AI と転職
AIで作った職務経歴書で落ちるのは、見抜かれるから? 書類の中身か応募先を広げたことかを見分ける
AIで作った職務経歴書に替えてから、書類選考に通らなくなった人向け。見抜かれて落とされる可能性を公表調査で確かめ、AIを使う前後で書類と応募先をそれぞれ比べ、書類から具体が消えたのか、応募する職種を広げたのかを切り分けます。
公開 2026年9月21日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・AIで作ったと疑われ、書類を落としたと答える中途採用担当者はいる。ただし個別の不採用理由は分からない
- ・AIを使う前の書類と今の書類で、具体が消えたか、根拠のない記述が増えたかを比べる
- ・応募先を広げたなら、同じ職種で必須要件を満たす応募だけにそろえて通過を比べる
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ChatGPT で職務経歴書を作るようにしてから、書類選考に通らなくなった。まず気になるのは、AI で書いたと見抜かれて落とされたのか、という点です。採用担当者への公表調査には、AI で作った可能性が高い書類を理由に落とした経験がある、という回答があります。ただし、自分の不採用がそれに当たるかは外から分かりません。先に比べられるのは、AI を使う前と今の書類、それから、どこに応募したかの 2 つです。
AIで作ったと疑う書類を落とした採用担当者はいる
生成 AI の学習コミュニティを運営する株式会社 SHIFT AI が 2026 年 5 月に採用・人事担当者 503 名へ行った自社のインターネット調査では、AI で作成した可能性が高い応募書類を理由に「落としたことがある」と答えた中途採用担当者は 52.0% でした。同じ中途採用担当者の 23.8% は「判断できないため基準にしようがない」と答えています(「【採用担当者503名に調査】新卒採用担当の64.0%が"AI書類"で選考落とし経験あり」、2026 年 9 月 21 日確認)。これは担当者に経験の有無を聞いた数字で、応募書類の 52.0% が落ちるという意味でも、AI で作ったと判断された書類が実際に AI 製だったという意味でもありません。
一方、パーソルキャリアが 2024 年 7〜8 月に企業の中途採用担当者 500 名へ行ったインターネット調査では、個人が生成 AI で自己 PR・職務経歴書を作ることについて、「どのような活用方法であっても良い」が 36.0%、「活用した上で自身に合わせた調整を行うのであれば良い」が 52.4% でした(「転職サービス「doda」、ビジネスパーソンと企業の「生成AI」活用調査」、2026 年 9 月 21 日確認)。こちらも実際の選考結果ではなく、使うことへの態度を聞いた数字です。調査時期と設問が異なるため、採用側の態度がこの間に厳しくなったかは比較できません。
つまり、AI で作った可能性が高い書類を理由に落とした経験がある担当者はいますが、すべての会社が同じ扱いをしているわけではありません。応募先の社内ルールも、何を理由に落としたかも手元からは見えません。ここだけを追うと、次に何を変えるかが決まらないので、自分で比較できるところから始めます。
AIを使う前の書類と今の書類を比べる
文章の上手さは比べません。同じ職歴がどう変わったかを見るため、2 通を開き、同じ勤務先・同じ担当業務の箇所を横に並べます。
| 見る箇所 | 今の版で探す変化 | 変化があったときの読み方 |
|---|---|---|
| 数字と固有の状況 | 人数、期間、金額、使った資料、相手が消えた | 具体が抜けた可能性がある |
| 判断した理由と制約 | 消えた、または自分が判断していない理由や、比べていない選択肢が増えた(「遅れの原因を人手不足と捉えた」「価格だけでなく品質も比較した」など) | 消えた具体を戻し、増えた理由は事実か確かめる |
| 誰にでも当てはまる表現 | 「課題解決に貢献」「円滑に推進」などに置き換わった | 整っていても違いが伝わりにくい |
| 前の版にない事実 | システム、仕事、成果が増えた | 前の版を書いた後の実体験か記録で確かめ、確認できなければ消す |
SHIFT AI の調査で、採用担当者が AI で作ったと感じる理由として上位に挙げたのは、「表現は洗練されているのに、具体的なエピソードや数字が伴っていない」と「文章が整いすぎていて、どの候補者も同じような完成度に見える」でした。これは担当者の自己申告で、本当に AI 製かを確かめた調査ではありません。前の版との比較では、前にあった具体が残っているか、今の版で事実や理由が増えていないかを見ます。
たとえば、経理を 4 年経験した人の今の版に、使ったことのない SAP が書かれていたら、通過率を比べる前に消します。事実そのものが変わっているからです。「月次決算を円滑に進めた」のような文に変わり、前の版にあった対象部署、締め日、確認した資料が消えていたら、元の具体へ戻します。
根拠のない記述と、具体が抜けた箇所が見つかっても、それだけで不採用の原因だったとは決まりません。ただ、次に出す書類から直せる変化は見つかります。根拠のない記述を洗い出す詳しい手順は、AIで書いた職務経歴書はバレるかに載せています。
応募先を広げたか確かめる
AI を使った後に、応募数や応募する職種を増やす人もいます。ヘイズが 2025 年 10 月に行った自社のオンライン調査では、生成 AI の活用で応募数を増やした転職希望者はグローバルで 32%、以前より多くの職種に応募した人は約 3 分の 1 と公表しています(「転職活動にて3割がAIツールを活用 ― ヘイズ調査:生成AIの普及が応募プロセスを変革」、2026 年 9 月 21 日確認)。公表文は 32% をグローバルの数字として示していますが、有効回答 4,259 がグローバル合計か日本分かは明記していません。職種の幅も地域の区別がなく、応募を増やした人の書類通過率は分かりません。
自分の場合は、AI を使う前と後で同じ長さの期間を取ります。3 か月なら両方とも 3 か月にそろえ、次の 3 点を並べます。
- 応募した会社の数
- 応募した職種
- 求人の必須要件に、自分が実際にした仕事や持っている資格が当てはまるか
応募した求人票が残っていなければ、応募確認メール、保存した PDF や画面、紹介会社から届いたメッセージを探します。どれも無い応募は、会社名と職種までは比べられても、当時の必須要件は分かりません。いま掲載されている似た求人で置き換えず、「要件は不明」にします。
求人の必須要件には、自分が実際にした仕事や持っている資格を照らします。「株主総会の運営補助」と書類にあっても、実際にしたのが会場手配と受付だけなら、書類の文だけで要件を満たすとはしません。職務の記録や前の版も使い、事実を次の 3 つに分けます。必須欄にある「意欲」「共感」などの人物像は、事実で照合できないため、この分類から外します。
- 満たすと確認できる: 必要な資格、経験年数、担当業務に当てはまる事実があり、具体的に説明できる
- 不明: 要件の意味が曖昧で、自分の経験が該当するか決められない
- 該当する経験がない: 必要な資格がない、または実際にした仕事に該当する経験がない
「財務知識を活用した実務経験」のような要件は、経理経験があるだけで満たすと決められません。どの業務を指すか、どの程度を求めるかが書かれていなければ「不明」です。「不明」を「該当する経験がない」に混ぜると、応募先を広げた影響を大きく見積もってしまいます。
前は経理だけ、今は財務・経営企画にも応募している。さらに「該当する経験がない」応募が増えているなら、書類だけでなく応募先も変わっています。反対に、応募数だけが増え、職種も必須要件との対応も変わっていないなら、書類が通らなくなった理由を応募数の増加だけには決めません。次は、前後の書類で具体が消えた箇所や根拠のない記述を見ます。1 社ごとの要件と提出書類を照らす方法は、書類選考に落ちた理由が分からないときで扱っています。
書類と応募先の両方が変わったら、比べる応募をそろえる
書類から具体が消え、同時に応募する職種も広がっていたら、前後の通過率をそのまま比べても、どちらの影響か分かりません。比べる応募をそろえます。
- AI を使う前と後から、同じ職種への応募を取り出す
- その中から、人物像を除く必須要件を、実際の仕事や資格で「満たすと確認できる」応募だけを残す
- 残った応募について、応募した会社の数と書類を通過した会社の数を前後で比べる
たとえば、AI を使う前の 3 か月は 12 社に応募して 4 社通過、今の 3 か月は 20 社に応募して 1 社通過していても、今の 20 社に財務・経営企画が増えているなら、この数字だけでは書類が悪くなったとは言えません。前後とも経理で、必須要件を満たすと確認できる応募だけにそろえます。
そろえた後の見方は次のとおりです。ただし、3/6 と 1/4 のように、一つの通過・不通過で印象が大きく変わる件数なら判定を保留します。決まった件数の線引きはせず、同じ職種・要件の応募を増やし、一つの結果では見方が変わらなくなってから比べます。その間も、根拠のない記述は先に除きます。
- 同じ職種・要件でも通過が下がった: まず書類を直します。消えた具体を戻し、根拠のない記述を除きます
- 同じ職種・要件では変わらず、広げた職種で通らない: まず応募先を見直します。職種を戻すか、経験との間に何が足りないかを確かめます
- 応募が少なく、前後をそろえられない: 判定を保留し、次の応募では職種と必須要件をそろえて結果を増やします
通過の差が残っても、書類だけが原因だと証明できるわけではありません。会社ごとの採用枠や他の応募者はそろわないからです。ここでは、次に 1 つだけ変えて確かめる場所を決めます。職務経歴書を作り直す手順は、AIで職務経歴書を作る方法に分けています。
周りのAI利用は、手元の比較では分からない
マイナビの「転職動向調査2026年版(2025年実績)」では、2025 年に転職した正社員 1,446 名のうち、履歴書・職務経歴書の作成で生成 AI を「使っていない」は 33.5% でした。およそ 3 人に 2 人は、何らかの形で使った計算です(「転職動向調査2026年版(2025年実績)」、2026 年 9 月 21 日確認)。対象は転職に成功した人で、応募者全体の利用率でも、AI を使う人が以前より増えたことを示す数字でもありません。
書類で差がつきにくくなる仕組みを観測した研究もあります。Galdin と Silbert は、Freelancer.com のコーディング案件で、生成 AI の普及前には求人に合わせた短い応募文が企業の評価と結びついていたのに、普及後はその結びつきが大きく弱まるか消えたと報告しています(「Making Talk Cheap: Generative AI and Labor Market Signaling」、2025 年 11 月 11 日公表、2026 年 9 月 21 日確認)。これは査読前の研究で、対象はコーディング案件への短い応募文です。日本の正社員採用でも、職務経歴書でもありません。日本の書類選考で同じことが起きているとは言えません。
転職市場全体が悪くなった可能性も、個人の記録だけでは切り分けられません。doda が 2026 年 9 月 17 日に公表した同年 8 月の転職求人倍率は 2.86 倍で、求人数は前年同月比 18.7% 増、転職希望者数は 0.3% 増でした(「【転職求人倍率】2026年8月の転職求人倍率は2.86倍(前月差 +0.15ポイント) |転職ならdoda(デューダ)」、2026 年 9 月 21 日確認)。doda 会員 1 名あたりの中途求人数という独自の定義による全体の数字なので、読者が応募した職種や求人の競争率は分かりません。少なくともこの数字だけから、1 年前より求職者全体が不利になったとは読めません。
周りの AI 利用や職種ごとの市況は、書類の変化、応募先の変化と同時に起こり得ます。手元の比較で「違った」と消せる候補ではありません。自分で変えられる書類と応募先を先にそろえ、それでも結果が動かないときに残る背景として扱います。
この比べ方で分からないこと
この方法で分かるのは、AI を使う前後で自分が変えたものと、次にどちらを見直すかです。手元の書類と応募履歴だけでは、次の違いまではそろえられません。
- 同じ求人に応募した人数と、その人たちの経歴
- 募集枠や選考基準が前後で変わったか
よくある質問
AI を使った職務経歴書は NG ですか
一律に NG とは言えません。生成 AI の利用を認める採用担当者がいる一方、AI で作った可能性が高い書類を落とした経験があると答えた採用担当者もいます。応募先が利用方針を示している場合は、その方針に従います。方針が分からない場合でも、書いた事実を自分で説明できる状態にはしておく必要があります。
ChatGPT で作った職務経歴書はバレますか
応募先が何を使い、どう判断するかが分からないため、自分の書類が見抜かれるかは確かめられません。採用担当者が理由として挙げている具体の欠落と横並びは、AI を使う前の書類と比べられます。
AI で書き直せば、書類通過率は上がりますか
一律には言えません。書き直す前の書類の出来、応募先、応募した時期がそろっていなければ、「上がった」「下がった」という体験談同士を比べても、AI の影響は分かりません。
海外の求人プラットフォームで 2021 年に行われた無作為の実験では、プロフィール記述欄でつづり・文法の誤りの指摘や修正候補などの校正支援を受けた応募者は、対照群より採用が 8% 多い結果でした(「Algorithmic Writing Assistance on Jobseekers' Resumes Increases Hires」、2023 年 1 月 19 日公表、2026 年 9 月 21 日確認)。対象は職務経歴書ではなくプラットフォームのプロフィール欄で、測ったのも書類通過率ではなく採用数です。生成 AI が普及する前の校正支援なので、生成 AI が全文を書いた職務経歴書の通過率が上がるとは言えません。自分の場合は、本文の手順で前後の書類と応募先を分けて比べます。
書類は通るのに、面接で落ちる場合も同じですか
この記事の比較は書類選考までが対象です。書類に書いた経験を面接で具体的に説明できない場合は、根拠のない記述や、自分の言葉に戻せていない箇所を先に見ます。ただし、面接で落ちた理由そのものは書類だけでは分かりません。