転職の判断
AI推進の担当になるには? 部門をまたぐ業務改善を一つ選び、巻き込む人とゴールを決める
AI推進の役割を今の会社で取りにいくなら、AIの勉強だけに寄せず、部門をまたぐ業務改善の実績を先につくります。変える業務を一つ選び、巻き込む人と何が変われば完了かを書く道筋を、社内向け求人の応募要件と公式ガイダンスから示します。
公開 2026年9月26日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・AIの勉強だけに寄せず、部門をまたぐ業務改善を一つ始める
- ・関係する部門と、待ち・やり直し・聞き直しが見える業務を選ぶ
- ・巻き込む人と完了の形を決め、AIと人が担った部分を記録する
目次開く閉じる
AI 推進の担当に手を挙げたい。そう考えたとき、資格やプログラミングの勉強から始めるべきか迷います。最初に選ぶのは、講座ではなく、今の仕事にある「部門をまたいで変える業務」です。当サイト PREVIO で 2026 年 9 月に掲載中だった社内向け AI 推進求人の必須要件では、部門をまたぐ推進・業務改善・システム導入のどれかが 8 割あまりでした。ここでは、全員に求める条件だけでなく、「以下いずれか」などの選択肢の一つに挙がる経験も、必須要件に挙がるものとして数えています。対象が少ないため目安です。その業務を関係者と動かし、AI に任せた作業と人が決めた部分を記録します。
この記事では、法人営業をしている架空の人が、営業からカスタマーサクセスへの引き継ぎを変える例を使います。読み終わると、自分の仕事から一つを選び、誰を巻き込み、何が変われば完了かまで書けます。
AI推進の担当を目指すなら、最初に一つの業務を変える
AI 推進で先に作りたいのは、「AI を知っている」という説明だけではなく、関係者と一緒に仕事の進め方を変えた実績です。
社内で AI を広げる仕事には、使い道を見つけるだけでなく、現場の困りごとを聞き、複数の部門と話し、今の手順を変え、定着したかを確かめる場面があります。今の担当業務でこの一連の動きを経験しておけば、AI 推進の役割を相談するときに、自分がすでに担っている部分を具体的に示せます。
これは、AI の勉強が不要という意味ではありません。AI の経験や開発経験を応募の前提にする役割もあります。勉強と並行して、今の会社で変えられる業務を一つ選ぶのが、この記事の出発点です。
今の仕事から、部門をまたいで変える業務を一つ選ぶ
最初から「AI で何ができるか」を探すと、使う機能の話が先に立ちます。先に探すのは、二つ以上の部門が関わり、今も困りごとが起きている業務です。
次の三つに当てはまるものを一つ選びます。
- 二つ以上の部門や立場が関わる
- 毎週、毎月、案件ごとなど、同じ流れが繰り返される
- 待ち、やり直し、聞き直しのどれかが起きている
例では、営業が契約までに聞いた内容をカスタマーサクセスへ渡す業務を選びます。顧客の目的や決まった運用が伝わらず、引き継ぎ後に聞き直しが起きているからです。営業だけのメモ整理ではなく、受け取る側と一緒に変えられる仕事になっています。
候補が複数あるなら、困っている人と話せて、変更後を自分でも見届けられるものを一つに絞ります。会社全体を変える案より、関係者と始められて、終わりを確かめられる業務のほうが最初の実績に向いています。
巻き込む人と、何が変われば完了かを書く
業務を一つ選んだら、ツールを決める前に次の四つを書きます。
- 変える業務
- 今の困りごと
- 巻き込む人
- 何が変われば完了か
例を埋めると、次のようになります。
- 変える業務: 営業からカスタマーサクセスへの引き継ぎ
- 今の困りごと: 顧客の目的と決まった運用が足りず、引き継ぎ後に営業への聞き直しが起きる
- 巻き込む人: 営業担当、カスタマーサクセス担当、それぞれの責任者
- 何が変われば完了か: 双方で引き継ぎ項目を決め、試した案件で必要な情報が一度でそろったと確認できる
完了の形は、「効率化する」「連携を良くする」ではなく、関係者が終わったかを確かめられる言葉にします。書けたら、困っている相手に「この業務を一緒に変えたい」と相談します。
四つは、AI を選ぶ前に決めます。関係者と業務の変え方が決まった後で、その中から AI に任せる作業を一つ選びます。例なら、社内ルールで利用できる情報だけを使って、引き継ぎ内容の整理や下書きを任せます。試した後は、次の三つを残します。
- AI に任せた作業
- 人が確認し、決めた部分
- AI の出力をどこで直したか
これで、業務改善の結果と AI を使った経験を分けずに説明できます。AI の利用が社内で認められていない、または選んだ業務に適した使い道がない場合は、無理に入れません。その業務改善は進めたうえで、社内ルールの範囲で AI を試せる別の小さな業務を選びます。
社内向け求人で多かった経験
外から AI 推進の担当を採る求人でも、AI だけを切り離した経験より、部門をまたいで仕事を変えた経験が広く挙がっていました。
当サイト PREVIO で 2026 年 9 月 26 日に掲載中だった求人のうち、タイトルに AI 推進・AI 活用推進・AX 推進などが入り、社内向けと判定できた求人について、応募要件のうち必須と書かれた部分を数えました。部門をまたぐ推進や関係者の巻き込みは 7 割ほど、業務改善は 6 割ほど、システムやツールの導入・要件定義も 6 割ほどで、三つのどれかは 8 割あまりでした。AI の利用経験か AI プロジェクトの経験が必須要件に挙がらない求人は半分強、挙がる求人は半分弱、開発・実装の経験が必須要件に挙がる求人は 3 分の 1 ほどでした。冒頭で示したとおり、選択肢の一つに挙がる場合も含む数え方です。いずれも対象が少ないため目安です。応募要件は gpt-5.6-sol に Codex CLI から 2 回判定させ、その幅を丸めました。
実際の応募要件には、次の記述がありました。いずれも抜粋です。
事業会社において、自ら企画を立て、部門を横断する業務改善プロジェクトやDXプロジェクトを成功に導いた経験。
PM/PL実務経験 (複数部門間の調整や整理を主導し、プロジェクトを完遂させた経験)
なかには、次のように AI のプロジェクト経験を問わない求人もありました。
※AI関連のPJT経験は不問です。
この結果は、AI を学ばなくてよいという根拠ではありません。部門をまたぐ推進、業務改善、システム導入の経験が、多くの求人で AI の経験と並ぶか、AI の経験がなくても応募できる形で置かれていた、という結果です。だから最初の一件は、AI の知識だけを増やすより、今の仕事で関係者と業務を変える経験にします。
任命を待つ前に、している活動を見える形にする
会社に AI 推進という役職や担当名がまだ無くても、役割ができるまで待つ必要はありません。選んだ業務で同僚を助け、何を変えたかを上司と関係部門へ共有します。
Microsoft は、業務アプリを作るための Power Platform を社内で広げる人を「チャンピオン」と呼んでいます。同社自身の製品についてのガイダンス 「組織で Microsoft Power Platform チャンピオンを見つけてサポートする」 では、チャンピオンは直接頼まれてなることがほとんどなく、社内の相談に答える、勉強会に参加するといった、すでにしている活動から推進チームに見つけられ、認められると説明しています(2026 年 9 月 26 日確認)。対象は Power Platform の社内普及で、生成 AI 全般の話ではありません。
この記事で借りるのは、「任命されてから動く」のではなく、「すでに同僚を助けている活動を周囲が見つける」という順番です。四つの項目を上司と関係者に見せて小さく始め、終わったら、変える前の困りごと、変えた内容、確認できた結果を共有します。役割を相談するときには、やりたいという希望だけでなく、すでにした活動を示せます。
この道筋だけでは分からないこと
求人の集計には、次の限界があります。
- 当サイト PREVIO の掲載求人だけを対象にしており、社内で任命される人の条件を調べたものではありません
- 掲載中で応募要件が空でなく、職種分類がある求人から、タイトルに「AI」または「AI」と「推進・浸透・定着・利活用・活用推進」が句読点を挟まず 8 文字以内で並ぶか、「AX推進」を含む求人を抽出しました。タイトルに「エンジニア・営業・セールス・開発・コンサル・プロダクト・サイエンティスト・アーキテクト・ソリューション・事業開発・新規事業・顧客・お客様・クライアント・支援・補佐」のいずれかを含む求人と、職種分類がコンサルタント系(戦略・財務会計・組織人事・業務プロセス・物流・マーケティング・IT)の求人は除きました。さらに、タイトルに「社内・全社・自社・グループ」のいずれかを含むか、仕事内容に「社内・全社・自社内・グループ各社・従業員・全社員」のいずれかを含む求人に絞りました。そのため、このタイトル条件に当てはまらない社内向け求人は入っていません
- 応募要件に必須の見出しがなく、必須部分を切り出せなかった求人は除きました
- 応募要件の文面が同じ求人は一つにまとめましたが、同じ会社の似た求人は複数含まれます
- 応募要件の必須部分は、見出しを手掛かりに切り出した後、歓迎条件などが混ざった箇所を目で直しています。判定は gpt-5.6-sol に Codex CLI から 2 回させ、人が全件を判定し直してはいません
Microsoft のガイダンスも、Power Platform の社内普及について書かれたものです。生成 AI の推進担当や日本企業でも、同じように人が見つけられ、任命されるとは言えません。
会社に AI 推進の役割があるか、誰が任命するか、AI や開発の経験をどこまで求めるかは、会社と役割によって異なります。この記事の四つを書いて業務を変えても、任命される保証はありません。分かるのは、役割を取りにいく前に、今の仕事でどんな一件を始められるかまでです。
転職せず今の職場に残るかどうかから迷っている場合は、「転職しない方がいい人」に自分は当てはまる?で、残るか動くかを先に決められます。
よくある質問
AI に詳しくなくても、AI 推進の担当になれますか?
この記事の集計だけでは、なれるとは言えません。AI の経験が必須要件に挙がらない求人も、AI や開発の経験が必須要件に挙がる求人もありました。後者には、「以下いずれか」などの選択肢の一つに挙がる求人も含みます。まず四つの項目を書いて部門をまたぐ業務改善を始め、並行して、自社で使える AI と扱う情報のルールを学びます。
会社に AI 推進の役割がまだない場合、誰に相談しますか?
まず、選んだ業務で困っている相手と、その業務に責任を持つ上司に相談します。「AI 推進を担当したい」だけでなく、変える業務、今の困りごと、巻き込む人、何が変われば完了かを見せます。始める了承を得たら、結果を残し、AI や情報システムを担当する部門にも共有します。
最初に書くのは、部門をまたいで変える業務の名前です。一つ決めたら、残りの三つを埋めてください。