年 9 月以降の数字には、ハローワークに来所せずオンラインで求職登録した求職者などが含まれます(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」、2026 年 9 月 27 日確認)。現在と同じ集計範囲で比べるなら、同じ月を選んだうえで、2021 年 9 月以降どうしにそろえます。

地元の転職先候補は労働局の表で確かめる

参考統計表7-1と7-2は全国計です。地元の数字を見たいときは、都道府県の労働局が職業別の表を出していないか確かめます。

千葉労働局の「求人・求職・賃金バランスシート」は「常用的フルタイム+パートタイム」を対象に、職業の中分類ごとの有効求人数・有効求職者数・求人倍率を月別で載せていますが、新規求人と新規求職はありません。神奈川労働局の「求人・求職バランスシート【職業安定課】」には、有効に加えて新規求人・新規求職・新規求人倍率も載っています(いずれも 2026 年 9 月 27 日確認)。

神奈川の表は対象を「学卒を除きパートタイムを含む常用」と書いており、全国の参考統計表7-1と同じ書き方ではありません。神奈川と全国で範囲がそろっているか確かめられないため、この 2 つは並べて比べないでください。ほかの労働局でも、項目と範囲の両方がそろっていると確認できた数字だけを比べます。

探すときは「都道府県名 労働局 職業別 求人倍率」を入口にして、表の対象が常用か、パートを含むか、新規と有効のどちらかを先に確認します。全国計と地元を並べるなら、同じ月・同じ職業分類・同じ求人と求職の範囲がそろった数字だけを比べます。

転職先候補を比べても分からないこと

同じ 7 月の 4 年分を並べても、次のことは分かりません。

  • 7 月以外の月に、求人と求職がどう動いたか
  • 正社員だけの職業別の動き
  • 同じ中分類に入る細かな職業ごとの違い
  • 一人ひとりの経験が応募先に合うか、選考に通るか

求人倍率は、表が数えた求人と求職者の数の関係です。候補を比べる一つの手がかりにはなりますが、個人の転職結果を示す数字ではありません。

よくある質問

AI に奪われない職業はどれですか

この記事で確かめられるのは、候補の求人が 4 年分の同じ月で増えたか、求職者に比べて多いかです。「AI に奪われない」という将来の予測ではなく、いままでの求人の動きを候補選びの手がかりにできます。いまの求人票で企業が AI をどう書いているかは、自分の職種がAIでどうなるかは、ランキングより求人票が早いで確かめられます。

まず、自分の今の仕事と転職先候補を 1 つ選び、2023〜2026 年の同じ 7 月について、新規求人・新規求職・新規求人倍率を拾って並べてください。次に有効求人・有効求職・有効求人倍率を同じ組で並べれば、「求人が増えたか」と「求職者より多いか」を分けて言えます。

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