AI と転職
社内のAI活用を評価面談でどう話す? AIに報告をまとめさせ、仕事の結果を事実どおりに伝える
社内でAIを使った仕事を評価面談でどう話すか。AIに今期の報告をまとめさせ、各文を自分のメモと照らして、書いていない数字・効果・確認作業を除く手順を紹介します。面談までに数える数字も決められます。
公開 2026年9月27日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・評価面談では仕事の結果を話し、AI は使った作業として添える
- ・AI に報告をまとめさせ、総括・効果・時期も今期のメモと照らす
- ・今回の面談で確かめる数字と、次回まで記録する一つを分ける
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社内の AI 活用は、使った事実だけで評価が決まるとは言えません。評価面談では仕事の結果を中心にし、AI は使った作業として添えます。AI に今期の報告をまとめさせたら、各文をメモと照らし、今回の面談で確かめる数字と次回まで記録する数字を決めます。例に使うのは、4〜9 月に ChatGPT を使った架空の総務アシスタントです。この人のメモで「AI を使って業務を改善したことを上司に伝えたい」と頼んだ 3 回では、メモにない効果・感想が毎回加わりました。
評価面談では、仕事の結果を中心に話す
面談で伝える中心は、自分が実際にした仕事と、その結果です。AI の利用から話し始めると、集計表を作り直したことや、問い合わせへの返信方法を変えたことが後ろへ下がります。
備品発注の例なら、「集計表を作り直し、6 月からは 1 時間くらいで終わっている」が結果です。「ChatGPT に関数を聞いた」は、その表を作り直す際に使った作業として続けます。AI 活用を報告の中心から外すのではありません。仕事の何が変わったかと、AI をどこで使ったかを分けることで、どちらも事実どおりに話せます。
AI を使ったと伝えるだけで、評価が上がるとは言えない
AI を使った事実だけで、上司からの評価が上がるとも下がるとも決められません。仕事の結果を中心に置けば、自分が実際にした仕事を報告の中心に残せます。
米国の学術誌 PNAS に 2025 年に掲載された 「Evidence of a social evaluation penalty for using AI」 には、オンラインの評価者が人物紹介を読み、その人を評価する実験があります。AI の手助けを受ける人は、AI 以外の手助けを受ける人や手助けの記述がない人より怠けている、より有能でないと見られました。別の実験では、オンラインの評価者が候補者を選ぶ採用課題に取り組み、仕事への適性を評価しました。AI を毎日使う候補者と使わない候補者の適性評価には、平均の差がありませんでした。さらに別の実験では、生成 AI が役に立つかもしれず、使ってよいと示された課題で、生成 AI を使う候補者と Microsoft Office(Word や PowerPoint)を使う候補者の適性評価に有意な差はありませんでした(2026 年 9 月 27 日確認)。
これらはオンライン参加者による人物紹介の評価と採用場面の実験で、実際の職場の人事評価や、評価面談での報告順を調べたものではありません。したがって、この研究から「AI を使えば評価が下がる」「結果から話せば評価が上がる」とは言えません。
まず今期のメモに、測った数字か体感かを書く
AI に報告を頼む前に、今期の仕事を一件ずつメモにします。文章を整える必要はありません。後で報告の各文を照らせるよう、次の内容を事実のまま残します。
- いつ、何をしたか
- 何がどう変わったか。まだ数えていないなら、そのこと
- AI をどの作業に使ったか
- AI を使っていない改善かどうか
- 数字は記録から取ったのか、体感なのか
- 失敗したことと、その後に実際に変えた確認方法
社内の情報を貼る前に、会社で使ってよい AI かを確かめます。取引先名、金額、個人名などを入力してよいか分からない場合は、社内のルールを確認し、必要な情報を伏せてください。
例に使う総務アシスタントのメモは、次の 6 行です。
【今期のメモ】(総務アシスタント。時短勤務。4〜9月)
- 4月: 社内からの問い合わせ(備品、経費精算)への返信文の下書きに ChatGPT を使い始めた。送る前に自分で読んで直している
- 5月: 毎月の備品発注の集計表を、ChatGPT に関数を聞きながら作り直した。前は集計に毎月半日くらいかかっていたのが、6月からは1時間くらいで終わっている(体感。時間は記録していない)
- 6月: 納涼会の案内文と出欠フォームの文面を ChatGPT で下書きした。出欠の集まり方は去年と同じくらい
- 6月: ChatGPT で作った返信文に、古い経費の締め日が入ったまま送ってしまい、訂正の連絡を入れた。それからは、締め日と金額は必ず経費規程と照らしてから送っている
- 7月: 契約書の押印依頼の受付を、メールから Slack のワークフローに変えた(ここは AI は使っていない)。去年度は依頼の抜け漏れが3件あったが、今期はまだ0件
- 8月: 経費精算のよくある質問(10問)を ChatGPT で下書きし、上長に確認してもらって社内 Wiki に載せた。載せた後に問い合わせが減ったかは数えていない
AI が作った報告に「6月以降」とあれば、この備品発注の行と照らします。表を作り直したのは 5 月、1 時間くらいで終わるようになったのは 6 月からなので、二つの時期を混ぜていないかを確かめます。
経費精算の FAQ は、10 問を社内 Wiki に載せたところまでが事実で、問い合わせが減ったかは数えていません。AI が作る報告にも、その先の効果は書かせません。
問い合わせの返信文は、送る前に自分で読んで直していました。それでも、ChatGPT で作った返信文に古い締め日が残ったまま送ってしまいました。そこで、読むだけでなく、締め日と金額は経費規程と照らしてから送るように変えています。確認していたという事実と、確認しても残った誤り、その後に追加した確認を分けて書きます。
結果がまだ出ていない仕事は、「問い合わせが減ったかは数えていない」と現状をそのまま残します。失敗した仕事は、起きたことと、その後に実際に変えた確認を続けます。結果らしい言葉を足す必要はありません。
AI を使っていない改善もメモから外さないでください。押印依頼をメールから Slack のワークフローに変えた仕事は、AI 活用とは分けたうえで、今期の仕事として報告できます。
このプロンプトで面談の報告を作る
メモができたら、次のプロンプトをコピーします。末尾の括弧書きは消し、自分のメモに置き換えてください。数字には、記録した値か体感かも書いておきます。
今期の評価面談で、上司に仕事の成果を伝えたいです。下の【今期のメモ】だけを材料に、面談で話す報告を作ってください。
- 仕事の結果(何がどう変わったか)を先に書き、AI はどの作業に使ったかとして後に書いてください。確かめたことは、メモに書いてあるものだけを書いてください
- メモに無い数字・効果・感想を足さないでください。メモの数字から計算した数字を書くときは、計算の元になったメモの数字も書いてください
- 「体感」「数えていない」と書いてあるものは、測った数字のように書かないでください
- AI を使った仕事と使っていない仕事を分けて書いてください
- 最後に、面談の前に私が数えたり記録を探したりしておくとよい数字を、メモの項目ごとに挙げてください
【今期のメモ】
(ここに、今期の仕事のメモを箇条書きで貼る。数字には、測ったものか体感かも書いておく)
記事のプロンプトで作った出力の一つは、備品発注について次のように書きました。抜粋です。
備品発注の集計表を作り直し、6月以降の集計は1時間くらいで終わるようになりました。以前は毎月半日くらいかかっていました。ただし、いずれも記録した時間ではなく、体感によるものです。集計表の作り直しでは、ChatGPTに関数を聞きながら作業しました。
簡単な頼み方と記事のプロンプトでは、次の違いがありました。
| 頼み方 | 最初の文が AI・ChatGPT の「…を活用しました」で終わる | メモにない数字 | メモにない効果・感想 |
|---|---|---|---|
| 「AI を使って業務を改善したことを上司に伝えたい」と頼む | 3/3 | 2/3 | 3/3 |
| 記事のプロンプト | 0/3 | 0/3 | 0/3 |
これは、同じ架空の総務アシスタント 1 人分のメモを 1 つの AI に渡し、各版を 3 回ずつ作った結果です。最初の文が「…を活用しました」で終わったのは、「AI を使って業務を改善したことを上司に伝えたい」という枠に応えた結果とも読めます。二つの頼み方では指示が複数変わっているため、どの一文だけが違いを生んだかを示す比較ではありません。
記事のプロンプトで最初に作った 3 回のうち 2 回は、最初の文が仕事をまとめた総括でした。表の 0/3 は、最初の文が AI・ChatGPT の「…を活用しました」で終わった回数であり、3 回とも結果から始まったという意味ではありません。同じプロンプトとメモでもう 2 回作ると、メモにない数字・効果・確認作業はどちらにも出ませんでしたが、1 回は「今期は、備品発注の集計、契約書の押印依頼、社内問い合わせへの対応を見直しました。」という総括から始まりました。合わせると、5 回中 3 回が総括から始まっています。行為の言い換えは再実行の 2 回ともありました。記事のプロンプトを使った後も、全文の照合が必要です。
出力は面談でそのまま読み上げるには長くなることがあります。面談では仕事の結果を短く話し、AI を使った作業、確認した事実、数えていない項目は手元に置いて、必要なときに補います。
報告の各文を今期のメモと照らす
報告が返ったら、各文の横に、根拠になったメモの行を一つずつ付けます。数字が合っているかだけでは足りません。総括、効果の呼び方、時期、最後に挙がった「数えておく数字」も照らします。
| 見る場所 | 確かめること | メモにないとき |
|---|---|---|
| 個別の仕事 | 数字、効果、感想、確認作業が書いてあるか | その部分を消す |
| 複数の仕事をまとめた文 | まとめに使った効果の言葉を各行から言えるか | 事実を並べる文に直す |
| 行為の言い換え | 「備品発注の集計方法を見直し」「受付方法を一つのワークフローにまとめたこととあわせて」など、メモにない作業を足していないか | 「集計表を作り直した」「メールから Slack のワークフローに変えた」のようにメモの行為へ戻す |
| 時期 | 開始時期と、変化が起きた時期を混ぜていないか | 時期を消すか、メモどおりに分ける |
| 数えておく数字 | その候補がメモにない作業や記録を前提にしていないか | 候補から外す |
再実行の一つにある「備品発注の集計方法を見直し」は、メモの「集計表を作り直した」を広げた言い換えです。記事のプロンプトで最初に作った 3 回のうち 3 本目にも「受付方法を一つのワークフローにまとめたこととあわせて」とありましたが、メモにあるのは、メールから Slack のワークフローへ変えたことです。数字が合っていても、行為を広げていないかまで確かめます。
簡単な頼み方の出力では、AI が体感の「半日くらいから 1 時間くらい」から「月3時間前後の短縮」という数字を作った回がありました。プロンプトは、計算した数字を書くなら元の数字も書くよう頼んでいます。ただし、元が体感なら、計算後も体感から作った試算です。さらに、このメモには半日を何時間と置くかがありません。照合するときに、元の二つの数字、半日を何時間と置いたか、体感からの試算であることを読者が書き足します。それができなければ、計算した数字を消して、元の体感だけを残します。
確認したことは、どこまで報告に入れてよい?
「確認したことも書けば、慎重に使ったと伝わる」と考えたくなります。ただし、報告に残す確認作業は、実際にしたとメモにあるものだけです。
頼み方を変えた 3 版では、メモにない確認作業が入った回数に次の違いがありました。同じ架空の総務アシスタント 1 人分のメモを 1 つの AI に渡し、各版を 3 回ずつ作っています。
| 版 | 確認作業についての頼み方 | メモにない確認作業 |
|---|---|---|
| v1 | 「AI を使って業務を改善したことを上司に伝えたい」と頼む | 1/3 |
| v2 | 「送る前や使う前に何を確かめたかとして書いて」を含む | 2/3 |
| v3(記事のプロンプト) | 「確かめたことは、メモに書いてあるものだけを書いて」を含む | 0/3 |
v2 の出力には、次の文がありました。
実際に使う前に、集計結果を自分で確認しました。
元のメモには、集計表を使う前に結果を確認したとは書かれていません。返信文を送る前に自分で読んで直したことは書かれていましたが、その確認を別の仕事へ広げることはできません。
v2 から記事のプロンプトへ直す際は、「送る前や使う前に何を確かめたかとして」を削り、「AI はどの作業に使ったかとして後に書いて」の「後に」と、「確かめたことは、メモに書いてあるものだけを書いて」を加えています。どの変更が違いにつながったかは切り分けていません。言えるのは、その文言を含む版で 2/3、書き換えた版で 0/3 だったところまでです。
この結果だけで、別の出力や別の AI でも確認作業が加わらないとは言えません。報告を照らすときは、数字や効果と同じように、確認作業の文にも対応するメモの行があるかを見ます。なければ、その文を削ります。
今回の数字を確かめ、次回まで記録する一つを決める
プロンプトは「メモの項目ごとに」数字を挙げるよう頼むため、候補が多く出ます。同じ総務アシスタントのメモで再実行した 2 回では、どちらも 20 個でした。メモにない記録を前提にした候補も多く、一つの出力には「過去の予定表や作業記録に残っている、作り直す前の実作業時間」とありました。予定表や作業記録が実際に残っているとは、メモに書かれていません。候補の数を減らしてから、記録を探します。
今回の面談までに記録から探す数字
今回の面談で使う候補は、次の三つをすべて満たすものに絞ります。
- 自分のメモにある仕事についての数字で、メモにない行為を前提にしていない
- 前と後の数字を、残っている記録から確かめられる
- 比較する場合は、同じ長さで、どちらも終了した期間をそろえられる
例の総務アシスタントなら、今回の面談までに探す一つは、古い締め日を送った後の訂正連絡の件数です。送信履歴から対象期間の件数を確かめられれば、失敗がどこまで影響したかを推測せずに話せます。
出力に挙がった「作り直す前と後の実際の作業時間」は、今回の候補から外します。「前」の時間は記録がなく、体感しか残っていないためです。過去の時間は今から測れません。
経費精算の FAQ は 8 月に掲載していますが、メモには掲載日がありません。掲載前後の問い合わせ件数を比べるなら、まず掲載日を確かめ、その前後で同じ長さの、どちらも終了した期間を選びます。掲載後の期間がまだ終わっていないなら、その期間が終わるまで待ってから比べます。面談が先に来る場合は「掲載後の問い合わせ件数は集計中」とし、途中の期間と終了した期間を比較しません。
次の面談に向けて記録を始める数字
次の面談に向けて記録する一つは、毎月の備品発注にかかった時間です。今回の面談では「半日くらいから 1 時間くらいになった体感」と話し、次回まで各月の実作業時間を残します。次の面談では、体感で作った短縮量ではなく、同じ作業の記録を並べて変化を説明できます。
この方法だけでは分からないこと
この記事の出力例は、架空の総務アシスタント 1 人分のメモを 1 つの AI に渡し、三つの頼み方を各 3 回試したものです。記事のプロンプトと同じメモでの再実行は 2 回、別の架空の人のメモでプロンプトから照合まで通したのは 1 回です。他の人のメモや他の AI で同じ結果になるかは確かめていません。
また、作った報告を上司がどう評価するかは調べていません。この手順でできるのは、今期のメモから報告を作り、メモにない数字・効果・感想・確認作業・時期を除き、面談までに数える数字を決めるところまでです。
社内で AI 推進の役割を取りにいきたい場合は、AI推進の担当になるには? 部門をまたぐ業務改善を一つ選び、巻き込む人とゴールを決めるで、今の仕事から始める一件を選べます。
よくある質問
AI を使ったと上司に言うと、手抜きだと思われませんか?
上司がどう受け取るかは、AI を使った事実だけでは分かりません。オンラインの人物評価では、AI の手助けを受ける人がほかの手助けを受ける人などより怠けている、より有能でないと見られた一方、採用の課題では適性評価に平均の差がなかった場面もありました。実際の職場の人事評価を調べた結果ではありません。仕事の結果を中心にし、使った作業と実際にした確認を事実どおりに添えます。
面談までに数字を数えられなかったら、どう話しますか?
体感なら体感、数えていないなら未計測として話します。今回の面談には、残っている記録から確かめられる数字だけを使います。過去の記録がなく今からは測れない数字は、次の面談に向けて記録を始めます。最初にするのは、今期の仕事を一件ずつ書き、数字の横に「記録」か「体感」かを付けることです。