AI と転職
自分の職種がAIでどうなるかは、ランキングより求人票が早い
「AIに代替されにくい仕事」のランキングは記事ごとに並ぶ職種が違います。自分の職種の求人票を開いてAIがどこに書かれているかを仕分ける手順と、掲載求人を職種別に数えた結果、そしてランキングの元データが何を計算していないかを書きます。
公開 2026年9月20日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・自分の職種の求人を開いて、AIがどこに書かれているかを仕分ける
- ・求人票にAIの語が出てくる割合は、職種によって5%未満から75%まで開く
- ・ランキングの元になった推計は、職業をまるごと1単位にして数えている
「AI に代替されにくい仕事」で検索すると、職種のランキングが並びます。ただ、記事ごとに挙がる職種が違います。Indeed の「AIに奪われない仕事10選」は農機オペレーターと大型ドライバーを、仙台工科専門学校の「AI時代になくなる仕事・なくならない仕事」は IT エンジニアと裁判官と医師を、Forbes JAPAN の「アンソロピック発表、「AIに奪われにくい仕事」6選とその共通点」(社名の表記は原文のまま)は調理師と皿洗いを挙げています(「AIに代替されにくい仕事」で検索した 1 ページ目から、2026 年 9 月 20 日に確認)。
職種名のリストを見比べても、自分の話にはなりません。手元でできることから書きます。自分の職種の求人票を開くと、募集している側が AI をどう書いているかが分かります。 将来の予測ではありませんが、いま言葉になっている範囲は読み取れます。
自分の職種の求人票を開く
- 求人サイトで、職種のカテゴリから自分の職種を選ぶ。フリーワードに職種名を打つと、「前職は◯◯など」のような文に引っかかって別の職種が大量に混ざります
- キーワードに「AI」を足して絞る。検索の対象範囲を選べるサイトなら、「仕事内容」と「求める人材(応募要件)」に絞る。既定のままだと会社紹介や福利厚生の文まで拾います
- 出てきた求人を 5 件ほど開く。同じ会社の求人は 1 件だけにします。会社紹介の文は求人ごとに同じなので、同じ会社を 3 件開いても 1 件ぶんにしかなりません
- 1 件ごとに、「AI」がどこに書かれているかを見る。同じ求人で複数の場所に出ることもあるので、場所ごとに拾います
| 書かれている場所 | そこで確かめること |
|---|---|
| 仕事内容 | どの業務と並べて書かれているか。「AI を導入する」なのか「AI を使ってこの業務をする」なのか |
| 応募要件(必須) | 何ができることを求めているか。ツールの操作か、AI を使った企画か |
| 応募要件(歓迎・補足) | AI そのものか、AI への関心や適応力か |
| 選考プロセス | AI 面接など、選考のやり方の話。業務とは別 |
| 福利厚生・資格支援 | 会社が社員に AI を学ばせようとしているか |
| 会社紹介だけ | その会社の事業の説明。職種の業務とは別 |
- 仕事内容に出ていた求人については、AI がどの業務と同じ文・同じ箇条書きに入っているかを、語ではなく文のまま書き出す
AI が 1 件も出てこなかった場合も、それが結果です。 その職種の求人票には、いまのところ AI が言葉として現れていない、ということになります。無理に探すより、「電子カルテ」「ICT」「自動化」「デジタル化」のような、自分の職種で実際に使われている語で探し直すほうが早いことがあります。
この手順で分かるのは、AI に触れている求人が AI をどう書いているか、までです。最初から AI を含む求人だけを選んでいるので、その職種で AI がどれくらい広がっているかは分かりません。書かれていることが実際に職場で起きているかも、求人票からは確かめられません。それでも、職種名のリストよりは自分の仕事に近いところにあります。書き出した文は、応募先に合わせて職務経歴書のどの経験を前に出すかを決めるときの材料になります(AIで職務経歴書を作る手順)。
求人票にAIの語が出てくる割合
広がりのほうは、まとめて数えないと分かりません。当サイト PREVIO に掲載中の求人のうち、仕事内容か応募要件のどちらかに「AI」の語が出てくる求人の割合です。掲載が 500 件以上ある職種は 50 ほどあり、下はその中から高いほう・低いほう・そのあいだの事務系と対人系を抜き出したものです(どれを載せるかは書き手が選んでいます)。職種の名前は当サイトの分類のままです(2026 年 9 月 20 日時点。割合は 5% 単位に丸め、5% に満たないものは「5% 未満」と書いています)。
| 職種 | 「AI」の語が出てくる割合 |
|---|---|
| AIエンジニア・データサイエンティスト | 75% |
| ITコンサルタント | 40% |
| プロジェクトリーダー | 35% |
| 法人営業 | 20% |
| カスタマーサポート・ヘルプデスク | 15% |
| 採用 | 15% |
| 経理(財務会計) | 10% |
| 総務 | 10% |
| 個人営業 | 5% 未満 |
| 接客・販売スタッフ | 5% 未満 |
| 建築施工管理 | 5% 未満 |
数えたのは語の有無だけです。AI を使う話も、AI 製品を作る話も、社名やサービス名に AI が入っているだけのものも、同じ 1 件に数えています。だからこの割合が表しているのは、その職種の求人票が AI に触れているかどうか、それだけです。置き換わりやすさでも、職場で使われているかどうかでもありません。
出てくる場所には偏りがあります。AI の語が出てくる求人のうち、応募要件にも出るもの(仕事内容にも出るものを含む)が 35%、仕事内容にだけ出るものが 65% でした(同じ条件、5% 単位に丸めた値)。AI に触れている求人でも、多くは募集側が業務の説明として書いていて、応募する側に求める条件としては書いていません。
ランキングの元になった推計が計算していないもの
上の数え方は、いま出ている求人を見ただけのものです。将来の話をしているランキングとは別物なので、そちらの元データも見ておきます。
日本を対象にした推計に、野村総合研究所が 2015 年に出したものがあります。「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に ~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~」。英オックスフォード大学のオズボーン准教授・フレイ博士との共同研究で、10〜20 年後を見たものです。数えたのは、「従事する一人の業務全てを、高い確率(66%以上)でコンピューターが代わりに遂行できる」職業に就いている人の割合。注記にはこう書かれています。
あくまで、コンピューターによる技術的な代替可能性であり、実際に代替されるかどうかは、労働需給を含めた社会環境要因の影響も大きいと想定されますが、本試算においてそれらの社会環境要因は考慮していません。また、従事する一人の業務の一部分のみをコンピューターが代わりに遂行する確率や可能性については検討していません。
(野村総合研究所のニュースリリース、2015 年 12 月 2 日、2026 年 9 月 20 日確認)
業務の一部だけが置き換わる話は、この試算には入っていません。 自分の仕事のどこが変わるかを知りたい人にとって、いちばん知りたいところが計算の外にあります。
単位を変えるとどうなるか。OECD のワーキングペーパー(2018 年。OECD の公式見解ではないという断り書きがあります)は、PIAAC(国際成人力調査)の回答を使って、同じ職業名でも人によって業務の構成が違うことを織り込み、個々の仕事の自動化リスクを 32 か国について推計しています。自動化される確率が 70% を超える仕事は約 14% で、職業名をもとにした推計より小さいとペーパー自身が書いています。別に 32% の仕事が確率 50〜70% の帯に入り、この帯は「a significant share of tasks, but not all, could be automated, changing the skill requirements for these jobs」(相当の割合の業務が自動化されうるが全部ではなく、求められるスキルが変わる)と説明されています(Automation, skills use and training、Nedelkoska and Quintini、2018 年、2026 年 9 月 20 日確認)。
49% と 14% を並べて「減った」と読むのは早すぎます。対象国もデータも推定の方法も、高リスクとみなす線(66% 以上と 70% 超)も違います。言えるのは、このペーパーの推計では「まるごと自動化されうる」に入る仕事より「やり方が変わりうる」に入る仕事のほうが多かった、ということです。
確かめた範囲
- 引いたのは、野村総合研究所のニュースリリース(2015 年)、OECD のワーキングペーパー(2018 年)、冒頭のランキング記事 3 本です。いずれも 2026 年 9 月 20 日に開いて確認しました。野村総合研究所が元データにした労働政策研究・研修機構「職務構造に関する研究」(2012 年)は開いていません
- 冒頭の 3 本がそれぞれ何を根拠にしているかは確かめていません。Indeed の記事は世界経済フォーラムに触れていますが、3 本の食い違いの原因までは調べていません
- 求人の集計は当サイトの掲載求人が対象で、転職市場全体を代表するものではありません。職種は掲載が 500 件以上あるものから選んでいます
- 「AI」の語の数え方は、半角英字の AI が前後に別の英字を伴わない形で出てくるもの(「生成AI」「AI活用」は拾い、「MAIL」などは拾わない)を、仕事内容と応募要件の欄に対して照合したものです。小文字の ai、全角のAI、「エーアイ」は拾っていません。文脈も見ていません。AIエンジニア・データサイエンティストが 100% にならないのも、職種名だけで本文に AI と書いていない求人があるためだと考えられますが、確かめていません
- 求人票に書かれていないことは、その職場で AI が使われていないことを意味しません。逆に、書かれていることが使われていることを意味するかも確かめていません
- 手順は、当サイト以外の求人サイトで 2 度試しました。1 度目は法人融資の求人で、求人ボックスで検索して Indeed で 4 件を仕分け、4 件とも書かれ方が違いました。2 度目は医療事務の求人で、マイナビ転職の職種カテゴリから 5 件開いたところ、仕事内容に AI が出てくる求人は 0 件で、会社紹介と選考プロセスと福利厚生にしか出ませんでした。この 2 度目の結果を受けて、受け皿に「選考プロセス」「福利厚生・資格支援」を足し、0 件だったときの読み方を本文に書いています
- どの職種が将来どうなるかは、この記事では予測していません
よくある質問
AIに代替されないスキルはありますか
職種ではなくスキルで答えた資料として引けるのは、OECD のペーパーが自動化確率 50〜70% の帯について「求められるスキルが変わりうる」と書いていることくらいです。どのスキルかまでは、この記事で確かめた資料には書かれていません。求人票の側から見るなら、上の手順で開いた応募要件の欄が、募集側がいま言葉にしている条件です。
10年後になくなる職業はどれですか
この記事では予測していません。上で引いた野村総合研究所の試算も、2015 年時点で 10〜20 年後を見たもので、実際に代替されるかどうかは「労働需給を含めた社会環境要因」を考慮していないと同じ発表に書かれています。
AI耐性の指数で、自分のキャリアを点数にできますか
点数を出す指数はあります。「AI 耐性キャリア指数」で検索して出てくるのは、米国の Resume-Now が作った指数を紹介する記事です(2026 年 9 月 20 日に検索結果の 1 ページ目で確認)。ただし挙がっている職業も年収も米国のもので、日本の自分の職種に当てはめる根拠は、記事の側にも指数の側にも示されていません。指数の作り方そのものは開いて確かめていないので、この記事では中身を評価していません。
AIを使えないと転職で不利になりますか
職種によります。当サイトの掲載求人で数えた範囲では、AI の語が出てくる求人のうち応募要件にも出るものは 35% で、そもそも AI の語が出てくる求人の割合が職種で 5% 未満から 75% まで開きます。語を数えただけなので、その 35% が必須なのか歓迎なのかは分かりません。自分の職種で応募要件に何が書かれているかは、上の手順の 4 で確かめられます。